No.480877 武装神姫「tw×in」 第十一話 新入り×練習=風麦梟さん 2012-09-07 14:18:23 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:444 閲覧ユーザー数:441 |
「アルトレーネ型の神姫!?」
「真南、声デカイよ」
朝、学校で会った真南に昨日ミルートの研究室であったことを話していた。
そしてアルトレーネ型の神姫を貰ったことを話したら、今の状況になった。
「ということは、宗哉って四人の神姫持ちってことでしょ!?」
「うん、昨日そうなったね」
「へぇ〜、宗哉はどうしてそんなに神姫と縁があるの? 四人持ってる人ってあまりいないよね?」
「見たことなくはないけど、基本多くて二人だもんね」
今まで見たことある最大の複数持ちは七人。あれはとても賑やかに見えたな。
「う〜ん……やっぱり何人もいると賑やかで楽しいよねー、あ〜、わたしも複数持ちになろうかな〜、ねーどう思うー、ミズナー?」
「マスターがなりたいと思ってるならなればいいんじゃないですか? 別に誰も反対してませんし」
真南の肩の上でそう言うミズナ。彼女は別にどちらでもいい、という感じだな。
「うーん……でも神姫素体は高いよねー……」
「神姫ポイント使えば? 最近使ってないでしょ?」
これは神姫バトルをする神姫マスター故の特権。本来神姫の素体はその能力等を踏まえてかなりの高額である。しかし、神姫バトルをすることで得た神姫ポイントならば、数字で見ればかなりお得に素体を購入出来るんだ。
まぁ、それでもまだ高いには変わりないけど。
「むむぅ……少し、足りないかな」
案の定、真南のポイントは素体に少し手が届かなかった。
「宗哉ー、少し貸してー」
「ムリだよ、一昨日使ったのを真南も見たでしょ」
エンルのリアパーツを買ってからバトルはミルートの研究室でのみ、神姫ポイントは一切増えていない。仮に持っているのを全部貸しても、雀の涙程度でもちろん足らない。
「うぅー……」
真南はふてくされたように唸った。
「マスター、何でバトルして集めようって考えには行かないんですか」
「あ! そうか!」
「え、まさか本当に今気づいたんですか?」
「うん! ミズナあったまいい〜」
「……いえ、頭は良いを通り越して痛いですよ」
「大変だね」
ミズナに同情する。
「いつもの事ですから」
ミズナは苦笑気味に答えた。
「という訳で宗哉! 今日ゲームセンター行こうよ!」
「あー……ごめん、今日はパス」
「えー、どうして?」
「今日は新しい仲間の能力を確かめるテストをするんだ、だからごめん」
「そっかぁ〜、なら仕方ないね」
「明日は一緒に行くよ」
「おっけ〜、あ、ところでさ」
「ん?」
「そのアルトレーネ型の神姫の名前って何て言うの?」
そういえばまだ言ってなかった。
「うん、名前は…」
「ただいま」
玄関を開け、中にいる皆に声を送る。
すると、
「おかえりなさい、マスター!」
ルミアがいつものように走って現れ、
「マスター、おかえりなさい!」
少し遅れてエンルが現れる。
「ただいま、ルミア、エンル」
スレイニはいつも部屋で待っていて出迎えはないので、これが今までの普通。
しかし、今日は、
「お、おかえりなさいなのです、マスター」
いや今日からは、もう一人増えるんだ。
「ただいま、コナユキ」
青く腰まで届くほどに長い髪に赤い瞳。アルトレーネ型の神姫。コナユキだ。
靴を脱いで家の中に入ると、いつも通りにルミアは肩の上に乗ってくる。
「ふわぁ……ルミアさん、すごいのです」
それを見てコナユキは驚き、
「わたしもマスターの肩の上に乗りたいのです!」
自分もそうしようと、一歩走り出した、
「はわ!?」
ところで何かにつまずいた。
「あわわ!」
そのまま前のめりに倒れ……
「わわ…………ふぅ」
ることはなく体勢を直した。
なんというか、凄いバランスの持ち主だ。
「無理はしない方が良いですよ、ルミアさんは慣れてますから」
その一部始終を見ていたエンルが、コナユキへ声をかける。
「わ、分かりましたなのです、エンルさん」
「! ……そ、そうですね」
コナユキに名前を呼ばれた瞬間、エンルの体は電流が走ったかのようにびくんと震えた。
多分、初めての後輩に、さん付けで呼ばれたことの嬉しさだろう。
でも、いつもルミアには「エンルさん」って呼ばれてるんだけどね。
ルミアを肩、エンルとコナユキを鞄の上に乗っけてリビングへ。
「お帰りなさい、マスター」
スレイニがいつも通りテーブルの上で出迎えていた。
「ただいま、スレイニ」
「今日はこの後どうするんですか?」
「今日は、とりあえず家にいるよ。やりたい事もあるし」
「なるほど、なら軽く準備しておきますね」
あえてぼやかして言ってみたけど、スレイニは何をするか理解しているようだ。
「じゃあよろしく、オレは着替えてくるから」
「手洗いも、忘れないで下さいね」
「はいはい」
着替え、手洗いうがいを済ませてリビングへ行くと、四人はスレイニを中心にして、
「はーい、この辺に置くからねー、せーので下ろすよー、せーの……」
それぞれ四隅を持って段ボールを運んでいた。
「いったいこれで何をするのですか?」
「やってみてからのお楽しみだよ」
四人により段ボールが設置された。
段ボールと言っても、蓋と底を切り取ってある、要は枠だけの物で、段ボールとしての使用は出来ない。
強いて言えば、囲いとしては使用出来る。
「ありがとう皆」
「あ、マスター、これは何に使うのですか?」
唯一知らないコナユキがスレイニに続いてオレにも聞いてきた。
「それは、やってみてからのお楽しみさ」
「えー、マスターもスレイニさんも、いじわるなのです」
まぁもうすぐ分かることだけどね。
「マスター! 持って来ましたよ」
エンルとルミアが幾つかの武装を持ってやって来た。
「ルミアさん、いったい何をするのですか?」
「それはですね、やってみてからのお楽しみですよ」
「あぅー、ルミアさんまで……」
「ルミア、あと少し持って来てくれるかな」
「分かりました!」
ルミアは再び武装の置いてある部屋へ。
「で、ではエンルさん!」
「! は、はい!?」
「これからいったい何をするのですか!」
「そ、それは……」
「……」
思わず言いそうになっていたエンルに、スレイニがアイコンタクトを送る。
「こ、これからやってみてからの、お楽しみ、ですよ」
何とか言わずに済んだ。
「マスター、これくらいでどうですか?」
「うん、ありがとうルミア」
「マスター! いったい何をするのですか! いい加減教えて下さいなのです!」
ちょっと怒り気味だ。
もう言ってもいいかな。
「コナユキのバトルトレーニングだよ」
「ほぇ? わたしの、なのです?」
怒り顔から一転、驚き顔のコナユキ。
「うん、まずゲームセンターに行く前に、少しでも戦い方を学んでおけばいいかなって思ってさ」
「そうだったのですか」
「さて、早速始めようか」
「うわぁ……すごいのです! これがわたしの武装なのですか!」
「大剣だけだけどね」
段ボールの囲いの中で、武装したコナユキが新しい物を見る目ではしゃいでいた。
武器は昨日ミルートからもらった大剣:ジークリンデ
武装はアーマー、ショルダー、パンツのレザーシリーズ。
「エンル、相手よろしくね」
「はい、任せて下さい」
対面にはエンル。武装はアーマー、リストガード、フットアーマー、リアプレートのレイディアントシリーズの白色。武器は、大剣:バルムンク
三人の武器補正を見るに、アーンヴァルMk.2型のエンルが一番大剣を扱えるということらしいので、今回の相手に選んだ。本来なら武装まではしないのだが、さすがに大剣の威力を武装無しでは危ないと思い少しだけ付けてみた。
「す、すごいのです! これでわたしも武装神姫の仲間入りなのです!」
「確かに武装した神姫ではあるけど……マスター、あれで良いんですか?」
「本人が喜んでるから、それで良いと思うよ」
実際に武装した神姫って書く訳だし。
「はぁ……マスターがそう言うなら」
「立会人よろしくね、スレイニ」
「了解です」
スレイニも囲いの中、二人の中間辺りに立っている。武装はしてない、立会人の役割だ。
「がんばれー! エンルさーん! コナユキさーん!」
ルミアは囲いの外、中を見るオレの肩の上で声援を送っている。
というかルミア、コナユキもさん付けなんだ。まぁすでにエンルがさん付けだけど。
「さぁ、コナユキ、どこからでもかかって来なさい!」
エンルはコナユキを呼び捨てなのに。しかも、妙にお姉さんぶっているように見える。あえて言わないけど。
「わ、分かりましたなのです!」
コナユキはエンルが構えるのを見よう見まねで大剣を構えた。
「それじゃあ行くよ、お互いケガしないようにね」
スレイニが右手を挙げる。
「……」
数秒の間があり、
「始め!」
右手を下げて開始の合図を出した。
「……」
「……」
しかしどちらも動かない。エンルはコナユキを待ってるんだろうけど、コナユキは?
「どうしたのコナユキ、こういう時は後輩から動くものよ」
「は、はいなのです」
スレイニの言葉にやっとコナユキは動き出した。
前へと歩き、大剣の範囲内で、
「え、えぇい!」
上から勢いよく振り下ろす。エンルは前で構えてそれを防御する構えを取る。
しかし、
スポッ
「はぇ?」
ブンッ!
ドスッ!
「ひぃ!?」
『……』
部屋に沈黙が響いた。
それを破ったのは、
「あわわ!? ご、ごめんなさいなのです!」
コナユキの謝罪だった。
「だ、大丈夫ですよ……当たりは、しなかったので……」
冷静に見えるが、エンルはかなり焦っている。
まぁムリもないね、大剣が顔の横を通り抜けたら。
何があったのかと言えば、コナユキが振った大剣は本人の手から柄が抜けて……威力を持ったまま前へ飛んでエンルの顔の横を通り抜けて囲いの段ボールに突き刺さった。という訳だ。
「ルミアー、そこの大剣取ってあげてー」
「はーい」
スレイニの頼みでルミアが段ボールに刺さった大剣の回収に向かった。
うーん……前途多難な気がするな。
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第2章の開幕です。