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ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者~ 第49話

あっくんさん

神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。

2012-08-27 17:37:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5928   閲覧ユーザー数:5682

第49話~匙の咆哮と言葉~

 

 

『開始の時刻になりました。このゲームは三時間の短期決戦(ブリッツ)形式を

 採用しております。それではゲームスタートです』

 俺達は作戦通りに動き始めた。

 祐斗とゼノヴィアは本格的に攻め込み、俺達は陽動だ。会長は赤龍帝である

 一誠や創造の力を持つ俺を先に『女王(クイーン)』に昇格させるだろうと

 読んでいるはずと部長は言っていた。

 

 あの会長は部長の裏の裏を読んでいると思うが…過ぎたことは気にしない。

 一誠と小猫は警戒しながら前進しているが、俺はどんどん進んでいく。

「クリス。少しは警戒しながら進め!」

「まだ敵には遭遇しない。忘れたのか? 一誠。俺も小猫みたいに仙術が使える

 事を」

 先日のヴァーリチーム襲来事件のときに、黒歌から見て覚えた仙術で気配感知

 をしている。

「一誠、小猫。相手と遭遇するまであと数分だ。一誠は禁手のカウントを始めとけ」

「わかった」

『Count Down!』

 宝玉に禁手の至るまでの時間が表示される。

「クリス先輩。真っ直ぐ向かってきている者が二人います」

 小猫の猫耳がぴこぴこ動く。可愛すぎだ、小猫。

 さて、俺は何になろうか。神器(セイグリット・ギア)もいいが、危険が多すぎる。

 神器融合(セイグリット・フュージョン)はやってもいいが、確実に滅してしまう。

 考えた結果、俺は遠山金一の武装になることにした。

 遠山兄妹の武装は扱いやすいのが特徴だな。

 拳銃に鎌(スコルピオ)。遠近両方で最強の武装だ。

 目をつむり、耳を澄ませると頑張って気配と足音を消しているようだが、

 ここにたどり着くまであと一分もない。ここは早急になっておくべきか…

 

 小猫に近づいて、頬にキスした。

「―――っ!! く、クリス先輩…!」

 ――ドクンッ!――

 ヒステリア性の血流が流れ出す。これは、普段より強力だ…!

 突然の事に顔がリンゴみたいに真っ赤になっている小猫。

 ははっ。小猫は可愛いよ、本当に。俺にはもったいないくらいだ

「ごめんね。突然キスして」

 小猫は雰囲気が変わった俺に、気づいたらしく

「先輩…! なったんですか!?」

 今の俺はHSS状態。今だったら、上級悪魔が多数でも勝てる程の強さになっている。

 天井に視線を向ける。どうやらここにきているのは二人。一人は男性。もう一人は

 女性だ。今の俺には二人がどこにいるか、手にとるようにわかる。

「小猫、一誠。気をつけろ。相手は天井にいる。警戒しておけよ?」

 俺の言葉に二人は頷き、警戒心を高めた。

 少ししてから天井からロープ…違う! ラインだ! これは、匙の神器…!

「――兵藤とクリスかッ! まずは一撃ッ!」

 匙は俺達に向かって、かかと落としをしてくる! 背には誰かが乗っている。

 一誠は籠手でガードし、俺はバックステップで避けた。

 ドゴンッ!

 匙のかかと落としで一誠はぐらついたが、すぐに持ち直し、敵を向かって

 かまえた。

「よー、兵藤にクリス」

 匙か。後ろには、生徒会のメンバーで一年生の仁村(にむら)留流子(るるこ)

 が控えていた。言っておくけど、HSSは女性の名前を容易に思い出せる。

 匙の神器は、どうやらしばらく見ないうちに進化しているようだな。

 匙のラインはさっきの攻撃の際に、一誠の籠手に繋がれた。右手にも繋がれて

 いるが、どこに繋がれているのかわからない。

 

「さすが、クリス。あのけりを避けるなんてな」

「まぁね。一応、修行したんでな。匙の奇襲もよくできていたじゃねぇか」

「俺も修行したんだよ」

 にっと笑む匙。こいつは一誠と似ているな、何からまで。

 似ていないのは容姿と神器だけか。

 そのときだった。

『リアス・グレモリーの『僧侶(ビショップ)』一名、リタイア』

 ……ギャスパー。もう少し、粘れよな。やられるの早すぎだろ。

 一瞬ベルセの血流が流れたが、抑えた。

 相手が『禍の団(カオス・ブリゲード)』ならいいが、相手は知人だ。

 殺(や)る気はない。

「どうやらギャスパーくんは、罠に引っかかったようだな」

 匙の言葉に、俺はギャスパーがやられた理由がわかった。

「にんにくだな? ギャスパーがやられたのは」

「ご名答。にんにくを使って捕縛し、撃破したってわけさ」

 匙達の本陣は、食品売り場だ。そこにあったニンニクを使ってギャスパーを

 捕縛、撃破したってわけか。

 …ギャスパー、せめて数十分ぐらい粘れよ。無理だと思ったら逃げればいいのに

 

 また、ベルセの血流が流れたが、抑える。ベルセ、今回はお呼びじゃないんだ。

 匙はラインを投げ飛ばし、店舗のライトに張り付いた。まさか!

「仁村! さっきとってきたサングラスをつけろ!」

 匙は光を使って目潰しをする気だな…!

「小猫に一誠。 目を瞑れ! 匙は目潰しをする気だ!」

 俺は、小猫の頭を抱き寄せてシトリー眷属の二人に背を向けるような形になった。

 閃光が俺達を襲う。

 一瞬だったが、小猫と一誠は一時的に失明した。

 まぁ、俺はギリギリで目を瞑った。目がチカチカするけどな

 その失明している間に、匙は一誠の腹を殴り、一誠の体がくの字に曲がった。

「がはっ!」

 一誠が仰け反っている間に、一誠の顎を殴り飛ばした。

 バカンッ!

その二発で、一誠は床に突っ伏した。

 匙の隣にいた仁村は、小猫を庇っている俺の背を攻撃した。

「ぐっ!」

 今の俺には女性は殴れない。

 だが、殴れなくても受け流す事はできる。傷つけないようにな

 仁村と向き合う。

「はぁっ!」

 仁村が拳で向かってくるが、最小限の動きで攻撃を逸らす。

 

「くそ…!」

 仁村は、俺に攻撃が当たらないことにイライラしているらしい。

 これで、隙ができた。そしてその隙を見逃す、小猫じゃない。

 俺が何回目の受け流しをしたとき、小猫が拳に白く薄いオーラを纏わせ、

 仁村の胸に打ち込んだ。

 パンッ!

 という音が聞こえたあと、仁村がひざを落とした。

「…気を纏った拳をあなたに打ち込みました。同時に体内にある気脈にもダメージ

 を与えました。もうあなたは魔力を練ることは出来ません。内部にもダメージ

 は通っています」

 気を纏った攻撃は、内部にもダメージを与える。さすがに内臓までは鍛える事は

 できないからな。

 そして、体内にある気脈を乱し魔力を練れなくする。相手が悪魔なら必殺の一撃

 になる。

 仙術があるから黒歌は、逃げる事が出来たんだな。それでも逃げ切ることがすごい

 けどな

「…匙先輩、ゴメンなさい」

 一言だけ漏らすと、光に包まれていった。

『ソーナ・シトリーの『兵士(ポーン)』一名、リタイヤ』

「……冥界猫(ヘルキャット)になるんです。負けません!」

 小猫が決めてくれた。一誠、あとはお前が気張る番だ。

 

「…イッセー先輩、加勢します」

「ダメだ、子猫ちゃん。匙とサシでやらせてくれ」

「これは、チーム戦。協力しましょう」

 小猫の言う通り、これはチーム戦。普通は、協力して戦うのが正しい。でも…

「小猫、一誠にやらせてくれ。匙は一誠と闘っている間、小猫に攻撃をしかけて

 こなかった。何故だと思う?」

 俺の問いに小猫は答えない。匙がにんまりと笑う。

「…悪いな、塔城小猫ちゃん。俺はタイマンで兵藤に、赤龍帝に勝ちたいんだ。

 俺達の夢は本気だ、差別のない学校を冥界に建てる。そして、俺の夢は

 先生になるんだ…。この戦いは冥界全土に放送している。だからこそ意義がある!

 『兵士(ポーン)』の俺が! 同じ『兵士(ポーン)』である赤龍帝・兵藤一誠に

 勝つ事がよッッ!! 俺は赤龍帝に勝つ! 勝って堂々と言ってやる! 俺は

 先生になるんだ!」

 匙は言った。一切の曇りも陰りもない、強い眼差しで。

「俺がやらないといけない。ダチだからさ、俺が本気でやらないとしょうがない

 んだよ。やってやらねぇとよッ! 俺が部長に顔向けできないんだよ!」

 匙と一誠の言葉を訊いて、俺は心の中で笑っていた。

 お前達は、本当に似ている。不器用でバカなところや一途なところ、目標が高い

 とかな。

 

「だが、匙。俺もお前と同じ『兵士(ポーン)』だ。俺にも勝たないといけない

 だろう?」

「ああ。だが、今の段階ではクリスには勝てない。でもクリス、お前も俺の目標だ。

 同じ『兵士(ポーン)』として、男として、俺はお前を超えてやる!」

 匙に宣言されたよ。俺を超える、か。

 だったら、俺は匙にとって、目標であり続ける。

「――埒あかねぇや」

 匙が生命力を魔力に換えて、大質量の魔力を作り出した。

 だがその魔力はじょじょにしぼんでいき、ソフトボールと同等の大きさになった。

「これで…周囲に影響を出さずに、お前の体を破壊できる」

 その魔力をつくった匙は肩で息をしていた。渾身の一撃を作り出した。

 匙は小さく笑う。

「俺はお前らが羨ましかった。主(あるじ)である先輩の自慢。赤龍帝。創造の力。

 誰もがお前達を知っている! だが同時期になった『兵士(ポーン)』になったのに

 何もねぇ。何もねぇんだよ! だから、自慢を、自信を手に入れるんだ。赤龍帝

 のお前をぶっ倒してよぉ!」

 匙の咆哮。まずは赤龍帝である一誠を倒す、か。

 なら、頑張れよ匙。一誠は本当に強いぞ?

 匙は魔力の弾を一誠に向けて投げた。一誠はそれを避けようとするが、

 籠手についていたラインを一誠の足元に繋いだ。

 うまい! これで一誠は逃げれなくなった。

 ドォォォォォォオオオオンッッッ!!!

 一誠が魔力を受けた時だった。

『Divide!』

 一誠は白龍皇の力で魔力を半減していた。それでも、ダメージは受けていたが。

 

 一誠のカウントは終わっていた。これで強力な禁手を発動できる

「俺も命をかけさせてもらうぜ! こんなところで立ち止まるわけにはいかないんだ

 匙! 行くぜぇぇぇぇぇぇぇ! 輝きやがれ! ブーステッド・ギアァァァァァッッ!!」

 一誠の言葉に神器が音声を発する!

『Welsh Dragon Balance breaker!!!!!!』

 一誠は赤いオーラに包まれた。


 
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