No.480818

リテラエルネルア「第二話」

第二話の投稿です。もう少ししたら主人公の詳しい設定をだしますw

2012-09-07 09:37:20 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1282   閲覧ユーザー数:1261

 「あれ? 神崎さん」

 トレーニングルームらしき部屋を見つけ中に入るとどうやら先客が居たようだ。

 

 白い服を身に纏ったなのはが杖を持ち部屋の中央でたっていた。

 一方入って来た人物に気付いたなのはは暁に声をかけた。

 「えっと、確か高町?」

 「はい、高町なのはです。 それでどうかしたんですか?」

 「ちょうどいいや、コイツの使い方を教えてくれ」

 ズボンのポケットから借りたデバイスを取り出す。頼まれたなのはは暁に近づく。

 「デバイスに意識を集中すればいいんですよ」

 ……簡単に言ってくれる。 そう思った暁は言われた通りに意識を集中する、自身が使う魔銃と同じ様に。

 「――っ、なんか違和感あるな」

 意外と簡単に出来た事に驚くが、その手応えに暁は顔をしかめた。

 「初めて使うわりには上出来ですね、魔力の扱いは馴れてるんですか?」

 「人並みにはな、んで? 後はトリガーを引くだけか?」

 「そうですね試しに撃ってみて下さい」

 言われるままに引き金に指をかけ、引く。

 銃口から蒼銀色の魔力が弾となり撃ち出された。

 「出ましたね」

 「出たな」

 撃ち出された魔力弾は途中で消滅した。 視線を下ろすとブローバックで排出された空薬莢が暁の足元に転がっていた。

 「うんうん、これなら午後の訓練に参加かなぁ?」

 なにやら隣では顎に指を当て、頷きながら一人納得しているなのはが居た。 なにやら不吉な単語が聞こえたが。

 「いずれみんなにも紹介しなくちゃならないんだし早い方が良いよね、うん」

 自己完結して暁の方を向き――

 「神崎さん、午後にやる予定の訓練で模擬戦をするので参加してください♪」

 陽気に宣告するなのは。

 「ちょいまて、何故?」

 「他の皆に紹介と、どれ程の実力があるのかしりたいので♪」

 「……っ」

 断りたい、そもそも使い方を教えてくれと言っただけでなぜ訓練に参加する方向に話しがすっ飛んでいるのか。 切り出したくても満面の笑みを向けられたら言葉が出ない。

 「……オーライ」

 仕方なく了解の言葉を出した。 それから少しの時間が経ち―――

 機動六課宿舎から離れた広場に四人の男女を前に暁となのはが立っていた。

 「こちら一連のアンノウン事件の協力者の神崎 暁さん。今日から機動六課の一員として動く事になりました」

 なのはの紹介で軽く挨拶すると四人の自己紹介が始まった。

 「スターズ3、ティアナ・ランスターです!!」

 「スターズ4、スバル・ナカジマです!!」

 先にオレンジ髪のツインテールの女性から始まり、鉢巻きをした青い髪の女性が続き――

 「ライトニング3、エリオ・モンディアルです!!」

 「同じくライトニング4、キャロ・ル・ルシェです!!」

 赤い髪の少年とピンク色の髪の少女が挨拶した。

 「(なんで小学生がいるんだ?)」

 先程のヴィータといい、この二人といい……明らかに小学生と思える人物が警察機構に該当する所に居る事が不思議でならなかった。

 「えっと、今日の午後の訓練は内容を変更しラストを模擬戦にします」

 「模擬戦、ですか?」

 「そう! 神崎さんも一緒に模擬戦参加してくださいね?」

 「……オーライ」

 ここに来た手前、今更断る事が出来ないので低い声で返事するのであった。

 

 

 訓練の内容は基礎体力向上及び魔力操作の訓練。

 基礎体力訓練に関しては難無くこなしていくがやはり魔力操作に関しては勝手が違うためなかなか上手くいかないようだ。

 「なはは、さっきは出たんですけどねぇ……」

 「仕様が違うんだろうな、思うようにいかないさ」

 先程一発で成功した射撃も今は三割成功と低迷していた。

 それは仕方ないといえば仕方の無い事だ。 暁自身、魔銃は自分がカスタマイズしたことで構造を理解し媒介を利用することで魔力を滞りなく通わせているのだ。 このデバイスは暁が銃の基礎知識があるが故になんとか魔力を通わせている程度なのだから。

 「そういえばカンザキ、先のガジェット・ドローンはどうやって倒したのだ?」

 訓練を見ていたシグナムな質問してきた。

 「あぁ。 あれは魔術で爆発を起こしたんだ」

 「爆発だと?」

 「そう、水と電気を呼び出して電気分解で水素と酸素にしたんだ。 そこに火種を投入するとドカンッて訳」

 「それが『マジュツ』と言う奴か」

 納得したように頷くシグナム。

 「ちなみに限りはあるけど使い方によってはやり方は様々あるぞ、今のはその中の一例だ」

 「あのアンノウンの群れを殲滅したアレもか?」

 「似たようなものだな。ただあれは媒介の関係で出したから魔術とは言い切れないな、魔力の弾だし」

 「フム――」

 なにやら考え込む。

 「そのマジュツとやらを見せてくれ」

 思案した結果百聞は一見に如かず。見た方が早いと判断し実演を促した。

 「まぁいいけど。 そうだな………簡単な奴いこうか」

 暁は皆から離れ、意識を集中する。

 「『アイシクル』」

 呟くと同時に暁の周りの気温が瞬時に低下し、地面から円錐状の氷柱が術者を守るように突き出してきた。

 「これが魔術だ。 恐らくアンタ等が言う『魔法』と俺が言う『魔術』は捉え方が違うが実際は同じかも知れないな」

 「そうか、要はデバイスがいるかいらないかの違いか。 魔力変換資質がなくても雷撃も使えるのは有効だな」

 「じゃあさ、神崎さんは銃じゃなくてその魔術で戦えばいいんじゃ?」

 始終を見ていたなのはが提案したが――

 「俺は魔術を織り交ぜた戦闘だからな、魔術だけじゃ燃費が悪い」

 暁の戦闘方は剣や魔銃を中心に魔術を使役するやり方なのだが魔術だけだと異常に魔力を消費したりと使い勝手が悪いのだ。 本人も改善する点だと思っているが……、いかんせんうまくいかないのが現状だった。

 「武器がいつ頃戻って来るかわからない以上、この銃に頼るしかないんだ。 いざとなったら肉弾戦するしかないな」

 「体術の心得でもあるのか?」

 「まぁな。 でも銃が使えればそれに越したことはないからな」

 といい、再び魔力操作の訓練に取り掛かる。

 「(魔銃、余計なことされてなきゃ良いけどなぁ)」

 

 

 機動六課・デバイス開発部

 「なんやシャーリー、神崎さんの武器になんか問題があったんか」

 デバイスマイスターの資格を持つ通信主任のシャリオから暁の武器について話しがあると言われ、はやては六課の技術局に来ていた。

 「いえ、お預かりしている銃なんですが奇妙な構造をしているんですよ」

 シャリオは端末を操作し、画面に暁の朱と翠の魔銃を映し出した。

 「な、なんやこれは」

 映し出された部分は弾倉部分だ。しかし本来実弾を入れる部分だが弾は入っておらず、紅と翠の宝石がそれぞれ嵌め込まれた電子基盤が入っていたのだ。

 「解析によりますと魔力を通わせ、この宝石で増幅し撃ち出す仕組みになってます」

 「…凄い技術やな」

 「宝石を利用する回路なんて見たことないですからね……抵抗とかどうやって制御してるんだろう」

 「あぁ…シャーリー? お願いやから余計な事はしないように」

 一人黙々と考えているシャリオに嫌な予感がしたためはやては釘を打っておく。

 「分かってますよ、でもこれを応用すればワンランク上の攻撃が可能なんですよ」

 「でも宝石なんやろ? 見たところルビーにエメラルド……高そうな代物やな。 あまりいじらんといてな、弁償なんてしたらいくら払わなきゃいけないのか想像したくないわ」

 「了解です」

 

 

 所変わって場所は空間シミュレーター、未だ訓練が続いている。

 だが内容が変わっている。 なのはが繰り出す攻撃を交わしつづけるか一撃を与えるというものだった。

 「だぁあッ、なんだよその攻撃は!? サイ○ミュかよ!!」

 なのはの繰り出す桜色の球体ディバイン・シューター、それは物理的な威力を持つなのはの魔法でそれは様々な軌道を描き暁に襲い掛かる。

 まるで生きているかのようなその動きにある例えが浮かび上がり、暁は避けながら……いや逃げながらマニアックなツッコミを入れた。

 しかしサ○コミュってオイ。

 「ちなみに今まで5分も保ったことないです!!」

 物陰に隠れながらエリオが叫んだ。

 「こんなん5分もやってられっか!! 『ライトニング』!!」

 振り向きざまに雷の魔術を放つが、なのはのシールドによって阻まれ一撃を与えるまでには至らなかった。

 「やっぱり魔術だけだと不便だぁあ!!」

 一時的に反撃に転じた暁になのはの光球が集中する。

 それを見た暁は逃走を再開した。

 「げ、行き止まり!?」

 路地を曲がった瞬間前方が塞がっていた。 後方からは容赦なく光球が迫って来ていた。

 壁を背にして迫り来る光球と対峙する。

 「ち、《サーキット》!!」

 自らの身体能力を上げる強化魔術をかけると、暁は最小限の動きで光球をかわす。

 「頼む、出てくれ!!」

 光球をかい潜るとデバイスに魔力を送り、祈るような思いでなのはに向かって引き金を引く。 その願いを聞き入れてくれたのかデバイスから蒼銀色の魔力弾が形成されなのはへと直進する。

 「レイジング・ハート!!」

 【protection】

 なのはが手を前に出すと円形の魔法陣がシールドとして出現する。

 暁の魔力弾となのはのシールドに激突し衝撃がなのはを襲う。

 「くぅ…!!」

 なんとか受け止めるがシールドの強度を上回る威力のためシールドに皹が入る。

 「スバル、エリオ!! アレだけじゃ足りない、合図したら一気に攻めろ!!」

 「「は、はい!!」」

 「アンタ、なに勝手に指示だしてんのよ!?」

 「ティアナ!!」

 「ひゃい!?」

 暁がいきなり下した突撃指示にティアナは怒ったが前フリなく名を呼ばれた為変な返事をしてしまった。

 「もうすぐアイツは攻撃を耐えきる、そしたら二人の援護射撃を頼む!!」

 「な、なんでアンタの指示に従わなきゃならな「なんだ、『そのくらい』出来ないのか?」―プチン―そのくらい出来るわよ!!やってやろうじゃないの!!」

 怒るティアナに対し火に油を注ぐ言葉を投げかけボルテージがあがったティアナは容易に暁の策にのっかった。

 「レイジング・ハート!!」

 【All light my Master.】

 魔力を追加し強度を増したシールドは暁の放った攻撃を抑え霧散、なのはは煙に包まれる。

 「行け!!」

 「「ウォアアア!!」」

 スバルは自身の能力ウィング・ロードを展開し煙の中心地に居るなのはへと続く道を出し、その上を疾走する。

 エリオも突進性が優秀な攻撃、《スピーア・アングリフ》でなのはに突進する。

 速度的に言えば推進力を得ているエリオの方が早い。 煙が晴れてくるにつれて目標が確認できる。 だがなのはの周りには桜色の光球がいくつも浮いていた。

 「煙で視界を遮ってからの追い撃ち、でもまだ甘いよ!」

 一番速いエリオ目掛けなのはが光球を放つ。

 「!? ティアナの弾……!?」

 エリオに向かっていた光球がエリオの背後から来たオレンジ色の弾によって撃ち消された。

 【protection.】

 「!?」

 再度出されたシールドによっていなされたエリオはその勢いのままあらぬ方角へと飛んでいった。

 「え、ちょっとエリオ!?」

 ちょうどその方角とは背後から攻めようとしていたスバルの方だ。

 当のスバルはこちらに向かってきた仲間に驚愕するが反応が遅く――

 「ウワァア!!」

 二人して激突してしまった。

 「スバルとエリオがそしてティアナが援護……神崎さんとキャロは?」

 「本命のご登場ォ!!」

 咄嗟に声のする方向へシールドを張るなのは、すると暁の渾身のストレートがシールドに当たる。

 「うッ……!」

 シールドから伝わる衝撃から先程の射撃と同様、いや、それ以上の威力を持っている事がわかる。

 「(もしかしてキャロのブーストアップ…!?)」

 暁とキャロが確認出来なかったことからこれほどの威力は恐らくキャロの仕業が有力だ。

 「(だけどこれを防ぎきれたら…!!)」

 そう。 今の二人は空中、足場のない所で競り合っているのだ。 もしなのはが防ぎきれたら後は暁は落下するしかない、そこに攻撃を加えたらいくらすばしっこい暁でも避けようがない。

 やることは決まった、後は耐えきれば終わる。

 「《エアリアル》!!」

 しかし暁は足元にミッド式とは異なる魔法陣を出現させ一時的な足場を得てその上に力強く乗った。

 「な!?」

 勝ちを確信していた要素がなくなり声をあげた。

 「瞬間的なら空中戦も出来るんだ。 クライマックスだ!!」

 パリッ―と暁の右脚に電流が走る。

 「!!」

 迫り来る蹴撃に備え更に魔力を送りシールドを強化した。

 「ウラァアッ!!」

 なんの変わりもないただの回し蹴りだ。 だがそんな回し蹴りも肉体強化によって強化された速度や強度をが加わるとそれは強烈な一撃となる。

 「うっうう…! レイジング・ハート!!」

 【All light my Master.】

 徐々に亀裂が広がって行くシールドをみてなのはは光球を周囲に展開させ、自らの危険を省みず一斉に暁に放った。

 そして二人は激しい音と共に濃煙の中に飲み込まれて行った。

 


 
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