No.490141

真・恋姫†夢想 とある家族の出会い 承の幕

狭乃 狼さん

狼一家の出会いと、
そして家族となるまでの感動のストーリー第二弾!!

・・・嘘ですスイマセン。

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2012-09-29 23:49:56 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3956   閲覧ユーザー数:3442

 承の幕『それはただの結果論なの』

 

 

 「……おっかしいなあ……」

 

 え?いきなり何のことかって?いやね?俺、龐徳こと管理者の一席でもある狭乃狼は現在、ゲームの恋姫†夢想、その世界から派生したとある一つの外史に居るんだけど、なんだかこの外史、ちょいとばかり俺の知ってるゲームの話とずれてるというか、むしろ別物になってるんだよ。

 なにしろ。

 

 「あの、龐徳さん?さっきから一人で難しい顔して、どうかしたんですか?」

 「え?あ、いや、なんでもないんだ。ちょっと、考え事を、ね」

 

 と、不意に俺の思考を止めたその声の主、ツインテールにした黒い髪がとても艶やかなその少女に、とってつけたようにそう、俺は生返事をして返す。

 そう。この子がまずはその差異の一つ。赤いロングコートのようなものを肩に羽織り、何であるのかは不明だがジーンズの短パンを黒いストッキング…なんだろうか?その上に穿いた、スレンダーな体型をしたこの少女。

 徐庶、字を元直。

 恋姫の基となった史書、三国志を知る者ならば大概の者は知っているであろうはずの、かの劉備玄徳の軍師をしていたこともある、あの徐庶、だ。しかし、しかし、だ。この子、確か原作では朱里、はわわ軍師諸葛亮の話にちょっとだけ名前が出ただけで、登場シーンどころか立ち絵もなかったよな?それに。

 

 「……うーむ……」

 「な、なんですか?人のことそんな、じっと見たりして。……わたし、どこか変ですか?」

 「そんなことはないさ。むしろ衆人の耳目を惹きつけて止まない、そんな容姿だとおもうけど」

 「へ?」

 「まあありていに言えば、可愛い美人さんてことだ」

 

 うん。朱里や雛里こと龐統と違って、ちまっ子じゃあないし。出るとこもまあちょっと慎ましやかではあるけど、十分に出てるし。顔立ちもどっちかって言うと、可愛らしさよりは美人さん顔かね?

 俺はまたてっきり、もし彼女が公式に居たとしたら先の二人同様のオチビ軍師になってると思ってたからなあ。朱里がはわわで、雛里があわわだから、徐庶だったら“わわわ”?それとも“うわわ”?そんな感じで(笑。

 

 「なっ?!ななな、何馬鹿なことを急に言ってるんですか?!わ、私が可愛いとか美人とかそんな」

 「龐徳お前……やっぱり北郷のやつにちょっと似ているな」

 「そう?」

 「ああ。そういう台詞を真顔でさらっと、臆面もなく言える所などな。それともあれか?お前、年下趣味でもあるのか?」

 「いやあ、俺はどっちかって言うと、華雄さんの方が好みだけど?」

 「……ほれみろ。そういう恥ずかしいことを言うあたり、やっぱり北郷と似てるよ、お前は」

 

 まあ確かにリアルでも、キザだとはよく言われますけどね。

 

 「でさ。ちょっと話を変えさせてもらうんだけど、華雄さん?」

 「ん?」

 「今さ、都のと言うか、宮中でかず…北郷君は何を?確か董卓公やその側近の軍師殿と、内憂を取り除こうとしてるとか何とか」

 「……そうだ。龐徳、お前は今の皇帝陛下が誰かはもちろん知っているだろう?」

 「……十四代の劉協陛下じゃ?」

 「違いますよ、龐徳さん。今の皇帝陛下は十三代の劉弁帝です」

 「……え?」

 

 ちょっと待て。そりゃ確かに、ゲームでも皇帝陛下は出てきてませんよ?立ち絵はおろか、名前すら出てきた記憶、少なくとも俺には無い。だから、実際に皇帝が居たとしても、せいぜい漢の最後の皇帝として有名な献帝、劉協伯和だと思っていたんだけど、そっか、少帝こと劉弁帝、健在なんだ。

 

 「……確かに、あのゆ…董卓公の性格からすれば、皇帝を廃立したりなんてしないよなあ……例えそれがどんな愚帝だろうと」

 「……どういう意味だ、それは。あの陛下が愚帝?そんなわけがあるわけが無かろうが。あの方ほど、民の事を考え、民を愛する帝はおられん。皇帝になる、まさにその為に生まれたような、聡明なるお方だぞ、陛下は」

 「……そなの?」

 「そうだとも!それに、董卓様とはとても仲が宜しくてな、公私問わず良く、お話し相手をされておられるほどだ。龐徳お前、そんな根も葉もない与太話、一体何処から仕入れてきた?」

 

 史実ではそうだったんです。

 ……なんて言うわけにもいかないし、さあ、どう誤魔化そう?なんて風に、自分の失策をどう流すか考えていたら、思わぬところから助け舟が出ました。

 

 「あ、もしかして袁紹殿の流した醜聞では?現にいま、あの人の出した檄文で、反董卓公を謳った連合が組まれているわけですし」

 「そう!まさにそうなんだよ!徐庶さんの言う通り!いや、流石天才軍師!才色兼備とはまさに君のことだな!うんうん!」

 

 と。徐庶が出してくれたフォローに乗っかって、話を横に逸らすべく、彼女の事をそう褒めちぎった俺だったわけなんだが。

 

 「……あの。私が軍師、って、どういうことです?」

 「……へ?いや、だって君、水鏡塾で軍略とか学んだんじゃあ……?」

 「いえ?確かに水鏡先生こと司馬徳操殿には、入塾を薦められていますし、私もそのつもりですけど、でも、まだ“これから”行くところなんですけど?」

 

 ……やっちゃった。さあ今度はどうやって誤魔化そう?……あ、そだ。

 

 「……なあ徐庶さん?君、諸葛亮とか龐統って名前、知ってる?」

 「朱里と雛里をご存知なんですか?!」

 「……(勿論知ってるけどここはあえて)それは、二人の真名……で良いのかな?」

 「はい」

 「かたっぽははわわ、もうかたっぽはあわわ、なんてのが口癖の」

 「です。そうですか、あの二人と知り合いなんですか」

 「うん、まあ。直接の面識は無いんだけど、風の便りに聞いた事があってね。軍の師たる諸葛孔明と龐士元、この竜鳳手にする者、天下をその手に掴むも容易なり、ってね。で、そこにもう一つ、こんな一文もあってさ」

 「?」

 「竜鳳纏めし(ぜん)家の姫を、(かすがい)たる徐元直をも得られれば、天下は既にその掌中の珠。……なんて感じでね」

 

 まあ全部、今思いついた捏造ですけど。……後で菅ちゃんに連絡して、本当に流してもらっておこう。

 

 「単家……なんで、私の生家の姓を……っ!?もう、誰も知るはずの無いモノなのに……!」

 「それだけに、信憑性があるとは思えないかい?噂の出所となった菅輅は、占卜によって得られた言葉を流すと聞くからね」

 「……占卜に出た言葉……なるほど、だから、余人の与り知らぬ事であっても、それが出てくればそれをただ流してしまうのが、菅輅という占い師だと」

 「そうさ。だから、俺は直感的に思っていたのさ。徐元直という名の人物は、軍の師、すなわち軍師である諸葛孔明と龐士元と同様、軍師としての才高い逸材なんだろう、とね」

 

 ……しっかし、我ながら良く、これだけ口からでまかせが出るもんだ(笑)。現実でもこれぐらい口が達者だったら良かったのになあw

 

 

 …………………………………………

 

 

 といった感じで、なんとか上手いこと話を纏め、俺は華雄と一緒に宮城へと移動する事になった。徐庶の方だが、彼女はさっきの言葉通り、水鏡塾に行くと言って俺たちと別れ、戦の起こっていない長安方面へと旅立って行った。

 あ、そういや結局、朱里とか雛里とかとはどういう知り合いなのか、聞きそびれちゃったな。まあ、次にもし会うことがあったら聞けばいいか。……なんて風に、俺はこの時お気楽にもそう考えていた。

 

 けど。

 

 これから少し経った後、俺は本気で、この時の自分の愚かさを呪う事になる。歴史にIFを問うてはならないと、誰かが言った。けど、それでも、もしも、と、そう思わないことが無いわけでもない。もしこの時、おれが彼女を引き止めていたら、洛陽に、戦も含めた全ての騒動が落ち着くまで残っているようにと、そう、言い含めて留める事が出来ていたならば。

 彼女はこのまま、この外史の人間として、そのままこの先の運命を全うしていたかもしれない、と。そしてその方が、彼女にとっても、遥か未来に続く日々より、よほど良かったかもしれない、とも。

 勿論、“今の”彼女は、そんなことは無い、と。いや、彼女だけでなく、もう一人のアイツも、揃ってそう笑って言ってくれはするが、未だに、俺の心の中ではこの時の事が小さく燻り続けている。

 

 ……話が逸れたので元に戻すが。 

 

 華雄と一緒に宮中へと入った俺は、今、月こと董卓仲頴と、詠こと賈駆文和、その二人と謁見の間で会っていた。そして、前もってもらっておいた霞からの紹介状と、華雄の推薦を受けることで、俺は難なく董卓軍にその席を置くことを認められた。まあその際、再開発中とはいえ勝手に家屋を吹き飛ばした件について、詠からきっちりお説教を食らったけどね。

 

 「……ところで董卓公?噂の天の御遣い殿の姿が見えませんが、今は?」

 「一刀さん、ですか?へう。一刀さんなら今は、協殿下の所に居ますよ」

 「協殿下……陛下の妹君、陳留王様のところに、ですか?」

 「そうよ。北郷のやつ、協殿下に随分懐かれていてね。一日のほとんど、殿下のお傍に仕えているわ。なに?一刀に会って見たいのかしら?」

 「ええ、まあ。噂に聞く天からの御遣い殿とはどんな御仁か、一度直接会ってみたいものです」

 

 うん。ゲームの主人公ってのは、大体プレイヤーの代理としての立場ってのが多いからな。そんな自分の分身扱いじゃない、一人の人間としての一刀ってのがどんな奴か、結構興味があったりする。

 人によって見る目は様々であろう、このゲームの主人公キャラ、天の御遣い北郷一刀。

 例えば、チート満載の最強主人公になっていたり、智慧と知識だけで世を渡る最高の軍師であったり、はたまたただの一商人だったり、一兵士だったり、農民だったり、千差万別の立ち居地に変わりはするものの、それに関らず常に物語の中心に座る。それが、ほぼ大多数の彼の立場だ。

 しかし、だ。

 その理由はさておき、彼のことを嫌い、アンチ、ヘイトする管理者の管理する外史では、傍若無人を地で行くただの外道にされて居たり、中には初めから存在すらさせられなかったり、存在してもその名を奪われただのモブとして扱われたり、と。とにかく酷い扱いをされることもあったりするわけで。

 

 【人間と言うのは人間と言うのを映す鏡である】

 

 とは誰の言った言葉だったか。とにかく色んな意味で、重要なキャラクターとなってるのが、このゲームの主人公、彼、北郷一刀という男なわけだ。

 そんな鏡の一つである彼にあった時、彼は俺をどう映してくれるのか?俺は彼にどう映るのか?是非にも一度、直に確かめてみたかった。それが、俺が外史に降りたらやってみたい、その内の事柄の一つだったんで、彼が董卓軍に入ったこの外史ならまさにうってつけなわけだ。

 

 「……御遣いに会うのは構わんがの。それならば十全に、覚悟をせねばならんぞ?龐令明とやら」

 『え?』

 

 突然。

 謁見の間に響いたそのハスキーボイスに、八対の目が自然と引き寄せられた。そこには、奥の間から何時の間に表の間に出てきたのか、腰にまで届くほどの長い黒髪を一本の太い三つ編み状に結った、紫と黄色、それらを基調にした、左胸にはくっきりと、今にも天を目掛けて昇らんとする龍の刺繍が施された、清楚な衣装をその身に纏った“美少年”といっていい顔立ちの、ジャニーズアイドルも顔負けの少年が、お付らしい女性を引き連れてその姿を現していた。

 それを確認すると同時に、俺も含めたその場の全員が一斉にその場で平伏し、その人物に礼を取る。正直、名を言われるまでも無く気がつけた。この少女と見まがうほどの美貌をした少年こそが、この外史の十三代漢帝、劉弁その人だと。

 

 「これは陛下。かような時分に御出座なされるとは、一体どうなされましたか?何か火急の御用が」

 「いやなに。政の話ではないのだ。単に月と茶飲み話でもしたいと思うて来たのだが、なにやら妹の話が聞こえたのでの。朕も混ぜてもらおうかと思うてな」

 

 と言うことで急遽、皇帝陛下の鶴の一声でもって、場所を中庭に移して茶会をしながらの談話が行なわれる事に相成りました。さて問題。

 

 「……一体、どうしてこうなったと思いますか、華雄さん?」

 「私に聞くな……」

 

 デスヨネーw

 

 

 ………………………………………………

 

 

 

 そしてさらにどうしてこうなった、その二。

 

 「……」

 「え~……っと」

 「ふきゅふきゅ。きゃ~お~♪かーずーかーずー」

 「……あの、主公?もしかして、アレ…じゃなくて、あの方が……?」

 「……へう」

 

 小さく。俺のほぼ答えの分かりきっている問いに、苦笑いしながら頷いた月。そして俺は、再びその視線を正面に、宮中の中庭、そのほぼ中央の東屋(あずまや)でもって、白いポリエステル製の制服を着た青年、つまり、北郷一刀の膝の上で無邪気に笑っておられる、劉弁陛下と全く瓜二つの顔立ちと背格好をした少女へと移す。

 

 「……陳留王殿下、ですか……あー、なんと申しますか、随分とその」

 「……皆まで言わずとも良い、令明。……妹のあれは、脳の病の一種だそうでな。ごとべいどーだかの医者がそう言っておった。体は歳相応にこれからも育つそうだが、頭の方の成長速度は、常人の十分の一ほどしか進まぬ、そういう先天性のものだと、な」

 

 ま、要するに。劉弁陛下の一言で、宮中の中庭、そこで茶会をすることになった俺たちだったわけど、そこには既に先客が居られました。先にも言ったように、この外史では董卓軍に拾われて所属している天の御遣いこと北郷一刀と、その彼の膝の上で幼児の様にはしゃいでおられる皇妹殿下、陳留王こと劉協殿下でした。

 ちなみに、この時のそれぞれの表情はと言うと。

 月。顔は穏やかです。けど、目は笑ってません。

 詠。無表情。でも、明らかに不満げなオーラがひしひしと伝わってます。

 華雄。こちらは完全に我関せず、って感じで、少し離れた所に立っておられます。

 劉弁陛下。こちらも意外と我関せず、かな?優雅にお茶を飲んでます。まあちょっとだけ、時折一刀と妹さんの方をちらと見ては、溜息を小さく零してます。

 俺。すっごい居心地悪いです。お茶なんか全く味が分かりません。

 そして最後に、陛下のお付兼、侍女兼、護衛と紹介された、黒髪お下げのお姉さん、王淩さん。この人も原作に居なかった人ですよね?一体誰なのやら。なんか、こちらはこちらで、殿下たちのほうは一切見向きもせず、陛下のお世話を時折しながら、時々不思議そうに俺のことを見てます。目が合うと思いっきり逸らします。……なんなんだろう、一体。

 まあ、王淩さんのそれについては、後ほどとんでもない形で判明するので、それはまたその時にするとします。てか、知らずに居た方が良かったとです。ええ、ほんとに。

 

 「劉弁陛下が聡明な名君。劉協殿下は脳に病持ち、か。……歴史の真実って、こんなものなのかね?」

 「ん?令明、何か申したか?」

 「いえ、ただの独り言なので、どうかお気になさらず。それより陛下。お聞きしたい事がありますが、よろしいでしょうか?」

 「ちょっ!龐徳アンタ、いきなりそんな、不躾にもほどが!」

 「よい、文和。此処は公式の場ではない。朕は一向に気にせぬよ。で?朕に聞きたいこととは?」

 「内憂。王司徒殿はどうなされるのか、それを知りたく思いまして」

 『なっ……!』

 

 俺の言葉のすぐ一瞬後。俺と陛下以外の面々が、その顔に驚愕の顔を浮かべて、思わずといった感じの声を上げた。……なるほど、ただのあてずっぽだったんだけど、思いっきり的を射ていたってわけだ。

 

 「……令明。そなたはたしか、此処に来るまで旅の武芸者をしていたと、そう申して居ったな」

 「はい」

 「では、そんな一介の武芸者が、どうしてソレを知った?例えあてずっぽうだったとしても、何故、王司徒の名を出せた?」

 

 ……ありゃま。こりゃホントに優秀だわ。やっぱり、疎まれ切られるのは何時の世も、優秀すぎる王、なのかね?ま、確かに担ぐ御輿として相応しいのは、本来なら何も出来ない、無能の王の方だし。さて、これに答えるべき答えは、と。

 

 「……確かに、陛下の申されるとおり、先の指摘はただのあてずっぽうです。ですが、王司徒殿の名を出した、それにはちゃんと理由があります。それは」

 「それは?」

 「自分の一族を皇帝の傍に近づける。それは、野心か功名心、もしくは行き過ぎた、独りよがりの忠義、それらの内の何れかしかないからです。それは過去の、古今東西の帝国の歴史、それが全てを物語っております」

 

 まあぶっちゃけ本当の理由は、正史で董卓暗殺の黒幕だったのが、かの司徒、王允だったって言う、それだけのことだけど。

 けど、さっき王淩さんの紹介が陛下からされた時、彼女が王允の姪(正史では勿論甥)だって聞いたとき、ピンと来たのもまた事実。つか、怪しまない奴の方がおかしいだろ?

 

 「……ふむ。文和と同じ事をいうの。……確かにお主のその読みの通り、朕がもっとも苦慮する内憂は司徒よ」

 「陛下、宜しいのですか?」

 「構わん。どうせ此処には朕達しかおらぬ。……司徒が何を考えておるか、それは正直分からん。何ゆえ、朕と相国をそうも疎んじるのかもな」

 「袁紹がこの度出した檄文、あれにも司徒殿は絡んでおられるので?」

 「……聡いの。武将というより、政治家と、そう名乗るべきではないのか、お主は?」

 「いえいえ。本職と比べれば粗末な智慧ですよ。集団のり、首脳には向いてないことぐらい、分かっておりますし」

 

 所詮歯車人生一直線。それがリアルでの俺だし。この程度の浅知恵如きじゃ、政治家なんて勤まりゃしませんよ。

 

 「……話を元に戻しますが、袁紹は司徒殿が流した偽りの勅か何か、それに踊らされているだけ。陛下もそう見ておられで?」

 「うむ。まあだからといって、ことが済んだ後にはそれなりの罰は、与えねばならんだろうがな」

 「対応はもう全ての準備が整ってるわ。後は実際に動くだけ。アンタが連合を混乱させてくれたお陰で、氾水も落ちずに時間も十分稼げたしね」

 「……まあ、あれは単なる結果論に過ぎませんが」

 「それはどうでもいいのよ。全ては結果。そう、全ては」

 「……明日早朝、司徒を宮中に参内させる、そこでこの馬鹿げた騒動に、全てのケリをつけるのみ、よ」

 

 そう。全ては結果。

 全ては結果、なのだ。

 そこに至る行程がどれほど間違っていようが、逆にどれほど正しかろうが、最後に出た結果こそが、全てを物語るのだ。

 だから。

 

 「……」

 

 それは本当に、ほんの一瞬。

 

 「……?殿下?」

 「きゃお?きゃ~お~。うきゅりゅりゅ~♪」

 

 一刀の膝の上で、無邪気に、何も分かって居ない童ではしゃぐ劉協殿下が、鋭い視線を俺たちに送っていたその事に、そこに居た誰もが、ただの一人として気付けなかったことも、全ては、ただの結果に過ぎなかったのである……。

 

 ~転の幕に、つづく~

 

 

 

 おいらと嫁と娘’s、その出会いと家族となった、その切欠ss、承の幕、でした。

 

 既にお気付きかと思いますが、このお話はそれぞれ、『起』『承』『転』『結』の、四つに分けてお送りしております。

 

 つまり、四話で話を是が非でも収める為、各話がちょっとばかり長くなってます。

 

 『起』の幕で約一万文字。この『承』の幕で大体八千文字位です(後書き含む)。

 

 そして次回は、物語で言うところのクライマックス、『転』の幕と相成ります。

 

 華雄、輝里、命。

 

 以上三人のファンの皆さん、次話については、今の内に十分な覚悟をしておいてください。

 

 三人に起きる、回避不可能の、しかし、それが無ければ、彼女らがウチの家族とならなかった、その、哀しい末路。

 

 作者としても永久に封印したい記録ではありますが、これを気に、彼女ら、特に輝里と命のファンがもっと増え、応援してくれる。それを願っての、このお話の公開で御座います。

 

 それから、他の作品に関して、ですが。

 

 ぶっちゃけスランプなんです!w

 

 連載物のネタが全くといっていいほどでてこないんです!!

 

 というわけで、それもあっての、息抜きのこのお話投稿に踏み切った、そんな事情もあったりしますw

 

 そんなわけで、これの結末まで、もうちょっとだけお付き合いください。

 

 ではまた次回の講釈にて、お目にかかりましょう。

 

 再見~w  

 

 


 
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