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デジモンクロスウォーズ 絆の将と魔道の戦士

第十話 機動六課のとある休日 中編

2012-09-14 20:50:17 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1486   閲覧ユーザー数:1482

エリオとキャロからの連絡をもらったタイキ達は、その足で件の現場へと向かった。そこには、体中傷だらけの幼い少女が倒れていた。

「この子が例の…」

タイキが屈んで少女の様子を見ていると、

「傷がひどいっキュ。」

クロスローダーからキュートモンが現れた、

「キズナオール!!」

そして自分の手を緑色に発光させ、触れた場所の傷をふさぎ始めた。

「傷は治したけど、疲れが溜まってるみたいっキュ。しばらくは起きないっキュ。」

キュートモンはこう言ったが、命に別状は無いと分かっただけ良かったと、その場にいた面々は思った。

その後、少し遅れてきたスバルとティアナ、機動六課隊舎に残り「インペリアルドラモンの爪の欠片」の調査に専念していたデジモン達も合流し、皆で地下へ突入し、少女が地下に置いてきてしまったレリックを探しに行くことにした。

少女は後からやってきた、なのは、フェイト、シャマルに預け、機動六課のフォワード四人と、クロスハートのデジモン達は地下へと赴いた。

「みんな、短い休みは堪能できた?今からはお仕事モードで行くわよ!!」

ティアナの言葉を受け、一同は張り切って進んでいった。しかし場所は地下道、暗いため足元が危ない、

「チビカメモン、ブルーメラモン、デジクロス!!」

なのでタイキは、クロスローダーよりリロードしたデジモンをデジクロスさせた、

「コウランプ、チビカメモン!!」

クロスローダーの光が収まると、頭のヘルメットと背中の甲羅が光るようになったチビカメモンが現れた。

そのままチビカメモンを先頭に進んでいったとき、

「タイキ、向こうの角に誰かがいる。」

突然ワイズモンがクロスローダーの中から言った。

「え?」

「まさかお化け?」

皆が緊張状態に包まれる中、件の角から現れたのは、緑色の体をした頭のデカい妖怪、では無く、

「あ、タイキ殿。」

以前ホテル・アグスタの警備に言った時、召喚魔法を使う魔道士を探しに行ったモニタモン達だった。

「モニタモン、なんでお前達が?」

と、タイキが彼らに訊ねると、

「前に追うように言われた魔道士らしき人物がここに来ているんですな。」

と告げ、

「そしてこれが我々が追っている魔道士ですな。」

自分の頭部を構成しているモニターに、黒い服を着た長い紫色の髪の少女、の映像を映した。

「この子が……」

「んで、こいつの名前は分かるか?」

スバル達が少女の顔を覚えている中で、シャウトモンが訊いた。

「遠目だったのでよく分かりませんが、同伴していた人物は皆、ルーテシア、と呼んでいたはずですな。」

「ルーテシアか。」

タイキは彼女を見ながら思った、かつてデジタルワールドで共にバグラ軍と戦った「天野ネネ」の、自分と初めて会ったときの雰囲気と、彼女の雰囲気が似ていると。

「それより、ここからは我々に付いてきてほしい。モニタモンの探査能力はここでは重宝するだろう。」

ワイズモンにこう言われたモニタモン達は、タイキ達についていく事になった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、再び地下を進んでいる時、

「何か来ますな!!」

突然モニタモンが言った。

そして、怪物が暴れているような騒がしい音を響かせながら、怪物と言うには無理がありすぎる美しい容姿の少女が現れた。

騒がしい音の正体は、彼女が壁を破壊しながら進んできた音である。

「あ、ギン姉!」

スバルが親しい相手に会ったように声をかけた。

「あの、こちらはどなたで?」

初対面のタイキはティアナに訊ねた。

「この人はギンガ・ナカジマ。スバルのお姉さんで、階級も年齢もちょうど二つ上なの。」

と、ティアナは答えた。

「それで、彼は?」

ギンガはスバルにタイキの事を訊いた。初対面なので当然である。

「俺は工藤タイキ。」

「俺はシャウトモン。」

「バリスタモン。」

「ドルルモンだ。」

「チビカメモン、カメ。」

「モニタモンですな。」

「ワイズモンだ。」

とりあえずその場にいる面子は全員簡単に挨拶した。

 

 

 

 

 

 

 

ギンガと合流した面々は、ひときわ広い場所へとやって来た。

「この辺りに大きいエネルギーの反応がありますな。」

辺りを見回したモニタモンは皆にこう告げた、

「となると、レリックはここに。」

ドルルモンがこう言った途端、

「カメー!!」

チビカメモンが大きくふっ飛ばされ、そのまま気絶した。

「何かいるぞ!!」

タイキはみなにこう叫び、チビカメモンをクロスローダーにしまい、ブルーメラモンを残してあたりを見回した。

「うわぁ!!」

今度はエリオがふっ飛ばされた、

「どうやらタイキ、奴は素早く動き回ることに優れた奴のようだ。」

ワイズモンはこう分析した、

(動きが素早いと明るくても捕まえることは難しい、どうすれば)

タイキがこう考えている間にも、謎の襲撃者は次々と皆に襲い掛かっている。

「タイキ、このままじゃやられちまうぜ!!」

シャウトモンが叫んでいるのを見たタイキは、

「閃いた!!」

一つ作戦を思いついた、

「シャウトモン、ドンドコモン、デジクロス!!」

タイキはクロスローダーを掲げて叫んだ。シャウトモンが光に包まれ、クロスローダーから飛び出た光と一つになると、太鼓のような姿をしたシャウトモンが現れた。

「ドンシャウトモン!!」

ドンシャウトモンは両手に持ったバチで自分の頭をリズムにのって叩き始めた。

「エリーゼのためにぃ~~~!!」

本人は”エリーゼのために”を演奏しているつもりなのだろうが、彼の演奏はリズムはあれど優雅さの欠片も無い騒がしいものである。

そのうちに、タイキ達のいる空間に黒い影が現れ、しまいには停止し黒い昆虫のような生き物が現れた。

「あ、アイツは!!」

クロスローダーの中でディアナモンは声を上げた、

「この前骨董品盗んでいった奴!!」

ホテル・アグスタの警備のさいに、一度立ち会った事があるのだ。

「やっちゃって、ガリュー。」

するとガリューと呼ばれた生き物の後ろから紫の髪の少女が現れた。彼女はモニタモンの録画した映像と同じ姿をしていた。

「君がルーテシアか?」

思わずタイキはこう訊いた。改めて見た彼女の雰囲気が、天野ネネそっくりだった為、いわゆる「ほっとけない」が発動したのだ。

「だから?」

ルーテシアがこう言うと、

「なんで君はレリックを求めるんだ!?」

タイキは次の質問をした、

「関係ない。」

しかしルーテシアはタイキの話に耳を貸そうとしない。

そしてガリューも、問答無用と言わんばかりに襲い掛かってきた。それでも、先ほどのドンシャウトモンの演奏のショックが残っているのか、スピードは間違えなく鈍っている。

「姿さえ見れればこちらのもんだ。」

タイキはこう言ってクロスローダーを掲げると、

「シャウトモン、バリスタモン、ドルルモン、スターモンズ、ディアナモン、デジクロス!!」

と叫んだ。

結果シャウトモン×4は一回り小柄になり、体つきも細くなり頭部は竜のような形に変わり、両足にはグッドナイトシスターズが装備され、スターソードはディアナモンの鎌を取り込んだ形状に変わった。

「シャウトモン×4A(アサシン)!!」

シャウトモン×4Aはガリューを見据えると、鎌のようになったスターソード「スターハーケン」を弓のように使ってガリューに狙いを定めた。

「ちょ、相手はスピードが速い相手なのに、狙撃しようとしたらよけられる。」

ティアナはシャウトモン×4Aにこう言ったが、当の本人は落ち着いている。ガリューの爪がシャウトモン×4Aを切り裂こうとした時、

「遅いうえにかかったな、罠に。」

と言うと、右手に持っている矢と思われる物を逆手に持ちガリューを斬りつけた。ガリュー本人はうまく防いだが、衝撃で大きくふっ飛ばされた。

「これで終わりだ!!」

シャウトモン×4Aは、ガリューにとどめをさそうと飛び出した。しかし、スターハーケンがガリューに触れる寸前で、突然発生した大きな炎にふっ飛ばされる事になった。

「ルール―、大丈夫か!!」

続けざまに現れた少女がルーテシアに駆け寄った。大きさはリィンフォースⅡと同じくらいだが髪は赤く、そもそも炎を操った時点でリィンとは別物の融合機であることが分かった。

「アギト。」

ピンチにおいての援軍の到着にも、ルーテシアはほぼ無感情で反応した。

「ルール―、レリックはいったん諦めて地上に戻ろう。この状態じゃちょっとやばいし、本局の魔道士もここに向かってる。」

アギトはルーテシアにこう告げて、その場から立ち去ろうとした。しかし、

「そうはいかん!出番が少ない分活躍させてもらう!!」

ブルーメラモンが二人にめがけて青い炎の塊を投げつけた。

「な!?凍るだと?!」

「凍ってるのに、すごく熱い。」

二人はブルーメラモンの投げつけた「アイスボム」の影響で足元が凍り付いて動けなくなった。

「ナイスですブルーメラモンさん!!」

「あとはアタシらに任せな!!」

そして上層部から、リィンとヴィータが猛スピードで飛んできた。リィンは自身の能力で絶対零度の冷気を発生させ、ルーテシア、アギトの両名を氷漬けにした。

「よし、これで。」

ヴィータが近づいて確認すると、氷の中は何故かもぬけの空だった。その上、氷の一部に隙間のような部分が出来ている。

「逃げやがったか?!」

「おかしいですね?ブルーメラモンさんの氷の拘束は完璧だったはず?」

床にあいている穴を覗き込みながら二人が言うと、

「ああ、しまった!!」

突然ブルーメラモンが声を上げた、それは、

「俺の氷は熱に強いが冷気に弱い事を忘れてた!!」

ブルーメラモンの体が青いのは元々、適度な酸素を含んだ健康的な炎により体温が普通より高いからなのだ。そのため炎の動きが安定しているのとブルーメラモンの能力が相まって一時的に凍ったようになったのだが、リィンの本場の冷気で炎が鎮火してしまい、それで出来たスペースを使ってルーテシアとアギトは逃げたのだ。

「面目ないですぅ。」

リィンは、いかにもがっくりきたと言うポーズを取っている。すると突然、タイキ達のいるスペースが大きく揺れ始めた。

「どうやら地上で人工的に振動を発生させ、ここを潰してしまおうとしているようだ。」

クロスローダーより感じる振動から、何かが地上で何かをしていると判断したワイズモンは皆に向けてこう言った。

「レリック見つけましたー!!」

ちょうどのタイミングで、レリックを探しに行っていたスバルとエリオ、キャロも戻ってきた。因みに、灯りはジジモンの杖にフリードが火をつける事でなんとかしました。

「よし、スバル、ギンガ、上に向かってウイングロードを。」

ヴィータはギンガとスバルにこう言った。丁度自分たちがここまで来るのに使用したルートは、若干斜めになっているとはいえ、ほぼ地面と垂直に近いので最短ルートで地上に出られると思ったからだ。

だが、ここでタイキが、

「いや、もしかすると地上に出たところで不意打ちに遭う可能性がある。俺に任せてくれ。」

と、言ってクロスローダーを掲げると。

「今から出すデジモンにみんなで掴まってくれ。」

と、この場にいる皆に告げ、声の限り叫んだ、

「リロード!!」

 

 

 

 

カットマン

「カットマンと。」

 

モニタモンズ

「モニタモンズの。」

 

全員

「デジモン紹介のコーナ―。」

 

カットマン

「今回のテーマはドンドコモン。ドンドコモンは太鼓の形をした楽器型デジモン。得意技は聞いた者のテンションを上げる「ドンドコ音頭」演奏を邪魔するものを衝撃波で成敗する「乱れ打ちラッシュ」だ。」

 

モニタモンA

「ドンドコモンの太鼓の音は、聞いた者のテンションを上げる効果がありますから、競技会では盛り上がりますが、間違って喧嘩の場にでも現れたら収拾がつかなくなりますな。」

 

モニタモンB

「頭を叩くわけだけど痛くないのかな。」

 

カットマン

「そういえば、前回お前らどこにいたんだ?」

 

モニタモンC

「ルーテシアを追い回してましたな。」

 

カットマン

「そうなんだ。」

 

全員

「それじゃあまたね。」

 

 

 

次回予告

戦いの舞台は地上に移行。新しいデジモンの絆のパワーアップと、メデューサモンのブルーフレア時代の幻のデジクロスが登場する。

 

次回「機動六課のとある休日、後篇」

 


 
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