亜美との二人きりになり少し気まずいなと奈々子が思っていると
「ほんと、ごめんね」
と、亜美がいきなり頭を下げる。
奈々子がそんな亜美に戸惑っていると、亜美は頭を上げてこう続けた。
「私も、おんなじだった。櫛枝さんと同じ。
たいがーを見ながら、高須君を好きになって、
あぁこの二人はなんてお似合いなんだろうって思ってた」
「自分が引けば全部うまくいくし、諦めるなんていうほど好きだったのかも分かってなかったの。
でも奈々子も好きなんだって聞いて、私は諦めたのにって勝手にいらいらして」
奈々子は亜美の独白をただ黙って聞くしか出来なかった。
「その時気づいたんだ。私、高須君のこと大好きだったんだなって。
やくざみたいな顔して、ほとんどの生徒に怖がられて
でも本当は、掃除大好き、料理大好き、お世話大好きのまるで主夫みたいな高須竜児が大好きだったんだって」
亜美も自分と同じ竜児を見ていた。
亜美の話す竜児の笑顔は自分にも分かる。
だから同じ人を好きになった。だから、同じ人を好きになってしまった。
「それでね、自分でもどうしたらいいのかわからなくって、本当ごめんね。
旅行の帰りからすごいいやな奴だったでしょ、私」
「そんなっ、私こそ……私こそいやな奴よ。亜美ちゃんが高須君のこと見てるのなんとなく分かってた。分かってて、亜美ちゃんに相談したの。本当にいやな奴よ私って」
そうして奈々子の目からは自然と涙がこぼれた。
「泣かないでよ。さっきのとか見てて奈々子も本気なんだって分かったし
結局は何もしないで諦めた自分が悪いんだもん。」
「ほら転校したての頃奈々子言ってくれたじゃない?今度は私の番」
「これからもずっと親友でいてね、奈々子」
それから奈々子と亜美は
昼休みが終わりかけても戻ってこない二人を探しに麻耶がやってくるまで
ずっとその場で談笑を交わしていた。
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26です。
この回、だいぶいじったというか完全に付け加えたのですがどうでしょう。
いかんせん元を書いたのがだいぶ前なので難しいですね。
アドバイスまってます。
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