ある日のことである。
「……うん?」
智樹が起きるとそこは見たことない天井だった。
「ここどこだ?」
智樹が布団から起き上がる。
ふと横を見るとそこにはそはらが隣の布団で寝ていた。
「そはら!?」
「う、ううん……」
智樹の大声でそはらも目を覚ます。
「あれ、智ちゃん……ってここどこ!?」
そはらも智樹と同じリアクションをする。
「わからねえ。俺も今起きたところだしな……」
「でもこの風景どこかで……」
周りを見てみると和室のようであったが、部屋全体が小刻みに揺れていた。
「ああ、なんとなく嫌な予感がする」
そこにイカロス、ニンフ、カオス、日和、守形が入って来た。
「あ、お兄ちゃん達起きてる」
「おはようございます、マスター」
「日和ちゃんまで……」
「守形先輩、これ、どういうことっすか?」
「これはな……」
守形が説明しようとすると、そこにいつもの騒動の原因が入って来る。
「……会長……」
美香子だった。
美香子はスチュワーデスの格好をして入って来た。
「会長、これってもしかして……」
「また……」
「そうよ~。ここは飛行機の中よ~」
「「やっぱりーーーーー!!」」
以前に智樹とそはらは五月田根家に泊まった翌日に、拉致同然で飛行機に乗せられたことがあり、その行き先は無人島だった。
「今回もまた無人島……」
「いいえ~、今回はれっきとした有人島よ~。
そして南の島よ~」
「じゃあ、今度こそ、バカンスっすか?」
「それは少し違うかしらね~」
「それってどういうことですか?」
「その前にこの飛行機の機長から、挨拶よ~」
部屋の中にモニターが現れ、そこから映像が映し出される。
『機長です♪』
そこにはなんと秋山が映っていた。
「あんた、しばらく寝るんじゃなかったのか!?」
『それは俺の気分次第と言っただろ。
ちなみに俺が起きたのは3時間前、お前やそはらをこの飛行機に乗せたのは1時間前だ』
「ついさっきなんですね」
『どう嗅ぎ付けたのか、俺が狭間の世界からこの世界に出てきてすぐにそこのスチュワーデスさんが、俺に今回のことを言ってきたんだ。
面白そうだから、加担したけどな』
「なんて迷惑な……」
『そういうな』
「美香子はともかく、秋山は本気でお前達を楽しませる気だと思うぞ」
「そうかな……」
『とりあえずお知らせがあります。当機はまもなく……墜落させます』
「へ?」
それは智樹だけでなく、皆が思ったことであった。
『ご安心ください。壊れても、その部屋は残るような設計です。
ですから、その部屋から出ないようお願いします。それと何かに捕まっておくことをお勧めします。
それでは……』
モニターの映像が切れると同時に飛行機は急降下していった。
「本当に落ちてくーーーーーー!!」
そして飛行機は南の島の一つに墜落した。
そらのおとしもの 南の島の夏ライフ
飛行機は墜落した。
「……俺達、本当に助かってるな」
壊れた飛行機だが、智樹達が寝ていた部屋だけはキレイに残っていて、智樹達は部屋から外に出て、飛行機の壊れっぷりを目撃する。
その壊れ方は明らかに異常であり、普通なら生存者がいないくらいのものであった。
「ところで秋山さんは?」
そはらがふと秋山の心配をした。
「呼んだか?」
そこに血まみれで、飛行機の残骸が脇腹に刺さっている秋山が歩いてきた。
「だ、大丈夫ですか? 秋山先生」
常人なら死んでるレベルである。
そのために日和はとても心配するが、秋山はほぼ不死身なためにこんな状態になっても死ぬことはない。
「大丈夫、大丈夫」
秋山はそう言いながら、脇腹に刺さった残骸を引き抜くと、そこから血が勢いよく吹き出す。
「せ、先生!?」
「だから大丈夫だって」
秋山がいつものように手で自分の体をさするように空を切ると、体は元通りの怪我一つない状態になった。
「な?」
「それでも秋山さん、知ってる人でも心配しますよ」
「悪い悪い」
秋山が思わず、後頭部に手を置いて、笑う。
「それで会長、どこに行くんすか?
さっそく海辺でバカンスを楽しむんすか?」
智樹はとてもいやらしい顔をする。
「残念だけど、今回は海辺でのバカンスはないわよ~」
「そんな~」
「じゃあ、何しにここに?」
「それは付いてきてからのお楽しみよ~」
秋山が一人以外が乗れる人力車を出す。
「それじゃあ、皆乗りな」
「誰がこれを……」
「道案内もあるし、俺しかいないだろ」
「でも秋山先生は……」
「大丈夫だ。怪我が治ると同時に疲れも取れるから。
それに9人乗ったところでそんなに重くないから、大丈夫だ」
そして秋山以外の9人が人力車に乗り込む。
「それじゃあ、いくぜーーーーーー!!」
そして秋山は力いっぱい引っ張っていき、目的地に行く。
秋山に運ばれてきた場所は、牧場だった。
「着いたぞ」
「牧場?」
「そうよ~。牧場の人とはもう話はついてるわよ」
「話って……」
「いらっしゃい」
そこにその牧場主がやって来る。
その牧場主は少し年老いた男性だった。
「今日の馬乗りコース体験はこの人達でよろしいですかな?」
「ええ」
「馬乗りコース?」
「今日は皆で馬に乗ろうってことだ」
「どうして?」
「拉致しようと言ってきたのは美香子だが、馬乗りの提案をしたのは俺だ」
秋山が手を上げた。
「なんで?」
「いや、寝てる時にふと昔馬に乗ったことあるのを思い出してな」
「秋山さん、馬に乗ったことあるんですか?」
「闇の魂を手に入れるずっと前……5、6歳くらいの時だな。
はっきりは覚えてないけど、馬に乗ったって言う記憶はある」
「でも5、6歳ってことは……」
「まあ、闇の力がある以上人並み以上に乗りこなせるぞ。
けど使わなかったら、どうなるかは俺も知らん。
とにかく乗ってみようぜ」
それから皆で馬乗りコースを体験することになった。
「それじゃあ、早速誰かに乗ってもらおうかしら~」
「会長は乗らないんすか?」
「会長は後でいいわよ~」
「怖いとかじゃなくて?」
ニンフがとても恐ろしい発言をしたが……。
「怖くはないわよ~」
「それじゃあ、俺と美香子も入れてじゃんけんで決めようぜ」
「じゃんけんって……身長的に考えて、カオスは同じ高さの馬に乗るのは無理だろ。ニンフはまだ大丈夫だろうけど……」
「カオスの身長に合う馬って……」
「ありますぞ」
牧場主が話に入って来る。
「あるって……」
「あそこにおるよ」
牧場主が指差すとそこには他の馬と比べると少し小さい馬が一頭いた。
「あの馬じゃよ。あの馬は特殊な種類の馬でな、あれでも大人じゃ」
「あれで大人の馬って……」
「問題ないよ」
「よかったな、カオス」
「うん。でもお兄ちゃんと一緒に乗りたかったな~」
「しょうがないさ。素人さん二人となるとさすがにきついでしょ」
「それじゃあ、とりあえずじゃんけんで乗る順番を決めようぜ」
そしてじゃんけんをすることになったが、さすがにカオスを除いても9人もいるのでなかなかすぐには決まらなかったが、ようやく決まった。
「最初が私ってなんだか、不安だな~」
最初に馬に乗るのはそはらだだった。
そはらは既に馬に乗っていた。
「大丈夫よ、見月さん」
「そうそう、仮に勢いついても俺が助けてやるから……」
「勢いつくって……」
「それじゃあ、お願いします」
秋山が牧場主にお願いする。
「はいのぅ。それじゃあ、やろうかの」
牧場主が馬をゆっくりと引っ張り、そはらは手綱をしっかり握る。
そはらを乗せた馬はゆっくり歩いていく。
「そはらさん、どうですか?」
「思ったより揺れるけど、大丈夫だよ~」
馬のスピードは遅いが、手綱以外捕まるものが無いので、体は揺れる。
しかし体全体が揺れるために、胸があまり揺れない。
智樹はそれを不満そうな顔をして見ていた。
「…………」
「不満そうだな、智樹」
守形が智樹に声をかけてきた。
「え? 何が?」
「大方、そはらの胸が揺れてないからでしょ」
「な、な、なんのことかな?」
智樹は目をそらしてごまかすが、明らかにごまかしているのがバレバレだった。
「桜井智樹、やっぱりエッチな奴!」
アストレアは思わず自分の胸を腕で隠す。
「ごめんね、お兄ちゃん」
そして何故か謝るカオス。
「…………」
そんな会話が聞こえていた牧場主は……。
「お主、もう少しスピードをあげるぞ」
「え?」
そはらに注意はしたものの、そはらの意見は聞かず、牧場主は馬をけしかけ、スピードを上げさせた。
「きゃああああああ!!」
そはらは早くなった馬の首を掴もうにも、早くてなかなか掴めない。
そして、そはらの体全体が揺れ、その大きな胸も揺れる。
「おおおおおおおおおおお!!!」
それを見た智樹は興奮する。
「ほうほう、あれはなかなかいいものじゃの」
智樹と同じような考えをする牧場主。
「そんなこと言ってないで止めてーーーーー!!」
馬に振り回されるそはら。
「仕方ない」
そろそろ馬を止めようとする秋山。
「でもどうやって馬を止めるの?」
「勢いがありますから、そはらさんが怪我することも……」
「あのな、簡単にそはらを怪我させずに降ろす方法なんていくらでもあるっての……」
そして秋山が走る馬の前に出てくる。
「秋山さん、危ない!」
そはらが叫んだ瞬間、自分の目の前には秋山がいなかった。
気付いた時にはいつの間にか、目の前は芝生ではなく、青空が見えていた。
「あれ?」
「よ」
そはらの顔面に秋山が顔を近づけてきた。
「秋山さん?」
「どんな状況かわかるかな?」
そはらの今の状況、それは秋山にお姫様抱っこされていたのだ。
そはらは少ししてその状況に気が付いた。
「い、いつの間に……」
「時止めでお前を降ろしたんだ。
時間停止さえしちまえば、対応できない奴は動けないから、どんなに早くたって意味はないからな。
まあ抱えてる相手が智樹じゃなくて悪かったな」
「べ、別に智ちゃんじゃないからって……」
「とりあえず下すぞ」
秋山がそはらを降ろす。
「ありゃ? いつの間に?」
牧場主もいつの間にか移動しているそはらたちの方を見る。
馬も困惑はしたものの、しばらくして止まった。
「まあ、次はだれがやる?」
「あんなことがあったのに!?」
それからカオス、美香子、秋山を除く他の面々がその馬に乗るが、なかなかうまく乗れなかった。
守形は言うまでもなく、うまかった。
「みんな、うまく乗れてないね」
カオスは小さい馬に乗っているが、小さい馬も結構穏やかであり、うまく乗れていた。
「まあ、すぐに乗れると言うことはないだろう」
守形はニンフとアストレアを見る。
ニンフもアストレアもそはらみたいに馬(と牧場主)に振り回され、落ちかけた。
と言うよりもアストレアは落ちたが、皆、特に気にしなかった。
日和はなぜだかわからないが、馬が穏やかにしか動かず、怪我の恐れがなかった。
智樹に至っては……。
「げふっ!」
乗せてもらえず、後方の足で蹴飛ばされた。
「なんで俺だけ……」
「次は私が……」
次にイカロスが馬に乗ったのだが……。
「イカロス、うまく乗りこなせてるな」
イカロスは馬のスピードや揺れにうまく対応しており、馬もイカロスに大人しく従っている。
「なんでアルファーあんなにうまいの?」
「さあ?」
「俺も知らん」
イカロスはしばらくして、馬から降りる。
「それじゃあ次は会長が乗るわよ~」
イカロスが馬から降りてすぐに美香子が馬に乗った。
「お~ほっほっほっ!!」
美香子が馬に乗ると、何故か馬が暴れ馬のように動きだし、美香子もいつの間にか鞭を持っていた。
「はいやあああ!」
そしてそのまま智樹の方に走っていく。
「ひいいいいええええええ!!」
智樹は逃げていく。
「いきなさーーーい!」
「なんでいつもこうなるんだー!!」
智樹はそういうが、これはいつものことである。
それから智樹が再び馬の後ろ蹴りをくらわされたのは言うまでもない。
「いててて……」
「桜井君、大丈夫?」
そはらと日和が智樹を介抱する。
そんな時、智樹の腹の音が鳴る。
「腹減っちまったな」
「もう昼だな」
「それじゃあ、今度は流しそうめんでもするか」
「流しそうめん?」
「はいはーい! 流しそうめんってなんですか?」
ニンフとアストレアが尋ねる。
「簡単に言うと、そうめんを水の力を使って流すものだ。
そして流れてきたそうめんを箸を使ってすくって、つゆに入れて食う。
そう言うものだ」
「秋山、実際に見せてみればいいんじゃないか?」
「そうだな」
守形に言われて、秋山はよく流しそうめんで使われるであろう流しそうめん用の竹とそうめん、そして人数分のつゆを出す。
「まずは竹の一番上のところから水を流す」
秋山が指を鳴らすと、何もないはずの竹の一番上から水が流れる。
「そしてそうめんを少し流す」
秋山は竹の一番上からそうめんを流す。
「それからぁ!」
秋山が急いで走って行き、流れるそうめんの元にたどり着く。
「すくう!」
秋山が箸で流れてきたそうめんをすくう。
「そして食べるだ。
ちなみに……」
秋山は取ったそうめんを食べずに、再び流す。
それからそうめんはそのまま最後まで流れていく。
竹の最後のところには、竹のホースがあり、その竹ホースは竹の一番上に繋がるようにしていた。
「最後まで取れなくても、もったいなくないように延々と流れ続けるようにしてある。
とまあ、こんなものでいいかな?」
「わかったわ」
「それじゃあ、そうめん取り放題ってこと?」
「公平を規す為に一度取ったら、10秒は取っていけないルールにするからな。
ルール破ったら、そうめん抜き。
それじゃあ、みんな、つゆを持って、位置についてくれ。
位置については俺のこのくじを引け」
秋山がくじをだし、皆、そのくじを引く。
「それじゃあ、一番から順にこっちの方に並んでくれ」
一番から竹の一番上に近い順に並ぶ。
順番はアストレア、ニンフ、智樹、そはら、守形、日和、美香子、イカロス、カオスとなり、全員がそうめんつゆを持ってスタンバイする。
「じゃあ、流すぞ。まずは難易度1だ」
秋山がそうめんを流す。
流れるスピードは穏やかな川の流れレベルだった。
「これなら取るのは簡単!」
アストレアは簡単にそうめんをすくう。
しかしそうめんはアストレアの箸を滑り落ち、再び流れていく。
「あれ?」
「もう、デルタは本当にダメね」
「じゃあ、ニンフ先輩もやってみてくださいよ」
「見てなさい」
ニンフがアストレアの拾い損ねたそうめんに狙いを定める。
「そこよ!」
ニンフがそうめんをすくう。
「どうよ、デルタ」
ニンフは胸を張って威張る。
だが…………。
「ぷすす。ニンフ先輩」
アストレアは笑いながら、ニンフの箸を見た。
「何笑ってるのよ? デルタ……!?」
ニンフも自分の箸を見てみるとそうめんは箸から落ちており、再び流れていた。
「言ってなかったが、この流してるそうめんは結構滑りやすいからな。
油断してるとそうめんは箸から落ちるぞ」
「うりゃあ!」
三番手の智樹はそうめんをすくい、すぐにつゆ入れの中に入れて、そうめんを食べた。
「俺の勝ち~」
「あ~あ」
「それじゃあ、智樹は10秒休みな。
あまり退屈しないようにいっぱい流すとしよう」
秋山は一気にそうめんの束を人数分流した。
「取れなくてもまた流れてくるから安心しな。
まあ食べられるかは別問題だけど……」
「今度は取るぞ~」
「私だって!」
アストレアもニンフも負けずとそうめんを取る。
今度は油断もしてないので、取ることが出来、残りの皆もそうめんを取ることが出来た。
「まあ油断してなければこんなものか。
難易度を徐々に上げるつもりだったが、やめだ。
一気に難易度最大にしてやろう」
「難易度最大?」
「黙ってみてれば分かる。流すぞ」
秋山が新しくそうめんの束をいくつか流す。
「……………」
「……秋山」
智樹が秋山に声をかける。
「何だ?」
「一向に流れてこないんだけど……」
「流れてないわけないだろ。
アストレアとかニンフとかイカロスにカオスに聞けばいい」
「? どういうこと? ニンフさん」
そはらがニンフに聞く。
「このそうめん……光速で動いてるわ」
「「え?」」
智樹とそはらは驚きの声をあげた。
「取れない……」
「ふん!」
日和はエンジェロイドになっていても、改造前と変わらない部分が多いためにそうめんを目視できなかった。
守形と美香子も頑張って取ろうとするが、相手は高速ではなく光速。
さすがの二人でも視認は出来ず、取るのは難しく、取れるのはほんの少しそうめん数本だった。
「取れないわね」
「そうだ! こうしちゃえば……」
アストレアは戻って来るそうめんに備えて、箸を竹に付けて待機する。
「反則!」
竹の一部をだし、それをアストレアの額に当てる。
「あいた!」
「アストレア、30秒休み」
「そんな~」
「そこ!」
「えい!」
最後の方にいたイカロスとカオスは光速についていくこそ無理でもある程度の対応は出来た。
全てはすくえなかったものの、守形や美香子よりも多くすくえていた。
「おいしいね、イカロスお姉様」
「うん」
「あの二人はもう別もんだろ」
「だがおかげでヒントが見えてきた」
「え? ヒント?」
「そうそう。イカロスとカオスは10秒休みだけど、守形と美香子はあまり取れてないから休みなしな」
「なら次はいけるわね」
「どうやるんですか? 会長」
「こうするのよ」
光速で動くために何度も何度もそうめんは回っていく。
「そこだ!」
「ええ!」
守形と美香子はそうめんをすくった。
その量はなんと1束分だった。
「ええ!?」
「どうやったんですか?」
「簡単なことだ」
「光速でも、パターンはあるのよ」
「パターン」
「そうめんが俺達の前に現れるパターンだ。
正確には現れるタイミングだ。さっき、俺と美香子が取った時のタイミングと光の速さ、竹の長さを計算すれば簡単だ」
「竹の長さはともかく……」
「光の速さってどのくらいだよ……」
「説明しようか?」
「いや、結構です」
智樹は遠慮した。
「つまりは何度もやってタイミングを掴めって事か」
「頑張ろう、智ちゃん」
「あの秋山先生、何度もやっても大丈夫なんですか?」
「取った量によって俺が休みを入れるか入れないか判断する。
何度もやるかはそちらの判断に任せる」
「ぐぬぬぬ……」
智樹達は何度もやるというのはある意味冒険することである。
もしも秋山の休みに値する少ない量を取ってしまうと10秒も休まないといけない。
その間に守形や美香子にイカロスにカオス、そして慣れてくるだろうニンフに取られる可能性が高い。
つまりは智樹とそはらにとっては一発勝負に近いのだ。
「「タイミング……」」
二人はほとんど同じことを言っている。
「「そこだーーーーーー!!」」
智樹とそはらは箸でそうめんをすくった!
その量は……。
「やったーーーー!」
「一束分だよ、智ちゃん!」
智樹とそはらは見事に一束分のそうめんを取ることに成功した。
そして二人はそうめんをつゆにつける。
「おいしい~♪」
そはらはそうめんをおいしく食べる。
「……えい」
日和も負けじとそうめんを取ろうとするが、あまり取れない。
「全然取れない……」
「…………ほら、まだ手を付けてないからいいだろ」
智樹はそうめんを入れたつゆを日和に分ける。
「あ、ありがとう桜井君」
「あ~、日和さんずる~い」
「トモキ!」
思わず怒鳴ってしまうニンフ。
「な、なんだよ? 分けちゃダメってルールはないだろ?」
「ないぞ」
秋山が智樹をフォローする。
しかしニンフとアストレア、そしていつの間にかそはらも智樹に敵意を見せていた。
「「「智樹(智ちゃん)(トモキ)のバカーーーーーーーーー!!!」」」
三人に吹き飛ばされた智樹。
「あらあら、桜井君、本当に鬼畜ね~」
「いいな~、日和お姉ちゃん」
それからしばらくして、一応そうめん流しは終了した。
「さてと、帰るとするか」
午後の馬乗りも終えて帰ることにした。
「帰りってもしかして、また飛行機?」
「また墜落なんて嫌だぜ」
「いくらなんでもあそこに墜落できる場所ないから無理だ」
「じゃあ、どうやって帰るんですか?」
「どうやって帰そうかな……」
秋山は帰す方法を考える。
「桜井君に船を漕いでもらうのはどうかしら~?」
「ええええ!?」
「それはやめさせておく」
「ほっ」
「代わりに……」
そして……。
「結局こうなるのかよーーーー!!」
秋山特製の飛行機でハムスターの運動用の車に入れさせられた智樹は走らされる。
そしてその走った力が飛行機を動かす。
「頑張れ、頑張らないと墜落するぞ」
「墜落させる気はないんじゃないのかよ!」
「俺はない。だがお前はどうか分からんからこうしている」
「だからって俺にやらせるなーーーーーー!!」
智樹はがんばって走って飛行機を動かす。
「ギャグではお前はこうなる運命だ」
「くそーーーーーーー!!」
智樹達を乗せた飛行機は無事、空見町に着いたとさ。
終わり
余談だが、秋山が5,6歳の時に馬に乗ったというのは作者(BLACK)の実体験である。(実際馬に乗った年齢は忘れているが馬に乗った記憶ははっきりしている)
おまけ
作者「久しぶりだぜ」
智樹「秋山は休むんじゃなかったのかよ?」
作者「休ませるつもりだったけど、今回のことは秋山なしじゃ難しかったからな。結果としては1回しか休んでないぜ。
まあ、時間的には1か月は休んでるかな」
智樹「そんなに経ってるの?」
作者「まあそこは適当だからな」
智樹「ところで今回は何の影響で書いたんだ?」
作者「『TARI TARI』と『ちびまる子ちゃん』と『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』」
智樹「思ったより多いな」
作者「『TARI TARI』は馬だな。馬に乗るシーンが出てきてな・・・。それで昔、俺が馬に乗ったことがあるのを思い出をふと思い出して、そこから馬に乗せようと思った。南の島ってのは『ちびまる子ちゃん』で流しそうめんが『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』で最近やったネタだからな。
おまけに今は夏だから、夏に間に合わせて作って、たった今完成した」
智樹「見直ししてないと」
作者「そういうこと。次回はそらおとだけど全然関係ないネタを投稿するつもりだな。
夏に書いたけど、そろそろ台風シーズンだから投稿するのにそんなに問題ないネタでも投稿しようかな。
それでは!」
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今回は夏ということとアニメを見た影響で書いたものですが、グダグダであることをご了承ください。
また作者の分身となるオリジナルキャラ(秋山総司郎)も出てきます。