No.486073

いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した

たかBさん

第六十六話 家族の一撃

2012-09-19 17:19:11 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:7047   閲覧ユーザー数:6377

 第六十六話 家族の一撃

 

 「リインフォース!」

 

 「テスタロッサ!」

 

 フェイトとリインフォースがアサキムの猛攻を何とか捌いているところにはやてと守護騎士達が転移してきた。

 

 「シグナム!」

 

 「主!どうして…」

 

 転移してきた守護騎士達。

シグナムとヴィータを前衛に中衛にザフィーラを置き、はやてとシャマルが後衛になりながらフェイトとリインフォースの所に近寄る。

 

 「話は後や!シャマル!二人の回復を!シグナム、ザフィーラ、ヴィータ!その間頼むで!」

 

 「「承知!」」

 

 「任せろ!」

 

 シグナムとフェイトが急に現れた援軍に驚いている間にアサキムとの間に守護騎士達が割り込む。

 

 守護騎士達にアサキムの所に行くように伝えたのはプレシアの指示だった。

 アームドデバイス。

 地球では鉄槌や剣といった物理攻撃を行う物に魔法の力を足して攻撃力を高める兵器。

 純粋な魔力砲撃よりも物理攻撃も混じった攻撃の方が有効だと判断したからだ。

 高志のガンレオンの攻撃はマグナモードを除くと、総合的に見るとなのは達の総合攻撃力より低い。

 だが、鋼の杭。ノット・バニッシャーを受けた時のダメージがなのはやフェイトの砲撃を受けた時よりも大きい事に気が付いた。プレシアはある一つの仮説を立てる。

 シュロウガは魔法攻撃そのものに対しては何らかの障壁のそうなものがあり、それを阻害している。

 対して、ガンレオンの攻撃はレンチやノコギリといった物理攻撃が多い。それがアサキムのシュロウガに有効に取れて見えた。

 

 「主…」

 

 「リインフォース!なんで私の言いつけを破ったんや!」

 

 リインフォースは怒りながら近寄ってきたはやてを見て目を伏せる。

 そして、そんな二人のやりとりをしている二人の間にフェイトとシャマルが止めに入る。

 

 「待って。はやて。リインフォースは私を助けに来てくれたから…」

 

 「そうですよ。今はそんなことをしている場合じゃありません。今すぐアレ(・・)をお願いします!」

 

 「…むぅ。せやな。今は現状打破が最優先やった。フェイトちゃん。悪いけどもう少しだけ時間を稼いでもらえる?私はこれからリインフォースとユニゾンするから」

 

 その言葉を聞いてフェイトとリインフォースは驚いた。

 今ははやてとリンフォースがユニゾンしても魔力砲撃の威力は上がるが、それ以外はがた落ちする。

 どちらかといえばはやては彼女とユニゾンしない方がいい。

 あの機動力のあるシュロウガに対して一番戦わせてはいけない相手だ。

 

 「え?でも…」

 

 「主。お言葉ですが…」

 

 「言いたいことはわかってる。だから裏ワザ。()がリインフォースにユニゾンする。そうすればリインフォースは全力を出せるし、負担を軽減して思い切り戦える」

 

 「そんなことが出来るの!?」

 

 フェイトはその言葉を聞いて思わず目を丸くする。

 

 「理論上では可能や。高志君とアリシアちゃんは出来ないみたいやけどな」

 

 「ですがそれは大きく主に負担をかける緊急用です!」

 

 「今以上に緊急という事態はないと思いますよ。リインフォース」

 

 シャマルがリインフォースの意見を封殺しようとするが、リインフォースは反論する。

 

 「シャマル!お前は分かっているならどうして!」

 

 「私は貴方と違ってちゃんとはやてちゃんの言うことを聞いているだけですよ」

 

 彼女のことなど、どこ吹く風と受け止めるシャマルにはやてはぼそりと言葉を付け足す。

 

 「…前科はあるけどなぁ」

 

 「はやてちゃん!」

 

 シャマル涙目。

 

 「はやて!シャマル遊んでないで早くしてくれ!」

 

 「さすがにこれ以上は…」

 

 前線で頑張っている岸からヤジが飛ぶ。

 が、アサキムは二人の攻撃県内から一度離れると迎撃態勢は崩さないが攻めていこうとはしなくなった。

 

 「まだ何か打つ手があるのかい?やるならそれを待ってあげるよ」

 

 「…我等を愚弄するか」

 

 「守護の獣。僕の目的はスフィアであり虐殺行為はそれの促進にしか過ぎない。君達はその為だけに生かされている」

 

 アサキムの言葉に嘘はない。

 もし、彼が殺そうと思えば彼はこの辺り一帯を吹き飛ばせる。

 スフィア。そして、アサキムはそれだけの力を持っている。

 

 「…その余裕、絶対に吹き飛ばしたる」

 

 「やってみるといいさ。はやて。君は一番才能に恵まれているからね。…もし、『悲しみの乙女』が次に転生し、宿るなら君だろうね」

 

 はやての決意を聞いたリインフォースはその強い意志に応えることにした。

 

 「…その覚悟。お受けしました」

 

 そして、リインフォースの瞳にも強い光が灯る。

 

 「いくで!リインフォース!逆ユニゾン!」

 

 「イン!」

 

 はやてとリインフォースを強大な力を感じさせる光が包み込む。

 そして、その光が収まると、そこにははやての姿が消えて、光が収まる前よりも力強い魔力を持ったリインフォースがいた。

 彼女の持つ放銃。藍色の砲身。ガナリーカーバーは純白に色彩を変えた。

 スフィアの力を使わずにガナリーカーバーの形が箱形から丸みを帯びたより砲身に適した姿、円筒型に変わる。

 

 「…これが。…主の力」

 

 「…へぇ。まさか、自分の従者に全てを委ねるか」

 

 (従者やない!家族や!)

 

 アサキムの言葉を受けてリインフォースの中で叫ぶはやて。

 しかし、それはアサキムにとってはとても興味深いものだった。

 

 スフィアと半ば融合を果たしているリインフォースに身を授けているはやての状態が安定している。

 もし、はやてにスフィアの影響が起きているとすれば彼女も自分同様に『太極』の影響を受けているはずなのに、その影響が出ているようには見えない。リインフォースがそれを抑えているようにも見えない。

 

 「…ふふ」

 

 「てめぇ、何笑っていやがる!」

 

 いつの間にか含み笑いをしていたアサキムを見てヴィータは怒鳴りつける。

 

 「いや、すまないね。八神はやて。そして、『悲しみの乙女』の可能性に興味が出た。だからかな…」

 

 アサキムの声が一気に零点を下回る。

 

 「…何が何でも君を悲しみの海に沈めたくなった」

 

 「…ひっ」

 

 「くっ」

 

 「…貴様」

 

 シャマルとシグナムは思わず後ずさる。

 盾を自称するザフィーラも思わず気押される。

 

 「…リインフォース。…はやて」

 

 「大丈夫だ。…テスタロッサ。我と主等が一つになったんだ。…この力があれば!」

 

 リインフォースはいつの間にかアサキムにやられたはずの背中の黒い羽が治っていた。そのうえ、その羽は一回り大きくなり、その羽からは強大な魔力が零れていた。

 

 「アサキム!お前に後れを取ったりはしない!」

 

 (頼んだで!リインフォース!魔力の事は考えないでガンガンいったれ!)

 

 黒い羽を撒き散らせながらリインフォースはアサキムに斬りこむ。

 アサキムはそれを迎え入れるかのように攻撃を迎え入れる。

 

 「はやて。君を踏み入れるのか『太極』の領域に!」

 

 ガナリーカーバーからは赤紫色の光のしなる鞭が出現していた。

 シグナムの鞭のように伸び縮みする連結刃とフェイトの雷撃を組み合わせた魔力で出来た死神の鎌。

 

 「あれはバルディッシュ?!」

 

 「いや、レヴァンティンの連結刃も混ざっている!」

 

 元にした武器を持つ二人はリインフォースの振るう武器を見て驚く。

 シグナムは元々闇の書の守護騎士。フェイトはリンカーコアを取られたことがあるのでその時の情報を元に作られた武装に驚いていた。

 

 「はぁあああああっ!」

 

 ザザンッ!

 

 アサキムの振るう剣の有効範囲外でリインフォースはその鞭を十字に振るうとその魔力の鎌はシュロウガに当たったところをまるで星の軌道のように跡を十字傷のように残す。

 

 「…そんな魔力攻撃」

 

 シュロウガの魔法防御力はプレシアの見込み通り堅い。そのままではフェイトの時のようにすぐに反撃を受ける。だが、リインフォースの攻撃は終わらない。

 

 ガァンッ!

 

 「まだだ!」

 

 「砲身で殴るだと?!」

 

 十字の傷をつけると振りぬいた勢いで砲身とは逆の方でアサキムを殴り飛ばす。

 これはアサキムも予想外だったのか思わず叫ぶ。が、それを回避しようとするが既に遅かった。いや、リインフォースの攻撃が早かった。

 その時、砲口から魔力のブースターで攻撃の速度と威力を底上げしていた。

 

 「あれってアイゼンの?!」

 

 更には殴り飛ばされたアサキムを追いながらもガナリーカーバーは更に変化を見せる。

 魔力の鎌がシュロウガに十字の傷を傷つけた瞬間に魔力で出来た鎌が消える前にガナリーカーバーの前に小さな宝玉が出現する。

 そして、それを中心に白銀の剣が砲口から出現する銀の剣。

 

 「オオ!」

 

 「ラスターエッジ」

 

 アサキムが更に追撃をしようとしたリインフォースに兜の目にあたる部分から光を放つ。が、彼女の眼前に白く小さい阪急体の膜が現れ、光線を弾いた。

 

 バチィッ。

 

 ザフィーラの得意とする障壁でアサキムの攻撃を受け流すリインフォースは勢いそのままに殴りつけた時に出来た小さな亀裂に食い込ませる形で砲身から伸びた剣を突き刺す。

 

 「やったか?!」

 

 「いや、まだだ!」

 

 シグナムが歓喜の声をあげそうになったが、ザフィーラがそれを否定する。

アサキムはまだ動いていた。彼は自分に突き刺さった剣を右手で掴みながら左手に持った剣でリインフォースに斬りかかる。

 アサキムの間合いには言ったリインフォースは振り降ろされてくる刃を回避するために剣と砲身の部分を切り離しながら、その砲身に魔力を込める。

 

 「受けろ、アサキム!『悲しみ』の運命を吹き払う一撃を!」

 

 (ザ・グローリー・スター!)

 

 前に放った時よりも強大な魔力。そしてチャージ時間は短いというのにはやての魔力のおかげかいつでも発射が可能な状態になったガナリーカーバーは咆哮を上げた。

 

 「フルバーストォオオオオオオオオ!!」

 

 ドオオオオオオオオオオオオ!!

 

 アサキムは直撃する寸前に自分の目の前に障壁を張る。

 例え、この障壁が破られても、障壁で減衰した砲撃に耐えきれると踏んでいた。が、

 

 ヴヴンッ。

 

 「これは!」

 

 アサキムの張った障壁の前に緑色の壁が現れる。

 それはシャマルの使う『旅の扉』。

 主にリンカーコアを抜くために空間を狭めて相手から搾取するための通路が現れた。

 そして、もう一つの『旅の扉』がアサキムとアサキムの張った障壁の間に出現した。

 

 「…やられたね」

 

 障壁の前(・・・・)に張られた『旅の扉』に吸い込まれていった砲撃は、

 障壁の後ろ(・・・・・)に現れた『旅の扉』から吐き出され、アサキムはその光の奔流に飲み込まれていった。

 その光景をリインフォースはガナリーカーバーを抱き上げるかのように見守った。

 

 「…これが我等と主。家族の一撃だ」


 
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