ヒジリ達は実技を終えた後、なぜか再び合流したリア達にどこか泊るところはないか聞くと、さすがにこの時期は予約でどこの宿も一杯になり、当日で泊まれる所(エンはフヨウの所に泊まる予定だったが世間体から第1王女と第2王女から却下される)はないが、知り合いの教会に止めてもらえるよう頼み、どうにか1週間野宿しなくて済んだ。その代償として、教会に住む子供たちと遊ぶことになったが、特に問題なく1週間が過ぎた
ヒジリ「…一週間お世話になりました。」
ヒエン「…お世話になりました」
シスター「いえ、こちらも子供たちの相手をしてもらって。それに、いろいろ手伝いもしてもらい逆に感謝したいぐらいです」
全員がシスターと神父に感謝を述べるが、逆に感謝され苦笑いをしながら教会を後にした。次の試験の説明を受ける為に受付に向かう。
リョク「次の試験はいったいなんだろうな」
エン「そうだな。ただ、あいつらと戦うのは勘弁だけど…」
全員「「「同感」」」
ヒエン「確か毎年4,5グループに分かれてのトーナメントだと思ったけど…」
リョク「なんだ、ヒエンは見に来たことが………そういえば王族だったな。ということはヒジリも見に来たのか」
ヒジリ「いや、俺は…」
ヒエン「ヒジリは毎年なぜか妹が風邪をひいてその看病を…」
エン「そうか、じゃ何をするのかヒエン以外分からないということか…面白いな」
そんな話をしているうちに受付に到着、そして受付の人に受験番号を見せるとそれぞれ紙を渡される。それが、対戦表になっていて紙に上に書かれている番号の闘技場で受験生同士が戦うというものらしい。そして、優勝者が合格ということと説明を受けさっそく4人はグループを確認すると…
ヒジリ「…ヒエンと同じグループか、しかも2回戦で当たるな………一応手加減はしないからな」
ヒエン「はい、俺も手加減するつもりはない」
リョク「…残りは全員ばらけたな…俺はAグループだ」
エン「ん、俺はCだな…終わったらヒジリ達の所でも見に行くか…どうせ1日や2日じゃ終わらないだろうし」
受付をしていたリナリアとキキョウは彼らの会話に疑問を感じたが、それを報告しようにも次々と受験生がやってきて説明しなければならず、ようやく今回の委員長であるランスに報告できたのは試合が始まってから3時間がたった時である
ランス「おかしいな。彼らは全員別々のグループになるようしたはずなんだが。…なぜそんな大事なことをすぐに報告しなかったんだ」
キキョウ「受付はあれからすぐに終わったんですけど…」
リナリア「………………ランスがいるべき場所におらず…」
キキョウ「…やっと探し当てたと思ったら、陛下を教育中だったじゃないですか。しかも、ほかの国の王たちをライに任せて」
ランス「………………………すまん。で、仕合の状況は。それによってはまだ間に合いそうだが」
ライ「…無理だな。つい30分前にBグループの試合が終わった。対戦者のほとんどが棄権というか試合開始時間になっても現れなかったことが原因だが。で、ついさっきAとCグループが終了。こっちは彼らの戦いを見たほかの選手が棄権した結果だな。んで、陛下と王女様たちあと各国の王と王妃ついてきた王女やその護衛の人たちは残っているDグループの観戦をしている。…しっかし2人の試合を見て、闘技場が壊れるんじゃないか心配になったぞ」
リー陛下が来たことで来賓の対応を任せ、ランスたちに合流したライが現状を報告する。一方、来賓の対応をしているリー陛下はDグループ2回戦の試合を観戦していた。そこで見たものは試合ではなく死合であった。
ヒジリの斬撃をヒエンは紙一重で避け、攻撃を繰り出す。それをヒジリは避けるのではなく左手を楯にし、魔弾をヒエンの左腕に叩きこむ。その攻撃により左腕が吹き飛ばされるものの、ヒジリもヒエンの攻撃により左腕を切り飛ばされる。それを受け、両者はいったん距離を置き、止血をすると今度は魔力による攻撃を放つ。攻撃がぶつかり合うと、その余波が周囲に飛び散り観客と相手の戦い方を見ようと最前列で観戦していた試験受験者、騎士に攻撃が向かうが、試合が終わり、2人に試合を見に来たリョクとエンがその攻撃を何とか防ぐ。
リー「…まさかこれほどとはな…こっちまで飛び火してこないだろうな」
リア「大丈夫でしょう。さすがに私たちじゃ無理ですけど…コクトさんがいますから」
コクト「…他国の一応、王女の婚約者兼近衛騎士に頼むことか…まぁヒメユリを助けるついでに助けるが」
??「……………コクト、儂は…」
コクト「………………………………………………………………………ローン陛下、忘れてませんよ」
フヨウ「相変わらずなようね。けど、ホント彼らこれが試合だってわかってるのかしら」
??「…いつものことだが、訓練中はいつもあんな感じじゃぞ。のうピレア」
ピレア「うん、それで4日くらい戦って両方、死にかけて終わるのねぇ、アラお父様」
カト「陛下ちょっと………というわけです」
リー「…うむ。皆さん少し席を外します」
それぞれが話し込んでる中、ヒジリとヒエンの戦いは激しさを増していた。最初の頃最前列で観戦していた観客や騎士、受験者も今は上に避難している。そんな中、いまだ最前列で観戦しているのは、先ほどまで両者の余波から観客とその他を守っていたリョクとエンだけである
リョク「あははははは、すごいな彼はあのヒジリ相手に一歩も負けてないぞ」
エン「あいつが弟子に取る訳がわかったな…うん、これはかなりの逸材だ…おい、コクトがいるぞ」
リョク「どれ…ホントだ。隣にいるのはヒメユリじゃないか…そういえば彼女と婚約したんだったな。挨拶に行くか」
リョク「あとでいいんじゃないか…それよりも審判をきちんと守らないと…さっきと違い、攻撃が激しくなってきたからな。さすがに2人じゃないと守りきれないぞ」
審判「す、すみません。まさかこんなことになるなんて」
リョクとエンは好きで最前列で観戦しているわけではないむしろ後ろのほうで安全委観戦していたかった。しかし、仕事熱心な審判をあの2人の攻撃の余波から守らなければ試合が成り立たないからである。
一方、ランスとライ、そしてリナリアとキキョウは委員会に乗り込み事情を聴いていた
ランス「…さて、どうしてこの3グループというよりもこの3人だけ私が作った対戦表通りではなく入れ替わっているんだ…答えろ」
ライ「嘘はつかないほうが身のためだよ…そもそも、筆記と実技の上位者が同じ組になるなんてありえないんだから………ね」チャキ
リナリア「えぇ、それに私も今回は作っているところを見ていましたからランスが間違えた…なんてことはありませんよ。あっ、もちろんリー陛下もご一緒でしたから」ゴキッ
キキョウ「リー陛下が来るまでに答えてくれると陛下の手を煩わせることもないんですけど…答えてくれますよね」スッ
彼というよりも彼らはまさかこんなことになるとは思ってもみなかった。初めは相手に金を積まれたこともあったが、自分たちを吹き飛ばしただけでなく、あまつさえイクシア王女に対してあんなことをしたあいつを落としたかっただけなのに、なんで王女の近衛騎士を除いて最恐と言われているこの4人に目をつけられるんだ
騎士A「あの…それは」
騎士B「えっと、あっおそらくあの2人が戦いたくて…」
カト「…嘘は駄目ですよ。この人が全部はきましたから」
リー「…お前たちつまらないことをしてくれたな。まさか、試験でこのような不正があったとは…それでこやつらの処分はどうするつもりだランスよ」
ランス「そうですね。さすがに身内の恥を各国にさらすのはまずいと思うので…………この場で消えてもらいましょうか」
騎士C「おい、いくらなんでも…」
騎士D「そうだぞ。そこまで重い罪でもないだろう」
リナリア「…あら、金に目がくらみ不正をする人たちですもの…今度はリー陛下の命、もしくはイクシア様達を誘拐…なんて考えられるわね」
キキョウ「しかも、事実を隠ぺいしようと試合している2人のせいにしようとして」
リー「…うむ、致し方ないだろう。しかし、この者たちの処刑は夜が行おう。さすがに儂だけ知らぬ存ぜぬというわけにはいかないからな」
そういうとリー陛下は剣を抜き彼らに詰め寄る。さすがに命は惜しい彼らは抵抗を試みようと陛下に襲い掛かる。しばらくしてそこには数名の騎士であった死体が転がっていた
リー「さて戻るぞ。とにかく、このグループの試合は無効じゃろう。ほかの受験者が納得するならあの2人を合格にする。よいな」
ランス「…さて、俺は受験者を説得に行くか」
リナリス・キキョウ「「私たちも行くわ」」
カト「私は戻るわね。イクシア達が心配だし」
ライ「ランスが説得に行くなら仕方ない。俺が陛下のお守りをするか」
リー「お主ら、少しは儂を敬うということをだな」
リー陛下の言葉もむなしくそれぞれ持ち場に戻っていく。そして、戻ってきた陛下とライ、カトレアは場所を間違えたと思えるほどに破壊された闘技場であった
カト「ねぇ、リア何があったの。大体想像がつくけど…で、リョクとエンはなんでここに」
リア「えぇ、あの2人ようやく準備運動が終わったらしくて…かなり本気で戦い始めてのよ」
フヨウ「それで、さすがに危ないからって」
リョク「審判をここまで避難させてきた」
ローン「なぁ、リーよもしどちらかが落ちたら儂の所で採用してもいいか」
アラ「ちょっと待て、ローン。ヒエンが落ちたら国に帰って兄を支える。ヒジリが落ちたらピレアの婿に迎えるとすでに先約があるのだよ」
ヒメユリ「しかし、どうせほかの参加者は辞退していそうですから、事実上これが決勝戦のような気もする」
ヒメユリの言葉にリー陛下がこれを決勝戦にしようとランス達がほかの受験者を説得に回っていることを説明する。と、今まで黙っていたイクシアが
シア「じゃ、ヒジリとはまた戦えるのね」
リア「そうですけど…リー陛下、その前に彼らを止められますか。一応言っておきますが私たちじゃ無理ですよ。たぶん、リョクとエンも」
リョク「だな。扉を3つしかあけてない俺たちが4つあけているあの2人を止めるのはかなり難しいぞ」
ローン「う~む。そうなると………………コクト頼めるか」
コクト「やれやれ、仕方ありませんね。その前に『扉』のことがわかっていない人たちに説明をしておきましょうか」
シア「ねぇ、リア『扉』って…」
リア「そうですね。一言でいうなら器でしょうか」
コクト「そうだな。人はどうやったって限界が生じる。扉とはその限界をさらに広げることだ。扉は12個存在しそれぞれが限界を突破した時に試練に打ち勝つことであけることができる。」
エン「その試練は人によってさまざまだけどな」
それを聞いたライはアルメリアたちに質問した
ライ「じゃあ、アルメリアたちが以上に強いのは…」
リア「言っときますが、私たちの扉はひとっつも開いてないわよ。悪い」
リリス「じゃぁ、素でこんなに強いんだ」
リョク「彼女たちの場合、開いてないんじゃなくて開けようとしてないだけだ」
フヨウ「だって、私たちだって乙女なのよ。か弱い存在でいたいじゃない」
ライ「…………………」
コクト「とにかく、あの2人を止めていいんですね」
フヨウの発言にライは言葉を失うが、コクトは何でもないように話を元に戻す。と、丁度いいところにランスとリナリア、キキョウが戻ってきた
ランス「ほかの参加者はあの2人の戦いを見て戦意喪失。説得しなくても辞退するそうだ」
リナリア「えぇ。なんだか怯えていましたよ。…………言っておきますが陛下、私は何もしていませんよ」
キキョウ「そうですよ。いつも私たちが脅しているみたいじゃないですか」
リー「ランスは儂が少し仕事をさぼっただけで怒るし、リナリアとキキョウ、ライに至っては………………時々、脅すよね」
4人が一斉に顔をそむける。それを他の国の王(知っていた、ローンとアラ以外)たちは呆気にとられていた。そんな中、終始冷静だったコクトは改めていまだ戦っている、2人を見ながら
コクト「…じゃ、止めますよ。いやはや、左手と右足を吹き飛ばされてもまだ戦ってるよ」
ヒメユリ「あ、あの…ヒジリは大丈夫でしょうか」
リア「大丈夫でしょう。あの程度…コクトと戦ってた時なんかもっと酷かったわよ」
コクト「…………………そうだったか。で、止めていいんですね」
ランス「あ、あぁ。頼む」
その答えを聞くとコクトはその場から消える。次の瞬間ヒジリとヒエンがまさに攻撃を繰り出そうとしているところに現れると、2人の腕をつかみ攻撃を止める。その行動にリー陛下とランス達(ローンとヒメユリ、アマリリス達以外)は呆気にとられる
コクト「2人ともそこまでだ。よく、ここまでやり合えるものだ…………人のこといえないが。リー陛下が2人に話があるそうだ」
ヒジリ「…………コクト邪魔するな。今いいところなんだ」
ヒエン「………誰だか知らないが、止めないでもらおうか…ヒジリの言うとおりいい所なんですから」
コクト「はぁ…………(ゴンッ)…ちょっと落ち着け」
いまだ戦いを止めようとしない2人をコクトは頭を思いっきり殴り、2人を落ち着かせる
コクト「…落ち着いたか」
ヒジリ「あぁ…で、どうしてここに」
ヒエン「ヒメユリ姫の婚約者がどうしてここに」
リア「…貴方達がいつまでも戦ってるからでしょう…まったくよくもまぁこんなになるまで…」
シア「よく生きてるわね。ま、当然よね。お父様からお話があります」
リリス「…大丈夫ですかヒジリ……………………ヒエンも」
それから、2人に対しリー陛下はこの試合のことを話、さらに謝罪。そして、今回は特別としてこのグループに限り2人を合格とすると発表があった。が、傷が傷だけに治療に集中していた2人は聞いておらず。あとでイクシアとアマリリスからその事実を聞いた
ヒエン「いつも見て、疑問に思っているけど…その腕いったいどうなっているんだ」
ヒジリ「ん、あぁ、これは治療用の術式を組み込んだ腕だからな。両腕が吹き飛んでも、生きていれば治療できる優れものだ…すごいだろう」
エン「その前にそんな風にならないようにしろ」
コクト「まったくだ。まぁ、便利と言えば便利だな」
ヒジリの背中から生えて、ヒエンの腕を再生させている腕を見ながら全員が非常識な考えをしているヒジリにあきれ返っていた
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今更だが、タイトルを決まったので編集してみた
騎士試験の本選がいよいよ始まる。ヒジリ達も4つのグループに分かれそれぞれ優勝を目指す。仕合を終わらせた2人は彼らの様子を見ようと試合会場で司会者を守りながら観戦していた。しかし、誰かの陰謀により2人だけは同じグループになったと知らず、2人は試験であることを忘れ本気で戦いを初めてしまう。