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ぬこの魔法生活 第34話

pluetさん

A's編

2012-09-13 19:02:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4002   閲覧ユーザー数:3583

 ◆ 第34話 NO WORK NO LIFE ◆

 

 

 ご主人のひざの上からこんにちは。どうも、みぃです。

 

 本日はご主人と一緒に八神家に遊びに来ています。

 そのため闇の書の「 や 」の字も出てこないのですよっと。

 

 現在、ちびっこ組(ご主人、はやて嬢、ヴィータ、ユーノ)がやってるスマ○ラを観戦してる所なのです。

 ご主人のサ○スの操作が玄人過ぎる件について。

 というか、何故か砲撃をぶち込まれるネズミに既視感を覚えるのですが……深くは考えない事にします。

 そんなご主人が無双状態! というわけではなく、はやて嬢がヒゲのパイプ配管工で善戦しています。

 「やりこむ時間はたっぷりあったからな!」と言っていたはやて嬢に全ぬこが涙した。

 で、他二名はというと……

 

 「うわっ、はやて! こっち来んなぁ!」

 「わはは、ハンマー無双や!」

 「こんなところにセンサー爆弾が!?」

 「えへへ、引っかかったの」

 

 そこにはハンマーから逃げ回る電気ネズミと、ご主人にうまく誘導された超能力野球少年の姿が……!

 ゲーム初心者に対しても接待プレイとかしないご主人達、そこに痺れる、でも憧れない。

 どう見ても弱いものいじめ、カッコ悪いです……

 

 それにしてもただ見てるだけというのも暇なものである。

 この猫ぼでーではゲームなんてできないし、ご主人もゲームに夢中で構ってくれないし。

 ……構ってくれないし!

 

 そんな事を考えているとふと、机の下で丸まっているザフィーラさんが目に入った。

 そういえば、ザフィーラさんとまともにお話をした記憶がない気がしますね。

 はっ、このままでは空気になってしまうんではなかろうか!

 ただでさえ、男性陣は影が薄いと言うのに……ただし、ぬこは除く。

 というわけで、出番の少ないザフィーラさんの救済のためにお話しに行く事にするよ!

 

 「みぃ君、メタな発言はしちゃダメだよ?」

 (……申し訳ないです)

 

 

 ◆

 

 

 (そんな訳でお話しにやって来ましたよ!)

 「……どういう訳だ」

 

 意味が分からんぞ、と律儀に突っ込んでくれるあなたは優しい人です。

 

 (まぁ、あまりお話してないのでこれを機にと思いまして)

 「ふむ、つまり暇だったわけだな」

 (……否定はしないです)

 「別に構わんが、何か話す事があるのか?」

 (話す事と言うか、訊きたい事があったりするんですが)

 「何だ?」

 (そのですね、そっちの犬の姿から人になるのってどうやるんですか?)

 「犬ではない、狼だ。というか、お前はできないのか?」

 (まぁそうですね。以前知り合った使い魔の人に訊こうと思ったまま忘れてたのです)

 「そうか。しかし……」

 

 急に思案顔になるザフィーラさん。

 そんな言いにくい事があるんですかね?

 

 (言いにくい事だったら別にいいですよ? 言わなくても)

 「……いや、これはだな、なんというか感覚的に使っているんでな」

 (……自分でもどうやってるか教えられないと)

 「うむ……」

 

 使えな…ゲフンゲフンッ……残念です。

 しかし、この分だとアルフさんに訊いても同じことを言われそうですなぁ。

 どうやらぬこの人化は実現しそうもないです。

 

 ……別にスマ○ラがやりたいからなりたいんじゃないよ?

 人の姿の方が翠屋とかでのお手伝いの幅も広がるなって思っただけなんです!

 ……ホントですよ?

 

 「スマンな」

 (いやいや、ぬこも無理言って申し訳ないです。

 あ、そういえばヴィータから仕事探してるって訊いたんですがどうなったんですか?)

 「あぁ、つい先日見つかったところだ。いつまでも主のお世話になるわけにはいかないからな」

 

 どこで働いてるか訊いてみると、夜間の工事現場のバイトをやってるとのこと。

 すごく、似合ってます……

 というか、履歴書とか大丈夫だったんだろうか?

 見た目は外国人なんで労働ビザみたいなのがいるんじゃないんですかね? よく知らないけども。

 

 「いや、私もそう思ったのだがな。

 主任殿に事情を説明する前に『みなまで言うな!あんたの目を見れば分かる……』と言われてだな、気がついたら雇われていた」

 (何それ怖いです)

 

 いい人過ぎるだろ。

 これが海鳴クオリティーかッ!

 

 (ま、まぁ、何にしてもお仕事が見つかったならよかったですね)

 「私はな……」

 (……?)

 

 よく分からんが、誰か大変な事になっているんだろうか?

 そんな事を考えていると玄関の方から声が。

 

 「ただいま戻りました……」

 

 どうやらシグナムさんが戻ってきたようである。

 でも、なんかいつもの凛とした声じゃなくて疲れてるように聞こえたけども。

 

 (お帰りなさいです。お邪魔しておりますよー)

 「あぁ、お前達か。よく来たな……」

 (なんかだいぶお疲れのようですね……。何かあったんですか?)

 「いや、なんでもない。この程度で音を上げるわけにはいかんのだ……」

 (まぁ、よく分かりませんが、ご苦労様です。

 あ、そうだザフィーラさんはお仕事が見つかったって訊きましたけど、シグナムさんはどうなんですか?)

 (ま、待て! シグナムに言っては……!!)

 (ん?)

 

 なんかまずい事でも言っちゃったんですかね?

 仕事云々に関してはシグナムさんが言い出したって、ヴィータが言ってたんですけど。

 

 「ザフィーラに仕事が見つかった……だと?」

 (ヒィッ!? こわッ、シグナムさん顔怖いです!?)

 「ザフィーラ……」

 「な、なんだ?」

 「本当か?」

 「……あぁ」

 

 ザフィーラさんの肯定に、戦慄したまま固まったシグナムさん。

 と、思ったらブツブツ呟き始めた。

 全く自体が把握できていないぬこはザフィーラさんに念話で話を訊く事に。

 

 (な、何がどうなってるんですか!?)

 (……シグナムの仕事がなかなか見つからないのだ。

 それで日ごろから思いつめていたようでな、私の仕事の事も黙っていたのだ……)

 (それでアレですか……?)

 

 「馬鹿な。将である私が職を得られないと言うのにザフィーラは得られたと言うのか。犬に犬に負けたと言うのか犬に」

 

 呪詛のごとく呟き続けるシグナムさん。

 

 (不況の荒波がこんなところにも)

 「なぜここまで言われなければならんのだ……」

 

 さすがに、こんな負のオーラを撒き散らした状態の人をご主人達に見せるわけにもいかないので、ぬこはフォローをする事に。

 

 (あ、あの、シグナムさん? その、大丈夫ですよ! シグナムさんならもっといいところで働けるはずです!

 逆に雇わなかったことを後悔させてやればいいんですよ!)

 「……うだ……」

 (え?)

 「20だ。私が断られた仕事の数が……」

 (ぅゎ……)

 「なぜだ、なぜ面接までいって悉く断られるのだ!」

 

 ……魔眼王は何社落ちたんだったか。

 あぁ、でも面接までいってるならまだマシなのか?

 しかし、いっちゃなんだけど所詮はアルバイトの面接だろうに。

 よっぽどの事がなければどこかには引っかかると思うんですが……ちょっと訊いてみますかね。

 

 (ほむ、ちなみにどんな受け答えをしたんです?)

 「私は正直に話したぞ。例えばだな―――」

 

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 

 

面接官「特技には戦闘技術とありますが……」

シグナム「はい、戦闘技術です。主に剣を用います」

面接官「……その戦闘技術は当社で働く上でどのようなメリットが?」

シグナム「はい、敵が何人立ち塞がろうとも撃破して見せます」

面接官「当社には襲ってくる輩はいないし、人に危害を加えるのは犯罪ですよね?」

シグナム「しかし、ヴォルケンリッターの将が戦力になるのです。心強いでしょう」

面接官「戦力を必要とした覚えはありません。そもそもヴォルケンリッターって何ですか。大体……」

シグナム「闇の書の主に仕える騎士の事です。雲の騎士と言う意味です」

面接官「訊いてません。もう帰ってください」

シグナム「……いいのか? 私を怒らせて? レヴァンティンで紫電一閃してしまうぞ?」

面接官「いいですよ。使ってください。それで満足したら帰ってください」

シグナム「……運がよかったな。主より人の迷惑になる事はするなと言われている。主に感謝することだ」

面接官「帰れよ」

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 

 

 「全く、失礼な奴だった……。今思い出しても腹立たしい」

 (……)

 (……)

 

 ダメだ、この人早くなんとかしないと……

 ザフィーラさんとぬこの心境が一致した瞬間だった。

 どう考えてもシグナムさん側に問題がある件について。

 

 (控えめに言わせてもらいますけど、あなた方の将は大丈夫なんですか?)

 (言うな……)

 

 そこは嘘でも問題ないと答えて欲しかったです……。

 

 (このままでいいんですか? 下手したら警察沙汰じゃすまないですよ)

 (私に言われてもだな……)

 「む、さっきから何をこそこそと話している」

 『何でもありません』

 「それならばいいのだが……」

 

 怪訝そうな顔をしたシグナムさんだったが、はやて嬢の様子を見に行ったので、その隙にザフィーラさんと相談する事に。

 

 (くっ、何かいい方法はないのか!)

 (普通にシグナムさんに常識を教えるというのは?)

 (できると思うか?)

 (無理ぽ)

 

 というか、できたらこんな相談もする必要はないのである。

 

 (いっその事働かせないという手はないんですか?)

 (無茶を言うな。シグナムが言い出した事なのだぞ?)

 (ですよねー)

 (どうしたものか……)

 

 ぐぬぬ、面倒な事になりました。

 シグナムさんに面接の練習をさせる?

 いや、そんなものでどうにかなるなら、20社とか落ちるわけがないですよね。

 大体、ぬこたちにシグナムさんを御せる訳もなし。

 うーむ。となれば―――

 

 (! ここは発想の逆転です。シグナムさんをどうにかするんじゃなく、シグナムさんを御せる所で働かせるんです!)

 (そんな都合のいい場所があるはずが……)

 (あるのです)

 (何、本当かッ!!)

 (えぇ、ウチの店ならきっと。お母様がいますから)

 (む、高町の母上か? 確かに立派な御仁のように見受けられたが……)

 (大丈夫です! ウチのお母様は最強ですよ。

 まあ、それにもし無理だったらどっかの道場かなんかで講師みたいな事ができるかもしれないですし……)

 (……そうか、ならば頼めるか?)

 (承りましたよっと)

 

 とりあえずご主人と相談してからですよね。

 ちょうどヴィータとユーノがCP相手に練習しているため、休憩していたご主人に早速相談する事に。

 

 (ご主人ご主人、ちょっといいですか?)

 「ん? どうしたの? みぃ君」

 (確か翠屋のアルバイト募集ってまだやってましたよね?)

 「翠屋の? えーと……あぁ、そういえば、お母さんがなかなか集まらないって言ってたよね。それがどうかしたの?」

 (実はですね……)

 

 シグナムさんには悪いけど、事の次第を全部伝える。

 さすがのご主人も顔が引き攣っちゃってますがな。

 

 「そ、そうなんだ……。そういう事ならお母さんに訊いてみるけど、シグナムさんには伝えたの?」

 (あ、まだです。先にご主人に訊いてからにしようと思って……)

 「そうなんだ。それじゃ、シグナムさんに伝え―――」

 「ちょう 待った!」

 「え?」

 「話は聞かせてもろーた!」

 (……出待ち乙としか言いようがありません)

 

 さっきから聞き耳を立てて、出待ちをしていたはやて嬢が入り込んできた。

 どうでもいいが、このはやて嬢ノリノリである。

 

 (どーしたんです?)

 「フフフ、折角やから内緒にして吃驚させたい!」

 「あはは……」

 (いやまぁ、別にいいんですけど……何故に?)

 「だってな? どーせシグナムの事やから「わ、私にはこのような仕事は似合いませんッ」とか言って断るんが目に見えとるもん」

 (む、確かに言いそうです)

 「そうかなぁ? 背も高いし、似合うと思うんだけど……」

 「ま、そういうことやから内緒にしよ?」

 

 にひひ、と笑いながらも割とまともなことを言うはやて嬢。

 ……うーむ、ちょっとつついてみよう。

 

 (本音は?)

 「そっちの方が面白そうやから!……ハッ!?」

 「はやてちゃん……」

 「謀ったな! 謀ったな、みぃ君!」

 (フハハ、引っかかるほうが悪いのだよ!)

 

 怒ったはやて嬢が車椅子で追いかけて来たので、逃走を開始する!

 

 

 

 

 しかし、5分後……

 話が進まないとご主人に二人して怒られたので止める事に。

 そしてご主人のプレッシャーに二人して生まれたての子鹿の如くプルプル震えているのです。

 

 「もうっ! ちゃんと反省する!」

 (うぅ、申し訳ございません……)

 「わはは、怒られとるー」

 「はやてちゃんもッ!!」

 「ゴメンナサイ」

 

 ここではやて嬢をバカにすると無限ループに陥るので話を戻す事に。

 

 (んで、結局内緒にするって事でいいんですか?)

 「うん。あ、でも、桃子さんに言っとかんとあかんな」

 「じゃあ、わたしから事情を話しておくね」

 「なんや、なのはちゃんもノリノリやん」

 「えへへ、実はちょっと楽しみかも」

 

 舌を出してはにかむご主人。

 むぅ、可愛らしいではないか……。

 

 「それじゃあ、予定が決まったら電話するね」

 「うん! あぁ、楽しみやな~」

 「? 何がですか?」

 

 いつの間にかシグナムさんがこちらにやって来てしまっていた。

 いきなり計画破綻の危機ある! あわわッ!?

 

 「な、なんでもないんよ。今度はなのはちゃんのうちに遊びに行こうって話してただけや」

 「そうなのですか……」

 「そんときは皆で行こうな?」

 「よろしいのですか?」

 「もちろんや!」

 

 ……あるぇ?

 話を逸らしたと思ったら、いつの間にかシグナムさんを連れ出す口実をが作られているんですが。

 というか、はやて嬢、もしかしなくても皆でシグナムさんの仕事姿を鑑賞するつもりですか……?

 なんというかブラックストマックすぎる。

 ご主人がこんな風になりませんように。

 え? もう遅いって? そんなはずはない! ご主人に腹黒が装備されたら、ぬこ首吊るしかないよ!

 

 とまぁ、そんなぬこの心の叫びはさておき、とりあえずその日は、解散する運びとなったのである。

 ご主人が帰ると言った時にヴィータが「もう帰るのかよ!まだ勝ってねーのに!!」とかなんとか、負け犬みたくキャンキャン言ってたのが印象的でした。

 

 それにしても、ヴィータも丸くなったというか懐きましたねぇ……。あんなに警戒してたのに。

 本人は真っ赤になって否定するだろうけど。

 と、そんなことをご主人と話しながら家路に着くのであった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『後日談』

 

 後日、翠屋にはピンクの髪の美人ウェイトレスさんが現れ、大いに賑わう事となった。

 当の本人は顔を赤くしながらもきっちりと仕事をこなしているようだ。

 

 

 『後後日談』

 

シャマル「ど、どうして!? わたしはダメなのに!シグナムだったらいいんですかぁ!?」

八神家+ぬこ『…………(ジー』

シャマル「うぅ…ごめんなさいぃ…」

 

 どっとはらい

 

 

 

 

 ◆ あとがき ◆

 読了感謝です。

 シグナムが翠屋に就職したよ! やったね、みぃくん。従業員が増えるよ!

 そして、シャマルの仕事は家事手伝い。……シャマルとシグナム、何故こんなに差がついたのか。慢心、環境の違い……w

 

 では、誤字脱字などありましたらご報告をいただけるとありがたいです。


 
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