No.487229

『舞い踊る季節の中で』 第128話

うたまるさん

『真・恋姫無双』明命√の二次創作のSSです。

 裏切り者と言われようとも、それが正しいのだと信じれたのならば、そこに悔いはない。
 問わせてもらおう。貴公達にその価値があるのかを。 

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2012-09-22 15:38:01 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:10120   閲覧ユーザー数:6580

真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』 -群雄割拠編-

   第百二十八話 ~ 杯に浮かびしは温かな陽射し、それとも柔らかな月光か。 見守りし美女二人はそっと微笑む ~

 

 

(はじめに)

 キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助

 かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

       :鋼線(特殊繊維製)と対刃手袋(ただし曹魏との防衛戦で予備の糸を僅かに残して破損)

   習得技術:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(本人は無自覚)

        気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)、食医、

        神の手のマッサージ(若い女性は危険です)、メイクアップアーティスト並みの化粧技術、

        

  (今後順次公開)

        

最近の悩み:

 明命も翡翠も実は独占欲が強いのではないのだろうか?

 思春の蓮華に対する反応は、何と言うか過保護の母親を思わせるし、

 以前に七乃が休憩がてらに美羽の木彫りを彫っているのを見た冥琳が、個人的に雪蓮の人形を彫るように依頼した事が在るのだが、その時に見せた冥琳の拘りようは、はっきり言って別人と言ってもいいくらいだった。

 ちなみに七乃の美羽への拘りようは、今更言うまでもないので放っておくとして、とにかくそんな彼女達を見て、二人もそうなのかもしれないと考えてみたのだが………、うーん、やっぱり気のせいだろうか?

 そう言えば、及川が俺の妹も独占欲が強いとか言っていたが……

 

『ふわぁぁ、日曜日だと言うのに暇だなぁ。 かずぴー何か面白い事ないか?』

『そうそうある訳ないだろ。と言うか眠い………落ちそうだ。 あっ、片手で『卑弥呼』フルコンできた』

『ぬなっ! …って、本当にフルコンしてるしっ。

 と言うか何で寝転びながら、しかも片手で出来るんだよっ!?』

『いや、何となく出来たとしか……』

『ええーい、かずぴー代われっ! 俺も負けてられんっ(むろん両手でだが)』

『そっか、じゃあ出来たら教えてくれ。……俺はそろそろ昼寝でもするわ』

 

バンッ

 

『ああ、やっぱりこんな所で腐ってるぅーーーっ』

『ふぁぁぁ~ぁ。何だお前か。

 言うだけ無駄かもしれんが、一応ここが男子寮だと言う自覚はあるか?

 それと一応ドアをノックしてくれ。逆の立場だったらお前怒るだろうが』

『妹が兄に会いに来るのに、そんな規則なんて関係あるわけないじゃない。

 それと男が許されない事でも、女は許される事があるだなんて、今更でしょ。

 だいたいせっかくの休日に男二人で部屋でTVゲームで潰すだなんて、勿体無いじゃない。

 兄想いの妹としては、お兄ちゃんには健全でいて欲しいわけ。間違ってもゲームオタクの引き籠りにはなって欲しくないわけよ』

『はぁ……、じゃあお前にはいい案が在ると?』

『ふふふっ~~んっ。あるに決まっているじゃない。

 可愛い妹の買い物に付き合うっ。せっかくいい天気なんだから、外に出なきゃ勿体無いじゃない。

 安心して、別にたかろうと言う訳じゃないから』

『当たり前だっ。そうそうたかられてたまるか。

 だいたいいい天気も何も、それだけ日焼け対策をしておいて、その台詞に意味はあるのか?』

『そんなの気分の問題よ。

 ほら愚だ愚だ言わないで行くわよっ』

『って、待て、俺は付き合うだなんて一言も言ってねぇ』

『あら、私もお兄ちゃんの意見を聞いてあげるだなんて一言も言ってないわよ』

『おいっ!』

『こんな可愛い妹と、休日を過ごせるんだから文句言わないの♪』

『待て、腕を引っ張るな。 と言うか人の話を聞けぇぇーーーっ!』

 

 と言うような事が度々あって、なんやかんやと妹に付き合わされている度に、及川からそんな事を言われていたのだが………、うん、やっぱり気のせいだな。相手は違えどあの頃とたいして変わらないや。

 

こんこん

 

「一刀さんちょと良いですか?」

「………えーと、明命その手に持っているのはもしかして……」

「はい、今日は私の番です」

「いや、その耳掃除って毎日やるものじゃないから」

「…あうぅ、……あの迷惑でしょうか?」

 

 このままでは耳の中が爛れると言うか。

 うぅ、……そんな顔をされて俺に逆らえるわけが…。

 ええい、俺も漢だ。可愛い彼女に耳掃除を求められて断れるものかっ!

 当たって砕けよ。 明命のスベスベな太腿が俺を待っているっ!

 

 

 

 

愛紗(関羽)視点:

 

「お帰りなさい。それとお疲れ様」

 

 戦の後始末を副官に任せて本陣へと戻った私達を、桃香様の笑顔と明るい声が出迎えてくれる。

 桃香様自身も、この戦で奔走したいために憔悴しているというのに、それを私達や配下の者達に微塵も見せまいと気丈に振る舞って隠そうとしても、長い付き合いの私の目を誤魔化せるわけなど無いのだが…。

 まぁ此処は気がつかなかった事に事にしておこう。そんな事よりも、今はぜひとも聞いておかなければいけない事がある。

 桃香様のやや後ろで静かに佇み。桃香様同様に、…いいや、桃香様とはまた違った微笑みでもって我等の凱旋を出迎えた人物。

 何時のまにか着替えたのか何時もの侍女の服では無く。本来の身分に相応しい服を着た月の事を。

 そして気になるのが、空高々に上がる紫電に染まる生地に鮮血のような糸による『董』の一文字。

 ただの牙門旗ではない。其処に施されている装飾や旗の大きさが示すものは……。

 

 『 王 』

 

 それが桃香様の『王』を示す牙門旗に寄り添うようにして立つ牙門旗の意味。

 我等の陣営で彼女を保護した時、彼女は我等に確かに言っていた。

 身分は捨てたと…。

 もう董卓である事は、ある方にお預けしたと…。

 二度とそれが戻る事はないだろうと…。

 己が故郷に居る者達を守るには、それしかないからだと…。

 それが一族を治める者として最期に出来る事だと…。

 己が罪を死ぬ事でではなく、生きて償って行かねばならないとも…。

 

 世捨て人

 

 それが月と詠だったはず。

 だがそんな事など関係などなく、我等は二人を受け入れた。

 そこに二人への罪悪感が無かったと言えば嘘になるが、それでも私や桃香様、そして他の皆も二人の事は本当の仲間だと信じて疑っていなかった。

 そしてそれは……今もだ。

 だからこそ聞かねばならない。

 桃香様の口からその真意を。

 私の予想通りなのか、それ以上なのか。

 なによりそれ程の覚悟がおありなのかを。

 

「桃香様、ただ今戻りました。……が、ぜひともその前に聞いて・」

「うぇええええーーん。桃香お姉ちゃーーん。恐かったのだ。恐かったのだ。

 鈴々、死ぬかと思ったのだーーーーーっ! ひくっ…、ひくっ…」

「えっ? ちょっと鈴々ちゃん? え?っえっ? いったい何が在ったの?」

「ううっう~っ。アレは鬼なのだ。 鈴々はぐちゃぐちゃに潰されて、肉まんにされて食べられるのかと思ったのだぁーー」

 

 鈴々には珍しい事だが、桃香様の顔を見て緊張の糸が切れたのだろう。

 先程の悪夢のような出来事から戻ってきた鈴々が、私の横を一気に走りぬけて桃香様の胸に飛びつく。

 

「ええーい。小童(こわっぱ)めっ。人聞きの悪い事を言うで無いっ」

「ぴゃっ! 違うのだ。 今のは違うのだ。 お姉ちゃんは若くて綺麗なのだ。 鈴々はそう思うのだ。 本当なのだ」

「ふん、まぁいい。ワシが若くない事ぐらいはワシが一番理解しておる。

 あのような場でなければ、あんな戯言など平然と流している」

「そ、そうなのか?」

 

 そんな鈴々に、鈴々が怯えていた元凶でもある厳顔が一喝する。

 事情はすでに星から簡単に聞いていたが、今回ばかりは鈴々が悪い。

 戦場の一騎打ち。その場での舌戦となれば、とにかく人の耳に伝わりやすく、英雄譚として人々の間で面白おかしく変えられ伝播されて行く。

 そんな中で、たとえ鈴々に悪気が無くとも、女性としてまだまだ現役であるであろう厳顔殿を御老体呼ばわりしては、怒られて当然の事。まったく我が義妹の事ながら頭が痛い。

 もっとも実際頭が痛いのは鈴々自身であろう。

 なにせ頭に巨大なタンコブが三つも出来ているのだからな。

 一番大きなのは当然の事ながら厳顔殿の。

 そしてもう二つが、私とその場に居合わせていた星のもの。

 星曰く。あの瞬間、厳顔殿は確かにあの呂布を上回っていたとの事。

 

『問答無用にアレに巻き込まれたのだ。これくらいの事は当然であろう。

 なんなら、私の口に合う様な高級メンマの付け届けを五年分でも構わなかったのだぞ』

 

 と言うのが星の言なのだが、あの星があそこまで言うのだ。よほど凄まじい戦いだったのだろう。

 本来であれば、私自身が鈴々にお説教と礼儀を教えるべく鈴々を捕まえておくべきなのだが、

 

「まったく、先程ワシを気推す様にして説得した人物と同じには見えぬな。

 やれやれ武術の腕やその胸にある民への想いはともかく、その辺りは見た目通りと言う事か」

 

 私の勝手な願いどおり厳顔殿を説得した事に免じてと言うのと、月達の件が在って此方に顔を出す事にしたのだが。なにより……。

 

「なるほど、貴殿が劉備玄徳公か。 血筋なのか劉璋様にどことなく似ておられる」

「はじめまして。貴女が厳顔さんですね」

「ふむ、貴殿が我等が主である劉璋様より王としての優れた器はあるかどうかなど、先程の戦や貴殿の配下を見れば十二分に伝わるというもの。

 我が州には首をはねられる将軍はいても降伏する将軍はいないと言うのがワシの考えじゃったのだが、それは民を見殺す事だと。 死ぬのなら民のために生き抜いて民側に立つべきだと、今更ながら其処の坊主に教えられたので、この益州に済む民のために貴殿に降る事に否は無い」

「鈴々は坊主じゃないのだ。 れっきとした女なのだ」

「これっ鈴々」

 

 王である桃香様と、王としての器を見極めるべく来た厳顔の会話に口を挟んだ鈴々を黙らせるべき叱責の声を出すのだが、厳顔の無言の視線にそれ以上口を出す事を止める。

 

「分かったか、今のと同じ事以上の事をお主はワシに対してやったのじゃ」

「うぅ、でもでも…鈴々は坊主じゃ…」

「ああ、悪かったな。ワシとておぬしを本当に坊主と思っている訳では無い。

 だが、お主の言動を叱っていると言う事は分かってくれ」

「ん。分かったのだ。 鈴々もお姉ちゃんの事をもうおば・」

「ああっ!?」

「違うのだ違うのだ。 鈴々は少しもそんなことを考えていないのだ」

 

 鈴々はまた自分が失言しかけていた事に気がつき、慌てて否定しながら桃香様にしがみ付く。

 そんな鈴々を桃香様は何とか鈴々を宥めて私の方へとやらせるのだが、まだ先ほどの余韻が残っているのか、鈴々はまるで小さな子共のように、私の服の裾をそっとその小さな手で掴んでくる。

 そんな鈴々を突き放すような真似などできる訳も無く。私は桃香様達の邪魔にならないのならばとやらせたいようにさせておく事にした。

 ……はぁ、なんやかんやと私も鈴々には甘いと言う事か。

 

「素直な子だ。真っ直ぐで自分なりの正義をしっかりと持ち。それに対しては揺らがない。

 きちんとした大人が見てやれば、さぞ良い将へと育つであろう」

「へへへっ、鈴々ちゃんは自慢の義妹だもん」

 

 鈴々を誉められた事に満面の笑みを浮かべるものの、決して視線を外す事無く厳顔殿に対して優しい微笑みを見せ続ける桃香様の姿に厳顔は、

 

「……なるほど」

 

 確かにそう小さく呟き、鋭く硬い瞳でもって桃香様を射抜く。

 それは、本題の前の戯言染みた腹の探り合いは終わりだと言う証。

 そして桃香様が厳顔殿にとって本当に仕えるき主かどうかを見極めるべく舞台へと移る合図。

 弓使いである厳顔殿流に言うならば、蟇目鏑矢を空高くへと射ちだしたのだろう。

 幾つもの小さな穴を空けた矢が風を吸い込み、高い音を奏でるかのように、その場は一気に緊迫した場へと変容を遂げた。

 これは審問の場。

 王が臣下へでは無く。

 臣下が己と己が率いる一族全ての命を、預けるに値するかどうかを…。

 先程彼女自身が言ったように、己が信じる矜持や誇りを曲げてでも使える価値のある君主なのかを…。

 桃香様自身の王としての器を見極める場なのだ。

 本来であれば不敬この上ない行為。されどこの時だけは許され行為なのだ。

 何故なら、それはまた桃香様にとっても同じなのだから。

 大事な民を、この己が国の命運を担わすに信頼たる人物なのかを。

 どちらにとっても、神聖であり真剣勝負の場なのだ。

 

「問おう。

 二つの王を示すべく牙門旗の立て方に、まさかと思ってはおったが。

 二柱など国を分裂させるだけだとは考えぬのか?」

 

 ゆっくりと、重く深く紡ぎだされる厳顔殿の問いかけは、この場にあって当然の事。

 二つの王が在れば、其処には自然と派閥が生まれ対立が発生する。

 ただでさえ国と言う形は内輪争いの危険性を内包しているのに、二柱など他国からして見れば工作してくれと言っている様なもの。

 もしそれでも成すと言うのならば、それは片方が傀儡とするか。

 もしくは……。

 

「うん。でもそれ以上に多くの事が出来るようになる。

 私一人ではできない事が二人いれば、もっと沢山の事が出来ると思うの。

 それに、もともと私一人では何もできないもん。 今私がこうして此処に居れるのは、みんなが私に、ううん、私の夢に力を貸してくれているからです。

 此処に居る皆がいれば…、此処だけじゃない沢山の多くの人が力を合わせれば、夢を現実に出来る。 少なくても私はそう信じています」

 

 徐州を追われる事となってから、きっと桃香様はずっと考えられていたのだろう。

 己が力の足りなさを…。 それを補う手段を…。

 そして益州の時以上に民を幸せにする方法を…。

 きっと、朝も昼も、夜も考え続けていたのだろう。

 むろん、王を降りるなんて考えは論外。

 王と言うものは王になる事を選んだ瞬間、個と言うものは許されなくなってしまう。

 考えも、判断も、国としてのソレになってしまうのだから。

 故に王以外の道を勝手に降りる等と言う考えは許されないし、桃香様自身、そして民が望んでいる限り、その選択肢を同じ卓上に上げる事はない。

 何故ならそれは、民の想いを裏切る事以外の何者でもないから。

 

「理想を語るのは容易い。誰にでもできる。それこそ幼子であろうともな。

 むろん劉備殿がそうでない事は周りの者達を見れば明らか。

 ワシが問うたのは『魔王』とまで囁かれる者を、王の一人としてその身の内に抱き込む事の危険性を理解し、それすらも呑み込む覚悟があるのかをだ」

 

 そう、余りにも危険すぎる選択。

 下手をすれば桃香様まで、魔王と噂され。民心が離れるだけでは無く。逆に民から責め立てられかねない口実を与えてしまう。そうなればもう国を興すどころの話ではなくなってしまう。

 だが、桃香様が民が笑顔でいられる国を作るためにそれが必要だと感じたのなら、桃香様にとってそれは十分に選択範囲なのだ。

 なにより月ならば、危険性を考えてみても、その価値が在るのだと判断されたのだろう。

 それが桃香様なりの覚悟なのだと、今の言葉で付き合いの長い私には理解できた。

 だとすれば問題なのは、もう一人の王の覚悟。

 

「厳顔さんと申しましたね。

 劉備はもうその問い掛けには答えました。

 『夢を現実に出来る』と。『信じていると』ね。

 王が王を真に信じるのに、それ以上の言葉と覚悟など必要なのでしょうか?

 必要なのは言葉と、その言葉に信用に足る行動ではないでしょうか。

 金と権力さえあれば手にはいる物になど、何の意味もありません。

 その金や権力とて王たる身には何ら意味なき事。

 王が王を信じると言うのは、王と言う魂そのものに投げ掛けるもの。

 いいえ。本来、人と人が真に避わす約束と言うものはそう言うもの。 違いますか?」

 

 そこへ、夜に奏でられる鈴のような静かな声が、されど凛とした涼しげで、どこか温かみのある声が、ゆっくりと相手の心に沁み込むように響き渡る。

 ゆっくりと桃香様の横に歩みよった彼女の姿は、温かな桃色の髪を持つ桃香様を昼の日差しとするならば、青みの掛かった銀糸を持つ彼女の雰囲気はまさに夜空に浮かぶ月。

 

「いや、違わぬな。 そして貴殿が董卓殿か?」

「名乗りが遅れた非礼をまずお詫びいたします。

 そして仰る通り私が董卓です。何ならば先程のように魔王と呼ばれても構いません」

「ふん、似ても似つかぬ二つ名だ。

 こちらこそ、貴殿を知らずに魔王呼ばわりした事は詫びようといいたいが、……その二つ名を呑む覚悟をしている者にそれは逆に非礼と言うもの。

 ならば代わりにもう一つ問わせていただこう。二人の王よ」

 

 静かに、ゆったりと佇む月の立ち姿は同性の私から見ても儚げで可憐に映ると同時に、目を離す事の出来ない強い存在感を持っていた。

 それは何時か徐州で一度だけ私に対して見せた猛将董卓の姿では無い。

 おそらくこれが本来ある彼女の『王』として姿。

 民を導き、民を守り、民のためならば毒すら喜んでその身の内に入れて見せる。

 そして袁紹が己が野望のために、広めて見せた偽りの二つ名すらも呑み込んだのが、今の月なのだろう。

 おそらくは桃香様の隣に立つ王となるために。

 

「貴殿らはこの国に住まう民を怯えさせ。

 血と泥に塗れ、万を越える屍の上に何を築く」

 

 厳顔殿が問うたのは理想を語るのは良い。

 だがその理想を叶えるために、多くの犠牲を払う覚悟が本当にあるのか。

 それを知って尚どんな理想を目指すのか。

 仕えていた国と民を裏切る価値があるのか。

 彼女の庇護する民全員の運命を託すに足りるかを、今、此処で自分達に見せろと言う事。

 

「私は、私の目指す国。それは笑顔で溢れる国。

 生きるのに精いっぱいであろうとも、未来を信じて、此れから生まれる子供たちの世界を信じて、笑顔を浮かべられる国。

 もちろん民全員が笑顔だなんて無理だって分かっている。

 我儘かもしれないけど、私はそれでも笑顔を浮かばしてみせます。

 もう、泣いてばかりいる姿を見たくないから。

 生きている事に疲れ果てて…、生きている事が辛くて…、涙すら枯らして、表情を無くす人達を見たくないから。

 だから私は皆を笑顔にさせて見せます。

 それが私の夢のために犠牲にしてきた人達の魂に、応える事でもあるから。

 なにより今を、これからを生きて行く人達に必要な事だと信じているからです」

 

 桃香様が真っ直ぐな瞳で語ったのは、出会った頃より何ら変わっていない。

 今迄多くの困難に出会い。沢山の挫折に直面し、さらに国を追われると言う事すら何度も経験したと言うのに、桃香様の語る夢は少しもぶれる事無く、むしろ輝きを増している。

 民の涙の数だけ…。

 民の流した血の量が…。

 桃香様の考える夢を、強くしたのだろう。

 民が其れを望み。民の願いが桃香様の見の内に溢れているのだ。

 桃香様が何時かおっしゃっていた。

 王が国を作るのではないと。

 民の想いが、王を通して国を作るのだと。

 だから王は民の事を片時も忘れてはいけないのだと。

 王と言うのは、民の想いそのものなのだから、……と。

 

「民が安心して夜を過ごせる国を。

 盗賊に怯える事も、明日に怯える事も無く静かに夜を過ごせる国。

 明日を、そのまた明日を、そのまた明日を夢見て、床に就く事の出来る国を私は目指します。

 既に私のこの手は血にまみれ、名も穢されています。綺麗ごとを言う資格は私に無いかもしれません。

 例えそうだとしても、これから先、魂が穢される事になろうとも、私は私の目指す国を作って見せます。

 それが多くの魂を犠牲にし、此れから犠牲にする魂への私なりの贖罪であり、私の夢だからです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桔梗(厳顔)視点:

 

こくこく

 

 いつか晩のように、月が薄っすらと雲に見え隠れするのを街を囲う城壁の上で見上げながら、強めの酒が喉を軽く焼く様な錯覚を受けつつも、多くの感情と共にソレを嚥下する。

 ……後悔。

 ……憂鬱。

 ……怒りと悲しみ。

 そして希望……。

 そんな当たり前の言葉では、出しきれぬもの。

 だが、それでも人は言葉にしきれぬ想いと不安を、共にして生きて行かねばならない。

 以前ならば、所詮はこの世は夢幻の如く。と己を誤魔化し酒に逃げておったそれを、ワシは呑み込んでみせる。

 城壁の外では、桃香様達の兵が思い思い陣を張っており。きっそその中では、兵士達が今日の疲れを癒しながら生き延びた事に安堵し、死んだ友の事に涙しているであろう。

 そして城壁の内では、我等の民が侵略の被害に遭わずに安堵し、今日も(・・・)明日への不安に怯えながら床に付こうとしている。

 

「そうか、張松めは猛虎の尾を自ら踏んだのか」

「酷い事を言うのね。こんな美人を捕まえて猛虎だなんて」

「ふん、ならば龍の逆鱗とでも言いかえるさ」

「あら、何処に違いが在るのかしら」

「ふむ、この場合何処に差があるのかのぉ。生憎と学が無いので答えようがない。 ふっ」

「もう酷いわねぇ。……でも、原因の一つである事は確かかしら」

「恐い恐い。いや、母や強しと言うべきじゃな」

「ふふ、貴女も子を持てば分かるようになるわ」

 

 相手の杯に酒を注ぎながら、紫苑の話の感想を述べる。

 張松に法正はますます身の程を弁えずにおり。おそらく孟達もさして差はないであろう。

 そう言えるだけの事を三人はしてきたし、中央の腐敗はそれだけではない。

 なにより民心がこれだけ離れていると言う事はそう言う事。

 もう、この国は死を待つだけの巨龍でしかない。

 癒してやる事すら敵わぬところまで来ていたのだろう。

 その事に気がつかずに、ワシ達は今日まで必死に駆けずり回って来た。

 ……悲しいがそれが事実なのだろう。

 そして、そんな事だからこそ戦に敗れた。

 

「で、貴女はどうして降ったのかしら?

 まさか本当に説得されただけ、と言う訳では無いでしょ」

 

 月光を浴びながら前へ流れ落ちる長い紫の髪を、艶のある仕草で自然と手櫛で後ろへと流しながす姿は、男なら一発で落とされそうなほど艶やかで、それでいながら品の溢れる姿なのだが、生憎と隣にいるのはワシだけ。彼女の愛娘である璃々は用意させた部屋で既に就寝しておる。

 ふふっ、流石付き合いが長いだけの事はある。

 

「お主が劉璋様の助命を既にしているとは知らなかったから…とかはどうじゃ?」

「そうねぇ。国が亡びるのならば、王である劉璋様にも潔い最期を、と考えそうな貴女の言葉としては弱いわね」

「酷い言われようじゃ。ワシとて劉璋様に生きて欲しいとは思う。

 ……じゃがただ生きているだけ(・・・・・・・)で生き恥を晒し、苦しむだけの生が待つならばそう考えるだけの事」

 

「桃香様達なら、そんな心配はないと?」

「能力だけならともかく、まだまだ甘ちゃんだからのぉ」

「ふ~~ん『まだまだ甘ちゃん』ね。なるほど。桔梗らしいわ」

「分かったような口をきくのは、お主の悪い所じゃ」

 

 紫苑の暖かく、それでいてどこか冷たい視線から目を逸らし、再び月へと目を向けて酒を流し込む。

 此度の戦いで多くの仲間が死んだ。

 目をかけ、直接鍛えてやった奴らも多く死んだ。

 だからこそワシは酒を飲む。

 彼等の魂と想いを呑み込むために…。

 彼等が居たからこそ今が在るのだと、この魂に刻むために…。

 そして今日魂を散らしたものの中に大切な者も居た。

 ワシの半身と言ってもいいだろう。

 

「……ふぅ…、注いでくれ」

 

 粗野とも取れる言葉と態度に、紫苑は瞳の中から将としての冷たい灯を消し去り、悲しげでありながらも慈愛溢れる瞳で、黙って酒を注いでくれる。

 むろん自分の杯にも注ぐ事を忘れはしない。

 なんやかんやとワシと同じ勢いで酒を嗜む姿は、普段の貞淑で優しい母親をしている紫苑からは想像もつかないだろうが、どちらも紫苑の本当の姿。

 酒に関してはワシと同等かそれ以上の蟒蛇であろうともな。

 

「もしかして失礼なこと考えてない?」

「いや、母親と言うものは凄いと考えておった所じゃ」

 

 鋭い紫苑の言葉に、ワシは半分だけ本当の事を言う。

 だが……、そうじゃな。

 

「鈴々の言葉に言葉を動かされたのは本当の事。

 民の事を思えば、将として礎になるよりも、民を護り導く者の一人として生きるべきだと言うのは、若い奴らだからこそ言える言葉なのだろうな」

「自分が歳を取ったとでも感じた?」

「ふん、ワシもお主も若いとは言えぬであろう」

「そう? 私はまだまだ若いつもりよ。 この間もそう感じられたし」

「っ!…けほっ! こほっ……はぁ……」

 

 紫苑の言葉に驚き思わず喉に酒を詰まらせる。

 子を成し、子を育てると言うのは、子に若さを注いでいると言う事。だと言うのにも拘らず今の言葉を紫苑の表情はまるで十年前の姿を幻視したかのようだ。

 もっとも、それは錯覚でしかないのだが、そう感じられるほど紫苑に若さと艶を感じた。

 

「ふふっ、冗談よ。 ただ、ちょっといいなぁと思っただけ」

「………それでも十分驚きじゃわい」

 

 まったく、相変わらず人が悪い所がある。

 よくワシの事を大人げないだの言うが、紫苑の方がよっぽど大人げない所がある。

 まぁ、璃々の母親をしてからは、めっきり見る事は少なくなったが、確かに昔はそんな事ばかりしておったの。

 ……あの小娘達と同じようにな。

 

「……あの小童共には、ワシ等の様な年寄りが必要だと感じただけの事。

 将として死すより、生きてあの小童共の作り出す国を見たいとも思った。

 だがあの小童共は若すぎる。能力だけを見れば確かにこの大陸屈指であろう。

 あれでは、ついて行く民が苦労をするのが目に見えている」

「護ってあげたいと思ったのね」

「阿呆っ、そんな訳があるか。

 ワシはぶん殴ってやりたいと思たっただけじゃ。

 奴らが間違いを犯した時。

 誤った方向へと歩もうとした時。

 己の背と肩に背負ったモノの存在を忘れかけた時。

 遠慮など欠片もせずにぶん殴ってやろうと思っただけの事」

 

 ああ、これは間違いない。

 例え剣を弓を預けた主であろうとも、その時はこの拳を振るうべきだと決めた。

 劉璋様に出来無かった分、遠慮なしに己ごとぶつかってやろうとな……。

 

「そうね。それが年長者の務めでしょうね。

 これからを担う者達を守り、導いてやる事。

 それが桃香様達の下で私達の仕事となるでしょうね」

「紫苑よ。人の話を勝手に変えるでない。 ワシは一言もそんな事を言った覚えはないぞ」

「で、本当に月様に弓を預けてよかったの? 焔耶ちゃんはあんなに桃香様に付きたがっていたのに」

「しかも人の話を聞きもしないときている」

「ふふっ、貴女が認めようとしないだけでしょ」

 

 まったくと思いつつ、何処か温かなものが湧き上がるのを感じながら、また一口酒を流し込む。

 辛く感じた酒が何処か甘く感じたた事に、己を呆れかえりながらも其れも悪くないと更に酒を一口呑み込む。 ……親友の優しい想いと厳しさと共に。

 それにしても焔耶にも困った者じゃ。

 まさか桃香様に出会うなり、

 

『私は桔梗様について行くと決めた以上。どこまでもついて行きます。

 貴方様が私の新しい主ですね。 私は魏延。どうか焔耶と御呼びください』

『一つ言っておくが焔耶よ。桃香様も確かに主には違いないが、ワシ等が当主として仕えるのは此方の月様の方だ』

『ぬなぁっ!?』

 

 あれは一目惚れなのだろうが、まさかその毛が在ったとはワシも今日の今日まで知らなんだ。

 まぁ女尊男卑の世の中では多々ある事だが、……正直、あの姿には『何処で育て方を間違えたのだろうか?』と頭痛さえ覚える。

 戦乱で焼き払われた街で、ワシの服の裾を怯えながらも掴んで助けを求めていた幼き頃の焔耶が脳裏に浮かぶ。

 その後気まぐれで育てる事にした焔耶だが、誰に似たのか考えなしの乱暴者に育ってしまったが、それでもワシに飾り布で髪を結わえられ、脚の届かない椅子で脚をぶらぶらさせながらも嬉しそうな笑みを満面に浮かべていたあの頃の純粋無垢で可愛い焔耶があった事をワシは知っている。

 ……これが歳をとると言う事なのだろうが。

 

「お主が桃香様達側を、ワシが月様達側を、理に適っているではないか。

 それに劉の性を持つ者意外に仕えるのを良しとしない西涼の民たる翠と馬岱が其方に付いた以上、月様側に付く者は必要。 流石に仕えている将がアレだけでは不安でしょうがない」

「そうね。でも大変よ。焔耶ちゃんもそうだけど、華雄ちゃんは思い込んだら突っ走る気性のようだし」

「…まぁな。だが、それを強みに変えてこそ年の功と言うもの。 そう言う意味ではお主の方も大差はあるまい。むしろ数が多いだけ大変のようだがな」

「そうでもないわよ。みんな良い娘達ばかりですもの。

 ちょっとだけ素直じゃないだけの事よ」

 

 そう微笑んでみせる紫苑の表情は、母親の物であり、年長者の物であり、そして将の物であった。

 ふっ、おそらくワシも似たような貌をしているのだろう。

 その証拠に紫苑は親友の顔になり酒を注いでくれる。

 ワシもそんな紫苑に酒を注ぎ返す。

 これからも親友でいられる事に…。

 今度こそ同じ夢を共に生きるのだと…。

 共にあの娘達を見守って行こうと…。

 言葉で無く、視線で語るのでもなく、酒で語り合う。

 

「「ふぅ………」」

 

 静かに息を吐く。

 想いを胸にのみ込んだ後は、ただ受け入れるのみ。

 だが、まだまだ話すべき事は沢山ある。

 例えば……。

 

「して紫苑はあの男をどう見ている」

「それは天の御遣い様の事?」

「誰が今更、張松達の事など交わす躱す必要がある。

 こうなった今となっては、多くの目と耳を断ってくれた事には感謝はするが、其処に思惑が在るのは当然」

 

 昼間にほんの僅かな時間だけ邂逅した青年は、どう見ても何ら変哲もない青年に見えたが、ただの青年を呉が『天の御遣い』等に仕立て上げるわけがない。

 しかも、その横に立つ娘は巧く隠してはいるが、おそらく闇の武術に長けた者。

 これで呑気に構えていられる方がおかしい。

 

「そうね。警戒はすべきでしょうけど、今は放っておいても構わないでしょね」

「ほう」

「孫呉が求めているのは今の私達では無く、益州を無事治めた桃香様達。

 警戒すべきは其れからであって、今は観察するに留めるべきでしょうね。

 少なくとも孫呉の王は、建国に力を貸したぐらいで、他国を意のままに出来ると考えるような愚かな王ではないようだし、むしろ今は孫呉に借りを作る事を嫌がる者達から、彼等を守るべき事なのかもしれないわね」

「なるほど、確かにあり得る話だな。

 貸しと言うものは相手が借りと思わなければ成り立たぬし、借りの大きさも、その意味も理解できぬ者もいよう」

 

 紫苑の言っている事は当然あり得る事。

 そんな事をすれば同盟破棄と言う事態に繋がり、それが何を齎すかを禄に考えずに目先の事に囚われる者が多すぎる。

 

「……ふぅ、一応ワシの所の者達にも言って聞かせて置いた方が良いだろうな」

「賢明な判断ね」

「して、ワシの質問の答えはどうなっておる?」

「ふふっ、流石に誤魔化されてはくれないわね」

「当たり前じゃ。して、どう見る?」

「そうねぇ。 彼をなんて言ったら良いのかしら」

「ほう、紫苑にそうまで言わせるほどか」

 

 ワシの感嘆の声に、紫苑は首を静かに横に振って『違うわ』と否定する。

 そして彼と出会っときの事を、そして再開してからの時の事を掻い摘んで聞かせてくれる。

 なにより気を引いたのが、紫苑は初めて会った時、あの者を桃香様ではないかとを勘繰った事。

 僅かな出会いでしかなかったのにそう思わせる。

 それだけのモノを、あの者から感じたのだと。

 つまりそれは………『王』をあの者から感じたのだと言う事。

 

「なるほど『天の御遣い』か。

 桃香様と月様が、二柱などと途方もない事を受け入れたのは、御二人があの者に自分達と同じモノを感じたから……か」

 

 呉が『王』と『天の御遣い』の二柱を建てるのならば、自分達もやって見せると。

 生半可な覚悟ではできないと知っていながら、それを選ぶ事を決めた。

 ……それだけの事を御二人は経験してきたのだろう。

 あの若さでもってそれを得るには、あまりにも辛い事であっただろうことは容易く想像がつく。

 多くの泥を啜って来たのであろう……。

 多くの血を浴びてきたのであろう……。

 生きし者達、死しし者達の怨嗟の声を、その魂で聞いて来たのであろう……。

 そうでなければ、あのような瞳をあの歳で出来る訳がない。

 民の幸せを想う気持ちは同じ。されど劉璋様とはあまりにも違い過ぎる人生を歩んできたのだろうな。

 これが差を生んだと言うのならば、なんと悲しい事であろう。……そして哀れでもあるがな。

 

「呉は『天の御遣い』を理由に、民に多くの物を納得させるのでしょうね」

「そして月様はその役割を引き受けるつもりなのだろうな」

 

 共に並大抵の覚悟ではできない事。

 そして、心から信頼し合わなければ成り立たない危険な事。

 ………なるほど、それほどの者ならば、今の内にと思う者も出てくるであろうな。

 

「私に言えるのはそれだけ。

 だから後は貴女自身の目と耳で判断する事をお勧めするわ」

 

 確かにな、機会が在るのならば、それが一番確実というもの。

 ………ふむ。しかし随分と楽しげにあの者の事を話す紫苑に、疑問を感じもする。

 

「そう言えばお主、先程『いいな』と思った者がおったとか零しておったが、まさか」

「ふふふっ、そんな事を言ったかしら?

 でも、もし彼が桃香様だったのならば、それはそれで面白い未来が在ったかもしれないはね。

 もっとも所詮はもしもの話よ。 今は増えた璃々の御義姉ちゃん達の面倒を見るので精いっぱいになりそうだもの」

 

 そう可笑しそうに微笑んでみせる紫苑の表情は、確かに艶は在るものの、女ではなく母親のモノ。

 ………何より、民を導きしものたる者の顔。

 ふっ、愚問だったな。

 

「さぁ、もう少しだけ呑みましょう」

「ああ」

「今夜は貴女の……、この国のために生き、半生を駆けてきた劉璋様の将であった貴女を送る晩でもあるの」

「……ああ、劉璋様の将であったワシは、……今日死んだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

あとがき みたいなもの

 

 

 こんにちは、うたまるです。

 第百二十八話 ~ 杯に浮かびしは温かな陽射し、それとも柔らかな月光か。 見守りし美女二人はそっと微笑む ~ を此処にお送りしました。

 

 うっとおしいほど長いサブタイトルはさておき、蜀のお母さんと成るべく二人の美女の語らいをテーマにしたお話は如何でしたでしょうか?

 二人のお姉様達には、此れからさぞ気苦労が待っているでしょうが、そこで得るものは苦労では無く。喜びになりだろうことは、恋姫をよく知っている皆さまなら想像容易い事だと思います。

 とりあえず鈴々、良かったですねぇ。 桔梗お姉様が厳しいだけでは無く。本当の意味での優しさを持った人で。きっとこれからも叱られゲンゴツが落ちる事もしばしばでしょうが、鈴々なら厳顔の優しさを理解できるはずですよ。

 

 しかし月陣勢……、意地っ張りでツンデレな詠はともかくとして。

 『我が道はこの手で切り開く』をモットーにひたすら突っ込む事しか出来ない華雄。

 気がつけば月陣勢と言う事に傷心しながらも『桃香様の悪口を言う輩はこの手でぶっ潰す』と盲愛モードの焔耶。

 ………桔梗お姉様。大丈夫かな(汗

 月も気苦労が絶えないでしょうね(哀

 

 それにしても前話では蒲公英も白蓮もかなり活躍したのに、視点ですらない鈴々のたった一言に喰われてしまった模様。 やはりそこは何やっても目立てないと言う準ヒロインの運命なのかな……。

 

 

 

 では、頑張って書きますので、どうか最期までお付き合いの程、お願いいたします。


 
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