No.481704

人類には早すぎた御使いが恋姫入り 三十六話

TAPEtさん

もう最終回近いな・・・

2012-09-09 11:28:35 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:5175   閲覧ユーザー数:4238

一刀SIDE

 

混乱しているだろう連合軍の姿を後にして、董卓軍の騎馬隊は洛陽へ向かっていた。

足が遅い歩兵と補給隊を後にして、最速で董卓の居る洛陽に戻るため張遼たちは後ろの部隊を信頼する部下たちに任せ、先に騎馬隊を先駆けた。

 

そうやって5日後、騎馬隊はボロ雑巾のように崩れている洛陽の城に辿り着いた。

 

洛陽がこうも荒れているのは他の理由ではない。董卓の騒ぎ以前より何進と十常侍の間の争いがあって、その以前には黄巾の乱があった。続く戦いの渦巻きの中で疲弊した漢の都は誰も修復することも考えなかったのかそのまま崩れた城壁を夜風と雨に当たらせていたのだ。

 

まるでこの国の未来を示している様だ。

 

「一刀、降りて」

 

先に馬から降りた呂布が俺に手を貸したが、俺はそのまま馬から降りようとした。

 

「…っ」

 

でも途中で体に力が抜けた俺はそのまま馬から落ちそうになった。

 

「…一刀!」

 

幸い呂布が体で私を支えて俺は地面とキスする状況は避けることが出来た。

 

「……大丈夫?」

「…董卓はどこに居る」

 

呂布は私を抱きついたまま離れなかった俺は無理やり奴を振り払って張遼に聞いた。

 

「洛陽で一番安全な場所や」

「だろうな。…さっさと行こう。俺もそう長くは持たない」

「は?」

「…暇じゃないと言ったんだ」

 

俺は洛陽の城門へ向かった。

 

 

霞SIDE

 

「無愛想なやっちゃな、まったく」

 

城門へと歩いて行く北郷を見て、ウチはそういうた。

ここまで来るまで恋と馬の上でも一言も喋らんかったし。

 

「恋殿?」

「……」

 

そう思っていた頃、恋が北郷の方に走っていった。

 

北郷の方に目を移したらさっきまでなんともない様に歩いていた北郷が力を無くして前に倒れそうになった。

 

「北郷!」

「…っ」

 

走っていった恋が支えてなければ北郷は手を袴に突っ込んでそのまま砂の地面に顔を埋めてたやろ。

 

「アンタ、どうしたん?大丈夫か!」

 

ウチは恋と北郷の方に近づいた。

 

「一刀」

「……」

「大丈夫?」

「…最高だ」

 

いや、どう見てもおかしいやろ。

今の倒れ方は尋常じゃないで。単に足元が狂ったんじゃねえやろ。

 

「アカン、あんた休んだ方がええ」

 

ろくに喰いも休みもせきず走ってきたんや。ウチも月のことばかり頭に入っててこいつが怪我人ってことをすっかり忘れとった。

そんなん倒れて当たり前やないか

 

「…さっさと董卓に案内しろ」

「だから休んでから…」

「張文遠、今お前が心配すべきは俺じゃなく董卓なはずだ」

 

恋に手助けされたまま北郷はウチを睨みつけた。

ウチの気遣いなんざ不用って顔で、蔑むような目でウチを見ていた。

 

「…わかった」

「霞」

「本人が言ってることやろ。ウチは知らん」

「……」

 

恋は心配そうに北郷を見たが、奴はそれも構わないって顔で恋を振りきって歩き始めた。

 

一体何がコイツをこんなに執念深くさせるん?

 

 

 

月、賈詡っちには先に伝令を入れておいた。

変なのを一人連れてくと…でもその変なのがウチらを助けてくれるかもしらんと。

 

洛陽の街は外から見る以上に酷いもんで、餓死して死んじまった死体が街のあっちこっちに転がっていて、十常侍たちの戦いで燃えた家や施設なども再建できずにそのまま残材が残ったる。

これが漢の都ってわけか。ほんまこの国ももう終わっとるわ。

 

「ねね、部隊は休ませておけ。ウチらは月のところに行くわ」

「分かりましたぞ」

 

ねねに連れてきた部隊を任せてウチらは月の屋敷に向かった。

 

・・・

 

・・

 

 

「張遼さま、お待ちしていました!」

 

月の屋敷の前に行くと、警備の兵がそう言った。

 

「董卓さまが中でお待ちしております。こちらへ」

「ああ、」

「……」

 

中に入ると、外の風景とは違う新天地がそこにあった。

整頓されてる花壇や鯉が泳ぐ池。

荒れた外の土地と違って緑で染まった中庭。

 

ここは元々張譲の屋敷だったものや。

 

天水からウチらが洛陽に来た時、皇帝を誘拐して逃げようとしてた張譲は、ウチを見て皇帝を放っておいてどっかに消えちまった。

それから奴がどうなったからわからへん。

でも、多分アイツが袁紹を煽ってこの連合軍が集まったと見て間違いはないやろ。

あの時ウチが奴を捕まえていれば、月がここまで苦しむこともなかったかもしらへん。

 

「こちらでお待ちしていてください。賈詡さまにお伝えします」

 

ウチらを池の真ん中に繋がってる亭子で待つように言って、警備は去った。

 

「善人という割には、結構いいところに住んでいるな。外とは大違いだ」

「皮肉ってくれるやないか。ここが洛陽で一番安全なんよ。万が一のことがあってもここにいたら隠れるなり逃げるなり出来るし」

 

この屋敷から洛陽の外に出る隠れ道が三つもあった。

 

「その割にはいい具合にハマったようだが」

「…は?」

「番人をやってる中で俺を怪しいと思わない奴は、偽物か目が見えないかのどっちかだ」

「そりゃ、アンタがウチらと一緒に居たから…」

 

いや、待って。そう言われてみればおかしい。

 

月が屋敷に居るんやったら居る部屋に案内すればええ。なんでウチらをここで待つようにさせたんや?

 

「…あぁ…やられたわ…」

 

ウチがそう言った時、池の中に潜んでいた兵たちが飛びかかってきた。

 

一斉に投げられた短戟を見て、ウチは身を伏せ、恋も北郷と一緒に倒れる形で身を伏せた。

 

「っ!恋!」

 

ウチは北郷を真ん中に置いて恋と北郷を囲むように構えた。

 

相手は六人。

全員投げ道具を持ったる。

池の周りから亭子を囲っていてここから出るのも難しそうやし、こっちには北郷も居る。

強行突破しようにも……

 

「つーか一体誰や。こんなことを仕掛けたんは…」

「…月が危ない」

「取り敢えずここから出るぞ。お前らは董卓の居る場所へ向かえ」

「逃げたくてもアンタのせいで無理だっちゅうねん。それに今の状況で月の居場所なんて分かるはずないやろ」

「知ってる奴に聞けばいい。宮殿に向かえ。董卓が死んでないなら今頃皇帝と一緒に捕まってるはずだ」

「…そうか」

 

相手が何を狙ってるかしらんけど、ここまで来てるんやったらまず帝の方を自分の手中に入れようとするやろ。

 

「じゃあ、向かい先はまず宮殿やな」

「分かったら行くぞ」

「…一刀、危ない」

「せや、お前歩くのもロクにできないやろ」

「………」

 

北郷が黙りこんでる時だった。

池を囲っていた連中の一人が突然池の中に落ちた。

 

ばしゃと水音がしてウチらが驚いてその方を見ると、またその隣に居た奴が池に身を投じる。

いや、自らやってるわけじゃあらへん。あれは…

 

「何者だ!」

「ぐおっ!」

 

次々と倒れていく兵たちの後ろには他の者が居た。

 

「ちっ!こうなれば天の御使いでも…!」

「させません!」

 

最後に残った兵が剣を手戟をこっちに投げようとしたけど、後ろから声がして、一瞬で現れたその者は池に陣取っていた兵をその場で始末した。

何者やアイツら……。

 

「遅かったじゃないか」

「は?」

「まあ、いい仕事をしてくれたから良しとしよう」

 

なんや、北郷、あいつらのこと知ってるん?

 

「おい、あいつら誰なん?」

「周幼平、孫策軍の諜報部隊だ」

「なんやて!」

 

ウチは驚いた顔で最後の奴を仕留めた女の方を見た。

 

 

周泰SIDE

 

洛陽に来るその前、雪蓮さまの命を受けて董卓軍を追おうと準備している頃でした。

 

「明命」

「蓮華さま」

 

劉備軍に行かれていたはずの蓮華さまが予定以上に早く戻られました。

元々なら蓮華さまの顔を見ずに出発ことになるはずでした。

 

「良かった。まだ行ってなかったわね」

「はい。しかし、どうしてこんなに早く戻られたのですか?もしかして劉備軍との話がうまくいかなかったのですか?」

「うまく行かなかったというか…断られちゃったの」

「ええ!?」

 

そんな…劉備やその将たちをこちらで保護するという申し出だったはずです。

袁術や袁紹からの拒否ならともかく、劉備がそれを断る理由はないはずです。

 

「しかし…どうして」

「そういう者なのよ、劉備玄徳は」

「……」

「そして、これではっきりと分かったことがあるわ」

「はい?」

「明命、今から私が話すことはお姉さまにも伝えていないことよ。聞いてくれる?」

「!」

 

……

 

「…なんなりと」

「劉備軍で死んだという将、北郷一刀は生きている」

「!」

「私の言う通りにしなさい。もし彼を見かけたら、なんでも良いから奴に貸しを作っておきなさい。現場の判断はあなたに任せるけど、奴が何を企んでもいるとしてもそれがうまく行くようにあなたが手伝いなさい」

「そんなことを…しかも私に判断を任せるってどういうことですか」

「今回の戦い、もう私たちは望んでいた最小限の目的は達成できているわ。袁術は今回袁紹ほどじゃないとしても大きな被害を受けたし、汜水関での功もある。でも、アイツを助けておけば、それ以上を得られるかもしれないわ」

「しかし…下手すれば私たちも裏切り者だとされて…」

「構わないわ」

「!」

「……後はあなたに任せます。私のいうことを聞いてくれなくても構わない。だけどこれだけは判って頂戴。私はお姉さま程に孫呉の安寧を望んでいるわ」

「……」

 

 

・・・

 

・・

 

 

そう言われて、今に至ります。

罠にハマった董卓軍の将と北郷さんを見て、私は迷いました。

今彼らが死ねば董卓軍は間違いなく連合軍に潰されるでしょう。

逆に、今ここで彼らを助けることは連合軍を裏切るということになります。

一介の将でしかない私の行動によって孫呉の未来が変わるかもしれないわけです。

 

だけど、蓮華さまは……

 

「周泰さま、如何致しましょう」

 

隣で一緒に来た諜報部隊の長が言いました。

 

「…将たちを囲んでいるアイツら。どこの連中か分かりますか?」

「判りません。でも、連合軍の者ではなさそうです」

「……」

 

連合軍でも、董卓軍でもない第三勢力の方……。

だったら…

 

「周泰さま」

「………各自位置へ、奴らを無力化させます」

「御意」

 

ああ、私はなんてことを言ってしまったのでしょう。

下手すれば孫呉の願望は私の手によって握りつぶされるかもしれません。

 

あの時仰る蓮華さまの顔は、言っている自分さえも確信できない何かを言っているそんな不安な様子でしたけど…

 

でも、一つだけ確かな事。

 

声からはっきりと私に訴えていたこと。

 

あの男をここで死なせるわけにはなりません。

 

「ちっ!こうなれば天の御使いでも…!」

「させません!」

 

残った兵の中で亭子に向かって手戟を投げようとする者が居て私は影からその者に向かって駆け出しました。

 

「っ!」

 

手戟は池に落ちて、兵は気絶しました。

 

「遅かったじゃないか」

「…!」

 

亭子で私を見て叫ぶ声を聞いて私はその男を見ました。

まるで私が来るだろうと知っていたかのように…

 

いえ、私で無くても誰かが尾行するだろうと予想するのはそう難しくないでしょう。

でも、この場で私が彼を助けるだろうと思うことは…普通は思わないはずです。

 

「以前は世話になった」

「動かないでください!」

 

亭子から出ようとするその男を見て私は叫びました。

池を囲む兵が変わっただけで、まだ彼らにとって危険な状況なのには代わりはありません。

 

「…なんで分かったんですか」

「お前が助けるだろうとか」

「はい!」

「仲謀にそう言われたのだろ。命令されたことは、例え自分が理解できなくてもこなすのが忠臣というものだ」

「……」

「そしてお前は間違い無く忠臣だからな」

「蓮華さまが私に命じたことをどうして分かるんですか?」

「……それぐらいも出来ない奴なら俺が会いに行ってもない。仲謀は俺が生きている方が自分たちに得だと判断したのだろう。現君主である姉の影にあるからと言ってそれぐらいの判断も出来ないというのなら期待はずれだっただろうがな。その場合は俺の目が節穴だったということだから死んでも構わないだろう」

「…蓮華さまを信じていたというのですか?」

「孫仲謀の器に興味を持っていただけだ。そして奴は及第点を取った」

 

あの男が蓮華さまを見たのは以前突然私たちの陣に来たあの時だけです。後は軍議でちょっとだけ会ったのが全部です。

それだけで蓮華さまがここまでしてくれるだろうと分かったというのですか……

 

蓮華さま、本当に良かったのですか。

こんな人をここで生かしておいて……。

 

「孫仲謀はなんと言っていた」

「……あなたが企んでいることのために出来るだけ助力せよ、と」

「そして現地の判断に任せるとも言っただろう」

「……」

「それで、お前の判断はどうだ」

 

……

 

蓮華さま。

雪蓮さま。

 

「…あなたの企みとはなんですか」

 

 

 

 

霞SIDE

 

連合軍の一員の孫策軍の将。

確か華雄の奴が孫策のことが大嫌いだったな。正確にはそれの死んだ母の方に恨みがあるみたいだったけど。

 

「まさか華雄を殺した孫策の将に助けられるとは思わんかったけどな」

「倒した雲長だが…まあ、興味ない」

 

おいおい。

 

「しかし、こいつらは一体どこの連中なんですか」

「張譲の私兵なんちゃう?」

「いや、張譲は多分死んだ」

「は?」

 

まさか。張譲は袁紹の所に向かったはずやぞ。

それでその袁紹を煽ってこの連合軍を起こしたんじゃ……

 

「こいつらは袁家の兵だ」

「なんやて?」

「正確には、河北の袁家の元老たちの私兵だ」

「何故そんなことが分かるのですか」

 

孫策の将が北郷に聞いた。

 

「袁紹を煽ったのは確かに張譲だった。だけど、その前に袁紹軍の元老たちには企みがあった。だから、張譲から聞いた董卓の情報だけ美味しく頂いて力を失った張譲は始末しただろう」

「企みって…一体袁紹は何を考えているんですか」

「……アレは何も考えていない。…文遠、そいつにアレを見せてくれ」

「あ?ええの?」

「構わない。それを見たらもう後戻りは出来ないけどな」

「うーん……」

 

ウチは釈然としなかったら、まだ信用ならんそいつに以前北郷からもらった竹簡を渡した。

それを開いて読んでいくとどんどん奴の顔が青くなっていく。

 

「こ、これは……」

「面白いだろ」

「全然おもしろくありません。完全にやられました。私たちは完全に袁家に踊らされたというわけじゃないですか!」

「そうだな。実際にもそうだろ」

「っ…!」

 

竹簡の内容。

 

それは……受ける方が袁紹になっているある密書やった。

でも、実際にそれを受けたのも、その前に送ったのも、恐らく袁紹でははない。

袁家当主という奴さえも、結局は後ろの老いた連中に踊らされてる傀儡に過ぎないんや。

まるで十常侍に利用されていた皇帝のように……。

 

「…これからどうするんですか」

「董卓と話し合う予定だったが、案外袁家の爺どもの動きが早くて董卓が攫われたようだから……取り敢えず皇帝の救出に向かおう」

「月と賈詡っちも一緒に助けるんやろ」

「生きていたらな。でも、もう死んだ可能性もないわけではない」

 

「……捕まってないかもしれない」

 

……は?

 

そう言ったのは恋やった。

ウチはあまりにも呆れて口をぽかんと開いて恋を見た。

 

「この状況で、月が無事やって?」

「うん」

「……………ありだな」

「は?」

 

北郷まで?!

 

「…これは一本取られた。糖分さえ十分だったらな」

「どういうことですか。董卓が無事だなんて、でも、ここに董卓が居たわけではないのですか」

「文遠、お前が言ったな。この屋敷は逃げ道が多い。そして、張譲が屋敷の逃げ道まで袁家に教えたはずはない。だとすれば……」

「……あ」

 

この屋敷の隠れ道を使って…逃げ切った可能性も…ある、と?

 

「逃げ道は分かるか」

「ウチが…ねねが知ってるはずや」

「ならさっさと探せ。洛陽を出たなら面倒なことになる」

「判った」

「周泰、お前は俺と宮殿に行って皇帝を確保する」

「分かりました」

「恋も行く」

「……」

 

北郷は恋に何も言わず歩き出した。

恋もそれ以上言わずその後を追った。

どうせ駄目と言ったところで恋も聞くはずないし、好きにしろと黙ったのやろ。恋も好きにしてやがるし。

と、こうしてる場合じゃあらへん。外のねねと部隊分けて月たちを探さんと……

 

 

 

一刀SIDE

 

「本当に董卓が無事なら、私たちを殺そうとするかもしれません」

「理由は?」

 

文遠を離れて宮殿に向かってる時幼平が言った。他の奴の部下たちは気配を隠して周りに潜んで移動している。

 

「あなたも私も元は連合軍の者です。自分の身の安全だと判断すれば私たちを殺すでしょう」

「月はそんなことしない」

 

呂布がそう言ったが、そういう文遠や呂布奉先も董卓が俺を殺せと命じたら逆らう理由はないだろ。

最も董卓が俺を殺そうとするほど大したことない奴だったら俺がここまでする理由もなかったが……。

 

この反董卓連合軍、最初から最後まで愚者どもの祭りだ。

この中で何か得ようとする奴らが居るのなら大きな勘違いをしている。

戦とは得るためにするものではない。失わないようにすることだ。

この戦は董卓一人を一斉に袋たたきにして奪いとろうとしている様だが、

 

この戦が乱世を群雄割拠の時代へ導くだろう。それは確かだ。

 

でも、はてこの戦が終わった後、どんな群雄たちが地図に残っているだろうか……興味はないが、選別道具としては持って来いだ。

 

「あ、それとちょっとおかしなことが…」

「なんだ」

「さっき私が倒した兵ですが、最後に天の御使い、あなたを狙おうとしていました」

「…………」

 

それは……

 

…ふむ…

 

「何故か分かりますか?」

「…いや、それは分からんな」

 

袁家の連中が董卓やその将たちよりも俺を優先に殺せと命じたか、それとも単にまともな状態ではない俺が一番可能性があると見たのか……。

 

「……まあ、興味ない」

「興味ないって自分の命が狙われてるのに」

「俺が一番興味ないのが俺が死ぬかどうかだ。そんなこと悩んでるぐらいだったら死んだ方が良い」

 

周泰が呆れた顔で俺を見た。

 

だが、俺の心は寧ろ…

 

こんなつまらなくしてくれるぐらいだったらいっそ殺しに来い。

面白そうだったら快く死んでやろう。

 

…そう思っていた。

 

「…一刀は恋が守る」

 

後ろから何か聞こえたが空耳だろう。

前も良く見えないしな。

 

 

 

・・・

 

・・

 

 

 


 
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