No.477142

超次元ゲイムネプテューヌXWorld Act.16 【ま さ に 外 道】

今回の注意

安定のがすと
フロムは寝てるだけ
ツバキちゃんマジゴメン

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2012-08-29 20:13:06 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:784   閲覧ユーザー数:693

~ラステイション スラム バーテックス傭兵事務所拠点(仮)~

「あ~…酷い目にあった」

 

命からがら上層部から逃げ帰った私は弾薬を補充(物理的交渉)した後スラムにある拠点へと帰ってきた。

ビルが吹き飛ぶほどの砲撃機能付大剣。それを難なく扱うという時点で手練れ…というより人間離れしているのは理解できた。

恐らくエネルギーとか魔法とかそんな感じの砲撃だろう。私の苦手とするものだ。

未だ見たイレギュラーは三人。うち二人が格上だというのがわかっている。

どう生き残る必要があるものかね……。

 

「たーだ…………」

 

スラムに帰り、拠点(ボロ屋)帰ってきた私は絶句した。

何故か。簡単な理由だ。女の子にある大量の人形張りに【大量のがすとが置いてあったから】だ。

何のホラーだこれは。子供が視たら泣くぞ。いや哭くぞ。

部屋の中央ではがすとが不気味に呟きながら釜を掻き混ぜていた。まだやってたのかこいつ。

 

「……おいがすと」

「あ、帰ってきてたんですの?偵察はどうだった?ですの~。」

「大参事だよ。私を消し飛ばすためにビル一つ吹き飛ばしやがった。」

「それはまた。常識がないイレギュラーが来たもんですの。」

「私らが言えたことか…?てかお前どんだけ作るつもりだよ」

「今の所で来ているのは57体ですの。格上ばかりということはせめて100はほしいところですの。」

「ひでぇ使い捨てだな。私らが暮らすスペース作っとけよ?」

「錬金術は万能ですの。」

 

得意げにいうがすとにそうかい、と残して部屋の奥に進む。

少し進んだ部屋はがすとが作業している作業室とは違い若干機械的に出来ており、そこらじゅうに銃や弾薬が置かれている。急ごしらえで造った私の私室だ。

やはり私室というのはいい。一人だけの部屋という状態が何か不思議な安息感をくれる。

先ほど死にかけた身としては安息というメンタル回復は重要だ。肉体は重要だが精神も重要だ。精神論というわけではないが健康な肉体と健康な精神があって初めていい仕事、いい殺しができると思っている。

まぁ行ってしまえば健康で悪いことはない、とだけ。

 

『よし…。フロムー。少し出かけてくるですのー。』

「はいよー。」

 

居間の方からがすとの声が聞こえた。出かけてくる…と言っているが残機を使って偵察か、はたまた材料集めか。まぁ大丈夫だろう。残機(ホムンクルス)のあるがすとは力仕事以外はなんでもできるしな。

私は………

ふと横を見ると、あの日記が見えた。【Fallen to hell】と書かれた日記。

地獄への堕天…。これは裏切られた日記の著者の心境なのだろう。

…もしくは、裏切った相手への地獄へ墜ちろという怨念か。どちらにしろ狂気を催す内容であるのは間違いない。

私もこうはなりたくないね。少なくとも他人に当たるようなド畜生には、な。

…………いや、手遅れかな。

何にせよこれは重大な手がかりだ。保存しておくに越したことはないだろう。

…少し眠い。寝よう。おやすみ………。

~ラステイション最上部 教会前~

「教会、か……。」

 

ラステイションの教会を前にして、ふとわたしは呟いていた。

後に瓦礫の山になるとは思えないように大きく、壮大に聳えた教会。

………未来は、わからない。

 

過去に来たと言っても、私が知らない女神がいるレベルで戻っているとは思えない。マジェコンヌ事変なんて教科書にも載っているぐらい有名かつ近い出来事だったからだ。

マジェコンヌ事変が解決したのはわたしが生まれるより数年前。つまり私が転移するより20年…弱ほど前だろう。

……流石に、いないよなぁ…?

 

「…?どうかした、ネロさん?」

 

フウを見ながら考えていたら気づかれた。

そこまで凝視していたという自覚はなかったのだが…

 

「考え事だ。」

「ふ~ん……。」

 

フウはわたしを怪しんでいるのかわたしをじっと見つめている。フウを見て考えごとをしていたのは事実だ。わたしは嘘は一切言っていない。はず。

 

「はーい、女神同士でイチャイチャするのは後にしてくださいねー。」

「誰がイチャイチャしましたかこのバ影はぁ!」

「あだだだだだだだ!自分と同じ姿の影良く殴れますねぇ!」

「もう慣れたっつの!」

 

アリスとじゃれあいだした。

どうやらこのアリスは誰かにちょっかい出しては殴られる(または蹴られる)のを愉しんでいるようだ。……被虐(そういう)趣味なのだろう。そっとしておこう。

 

とりあえずじゃれあう二人を他所に教会に入ることにした。そのうちあの二人も来るだろう。

 

 

 

大きな扉を開けると、見慣れた光景が目に入った。

全体的に黒い壁。床に広がるわかりやすい赤の絨緞。そして天井近くにあるステンドグラス。

……何故だろう。あれから体感的に一日もたっていないはずなのに、酷く懐かしく感じる。…そして、寂しく感じる。

………感傷に浸ってる暇なんかなかったな。

 

「教祖は不在か?!」

「大声で呼ばなくてもい……何者だい、君は。」

 

少し声を出すとケイが出てきた。

……私が知っているケイより、はるかに若い……いや、幼い。

20年……人間にとっては、長い時間ということが、よくわかる。

……それだけあれば、人間は嫌でも変わるということか。

例え、世界を救われても……。

 

「……君、大丈夫かい?」

「!?……問題はない。わたしはネロ。何者かは…言っても信じられないだろう。」

「…言っても信じられない、ね。ただし君は言っても信じられない存在だと言うのならば、君が存在している以上それは信じられる存在だ。…ラステイション教会教祖ケイだ。何用かな?」

 

「……。わかった、話そ「それには及ばないですの。」ッ!?」

 

突然、背後から声がした。

幼い、小さな女の子の声だ。

振りむくと、そこには声の感じ通りの人間がいた。だが、フウよりも小さいその体からは嫌な雰囲気が湧き出るように感じ取れた。

 

「…今日は来客が多いね。…君は何者だい?」

「私はがすとという者ですの。教会に……と、いうよりは彼女、ネロに用があってきたですの。」

「……何の用だ。」

 

わたしは恐怖心を隠しながら人間、がすとに向けて問いを投げる。

そこに存在しているだけで不安、恐怖といった負の感情がうちから溢れそうな雰囲気を纏っている。

……嫌な予感は、的中した。

 

「用というのは…死んでほし「させるかァ!!」イィッ」

 

がすとがナイフを取り出した瞬間。横からフウが飛んできた。

通り過ぎる瞬間に鎌ががすとの首を通り過ぎ、刎ねた。

飛んだ首と残った首から血が溢れ、元から赤いじゅうたんがさらに紅く塗られていく。

状況を理解できていないケイとネロを心配したか、フウが声をかけた。

 

「大丈夫!?ネロさん!」

「あ、あぁ……。」

「……君たち、流石に今のは見逃せな「酷いことするもんですの。フロムの見る目は正しかったようですの。」

「「「!?」」」

 

その出来事に、場の全員が驚愕した。

がすとは間違いなく首を刎ねられ、絶命した。全員が見ていた。

だが、しかし……。

 

「女神に人間への慈悲がないことはわかっていたけど、ここまでとは。予想外だったですの。」

 

がすとは、何もなかったと言わんばかりにそこに立っていた。死体は、既に消えている。

 

「まぁ、今のでわかったですの。教祖。他国の女神による故意の人間殺害。これは許せることではないでしょう。それだけで十分になったですの。」

「………」

「では、失礼ですの…。」

 

悠々と、がすとはその場を立ち去った。

しんと静かになった教会内。最初に口を開いたのはケイだった。

 

「未だ、状況は理解できないが……アレが、言い残していったことは事実だ……」

「ケイ………!?」

 

「ユニ…!拘束しろ!」

「了解。」

 

現れたのは、女神化したユニねーさんだった。その姿もやはり幼く見え、プロセッサユニットの装甲も変わってみる。特徴的なのは顔を覆うバイザーか。

……ユニねーさんはわたし達(正確に言えばフウ)に向け、ねーさんの身の丈以上の大きさの銃を構えていた。

 

「うー、酷い目に遭いまし……何事!?」

 

アリスだ。さっき来なかったのはフウに殴られていたからなのか。

……アリスが来ても一緒に掴まるだけな気がしてきた。

 

「どうやら身内のようだね……。気の毒なことだが、そこの彼女は罪を犯した。よって拘束させてもらう。」

「ハァ!?フウちゃんが何したと言いやがりますか駄教祖!」

「あ、アリス!?」

「彼女は故意に人間を殺害した。……過剰防衛及び他国での人間殺害の罪だ。」

「んなでたらめ誰が信じるかってんですよ!こんなところにいられますか!私ら帰らせてもらいます!」

「ちょ、ちょっとアリス!?」

「おい、何を!?」

 

突然アリスが私らに影を伸ばし、吸いこんで行く。

 

「…!ユニ、逃がすな!」

「了解。攻撃を開始。」

 

最後に聞こえたのは、ユニねーさんの声と、ユニねーさんの物と思われる銃撃音。

やがてそれも聞こえなくなり、私の意識は、徐々に、消えて行った。

~ラステイション最下層スラム バーテックス拠点(仮)~

「ただいまですのー。」

 

………とりあえず挨拶はしてみたがフロムの返事はなし。

寝ているのだろうか。

 

まぁ返事がないならそれでいい。

さっそく減った分のホムンクルスの増産に入らないと………。

あー…材料切れてるか。仕方ない…。後で収穫しないと…。

しかしまぁ、残機1と引き換えに連中を悪役にできたのは大きい。

イレギュラーに対し協力できるような性質でもない…それに、私のような悪人に協力したがるのは見た目に騙された愚か者ぐらいだろう。

 

さて、暇になってしまったがどうしようかな……。

……残機を無駄遣いはしたくはないが、もう少し煽りに行っても損はないだろう。

そうと決まれば話は早い。光をばら撒きながら影探しと行こう。

上手くいけば、引き込むことも可能かもしれない。

私は【協力】って言葉が苦手だから。同じ味方なら【従わせる】方が好きだし。

協力だと私も前に出る必要があるけど従わせれば前に出ることなく使うことができる。それに、使い捨てる理由にもなる。

 

さーて、どう動くかな、女神二人とその他二人は。

そう、密かに楽しみにしながら私は入った途端の我が家を後にした。

影に潜む謎生物。解剖もしたいな……。とか想いながら私はスラムを歩き始めた。


 
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