No.477127

ONE PIECE —黒髪少年の描く世界— 第三十八話 酒屋騒動

霧宮 海さん

にじファンからの転載です。

…すごく今更な忠告なんですが…霧宮の話は基本ヤマト視点のため、原作の多くのシーンが省かれたりします!ちょっとあれ?と思う事があると思いますがご了承ください!

2012-08-29 19:39:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6522   閲覧ユーザー数:6377

 

「なあ、でもよー。情報ってどうやって集めんだよ」

ルフィがゾロの方を見て尋ねる。

「さあな。適当に歩いてりゃなんとかなんだろ」

テキトーだなーホントに。

「あ、そういやナミが『ぜっっったい問題起こさないでよ!!!?』だと」

俺がモノマネして言うと

「おほぉぉ!似てる!ナミそっくりだ!」

ルフィにウケた。

「うし。俺は言った。俺にもう責任はありません!」

確かに俺は言ったぞ。

 

「なあ、二手に分かれるのはどうだ?」

ゾロの提案だ。

「効率よくやった方がいいだろ」

ごもっとも。

「そうだな。んじゃヤマトとおれで行くか!」

ルフィが言う。でも、

「それって死亡フラグだと思う」

「なんでだ?」

俺の言葉に首を傾げるルフィ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前…ゾロが一人で船の所まで戻れると思うか?」

「思わねぇな。よし、おれとゾロで行こう!」

「なっ、おれだって船の所にくらい行けるぞ」

「いんやーヤマト君は行けないと思うなー!!」

ぎゃーぎゃー言いあっていてらちがあかないので勝手に抜け出す。

 

「あー。情報収集するってんだからやっぱ居酒屋か?」

つぶやき、近くにあった酒屋に入る。やっぱり海賊達の溜まり場の町なだけあって、どこもかしこも海賊だらけでこの酒屋も例外じゃなかった。

カウンター席にすわり、とりあえずお腹が減ったので“ちぇりーぱい”を頼む。“ちぇりーぱい”てなんだ?“ぱい”はサンジが前作ってくれたからわかるが“ちぇりー”てなんだ。ということで頼んでみた。

 

口に入れる。

 

 

「「うっ!」」

 

 

「おいおっさん!」

「おぉい!オヤジぃ!!」

 

 

「この“ぱい”まじクソうめぇな!!」

「このチェリーパイは死ぬ程ウメェな!!」

 

「「ん?」」

 

なんと3回連続となりの男と言葉がかぶった。それってどうよ?

でも。

 

「…話が合うな、おっさん」

「…おめェも見る目あんじゃねェか」

なんか意気投合した俺たちは軽く酒を飲んで、互いに互いの仲間の食料を買ってその店を出た。その後もしばらくチェリーパイを食べながらだべっていた。このおっさんによるとチェリーパイはもとから好きだったらしく、ここのチェリーパイに感動して衝動買いしてしまったとか。まあ気持ちはよくわかる。確かにめっちゃうまかった。

 

 

 

 

 

 

 

ガシャァァァン

 

「「!?」」

ちょうど俺たちが歩いていた道の真横の酒屋から尋常じゃないガラスの割れる音がした。べつにただの瓶の割れる音なら気にしないで終わるのだが、皿を10枚一気に床に落としたような音だった。そしてその後も立て続けに今度は先ほどよりも小さめの割れる音がする。

「なんだ?」

気になった俺たちが店の中をのぞく。

 

 

 

「!!!」

そこに立っていたのは血まみれのルフィとゾロ。そしてタンクトップにマント?を肩にかけて、舌をだらしなく下げて笑ってる男だった。

 

「どういう事だ…」

ヤマトが無表情でルフィとゾロに近づいていくと、その男がこちらに気づいて話しかけてくる。

「あぁ!?なんだてめェ、この船長の下っ端か?」

「…だとしたら?」

「ハハッハ!とんだ船長の下に付いちまったもんだな。同情するぜ!」

椅子に座り、爆笑している男。周りの声を聞いているとベラミーと言うらしい。

「“とんだ船長”ってどんな船長だ?」

ヤマトが聞く。ヤマトは軽く俯いていて誰にも彼の表情を伺う事はできない。

「弱ェ上にプライドもねェ。そのくせ夢見てる臆病者だよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ…そうか…」

ヤマトが顔を上げる。

 

 

「てめえらの目は節穴だな」

その顔は誰から見ても馬鹿にした目だった。

「あぁ!?」

ベラミーがこっちを睨む。ルフィとゾロを一発ずつ殴り、ヤマトの方に歩いていく。ルフィとゾロはその場に倒れ込む。

 

「ヤマト…だめだ、ゲホッ、ケ、ンカを買うな」

ルフィがとぎれとぎれに言うがそれもヤマトを煽る言葉にすぎなかった。

 

「確かにナミには注意されたけどよ…それにこれが無駄なケンカってこともわかってる。でもそれはルフィ達にとってだろ?今来て事情を知らない俺にとっては仲間がやられてるわけだ」

ルフィの方を見ないで言う。ルフィの方を見れないのはきっと俺の頭の中のどっかでは『俺が間違ってる』と思ってるからだと思う。でもやっぱり何もしないなんてできない。

「そんなのほっとくなんて器用な真似、俺にはできねェよ」

自嘲気味に笑うヤマト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから…ごめんな、ルフィ」

 

ベラミーに向かって右手の手のひらを突き出す。

「フィーユ・ダイス、|in the lock(イン ザ ロック)!!」

ヤマトの手から葉が出て来てベラミー取り囲む。

「?」

ベラミーは怪訝そうな顔だ。だがどうせ何もできないと思ってるのか抵抗をするそぶりは見せない。そうしているうちに葉はベラミーを囲みきり、ダイスとなった。ダイスの中にベラミーがいる感じだ。

 

「カラー・セレクト、ヘビー級、コンプレッション!」

ダイスが漆黒に染まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…|GRIP(グリップ)」

ギュッとヤマトが拳を握ると

 

 

ベラミーが入っていたダイスはぺちゃんこにつぶれた。


 
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