No.485698

咲-saki-月宮編 第6局 仲間

白昼夢さん

---月宮高校麻雀部での城山華南と麻雀部の仲間達の紆余曲折ありながらもインターハイ優勝を目指していく、もうひとつの美少女麻雀物語---

2012-09-18 18:43:26 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:520   閲覧ユーザー数:516

名前:高天原 羽衣 (たかまがはら うい)

誕生日:10/10 てんびん座

血液型:O型

身長:158cm

体重:羽衣『禁則事項よーうふふ』

スリーサイズ:83/59/82

 

 

・3年生の先輩、髪型は白髪の腰の下まであるロングヘアー、麻雀部の部長を勤めている。性格はおっとりとしていて天真爛漫。

無類の可愛いもの好きで、可愛い女の子を見るとついつい抱きしめたくなってしまうらしい。特に最近は華南ちゃんLOVEの様である。

若干、ではないレベルで百合っ気がある、華南と他の麻雀部の子達で百合妄想を膨らませている事が多々ある。

 

・なんか色々な意味でダメな部長を書きたくて、気づいたらこんな感じになってしまいました(笑)

 

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『…はぁ、はぁ…、何処にいるんだ…』

5月の初夏の陽気、額に汗をかき泉は華南を探し走り回っていた。あかりに確かめてもらったが、家には帰ってなかったらしい。

少し考えたら、分かる事だった、一人暮らししていた理由、学校を辞めようとした事…。

先ほどまで晴れ渡っていた空が曇り始めてきた、時折冷たい風も吹いている。

…一雨降ってきそうだなあ。そんな泉の予感は的中した。

 

 

第6局 仲間

 

『傘、持ってくればよかったな』

結局かなりの強い雨になってしまった、顔に当たる雨粒を拭いながら泉は華南を探し回っている。

…人、かな、河川敷、一人で立ち尽くしている人影を見つけた、近づくにつれて自分と同じ制服を着た黒髪の少女だと分かる。

『城山さん!』

叫ぶと泉は華南のいる方向へ走り出した。

やっぱり華南だった、泉に気づいていないのか、1人、何かを呟いていた。

『…泣かないって、決めてたのにな』

華南の両親が死んだ日、その日を最後に華南が泣いている姿を見たものは居なかった。

『強く生きる、そうお母さんと約束したのにね…やっぱ無理だった』

力なく、笑ってみた、その表情は、華南があまり見せない、歳相応の女の子の顔であった。

『城山さん、さっきは…』

泉がすぐ近くに駆け寄る、ようやく泉に気づいたのか、華南はゆっくりと泉の居る方へ視線を向けた、どしゃぶりの雨で、もう泣いているのかも分からない。

『えっと、その…城山さんの事情も、何も知らないで酷いこと言った…本当にごめんなさい!』

そういって泉は深々と頭を下げた。

『…気にしないで、下さい…先輩の言う事は最もですし、私、人に気を遣ったりとか、苦手なんです、今までずっと独りで、そういうの、分からないんです』

視線を落とし、力なく華南が言う。

…そう、あの時からずっと一人で生きてきた。他人の事を気にしている余裕なんて、無かったんだ。

『だけど、確かに城山さんが言ったこと、分からなくもないんだ、折角入部してくれて、大会に出られるようになったっていうのに、私たちがこのザマで…確かにあれ位言いたくもなるよね、ホント、不甲斐なくてごめん』

また頭を下げる泉。

『もう…いいですから、此方こそこんなどしゃぶりの中探させたりしちゃって…手間かけさせて済みませんでした。心配しなくても、部活にはでます…、あかりとの約束がありますから、だから、もう、気にしないでください』

『…城山さん』

少しの時間、沈黙が訪れた、降りしきる雨の音だけが二人を包んだ、やがて、華南が口を開いた。

『私、こんなんだから…バチが当たったのかな、約束も、破っちゃったし…それじゃ折原先輩、失礼します』

華南は力なく笑っていた、初めて見る笑顔が、こんなにも、寂しい笑顔なんて…。泉は、やるせない気持ちでいっぱいだった。

そのまま土手の方へ歩いていく華南、その背中は普段の凛とした感じや、麻雀の時に見せる力強さとはひどくかけ離れたものだった。

『あのさ!』

堪らず泉は口を開く、その声に華南は足を止めた。そして泉はそのまま続ける。

『こんな、こんな私で良かったら…』

 

『私が、あなたの家族になれないだろうか!』

『…えっ』

あまりに想像してなかった事に驚いて、華南は振り返り泉を見る、泉は、まっすぐに華南を見据えていた。

『私、あんな事言っちゃったし、城山さんはイヤかもしれないけどさ、麻雀も城山さんには敵わないけど…』

このまま城山さんを帰したら、私は自分が許せなくなる。泉はそんな事を思っていた。

『放っておけない、力になりたい、守ってあげたい、あーもーうまくいえないけど!』

『もう一度、麻雀部の仲間として、家族として、城山さんと、やり直したいんだ、城山さんが、それを許してくれるなら…』

そこまで言ってまた泉は口を閉じた、目は華南をずっと見据えたまま…。

『私も!城山さんがどーしてもっていうなら、お姉ちゃんになってあげてもいいよー』

『城山さん!私も…私も城山さんの友達で、今までも、これからも、本当の家族のつもりだよっ!』

『あらあらーじゃあ私は華南ちゃんのお母さんかしらねーうふふ』

いつのまにか、土手の上には他の麻雀部の皆も来ていた、気づいたら雨はあがっていた、が3人もずぶ濡れだった、ずっと華南を探していたのだろう。

『城山さん、私だけじゃない、皆もきっと同じ気持ちだよ、だから…えっ、城山、さん?』

華南は、泣いていた。

『…ありがとう…皆、こんな…私の…ために…』

こんな、温かい気持ちになったのは、初めてだった、確かに嬉しいという気持ちはあるのだけど、涙が止まらない。

『戻ろう城山さん、風邪ひいちゃうよっ』

あかりが優しく微笑んで手を差し伸べる

『かえろかえろっ、私、体操服持ってきてるから、それに着替えなよ、そのままだと絶対風邪ひくぞっ』

『そうねえー、部室に戻ったらあったかーいお紅茶でも淹れようかしらね、体もあったまるしー』

りりあと羽衣も続けて言う。

『帰ろっか、…華南』

少し照れくさそうに、泉は下の名前で呼び、そう言った。

『…うん』

 

 

あの時涙を拭ってそう言い、見せてくれた華南の笑顔は、私達が初めて見た、華南の本当の笑顔だったのだと、そう思うんだ。


 
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