No.477073

fortissimo//Zwei Anleihen in Niflheimr 1話~いつも通りの時間~

saitou2021さん

1話です。今回は日常パートのみですので肩の力を抜いてお楽しみください。

2012-08-29 17:15:00 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:880   閲覧ユーザー数:872

 

本編の前にまずはキャラ紹介をさせていただこうかと思います。

 

 

 

 

 

工藤 逢菜(くどう あいな) 

 

身長:154㎝ 体重:41㎏

 

星見学園高等部1年生

 

特徴:天真爛漫

   社交的

   ブラコン

 

・本作の主人公。本人の性格は明るく優しく社交的。更に、文武両道、容姿端麗。

故に同学年内では男女問わず人気者である。

もちろん男子から何回も告白を受けているがすべて丁重にお断りしている。

何故なら彼女は自分の兄一筋のブラコンだからである。

彼女の母は彼女が生まれると同時に他界してしまっているため母とは一度も

顔を合わせたことはない。実の父親も、母が他界して数年後、不幸な事故により

命を落としている。今は、兄と義父との3人暮らしだが義父は『仕事の都合』

であまり家に帰ってこれないのが現状である。

よって、家事などは兄と協力してこなしている。

何かと兄の世話を焼きたがる『姉』のような一面を持つと同時に何かと兄に甘えたがる

『妹』としての面もきちんと持ち合わせている。

 

 

 

典型的な完璧少女です。更に言えば残念美少女。駄妹です、えぇw

とにかく兄のことが大好きなんです。もう身も心も捧げていいくらいに。

この作品のテーマはとにかく『兄妹愛』です。

彼女が兄に対して抱いてる想いがどう移り変わってゆくか・・・それとも

変わらないままか?それはご自分の目でお確かめくださいw

 

 

 

 

 

工藤 翔(くどう かける) 

 

身長:175㎝ 体重:63㎏

 

星見学園高等部2年生

 

特徴:ちゃらんぽらん

   シスコン

   お人よし

 

 

・逢菜の実兄。何かと適当でちゃらんぽらんだが人当たりはよく、

特に妹の逢菜のことは非常に溺愛している。

逆に義父のことは『家族より仕事を優先する屑野郎』という不名誉な

レッテルを貼り、毛嫌いしている。

 

 

もう一人の主人公と言っても差支えない人物でしょう。

こちらも妹大好きのシスコンです。素晴らしい兄ですね(白目)

とにかく自分の命なんかよりも逢菜の方が大切だ!!ってくらい妹の

ことが好きなんです、大切なんです。

そう・・・命を投げ出せるくらい・・・大切なんです・・・(意味深)

 

 

 

 

神月 一樹(しんづき いつき)

 

身長:172㎝ 体重:60㎏

 

星見学園高等部1年生

 

特徴:真面目

   クール

   激情家

 

 

・逢菜の幼馴染。剣道部所属。小さい頃から剣道をしているため

実力は相当なもので1年生にも関わらず、部活でレギュラー入りを果たしている。

本人の性格は落ち着きがあり、至って真面目。

だが意外に激情家であったり、ユーモアのある発言をしたり、

いい意味で様々な顔を持っている少年。

 

 

 

ギャルゲーとかであれば多分こいつが主人公でしたねw

性格的には龍一を少し柔らかくした感じでしょうかね?

冗談も通じますし、冗談だって言います。

あと、今回はバトルステータスなどは書いてないですが・・・

言ってしまいますと・・・

 

こいつ、だいぶ強いです。

 

えぇ、マジで。どれくらい強いかって言うと・・・

まぁ、それは本編のお楽しみということで。

あ、オーディンとか零二ほどは強くりませんw当たり前ですw

 

 

 

・・・と、今回のキャラ紹介はこんな感じでしょうか。

それでは、本編の方をお楽しみください。

 

 

 

私は思うのです。世の中に兄のことが嫌いな妹が存在するのかと。

否。断じて否。いるはずがありません。そりゃぁもちろん仲の悪い兄妹はいくらでもいると思います。

だが…だがしかし!

世の妹は必ず心の奥底で我が兄のことを「大好き」と思ってるはず・・・いや、思ってる!

世の妹は皆、お兄ちゃんのことが大好きなのです!

少なくとも私は自分のお兄ちゃんが大好きです。

ブラコン?結構。最高の褒め言葉です。

 

「…よし」

 

深呼吸を1回。さて、前座はここまで。

私が今何をしようとしているのか。それは――

 

「お、に、い、ちゃーーーーんっ!!!!」

 

「ぷぎゃあああああああぁぁっ!!?」

 

愛するお兄ちゃんへの朝一番の抱擁。※ボディアタックとも言う。

う~ん・・・お兄ちゃんのいい匂い・・・。

 

「あ・・・逢菜・・・ちょっ・・・」

 

「お兄ちゃん、おはよう!」

 

ベッドの中で唸っているお兄ちゃんへ私は満面の笑みを投げかける。

うん、今日もいい朝。

 

「・・・ぁ、やばぃ・・・っ・・・ち、恥骨砕けたかも・・・」

 

「えぇ!?私そんなとこダイブしてないよ!!?」

 

「いやっ・・・おま・・・ひざがもろに・・・あぁ、オチたかもこれ・・・。

・・・逢菜・・・俺が死んでも・・・元気で・・・」

 

「やぁぁぁぁぁぁっ!!お兄ちゃんが死ぬなんて私・・・!」

 

「あ・・・あと・・・俺が死んでも・・・ベッドの下だけは絶対に覗くなよ・・・。

・・・絶対だ。・・・あぁ、まだ死にたくなかった・・・」

 

「妹もののエロ本が沢山あるからだよね!!」

 

「やっぱ今すぐ死にてぇ・・・」

 

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

「あのなぁ逢菜・・・。毎朝起こしてもらうのは非常に有り難いが・・・

頼むから殺すな。善意で人は殺せると知れ。」

 

「うぅ・・・ごめん」

 

だってあんなことになるとは思わなかったんだもん・・・。

と心の中で言い訳しとく。事実私はお兄ちゃんの恥骨を破壊しようだなんて微塵も思ってなかった。

というかするはずがない。愛するお兄ちゃんなのに。

 

「じゃあ、どういう起こし方をご所望?」

 

私はおわんに炊きたてのご飯をよそいながらお兄ちゃんに訊ねる。

 

「殺人的なのでなければなんでもいいが・・・」

 

「でも、耳にフーは嫌なんでしょ?」

 

「誰だって嫌だろ、あんな・・・」

 

「え~?私はお兄ちゃんがしてくれるなら・・・えへへぇ」

 

「・・・おーい。帰ってこーい。魚、焦げるぞー」

 

「えっ?あ、いけない!」

 

・・・ふぅ、ギリギリセーフだったみたい。

私の家・・・工藤家にはお母さんがいない。

私を産むと同時に亡くなってしまったらしい。

お父さんもそれから数年後に不幸な事故で亡くなってしまい、今はお義父さんとお兄ちゃん

との3人暮らし・・・なんだけど、お義父さんもお仕事の都合であまり家に帰ってこない。

年に1回帰ってくるか来ないかだ。

だから実質お兄ちゃんと2人暮らし。

それでも、家事はお兄ちゃんと一緒にこなしてるから何不自由なく生活できてる。

 

「はい、じゃあ朝ごはん完成!」

 

不自由どころか・・・私としては新婚さんみたいで少し嬉しかったり。

 

「おー、今日もうまそう。いただきまーす」

 

「うん、召し上がれー」

 

私にとっては、こんな当たり前の日常が何よりの幸せ。

だから、ずっと続いてほしいと願う。

こんな安らかな日々が続いてくれるなら明日なんか来なくていい。

こんな安らかな日々が世界が終わりを告げるまで・・・永遠に。

 

 

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

「今日は暑いねー、お兄ちゃん」

 

私が住んでる島・・・月読島は年中暖かい気候に包まれているけど、

さすがに夏となるとこれだけ暑くなる日も当然あるわけで・・・。

うぅ・・・汗が・・・。

 

「ほれ、タオル。汗ふけよ」

 

「わ、ありがと、お兄ちゃん」

 

さすが私のお兄ちゃん。とても気がきく。

私は汗をふくと共に、タオルについている洗剤と太陽の匂いを胸一杯に吸い込む。

 

「はふ・・・お兄ちゃんの匂い・・・」

 

「嘘吐け」

 

「そんなことないよー。お兄ちゃんみたいにいい匂いだよ?」

 

「俺なんてケダモノの匂いしかしないだろ」

 

「またまた~。お兄ちゃん以上にいい匂いの概念なんて存在しないよ」

 

「そこまで言うか・・・。んなこと言ったらお前だって」

 

お兄ちゃんが急に顔を近づけてきて私の心臓はドクンと高鳴る。

・・・やだ、かっこいい・・・。

 

「うん、いい匂い。女の子の匂いだ」

 

「や、お兄ちゃん、くすぐったい・・・!」

 

「まーた朝からお熱いですね、お二方」

 

私がお兄ちゃんとじゃれ合ってると後ろから凛とした声が飛んでくる。

『生真面目』をそのまま声にしたみたいなこの声は・・・。

 

「いっくん!おはよ!」

 

「おはよ。翔さんもおはようございます。」

 

「おはー」

 

彼は私とお兄ちゃんの幼馴染の神月一樹。

私は親しみをこめて「いっくん」と呼んでる。

小さいころからよく遊んでいて今でもよく一緒に遊んだり、

買いものとか行ったりするくらい仲がいい。

 

「兄妹仲が良いのはいいですけど、人目とか気にしてくださいよ」

 

「いや、元はと言えばこいつが・・・」

 

「えー先に物理干渉してきたのはお兄ちゃんじゃん」

 

「お前が可愛いのが悪い」

 

「や・・・お兄ちゃんったら・・・」

 

「はいはい、ごちそーさん」

 

いっくんは呆れるように首を縦に振っている。

 

これが私の過ごす日常。これが私の過ごす今日。

私は、昨日とは少し匂いの違う風を体いっぱいに感じながら、通学路を歩いた。

 

 

・・・

・・・・

・・・・・

 

「う~ん!やっとお昼だ~!」

 

気だるい午前の授業の終了を告げるチャイムが鳴ると同時に、私はこれでもかと言うほど、

大きく伸びをする。

 

「逢菜、飯行くか」

 

いつの間にか背後に立っていたいっくんが私の肩を叩く。

チャイム鳴ったのさっきなのに早くない・・・?

その疑問を呑み込んで、私は元気よく頷いた。

 

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

「お兄ちゃーん、お昼ー」

 

私はお兄ちゃんもお昼に誘うために、2年の教室に来ていた。

クラスの皆さんは「また工藤の妹か」といった顔で苦笑いを浮かべている。

 

「おーい、工藤ー。愛しの妹さんが来てるぜ―」

 

「言われなくても、今行くっての」

 

「行って来い、シスコン」

 

「最高の褒め言葉どうも」

 

お兄ちゃんはクラスメイトさんに手を振りながらこっちに向かってくる。

適当そうに見えて案外人当たりはいいんだよね。

 

「じゃ、行くか。我が愛しの妹とその幼馴染よ」

 

「俺、おまけっすか」

 

いっくんは複雑そうに苦笑いを浮かべる。

 

「ま、翔さんは逢菜ラブっすからね。俺、席外した方がいいですか?」

 

「ダメダメ、いっくんがいないとお兄ちゃんが私のこと襲ってきちゃうから」

 

「一樹がいなければ襲わないなど誰が言ったガァァァァーーー!!」

 

「キャーーーッ!!」

 

「・・・やっぱ俺邪魔じゃね」

 

・・・

・・・・

・・・・・

 

「うーん、やっぱ中庭はいいね~!」

 

私たちはいつも昼食をとっている中庭に腰を下ろす。

心地よい風が身体を優しく撫でていく。

あまりにも気持ちよかったから私はそのまま大の字に寝転がる。

 

「気持ちいい~・・・」

 

「おーい、股の間から雪国が見えてるぞー」

 

多分、お兄ちゃんが言ってるのは私が今日はいてる純白のパンツのことだろう。

 

「お兄ちゃんならいくらでも見ていいよー。あ、でもいっくんは見ないでねー」

 

「・・・まぁ元々見る気はないが・・・何か納得いかねぇな」

 

いっくんは不満そうに顔を歪めながらお弁当の箱を開く。

ちなみにいっくんの手作りらしい。

彼の家は母子家庭だけど、お母さんが仕事の都合でほとんどお家を空けてるから

実質1人暮らしなのだ。

つまり、うちと境遇が似ている。

 

「じゃ、俺も食うとしますか。逢菜の愛のこもった弁当を」

 

「うん、今日のはすごく気合入れてるから!」

 

「ほう、それは楽しみだ」

 

お兄ちゃんは喜々としてお弁当箱をオープンする。

ふふ、見て驚くがいい!

 

「!!これは・・・」

 

「・・・!?」

 

「見たか!これこそ愛妻弁当ならぬ愛妹弁当!!」

 

「な、何だって―!!」

 

「・・・・・・」

 

いっくんがひきつった笑みを浮かべてるが気にしない。

私のブラコンっぷりは今に始まったことじゃないし。

・・・と言ってもそんな驚くほどかな。

ただご飯に桜でんぶでハートマーク描いただけなんだけど。

 

「・・・いっそ結婚してしまえ」

 

「それが出来たらどれほどよかったか・・・」

 

「く・・・こいつは・・・」

 

「まぁまぁ、言いあってないでとっとと食おうぜ。つーか早く食いたい」

 

「そうだよ!早く私の愛を・・・」

 

「あーはいはい、いただきます」

 

「まーす」

 

「うー・・・いっくんの意地悪・・・」

 

「んー、うめぇ。さすが愛のこもった弁当だ」

 

「うぇっへへへへへへへへ・・・」

 

「きもい」

 

「ぁんだとォ!!?」

 

く、女の子に対してここまで直球に「きもい」って言えるとか・・・。

いくら幼馴染でも言っていいことと悪いことがあると思うんですけど・・・。

 

「皆さんはどう思いますぅぅ!!?」

 

「誰に言ってんだ」

 

「あぁ、このエビフライ、生地がフワフワしててマジ美味い。さすが我が妹」

 

「うぅ・・・お兄ちゃんはやっぱり優しい・・・どこかのいっくんと違って!」

 

私はいっくんを挑発するようにあっかんべーしながらお兄ちゃんに抱きつく。

 

「はいはい、どうせ俺は優しくないですよ」

 

「鬼畜。外道。変態。すけこまし。脇腹フェチ」

 

「え、そうなの?」

 

「いや、俺そんなどこかにちょっと同志がいるかもしれない程度にマニアックなフェチズム

持ってませんから」

 

「うっそだぁ!!いっくん私の脇腹よく触ってくるじゃん!!」

 

「いやそれはお前の弱点が脇腹だからであって別に欲情してるわけじゃあ・・・」

 

「まさか幼馴染の脇腹に欲情するなんて・・・」

 

「きけっつの」

 

ガシッ カマキリがえさを捕えるときのような素早さでいっくんに左足をつかまれた。

 

「キャー!?脇腹フェチと見せかけての左足フェチだったー!!

やー!ソックスだけはー!ソックスだけは勘弁してー!」

 

「ソックスハント・イツキ」

 

「なんすかその駄作臭漂うアニメみたいな名前は」

 

「つーか逢菜。じゃれ合うのはいいけど、お前食わないのか?」

 

「うぅ・・・そうしたいのは山々だけど・・・靴下がハントされる・・・」

 

いっくんは私の左足をつかんだまま器用に食事をとっている。

く・・・涼しそうな顔して・・・。

 

「決して脇腹フェチではないからな。それを伝えたかっただけだ。ほらよ」

 

そう言うといっくんはようやく私の足を放してくれた。

ふぅ・・・ソックスは死守できた。

 

「じゃぁ、私もいただきまーす♪」

 

「そういやお前、今日いつもに増してテンション高いな。なんかあったのか?」

 

「うわ、いっくんひっどーい!今日が何の日か覚えてないの―?」

 

「・・・・・・あぁ、お前の誕生日か」

 

この顔・・・完全に忘れてたって顔じゃん・・・。この薄情者!

実際に言ったら今度こそ靴下を狩られると思ったので心の中で罵倒しておく。

 

「それでね、今日お兄ちゃんとデートするの!うらやましいでしょっ!」

 

「そうなんか。翔さん、押し倒されないように気を付けてくださいね」

 

「私そんなケダモノじゃないもん!!」

 

私なんかよりいっくんの方が絶対ケダモノに決まっている。

幼なじみだからわかる。いっくんはむっつりだもん。

未だにエッチぃ本とか見つけられてないけど。

今度家に遊びに行ったとき見つけてやるんだから。

 

「まぁ俺も妹に『はじめて』を捧げるほど落ちぶれちゃいないさ」

 

「もー!お兄ちゃんまで!」

 

もう・・・何でうちの男性陣はこうデリカシーがないのかな。

 

「ま、とにかく今日は2人でデートだな、逢菜」

 

「うんっ!」

 

 

 

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

そして来たる放課後。もう正直楽しみすぎて午後の授業の内容なんて全然頭に入らなかった。

おかげで「クリスチャン」と答える問題を「おにーちゃん!」なんて叫んじゃうし。

もちろんクラスの皆からは大爆笑された。

さすがにあれは死にたくなった・・・。

 

「あっ」

 

待ち人来たる。お兄ちゃんも私の姿を見つけてこっちに駆けてくる。

 

「じゃ、行くか。それとも一旦家に帰るか?」

 

「ううん、このまま行こ!」

 

「うし、了解」

 

私はお兄ちゃんの腕でに自分の腕を絡ませながら歩き出す。

お兄ちゃんもそれを受け入れてくれてそのまま一緒に歩き出す。

 

 

 

「・・・お兄ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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