No.485664

saki 月宮編 第2局 家族

白昼夢さん

---月宮高校麻雀部での城山華南と麻雀部の仲間達の紆余曲折ありながらもインターハイ優勝を目指していく、もうひとつの美少女麻雀物語---

2012-09-18 17:25:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:603   閲覧ユーザー数:586

名前:城山 華南 (しろやま かなん)

誕生日:8/1 しし座(ちなみに8/1は麻雀の日だったりします)

血液型:A型

身長:165cm

体重:華南『…内緒だ』

スリーサイズ:88/54/78

 

・物語の主人公、髪型は黒髪ロングのストレート、モデルのような体型で容姿端麗。

幼い頃、小学1年生の頃に両親を飛行機事故で亡くしている。

その事故のショックで塞ぎ込んでた為、他人とコミュニケーションを取るのが苦手になってしまった。が、人嫌いな訳ではない。

孤児院等の施設には入らず、中学卒業までは遠い親戚の家に引き取られたが、華南自身が迷惑をかけたくないと、高校入学と共に一人暮らしを始める。

 

・物語を考える前にまずキャラ単体で構想があったキャラクターで、この子を取り巻く環境とかを考えていったら作品になったという感じです、この作品の母的な存在(笑)

つらい過去を乗り越えて人として強く成長していくテンプレ的な話が書きたくてこのような設定になりました(ゴメンね華南ちゃん><)

雀士として、人間として成長していく華南ちゃんの過程を楽しんでもらえたらなあーと思います。

 

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『…麻雀部、顔出さなくていいの?』

放課後の教室、華南はあかりにそう問いかけた、麻雀部に入部することも決めたし、顔合わせ位はした方がいいと思ったのだが。

『あー大丈夫大丈夫っ、部長には事情は話したし、お父さんにもおっけーもらったし、うちに居候するんじゃ荷物とか運ぶようだしねっ、だから今日は部活はお休みして城山さんのお引越しのお手伝いですっ』

『いつの間に…、あと華南でいいって』

『あっ、そうでしたっ、ずっと城山さんだったから慣れなくて、えへへ』

 

第2局 家族

 

荷支度は案外早く終わってしまった、華南の部屋は元々よく整頓されていたし、何より物が少なかったのもあるだろう。

『ふあーおわったおわったっ、とりあえず、必要そうな物はこのくらいかなっ、重たい物は後でお父さんに車で運んでもらおうっ』

『…ありがとう、あかりのおかげで大分早く片付いた』

『いえいえ、どーいたしましてっ、じゃ、いこっかっ』

『あっ…』

『ん?』

華南は部屋の奥の方から、何かを手に取り、鞄にしまった。

『ああ、ちょっと忘れ物をね』

『そっかそっか、じゃあ改めてしゅっぱーつっ!』

 

『さっきさ、何わすれものしてたの?』

『…ん』

歩きながら、鞄の中から写真立てを取り出す華南、そこには幼い黒髪の少女とその母親と思われる母子が写っていた、母親と思われる女性は、指に『南』の麻雀牌を挟んでいる

『しゃしん?このちっちゃい女の子って小さい頃の城山さんっ?かわいー!』

『…華南でいいって、…そうだよ』

少し照れたように見えたのは気のせいだろうか、あかりの居ない車道側に顔を向けてしまい確認できない。

『そっかそっかあー、じゃあこの女の人は城山さんのお母さんなのかなっ、お母さんも城山さんに似て美人だねー』

『…そう』

家族を褒められてるのに、心なしか、華南が浮かない顔をしてるような気がした。

『そーいえば、一人暮らししてたって、ご両親は遠くに住んでたりするのかなっ?』

突然華南が足を止めた、そして…

『…もういない、お父さんもお母さんも飛行機事故で死んじゃったんだ』

そう言ってまた歩きだす

『あっ…ごめん、変な事きいて』

返事は来ない。代わりに華南は首を小さく横に振った。

どうしたらいいか分からないあかりは、何も言わずそっと、華南の手をとった。

あかりの家につくまでお互い無言だったが、繋いだその手を離すことはなかった。

 

 

『おかーさんっ、ただいまあー!』

『…お邪魔します』

『あらーおかえりー』

入るなりすぐ隣の部屋から声が聞こえた、そして声の主がやってくる。

『おかえりなさいあかり、っとー華南ちゃんね、初めましてヨロシクねっ』

高校生の母親、というには若々しい、小柄な女性がドアを開けてやってくるなりそう言う。

『宜しくお願いします、城山華南です、お世話になります』

華南は深々とお辞儀をした。

『っと、挨拶はそのくらいにして、お部屋に案内するよ、2階だからついてきてっ』

 

『荷物はねーとりあえずそこらへんにまとめておいといていいよー』

どこを見渡しても、人形、人形、人形、そんな部屋に華南とあかりは居た。

『…えっと、ここは』

『あっ、私の部屋だよっ、ウチ狭いから申し訳ないんだけど一緒の部屋でっ』

『…そ、そっか』

…すごい部屋だな、心の中で華南はそう呟く。

見渡す限りファンシーな部屋である。まあ、あかりの印象にあっているといえばあっているが。

華南は鞄の中から服などを仕分けしはじめた、さっきの写真立てを手に取り見つめ、思いに耽っている様だ。

『あっ…それ、ここにおいていいよっ』

あかりは棚を上の物を適当にどかしながらそう言う。

『…ありがとう』

写真立てを置き、まだ少し、華南は写真を見つめていた。

『あかりー、華南ちゃーん、晩御飯の準備できたわよー』

下からあかりの母親の声がした。

『あ、うんー、いまいくーっ』

荷物の整理をやめ、二人は食卓に向かった。

 

『しかしまあ、急に可愛い娘ができたみたいねぇー』

『お父さん、こんな綺麗な子と毎日ご飯を食べられると思ったら幸せだよぉー』

『やっだあー、パパなにいってるのよぅー』

『はっはっは、でも一番はお前だよ、かあさん』

『まぁっ』

『あはは…』

『…』

これがホントの夫婦漫才って物なのだろうか…。とそんな会話を聞きながら華南は思った。

華南の隣に居るあかりも、そんな華南の様子と、自分の両親の夫婦漫才の前に乾いた笑いしか出ない。

『でもホント、遠慮とかしなくていいからね華南ちゃん、私たちの事は本当の家族だと思ってもらっていいから』

『うんうんっ』

あかりがそう言うと、あかりの父親もそれに続いてうんうん頷いている。

『…ありがとうございます』

…家族、か。お父さんやお母さんが生きていたら、こんな風に食卓を囲んでいたのだろうか…。

依然楽しそうに談笑している家族の風景をみて華南は、そんな事を思っていた。

 

『はぁーお腹いっぱいだねーっ』

『…うん』

本当、色んな意味でお腹いっぱいです、そう華南は思いながら言った。

あの後も夫婦漫才みたいなノリの会話は2時間以上続いたのだ。

食事を終えた二人は、あかりの部屋のベッドの中に居た。

『明日は、早速麻雀部に顔だしにいこうっ、うんっ』

『…そうだね』

眠れないのか、二人はベッドに入ったまま目を見開いている。

『あのねっ、聞いていいかな?』

『ん?』

『その…良かったらでいいんだけど、城山さんの家族の事、とか』

しばしの沈黙。

『あっ、い、嫌ならいいんだっ、変な事きいてゴメンねっ』

『…お父さんもお母さんも、優しかったよ、麻雀は、お母さんに教えてもらった』

華南は静かに話しだす、華南は遠くを見つめるような瞳で続ける。

『私の名前の華南の南は、麻雀牌の南から取ったんだって、お母さん、南が好きだったみたい』

『そうなんだぁ』

『小さい頃、お父さんもお母さんも忙しくて中々家に居なかったんだけど、たまに帰ってきて、みんなで麻雀するのが、あの頃は楽しみだった…』

『そっかっ』

『…どうかした?』

華南を見つめるあかりが微笑んでいたので、華南は問いかけた。

『いや、城山さんがこんなに喋ってくれたの初めてだったから、嬉しくて、えへへ』

『…っと、もう遅いね、明日も学校だし、寝よっか』

『…うん、おやすみ』

『おやすみっ』

 

あかりが寝静まり、華南はあかりが起きないようにそっと体を起こす。

…家族。

視線の先には、自分と母親が写る写真があった。

(おやすみ、おかあさん)

心の中で華南はそう呟き、眠りについた。


 
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