No.481706

fate/zero 〜君と行く道〜

駿亮さん

ほのぼの回(?)です

2012-09-09 11:29:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2565   閲覧ユーザー数:2493

行間1 俺が守るから

 

 

 

 

 

ストンストンと、包丁が野菜を切る音が小気味良く響く。

街外れの空きアパートの一室で鼻歌交じりに料理を楽しむエプロン姿の男がいた。

 

彼の名は藍沢 勇希。この冬木市で繰り広げられている聖杯戦争に特別枠で呼び出されたイレギュラーサーヴァントである。

彼が何故そのような事をしているかというと……

 

 

「ゆーき~。ごはんまだ~?」

 

「はいはい。もう少しで出来るから待っててね~。」

 

桜の昼食を作るためである。

二人が今いるのは、白い壁と天井が新居同然の雰囲気を漂わせるアパートの一室だった。

 

つい先日までただの埃っぽい廃屋だった筈がどうしてこんな事になっているのかというと、それは単にイーターの改ぞ……リフォームによるものであった。

 

幼い少女が生活するには、あのままでは衛生上大変よろしくないという事で、部屋の中だけを徹底的にオラクル細胞で改修したのだ。

 

それにこれは単なる模様替えではない。

勇希がこの場を離れても桜に危険が及ばぬように、このアパート一つをまるごと半アラガミ化させたのだ。

 

この一見買い取られずに長いこと放棄されたアパートは、ほんの一晩の内に、魔術師の工房すらも遥かに凌駕する要塞と化していた。

 

 

「桜~出来たよ~」

 

「わぁ~い!」

 

茶色い木製(見た目)の椅子に座ってはしゃぐ桜の前にお盆に乗った朝食を出す。

今日の献立はご飯と味噌汁、レタスや人参、トマトなどをトッビングしたサラダ、そして目玉焼きにベーコンと、栄養バランスを考えて作られたものだった。

 

ちなみにこれらの食材はちゃんと地元のスーパーで買って来たものだ。

金はどうしたのかと聞かれれば答えは簡単、作ったのだ。

相当な犯罪行為ではあるが、恐らくバレる事は無いだろう。

勇希が作ったのはそんじょそこらの一般人が作る様な物ではない。

見た目、材質、シリアルナンバーに至るまで完璧に仕上げた本物と変わりないような一品だ。

 

しかし、バレないから良いという訳でもない。

法に触れて経済循環を乱す行為なのだから、それ相応の罪悪感はあったが、桜の為ということで割り切った。

 

オラクル細胞で作れるのは分体などを除いた無機質のみ。

その気になれば高度なハイテク機器でも作れるが、流石に食料までは生み出せないのだ。

暫く食料を揃える資金は偽札頼りになるだろう。

 

 

「はぁ……まぁいっか。それがどうしたってんだ。」

 

「どうしたのゆーき?」

 

「いんや、何でもないよ。」

 

ついに開き直ってしまった。

まぁこのままズルズル引きずっていても気が重いだけなので仕方ないのだが。

今は凄惨な殺し合いの真っ最中なのだ。

余計な事を考えている暇は無い。

 

 

「ごちそうさま。おいしかった~♪」

 

「お粗末様。」

 

食器を片付けてテレビ(自作)に向かう。

胡座をかいて座り込み、リモコン(自作)で電源を入れた。

すると、昨晩の事がニュースで大きく報道されていた。

 

 

「謎の爆発事故ね~。これって事後処理とかどうすんだろ?」

 

桜「ばくはつじこ?じごしょり?」

 

いつの間にか俺の膝の上にちょこんと座っていた桜が上目遣いでこちらを見ながら首を傾げる。

 

 

(なっ!?俺が気配に気付かなかっただと!?お前はアサシンか!Σ(・□・;))

 

「ねーねーゆーき。ばくはつじこってなんのこと?」

 

「そ、それはだな。理由は分からないけど、いきなり物がドカーンって吹っ飛んだりする事を言うんだよ。」

 

「う~ん……よくわからないけどあぶないことなんだね。」

 

「そうだね~怖いね~危ないね~(苦笑)」

 

桜の、気配遮断スキルでも使っているかのような動きに軽く動揺しながら、勇希は相槌を打つ。

ちなみに気付いたとは思うが勇希は桜に真名を明かしていた。

曰く、自分のマスターにクラスで呼ばれるのは何だか余所余所しくて寂しいからとのこと。

 

イーターが本名ではないのかと聞かれたが、芸名みたいなものと説明したら納得された。

その時勇希は、この歳で芸名が分かることに軽い驚愕を覚えていたが。

 

何はともあれ、知り合って一週間と経っていない今現在に於いても、二人の関係は良好だった。

それ故に彼は桜に話したのだった。

 

聖杯戦争のことを

 

初めこそ不安がられたが、自分が必ず守り抜くと言い聞かせたらすぐに安心した表情を見せた。

ほんの一晩でえらく信用されたもんだと思ったが、そこまで信じてもらえたならば僥倖だ。

しかし、話したと言っても、伝えたのはあくまで表立った情報だけだ。

バトルロワイアルの意味だとか、アンリ・マユだとか、そういうのは流石に理解のしようが無いだろうと判断したからだ。

 

 

「なぁ桜……」

 

「なに?」

 

「もういっぺん聞くようで悪いんだけどさ、怖くないのか?聖杯戦争とか。」

 

「こわいよ。こわいけど……」

 

「けど?」

 

「ゆーきがいるからへいき!」

 

そう言って笑いかけるマスターに、勇希は思わず苦笑する。

何を辛気臭い雰囲気になっていたのかと、先程までの自分が酷く愚かに思えた。

 

結局の所は自分が守り抜けば問題無い。

そう結論づける。

 

 

「よし!桜、w○iやろうぜ!」

 

「やるやるー!」

 

暗い話題は放り投げて、勇希は桜とゲームに勤しむのだった。

 

 

 

 

 

 

 

とあるテニスゲームの最中

 

 

「えい!」

 

「馬鹿な!サーブが逆方向にバウンドしただと!?」

 

「まだまだだね……(キリッ)」

 

「ちょ…!?どこでそんなセリフ覚えたんだよ!?」

 

「おねえちゃんがこういうときにはこのセリフだっていってた。」

 

勇希「おいぃぃぃぃ!!お姉ちゃんよお!そんなことまだ教えなくて良いでしょ!桜がこの歳で厨二病になったらどうしてくれんだよ!!( ;´Д`)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい。今回はほのぼの(?)回でした。

一応こういうの入れとかないとなんだかんだで桜と勇希の絡みが極端に少なくなっちゃうんだよね。

あと勇希君をちゃんと名前呼びにしました。

だってせっかく本名設定したのに使わないんじゃぁ何か可哀想じゃん?

まぁ他の人には名乗ってないから桜以外には普通にイーターって呼ばれますからあしからず。

次回はあのデメキンストーカー魔術師をSE☆I☆BA☆Iします。

それじゃぁまたね~(^-^)/

 

 

 

 

 


 
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