ある世界で……。
(俺……なんで……)
道端で一人の青年が血を流して倒れていた。
(ここで……死んじまうのかな……)
意識が薄れてしまい、考える力も無くしていく。
(なんで……なんでだよ……)
青年の目の瞳の輝きが消えていく。
(もし……ここで死ぬなら…………生まれ変わりたい……………)
そして青年、北郷一刀は死んだ。
同じころ、ある世界で……。
「劉焉さま!」
「生まれたか!」
「はい!」
劉焉は生まれてきた子供のことを聞いて急いで産所に行く。
そこには妻と生まれたばかりの子供がいた。
「生まれたか」
「はい、男の子です」
「そうか」
「あなた、この子の名前は?」
「もう決まっておる。璋(しょう)だ。そして真名(まな)は……一刀(かずと)だ」
ここに一刀と言う真名を名付けられた男の子、劉璋が誕生したのだった…。
真・恋姫†無双 転生一刀劉璋録
第1話 一刀と仲間達
一刀が生まれて幾ばくの時が流れた。
「………」
一人の女性が城の廊下を早歩きしていた。
その女性の風貌は黒短髪、服装は巫女服のようなタイプのものを着ていた。
女性がある部屋の扉を勢いよく開ける。
「一刀!」
「?」
真名の一刀と呼ばれた劉璋。
そこにはもう一人、別の女性がいた。
その女性の風貌はロングな薄い紫髪、服装は胸元とおへそが見えるタイプ、服の色は黒と白のあわせのものだった。
「美咲、いたの?」
「いたのって言うのは失礼じゃない? 千歳」
千歳と呼ばれた女性と美咲と呼ばれた女性。
まず千歳と呼ばれた女性、千歳と言うのは真名であり、姓名は黄権。
次に美咲と呼ばれた女性、彼女の美咲も真名であり、姓名は法正である。
「それより一刀に何の用なの? 千歳」
「そうだったわ、一刀、私と鍛錬の約束を忘れたの?」
「え、もうそんな時間?」
「そんな時間……じゃないわよ! こんなところで油を売って……」
「ちょっと待ちなさい!」
頭に来たのか美咲は立ち上がる。
「こんなところで油を売るって何よ? 私との勉学が悪いって言うの?」
「そうはいってないわよ! あんたの実力は認めてるわよ。私でも思いつかないことを思いつくくらいの天才よ!
けど、それとこれとは別よ! 一刀は私と約束してたんだから!」
「確かに私との勉学は約束してたわけじゃなかったけど、一刀は時間ギリギリまでやろうと言ってくれたの!
だからもう少し待ちなさいよ!」
「もう待てないわよ! 一刀!」
「こうなったら……」
美咲は鉄扇を取り出す。
「やるのかしら?」
千歳は二本の戟を取り出す。
「二人とも……落ち着いて……」
「「落ち着いてられ……」」
「お前達、やめないか!」
そこにまた別の女性がやって来た。
その女性の風貌は金髪のセミロングを後ろで結んでいて、西洋騎士のような鎧をしていた。
「「綾!!」」
千歳と美咲の声が合わさる。綾と呼ばれた女性の姓名は張任。
「お前達の大声が城中に響きわたってるぞ」
「あ……」
「ごめんなさい…」
二人は武器をしまって謝った。
「まったく、お前達は……それにいくら幼馴染とはいえ、自分達が仕える主の一刀様を呼び捨てとは……」
「構わないよ、綾、お前も俺の幼馴染、呼び捨てでいい」
「しかし、一刀様……、あなたはこの蜀の次期王、今までのように接することなど……」
「出来ない?」
「当然です」
「綾、少しいいか?」
「はい?」
一刀は綾に座らせる。
「確かに俺はこれから王となる人間としては全然だめだろう。
けどさ、そうやって様付けとかの形式がそんなに大事だと思う?
確かにある程度は大事だとは思うよ。けど、俺達四人は幼馴染だ。幼馴染に王とか家臣とかは本当はいらないと俺は思うんだ」
「ですが……」
「まあ確かにこれを公の場でやるのはよくないだろうな。だから公の場での様付けは仕方ない。
けど今はまだ私の場だ。呼び捨てとか、砕けて接してくれ」
「あなたがそう言うのでしたら、そうします。
では……、一刀、あなたは一体何をして、この二人を怒らせたのですか?」
「それは……」
一刀はひとまず事情を綾に説明した。
「なるほど、分かりました」
「一刀が悪いでしょ? 綾」
「いえ、一刀に悪いところはありません。あなたがせかし過ぎなだけです、千歳」
「そんな……」
「ですが、千歳がせかす性分なのは一刀も知ってるはずですよね?」
「それは確かに……」
「まあここまで来た以上、仕方ない。これから鍛錬に行きますよ、一刀、千歳、それから美咲も来なさい」
綾に連れられる形で中庭に連れ出された一刀達。
「それで早速やるのかしら?」
「当然」
綾は剣を取り出す。
「おいおい、綾、本気かよ」
「本気です」
綾の目は本気で斬りかかろうとする目だった。
「俺の武器はまだ完成してないって……」
「それなら先ほど出来たと報告がありました」
「本当か?」
「はい、これです」
綾がどこからか全く違う武器を取り出し、一刀に投げ渡す。
「おっと……」
一刀はそれを受け取る。
「うん、きちんと鞘もある」
そして鞘から取り出されたのは刀であった。
「よくできるわね」
「今までの剣と比べると全然違う……、綺麗……」
「職人も苦労したそうですよ、剣と似てるようで似ていないその武器を作ることに……」
「今度お礼をしないとな……」
「礼なら、先ほど……」
「いや、それとは別にだよ。これが出来るとは思わなかったから……」
「……前にも尋ねたと思うが、一刀、何故あなたはその武器のことを知っていたのですか?」
「……それは前にも言ったけど、俺にもよく分からないんだ。
ただこれが剣って名前じゃなくて刀ってことは分かってるんだけど……」
「それより、その武器を確かめてみないと……」
「武器がそのまま戦闘の優劣を決めるわけじゃないけど……」
「ですが、これでやっと対等な鍛錬が出来ますね、一刀」
「ああ、今までは木で作ったものとか、兵達が使ってる剣だったもんな……」
一刀と綾は構える。
「!」
先に動き出したのは綾であった。
綾の剣が一刀に向かって振り下ろされ、一刀は刀でそれを受け止める。
「はあっ!」
一刀はそれを押しのける。
「せいっ!」
一刀は横で刀を振り、綾はそれを紙一重で避ける。
「なかなかいい振りです。ですが……」
「甘いってか?」
「はい、私が鎧をしているのにも関わらず、その鎧を傷つけまいとしています」
「鍛錬と言っても下手をすれば怪我をする。いくら実戦形式でも問題あるだろ?」
「まったく甘いですね」
「だがそこが若頭らしい」
そこに三人の女性がやって来る。
「紫苑さん、桔梗さん、焔耶さん」
紫苑(黄忠)、桔梗(厳顔)、焔耶(魏延)は三人よりも古くからこの国の将としており、それなりに力もある。
「そうね、仲間を大事にするということは戦いにおいても重要な一つね」
「しかし、それでやられてしまっては元も子もないぞ」
「そう言うなよ、焔耶。俺だってその時はどうにかするさ」
一刀は刀をしまう。
「それより三人が来た理由って?」
「そうじゃった、お館がお呼びじゃ」
「父上が?」
一刀は玉座へと向かった。
一刀は玉座で父の劉焉と対面した。
「父上、呼び出しとはどうしたんですか?」
「璋よ、最近この大陸で争いが起こってることを知っているか?」
「それなりにですが……」
「その争いがな……、この蜀にも広がろうとしている」
「それは……つまり……」
「お前にも実戦を経験してもらうということだ……。
ちょうどお前の武器も出来たようだしな」
劉焉は一刀の腰に付いている刀を見た。
「……」
「少しはこの土地を離れて、大陸を見てみるがいい」
「分かりました」
「出撃はいつになるかは分からないが、それまで色々準備をしておけ」
「はっ、失礼します」
一刀はその場を去る。
「……あいつの実力を見るいい機会か……」
それからほどなく戦いが始まる。
その戦いの名は「黄巾の乱」。
本作品の主な設定
張任 真名 綾 見た目 セミロング金髪を後ろで結んでいる、戦闘時は西洋騎士のような鎧をしている 通常時はお嬢様チックだが質素な服を着ている。(ぶちゃけるとFateシリーズのセイバーのイメージ) 武器は剣
法正 真名 美咲 見た目 ロングな薄い紫髪、服装は胸元とおへそが見えるタイプ(胸元は紫苑のように真ん中を開けてるタイプでおへそはわざと見せている)服の色は黒と白のあわせ 武器は鉄扇
黄権 真名 千歳 見た目 黒髪短髪、服装は巫女服のようなタイプ 武器は二本の戟
一刀の設定
劉焉の子として転生、武器は一刀のこだわりで作らせた古代中国製の刀。
戦闘能力は関羽よりやや低いくらいだが、戦いようによっては関羽より上で呂布くらいになる。
またある程度、氣を使えるので武器(刀)に氣を纏わせることで単純な力を上げることが出来る。
軍師の法正ほどではないが、軍略はなかなかのもので戦闘指揮も並みより上だが中の上くらい。
国民からはかなり評判のいい人物。
何故死んだのかは最初は分からず、終盤で判明する。
そして記憶喪失である。
おまけ
作者「これが俺の転生ものだ」
一刀「劉璋か」
作者「とりあえず俺が見た限りだけど、一刀の転生先に劉璋がいなかったからな。だから劉璋にした」
一刀「それで今回の投稿ペースは?」
作者「そらおと系がネタ切れだしな。週1ペースのつもりだが、基本は俺の気分次第と言うことだ。
ようやく最終話まで書き終えたから投稿できた」
一刀「けど、終盤は書いた時期に大きなずれがあるだろ?」
作者「ああ。ものすごい駆け足だし、最後なんか打ち切り漫画みたいな感じだ。
けどな、俺が最初に考えてたプロット通りなのは確かだ。つまりは削除した内容はないと言うことだ。まあ細かい部分はなくしたりしてるけどな。
けど、一応最後まで書いたから、その気になればそのなくしてる細かい部分を書き足すことも可能だ。
っても別のネタを書いてる最中だし、細かい部分を書くモチベーションが戻るかは分からない」
一刀「ファンが怒るぞ」
作者「最近は俺の作品がつまらないとかがあるのかいよいよ俺もオワコンと化している。
まあけど見ている人は少なからずいるし俺も見てほしいとか書きたいからやってるからな。
とりあえず、大まかに書きたいことはきちんと書いたということだ。
ああ、それと俺の作品でよくあることだが、俺の連載ものは全部10話前後。今回は全13話だ。
それでは!」
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この作品は作者が最近見かけている「転生もの」の影響を受けて書いたものです。