No.476130

ONE PIECE —黒髪少年の描く世界— 第三十六話 頭蓋骨

霧宮 海さん

にじファンからの転載です。

感想、コメお待ちしてます。

2012-08-27 12:48:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:7891   閲覧ユーザー数:7685

 

空から降ってきたガレオン船に惚けていると、船体にいきなり衝撃がした。

ガレオン船が海に落ちて、波立って揺れているのだ。

 

「とりあえず船体にしがみつけ!」

サンジがみんなに指示を出すとみんなそれぞれ船体にしがみつく。俺は全力でみたらしを死守する。

 

「…まだなんか降ってくるぞ」

上を見上げて言う。

 

 

 

折れたマスト、帆、人骨…落ちてくるものは本当に様々だった。

 

 

「ぎゃっほほーいい!!」

…落ちてきた人骨は一つじゃないらしく、ウソップが騒いでいる。しばらくして何も落ちてこなくなり、波も落ち着いた。俺らの船の周りは落ちてきた船の残骸だらけになっていた。

 

 

「…とりあえず船体もひっくり返らずにすんだな」

落ちてきた人骨を拾って言う。

「おいぃ、ヤマトぉぉ、なんでそんなもん平然と持ってんだよ!」

ウソップがチョッパーにしがみつきながら言う。

「そうだぞ!気味悪いぞ!」

チョッパーもウソップにしがみついて言う。

 

失敬な。

「あのな、人骨ってのはいい情報源なんだぞ?それをお前なあ、スケッチしないでどうするよ?」

俺がウソップ達に言い聞かせていると、ルフィがウソップの肩を叩いた。

 

「ん?何だ?ルフィ」

「パペット」

そう言い取り出したのは、

 

 

 

カチャカチャ

 

「うぎょえあああああああああああああ!!!!」

 

 

人骨パペット。

 

思いっきりおびえるウソップとチョッパー。それを端から見ているナミなんてショックで泡吹いて気絶してしまっていた。それを見て大笑いするルフィ。

 

あんがい趣味わりーなールフィー。

 

 

「はっ、ナミさんが気絶してしまっている!ここはお決まりプリンスのキスで…」

サンジがハリケーンと化してナミに近寄る。

が、寸での所で目を覚まし、がっくりする。

まあ、瞬時のショックだしな。

 

「ハッ、てめえの接吻なんて受けたらまた気絶しちまうだろうよ」

ゾロが言う。

「同感だな」

今度はヤマトが言う。

「おいてめーら!黙って聞いてりゃなんだ!あぁ!?」

「黙ってねーじゃんよー」

先ほど無事守り抜いたみたらしをくわえて言う。

 

 

「ああ!!」

サンジのに抱えられて起こされたナミがログポースを見て叫ぶ。

「どうした、ナミ。みたらし食いたいのか!?」

ヤマトがみたらしを持って駆け寄る。

 

 

 

 

 

「いらないわよバカッ!そんなことじゃないわ!」

拳でヤマトの頭を殴る。そしてログポースを目線の所まで持ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ログポースが…壊れちゃったのよ!上を向いて動かなくなっちゃった!」

みんなが駆け寄って見てみると、確かにログポースの指針は上を向いて動かなかった。

…でも壊れているにしてはしっかりと上を向いて動かないな。まるで『進路は上だ』と言ってるかのようだ。

 

 

「違うわ…」

ロビンがナミに近づいて言う。

 

 

 

 

「より強い磁力によって|記録(ログ)が書き換えられたのよ。そしてその指針が上を向いているという事は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“空島”に|記録(ログ)を奪われたという事…!」

ロビンが空を見上げて言う。

 

「空島ってことは空に島が浮いてんのか!?」

ルフィが興奮して言う。

「いいえ、正しく言うと浮いているのは海よ」

ロビンは冷静に答える。恐らく今まで空島についてなにか読んだことがあるのだろう。

 

「ってことは空に海が浮いていてそこにさらに島が浮いてるってことか?」

サンジが問う。

「そうよ。…ちょっとそこの骸骨に聞いてみましょうか。棺の中に入っていたから多分大体のパーツは揃うわ」

棺に近寄って一番大きい頭蓋骨のパーツを持つ。

「接着剤をいただけるかしら」

チョッパーが急いで持ってくる。

ビビとナミはマストの向こうから見ている。やはり人骨は気味の悪いものなのだろう。ロビンが次々と接着剤でくっつけていくと徐々にその形がわかるようになってきた。なんか見てるとわくわくする。

 

「なあ、俺代わっていいか!?」

ロビンの向かいにしゃがみ、自分を指差して言う。ロビンは一瞬驚いた顔をしてそれからおかしそうに笑った。

「いいわよ」

「?何がそんなにおかしいんだ?」

「今まで私が会って来た人たちの中で自分から人骨に触れようとしたのは私と同じ考古学者だけよ」

「…それって遠回しに変人だって言ってんじゃねーの?」

ヤマトが苦い顔をするとロビンはさらに笑った。

 

それを軽く睨んで接着剤と頭蓋骨を受け取る。そして他のパーツをくっつけていく。するとこの頭蓋骨には元々穴があいてたらしい。

 

「これ…穿頭術?」

ヤマトが出来上がった頭蓋骨を持ち上げて言う。

「そうよ、よく知ってるわね。」

「まあな。小さい時にじいちゃん家によく遊びに来てた医者にいろいろ教えてもらってたんだ。確か頭蓋内の液体を抜いたりする時に開けるときがあるとか…」

「うん。他にも脳腫瘍を押さえる時に頭蓋骨に穴をあけたんだ。…でもずっと前の医術だぞ!?」

「そう、彼が死んだのは今から200年以上前」

 

それからのロビンの解説によると、この頭蓋骨は男だったらしく、年は30歳前後で亡くなったらしい。航海中に病に倒れ、死亡。歯が綺麗なのはサウスブルーの風習でタールが塗ってあるから。そういう風に調べていくと、落ちて来た船はセントブリス号という探検隊の船だったらしい。それをほんの僅かな時間で割り出した彼女はやはりスゴいのだと思う。さすが考古学者。彼女曰く死体は喋らない分情報を持っているらしい。まったくの同感である

 

ふいに叫び声が聞こえ、そちらを見ると。

 

ルフィが溺れていた。

 

ウソップと共に。

 

 

馬鹿野郎とつっこむ所だが今回はお手柄の方がでかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『SKYPIEA』

 

 

 

 

 

 

—スカイピアと書かれた地図を拾って来たのだ—


 
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