No.491058

ONE PIECE —黒髪少年の描く世界— 第四十一話 パネル

霧宮 海さん

にじファンからの転載です。

2012-10-01 22:09:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5287   閲覧ユーザー数:5174

さて、前の話でガラスのハートを地面に向かって叩き割られた俺だが実は回復が早かったりする。

 

そしてまたおっさんの話に耳を傾ける。

この話のせいで馬鹿にされ続ける事になったモンブラン一族だが、誰一人ノーランドを恨む者はいなかったいう。それはノーランドが類いまれなる正直者だったからだそうだ。

 

 

 

 

(中略)

 

 

 

 

 

そんでまあ旅に出たおっさんがたどり着いたのがここだったってことらしい。

略しすぎて経緯がわかんないって?しょうがねーだろ俺の寺子屋での成績評価はオール1だかんな。馬鹿なめんな。

 

おっさんの話が一段落した頃。

 

「なあ、おっさん。提案なんだけど」

おっさんの方を見ながら言う。

「あのパネル、上書きしちゃだめか?」

「書き換えは、」

「しないしない。だってあれ『うそつきノーランド』に出て来た城だろ?」

絵本のページを開いてみせる。

「ほんとだ…気づかなかった…」

ビビがつぶやく。

「思い入れがあるもんはいじんねえよ。でもほら、立体感とか鮮やかさとかつやとかほしいだろ?」

 

絶対にデザインは変えないという事を伝えると、おっさんは了承してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パネルの前に仁王立ちするヤマト。

「でもヤマトさん、これ上の方は無理なんじゃない?」

隣でつぶやいたのはビビだ。確かにここにあるはしごは2m上までしかいけない。だからってパネルをはがす訳にはいかない。プライバシーの侵害である。

「だいじょぶだいじょぶ」

一旦船に戻り自分のリュックを持って帰って来る。そして中をごそごそあさり、およそ30cmくらいの高さの瓶を取り出す。中には黄緑色の細かい砂のような物が9分目くらいまで入っていた。

「?砂?」

「んー。半分正解半分ハズレ」

ふたを開けるとキュポンとかわいらしい音がする。瓶にかわいげも何もないのだが。

「これな、俺の葉っぱを粉末化した奴なんだ。すり鉢ですってみたんだ。まーあれだ。チョークアートに似てるかな」

「ちょーくあーと?」

「あれ、ビビは見た事なかったっけ。あのな」

言いつつ長めのシャツを少しあげる。するとそこにはベルトの脇にに刺さったたくさんのチョークがあった。そしてそこから一本取り出してパネルに絵を書き出したのだ。

 

「え、ちょ、ヤマトさん!」

「へーきへーき♪」

そうして書き上げたのは等身大ルフィ。

「WAKE UP!」

パチンッ

指を鳴らしてみせるとパネルからふわりと絵が浮き出す。

「わー…!」

「そんでこのチョークには俺の葉っぱが入ってるから俺の思いどーりに動かす事ができるってこと」

パン

手のひらを叩くとルフィが瞬時に粉末に戻ってしまった。

 

…いや、別に手を叩く必要はないんだけどね?でもこう静かに粉に戻ったらなんか空しいでしょ?

 

「そんでこの粉はね」

瓶から粉を一握り掴み、空にばらまく。

「わっ」

すると舞い上がった粉が集まっていき、はしごが出来上がった。

「こうやって使ってるんだ。即席だからちっと洒落っ気ないけど便利だぜ?」

リュックを肩に掛け、はしごを掴んで上に上がっていく。そしてお決まりの道具を取り出して色を塗っていく。ビビはどのくらい変わったかが見たいから後で見に来る、と言って家に入っていった。

 

 

 

 

 

しばらく静かに色を塗っていると。

 

 

 

 

「ん!?おめえさっきの奴じゃねえか!!」

その声に後ろを向く。

「おやっさんの家に何してやがる!!」

やっぱりね。お二人は兄弟だったのね?

そこにいたのはマシラとショウジョウだった。俺に向かって怒鳴るなり家に向かって突進していく。おっさんの家のドアはあまり大きくなかった気がするんだが…。

思った通り二人同時に入ろうとした二人は、思った通りドアにつっかえていた。そして一瞬ルフィ達の事を不法侵入と疑い、また騒ぐ。そしてそれを栗のおっさんが止める。

 

 

一旦休憩。

 

 

そして一拍置いたかと思えば今度は俺がパネルを改造してるとか言い出し、またまた騒ぐ。それをまた栗のおっさんが説明して、静まる。

 

見てないのに何でこんなにわかんのかって?

あいつらの声がデカすぎんだよ。駄々漏れだ。

 

ため息をつきながらまた色塗りの作業に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うし!完了!」

額の汗を拭う。案外はしごでバランスをとりながら色を塗っていくというのは難しい物である。

「うん!満足!」

はしごを下りて下から見上げてみる。自分で言うのもなんだが本物のようだ。

「あ、できたの?」

出て来たのはナミだ。それに続いてビビも出て来る。

「ああ。どうよ」

「すっごーい!本当にお城が建ってるみたい!」

「ホント!迫力満点ね」

女性陣には好評のようだ。

ナミ達の声を聞いておっさんがでてくる。

 

「どうです?」

「さすがプロと言うべきか?おれが作った新品のときみてぇだ」

あ、それ以上とは言ってくれないのね。別にいんだけどさ。まあちょっと期待しただけだし。…うん。

 

「オウオウオウ!さすがだな!おれの魅力をしっかり表現できたのはまぐれじゃなかったか」

ショウジョウ達もでてきた。

…今回俺が描いたのは人物画じゃなくて建築物なんだが…。

「ん!?ショウジョウも描いてもらったのか!?」

「なんだマシラもか?」

「そういや二人はどんな関係で?」

二人の話に無理矢理割り込む。

だってなんか気になるじゃん?

 

「「猿山連合軍だ」」

「なるほど。納得だ」

「お前も入るか?」

「遠慮しとくよ」

 

入ってもいいと思うけど入ったら人類に戻れない気がする。

 

入ったら楽しそうだけどね。俺は麦わら派だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺らは夜がくれるまで飲んだり食ったり。おっさんはノーランドについて語っていた。

 

そしておっさんが大事な事に気がついたのだ。

 

 

「おいお前ら!!急いで鳥探してこい!!」

 

 

こんな真夜中に!?


 
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