No.485896

魔法少女リリカルなのは聖伝 ~ヒーローズサーガ~ 

龍牙さん

TINAMI限定の新作小説です。詳しい説明は次回からとなります。

2012-09-18 23:54:13 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2105   閲覧ユーザー数:2072

プロローグ《始まりの刻》

 

 

 

あらゆるモノには始まりと終わりが有る。それが例え“永遠”に思えるほど長い時だったとしても。

 

だが、永遠と言うものは存在している。人は二度死ぬと言う、一つ目の死は直接的な死、二つ目の死は忘却と言う死。

 

どんな形であったとしても、覚えている者が語り継いで行く限り、それは不滅であり続ける。

 

だが、記憶の中の死を免れ続けた先に永遠が存在しているのなら、それを嫌う者達によって殺される事も有り得る。

 

例えそれが………世界であっても。

 

 

 

 

『くそ! こんな方法しかないのか!?』

 

『…………』

 

『こんな方法しか出来ないのはイヤだけど…同じ後悔なら、誰かを守れるほうがずっと良いに決まってる』

 

青、赤、緑の光が会話を交わしながら眼下に存在する無数の地球へと視線を落とす。それは普通に存在する人々が“世界”。だが、世界の中に存在する黒いモヤの存在に其処に住む人々は気付かずに生活している。

 

『そうだな、迷っている時間は無い』

 

黒いモヤは、ある物は大量に集まったそれ自体が実体を持ち、ある物は人にそれが取り付く事で実態を持っていく。

 

『既に異変は始まっている』

 

赤、青、緑の三色の光が混ざり合うとその場所には静寂だけが残った。

???SIDE

 

「…なんだよ…これ?」

 

彼が目を覚ました時、其処は所々から火の手が上がる廃墟だった。

 

「っ!? 怪獣…?」

 

彼の横を怪獣と呼ぶべき巨大な生物が耳の痛くなるほどの咆哮を挙げて通り過ぎていった時思わず息を呑む。

 

「今度はロボット!?」

 

怪獣の姿を見上げていると今度は空中を飛ぶMSと呼ばれている存在が空中を舞いながら廃墟へと攻撃を仕掛けていく。

 

「っ!?」

 

今度はうめき声を上げながら通り過ぎていく白いミイラの様な怪物達の姿を見た瞬間、慌てて廃墟に隠れようとしたが、怪物達は彼に気付く事も無く通り過ぎていく。

 

「…気付いてない…のか?」

 

その事に安堵して力が抜けて廃墟の壁に寄りかかろうとした瞬間、彼の体はそれをすり抜けてそのまま座り込んでしまう。

 

「ど、どうなって…」

 

近くに有る石を持ち上げようとするが彼の手は石に触れる事無くすり抜けて行く。

 

『あっ、これは映像を写しているだけだから』

 

「っ!?」

 

突然聞こえてきた声に驚いて周囲を見回しているが、其処には誰も居ない。

 

「一体…何が…?」

 

『これは別の世界からの悪意と、それを活性化させた奴らが引き押した…この世界の最後だ』

 

色々な意味での問いだが、別の声の主はこの世界に付いての問いだと判断した様子でそう答えてくれた。

 

「…世界の最後って…どう言う…」

 

彼が呟いた瞬間景色が変わっていく。

 

「うわっ!?」

 

空中に浮いているのに落下する事は無く、彼の隣をMS達が編隊を組んで飛行して、咆哮を挙げながら巨大な怪獣達が闊歩していく。地面を蹂躙する様に無秩序に動き回っているのは人型をした動植物と言う様な異形の怪人達。

 

『…これが、この世界の歪みだ』

 

三番目の声がそう響く。この世界の住人達が必死に抵抗しているが、その必死の反撃も怪獣の巨体には通用せず、MS達の機動性に翻弄され、怪人達に奇襲されて次々とか細い物へと代わっていく。

 

「…一体、何が…?」

 

『…別の世界の人間にとって物語として認識されている世界も有る。この世界も、オレ達の世界もだ』

 

『世界が滅びたとしても、オレ達の世界の物語を好きだって思ってくれている人達が居る限り、その人達の心の中で存在し続けていける様にね』

 

「…それとこれが何の関係が…?」

 

『だが、そんな世界の物語を嫌う者も存在する。この世界の歪みは、そんな世界への悪意が…形を持ってしまった結果だ』

 

「えーと…何処から聞けば良いのか分からないんだけど…。悪意が形を持ったって…」

 

『…あー…何と言うかな。他の世界…この世界を物語って言う形で知ってる奴等を、面白半分で神が転生させた結果…こうなっちまった訳だ』

 

「…つまり、神様の遊びが原因って訳?」

 

『そうなるな。まあ、結局その連中は上位の神やこの世界を管理している神が取り締まったり……最後まで抵抗した奴らはオレ達が倒したり、此処に居ない仲間達が戦っていたりする』

 

何処か声には情けなさが漂ってくる。

 

『…転生者も悪意も本当ならそれほど気にする事じゃないんだ。転生者の感情もこの世界への『好意』が多いんだ。だから、本来ならこの世界の他の世界からの悪意を打ち消すワクチンになってくれる筈なんだけど、その、悪い転生者の持ってる欲望が悪意と結びついちゃって…』

 

「あー…好意から生まれる悪意も有るって事だな…」

 

『『『そう言う事』』』

 

彼の言葉に三つの声は同意の意思を示す。

 

『それで、肥大化した悪意を止める為のワクチンとして選ばれたのがお前の“オリジナル”って訳だ』

 

「オリジナル?」

 

声の中の会った単語に思わず聞き返す。

 

『…他の世界の人間をこの世界に入れた時の危険性を考えて、ワクチンとして選んだ人間のコピーをこの世界の人間として生み出したんだ』

 

その言葉からは申し訳なさが漂ってくる。

 

「つまり、オレは…」

 

『…別の世界の人間の…コピーだ』

 

「…そうか…」

 

そう言って手を何度も握ってみるが感触は変わらない。此処が自分にとっての現実である事には変わりない。だから…

 

「…戦うよ…オレが何か出来るならな。っ!?」

 

その言葉と共に三つの光が少年の中に入っていく。

 

『ありがとう。オレ達も君と一緒に戦う。オレ達の力…使ってくれ。オレは『仮面ライダーオーズ』』

 

『オレはゼロ、『ウルトラマンゼロ』だ』

 

『オレはガンダム、『ダブルオーガンダム』』

 

三つの光が一つのペンダントを作り上げる。

 

「っ!? それって…」

 

オリジナルの記憶の中に存在するヒーロー達の名。そう思って改めてこの世界の形を持った悪意に視線を向けると、それは…。

 

「…お前達が戦ってきた敵…」

 

改めてそれを認識すると、彼の意識は白く染まっていく。

 


 
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