高速道路でBSAAの高機動作戦車両、ガンビットが走っていた。
ガンビットにはSAC隊員の不動雄次、三島星子の他に極東支部参謀の幸田俊行、神崎ジンヤが乗っていた。
また、セシリアとラウラも同行していた。
ジンヤは預言書と呼ばれる本が入ったアタッシュケースを見て幸田に聞いた。
「この預言書…でしたっけ?この本ってそんなに貴重なんですか?」
ジンヤがそう言うと、幸田が頷いて言った。
「ああ、30年ぐらい前にフランスの小説家が描いた近未来小説さ…たぶん、世界中を探してもこの本は多分この一冊だけだと思う。タイトルは『超能力、見えないが暗くない未来』でISの台頭で凄まじい検閲を受けたんだ」
「参謀、どうしてこの本が凄まじい検閲を受けたんですか?」
ラウラがそう聞くと、幸田は答えた。
「内容が問題だったんだ。この小説は世界中の女性が超能力を得て、世界を男尊女卑ならず女尊男卑になってしまい、ある日男性なのに超能力が使える男性が現れたんだ…」
「それってまさか!」
セシリアやジンヤ達が驚愕していると幸田が静かに言った。
「今の俺等の世界と同じだろ?この小説のラストは主人公が自分の命を引き換えに世界を元の男女平等に戻したんだ。IS委員会からすればすごく邪魔な存在なんだ」
「僕も一夏もその小説の主人公みたいなラストは嫌だな…」
ジンヤがそう皮肉ると助手席に居た三島が後ろを見て言った。
「参謀、さっきからなんかつけられているような気がするんですけど…」
「…念のために1つ手前のインターで降りてくれ」
「了解」
不動はそう言うと、1つ手前のインターで降りた。
「…気のせいでしたね」
「そうだな…」
すると、ガンビットの前にトラックが現れた為にガンビットは急ブレーキをした。
そのトラックにはIS委員会のマークが張られていて、後ろの荷台から委員会の部隊が現れた。
更に後ろからは車が止まっていた。
「しまった!待ち伏せか?!」
「こうなったら、俺達が囮になります!」
「参謀や皆さんはその間に!」
不動と三島が前方の待ち伏せしていた委員会の部隊に突っ込んでいる間にジンヤ達は予言書を持って走った。
そして、橋の下に隠れた。
「皆、無事か?」
「ええ、大丈夫ですわ…」
「嫁よ、私は軍隊の所属だぞ?これぐらいでへばらん…」
ジンヤは全員の無事を確認すると、幸田が言った。
「ジンヤ、急いで連絡だ。緊急事態発生って…」
ジンヤがジャンボットを使って通信しようとすると、近くから声が聞こえてきた。
「例のやつ等を発見したわ!!」
「バレましたわ!」
「走れ!」
ジンヤ達が走り出した。
すると、ISを展開した委員会の部隊の1人が銃を構えて叫んだ。
「止まりなさい!!」
勿論、そんなの構わず走るジンヤ達。
なんと、ISを展開していた1人が幸田に狙いを付けて…
ダダダダダッ!!
フルオートで発砲した。
「ぐわぁ!」
ジンヤが振り返ると、幸田の右肩から血が出ていた。
「幸田さん!大丈夫ですか?!」
「大丈夫だ、かすり傷だ…」
何とか心配させないように笑みを浮かべる幸田。
そして、ジンヤがキレた。
持っていたアタッシュケースをセシリアに渡すと、物陰から出て委員会の部隊に向かって叫んだ。
「今、撃ったのは誰だ!!」
すると、委員会の部隊が思わず銃を構えた。
「市街地で発砲するなんてどういう神経しているんだ!お前等がISを使用する許可があっても発砲許可は無いはずだ!ぶっ飛ばしてやるから前に出やがれ!!」
「ジンヤさん、そんな事を言っている場合じゃないですわ!」
「撃たれるから隠れろ!」
セシリアとラウラはジンヤを説得しようとしていた。
「ジンヤ、今はそう言っている場合じゃないぞ」
何故か幸田は苦笑いしながらそう言った。
その時、委員会の足元に何かが投げられた。
すると、それは閃光を放った。
「きゃあ!!」
「閃光手榴弾よ!」
「目が目がぁぁぁぁぁぁ!!」
委員会の部隊は目くらましをされた。
「おい、こっちだ!」
「早く!」
そこに一夏と鈴が現れて、ジンヤ達は撤退した。
一方、BSAA極東支部作戦司令室ではラウが入室していた。
「総監!どうしたんっすか!?」
すると、木之が言った。
「先ほど、ジンヤ達から通信が入ったんだが切りやがったんだ。それから通信しても出ないんだ…三島や不動に通信しても繋がらねえ…配備していたNEVERは出撃した。お前も出撃しろ!」
「了解!」
ラウは司令室から出ようとするとジンヤから通信が入った。
『もしもし、聞こえますか!こちら神崎ジンヤ!!』
「ジンヤか!何があったんだ!?」
ラウの声を聞いたジンヤは少し落ち着いたのか冷静に言った。
『委員会のやつ等に襲撃されました。現在、一夏達と合流して列車倉庫に隠れています。後、幸田さんが肩を負傷しています!』
「負傷?何が有ったんだ?」
『委員会のやつ等が発砲してきたんです!』
ジンヤの言葉を聞いた司令室に居た隊員達がざわめき始めた。
「分かった、その場所に隠れてろ。急いで急行する」
『了解!』
通信が終了するとラウは急いで司令室を出た。
一方、ジンヤ達は列車倉庫にある列車に隠れていた。
「別に撃たれた事を言わなくても良いのに…」
幸田が苦笑いしながらそう言うと、ジンヤが言った。
「いや、これは抗議しないと…」
「そうですよ、発砲音とかコンクリートの壁に残った銃弾や跡、参謀の傷口を照合すれば…」
「もう、本当に我慢できないわよ!好き勝手にして…」
ジンヤ、一夏、鈴がキレながらそう言うと、幸田が苦笑いしながら言った。
「なんと言っても奴らが誤魔化すよ、奴等にとってルールは上手に破る物だ、それにこっちがISを展開したら、ここはIS学園じゃないからそれを理由に預言書を取られるだろうよ…」
すると、セシリアは幸田に聞いた。
「あの…なんであの時、笑っていたんですか?」
そう、幸田が撃たれたのに苦笑いしていた。
「ああ、それ?実はラウに似ているなと思ってな…」
「僕が兄さんに?」
「この話が長いんだけど、やる事が無いしな…」
そう言うと、幸田が昔話を始めた…
一方、委員会の部隊の2人がトラックの近くで話をしていた。
「ねえ、本当なの?坂田副隊長が発砲したって…」
「本当だって!あの人、4年前も子供に向かって撃ったし…絶対大問題だよ!」
「でもどうして、降格処分にならなかったの?」
「あの人のお父さんが政治家だって…妹の方もかなりやばいらしいよ…」
すると、2人に通信が入った。
『緊急事態!検問所が一台のガンビットに突破されました!至急、警戒に当たれ!』
「え、急がないと!」
「ねえ、ガンビットであれなの?」
委員会の1人が指さす方にはガンビットが走っていた。
「あれよ!あれ!!」
「え、待ってよ~!」
すると、そのままガンビットは行ってしまった。
「克己、こっちの道で合っているの?」
「何よ、アンタ!克己ちゃんを疑っているの?!」
ガンビットの中ではクールビューティーな女性と妙にクネクネする男性(?)が言い争っていた。
「あ~うるさい!京水、レイカ!黙ってろ!!」
「……以下同文」
すると、マッチョな体系の男と口数が少ない男が言った。
運転していた茶髪に青いメッシュを入れた美青年が言った。
「問題ない、ジンヤ達が列車倉庫に隠れているだけで充分だ。ココあたりにおける列車倉庫は1つしかない!」
すると、運転していた美青年はハンドルに握る力を入れて言った。
「久しぶりだな、俺達NEVERの出撃をな!!」
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今回はタイトル通りに前編、後編に分かれます。
それではゆっくりしていってね!