真・恋姫†無双~赤龍伝~第107話「亞莎覚醒」
蓮華「赤斗、亞莎ーーーーっ!!」
蓮華たちを飲み込み、無常にもフェリーは海に沈んでいく。
赤斗の夢の中に入った蓮華と亞莎だったが、未だに赤斗を助ける事ができずにいた。
蓮華「うぅ…」
気がつくと沈んだはずのフェリーは大海原を進んでいた。
亞莎「蓮華様、大丈夫ですか?」
蓮華「大丈夫よ。でも……また、ふりだしね」
蓮華たちが、この光景を見るのは3回目。
フェリーは沈没する。だが、暫くすると沈没した事など最初から無かったかのように大海原を進む。
そして、再び沈没する。それをリピート機能の如く永遠と繰り返していた。
この夢は赤斗の過去の出来事。
赤斗が船や海を苦手になった原因。
赤斗にとって最も辛い出来事。
蓮華たちは、すでに3回フェリー沈没を体験したが、赤斗がはそんな夢を何十回、もしかしたら何百回と繰り返し体験している。
それは、無間地獄と言ってよいものだった。
蓮華「どうすれば…赤斗を救えるんだ?」
亞莎「やはり、あのお爺さんが言っていたように、赤斗様を捕らえている原因を排除する必要があるのでしょう」
蓮華「赤斗を捕らえている原因とは何なのだ?」
亞莎「……わかりませんが、見つけなければ赤斗様を救う事はできないのは確かです。ですので二手に別れてましょう」
蓮華「二手に?」
亞莎「はい。蓮華様はまた赤斗様を捜して下さい」
蓮華「あなたはどうするつまりなの?」
亞莎「私は、赤斗様を捕らえている原因を探してみます」
蓮華「そんな事ができるの!?」
亞莎「…………私の考えが正しければ、きっと上手くいくはずです」
少しの沈黙の後、亞莎は自信に満ちた顔で答えた。
蓮華「…分かったわ。亞莎、任せたわよ」
再び蓮華は赤斗を捜しにフェリーの中に入っていった。
蓮華が居なくなり、デッキに一人残った亞莎は目を閉じて気を練り始める。
亞莎(…どうか上手くいって下さい。…きっと、今がその時なんです。)
亞莎は祈りながら、練り上げた気を自分の目に集中させて目を開いた。
四ヶ月前……。
赤斗や亞莎が虎徹と一緒に修行に出ていた頃。
亞莎「あ、あのぉ…虎徹様、前からお聞きしたいと思っていた事があるのですが…」
虎徹「何だ?」
亞莎「虎徹様は何で私に稽古をつけて下さるのですか? 私なんかよりも、嶺上様や恋さんたちの方が良かったのではないでしょうか?」
虎徹「前にも言ったはずだぞ。退屈しのぎだ」
亞莎「退屈しのぎでしたら、もっと赤斗様の修行を見て差し上げて下さい!」
虎徹「落ち着け。別に誰でも良かったわけではないのだぞ」
亞莎「え?」
虎徹「嶺上や恋では、お前ほどの上達は見込めなかったさ。それにお前に教えた流水は先の流れを、浮葉は今の流れを読む奥義だ。だから、軍師のお前が習得していた方が、今後いつか何かの役に立つと思ってな」
亞莎「今後の為…?」
虎徹「そうだ。いつ来るかなんて分からないが、きっと役立つ時がくるはずだ。それが赤斗を保護してくれた孫堅殿たちへの礼にもなるはずだ」
亞莎は赤斗の師である虎徹より学んだ“浮葉”を発動させた。
亞莎(……虎徹様、ありがとうございます)
亞莎は修行の際、虎徹に言っていた事を思い出して、心の中で礼を言った。
浮葉を発動させた亞莎には、はっきりと見えた。
フェリー全体が異様なまでに澱んだ気で包まれていたのだ。
そして、何故だか不思議と亞莎は確信した。
この澱んだ気の先に赤斗の魂を夢の中に捕らえている原因があると……。
つづく
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主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。
未熟なため文章や設定などにおかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。