フィリア視点
目が覚めると見覚えのある天井と薬品のにおい
ISの試験稼動をやってたはずなのに何故か私は医務室のベットの上に寝ていた
「・・・なんで?」
思わず呟いてしまった
なんでISの試験稼動で私は医務室に?
医務教員「あ、起きたね~」
前もお世話になった医務の先生がペンを止めてこっちに来る
体を起こして質問する
「ええと・・・何で私はここに?」
未だ状況が理解できてない私はとりあえず何で私が医務室で寝ていたのかを聞く事にした
医務教員「えっとね、なんでも・・・」
ガラッ
千冬「それは零式が暴走してお前の意識が遮断されたからだ」
おおぅ、毎回タイミング窺ってるんじゃないかなこの人
「・・・暴走?」
千冬「ああ、だが暴走は止まって・・・」
織斑先生が私の頭からヘアピンを外す
「・・・それは?」
千冬「零式・・・お前の専用機の待機状態だ」
そして先生にヘアピンを渡される
受け取って触れると少し安心するような、懐かしいような感じがした
千冬「零式はお前を登録搭乗者として認識した。これに伴いお前は専用機持ちとなった訳だが・・・」
そう言って織斑先生は紙袋から分厚い冊子を出して来た
その厚さは例えるならば、あなたの街の事なら電話帳 ぐらいの厚さだ・・・
千冬「ISには国際法がある・・・これに目を通しておくように」
渡された ”IS規則本”と書かれたその冊子は見た目どうりズッシリとした重さ
その重さは見た目通り、あなたの街の事なら電話帳 ぐらいの重さ
「は・・・はい」
そのままヘアピンを見つめる
千冬「では今日はゆっくり休め。明日から本格的なデータ収集と武装チェックをするからそのつも
りで」
それから先生はさっさと医務室を出た
医務教員「それにしても、君は大変だねぇ・・・」
医務教員の人が少し苦笑いしながらそんな事を言った
「ホント、ツイてないですよ」
我ながら運の悪さ&よく分からない状況に放り込まれるという事にため息がこぼれる
医務教員「君みたいな若い子がそんなに大きなため息をつかないの。幸せが逃げちゃうよ?」
先生が少し心配そうに言ってきた。だけど
「でも私は結構楽しんでますよ?」
実際三十年前よりは平和でのどかで、それでいて何も困らない
今か今かと死神が自分の命を狙っている訳ではないから安心できる
木里「そう、それは良かったわ。私はIS学園医務担当教員の 木里 由利依 以後よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
それから時計を見ると午後7時をまわっていた
「それじゃあお世話になりました」
木里「うん。お大事に~」
それから医務室を出て寮に戻る
~第一学年寮~
「ふぅ、ただいま~」
一夏「おう、おかえり」
シャルル「おかえりなさい」
部屋に戻ると二人がなにやら話をしてるみたいだった
一夏「それでさ、いきなり暴走したISがアリーナに出てきたんだ」
シャルル「そんな事があったんだ・・・」
一夏「ああ、おっとそろそろ夕飯の時間だ。続きはまた後でな」
シャルル「うん。ちょうどお腹もすいた事だしね」
一夏「フィリアは夕食まだか?」
「え?うん、まだだけど・・・」
一夏「それじゃあ一緒に行こうぜ。飯は大勢で食った方がうまいからな」
それから私達三人は寮の食堂に向かった
~食堂~
食堂は夕食のピークなのか、大勢の生徒で賑わっていた
一夏「おばちゃん。日替わり定食一つ」
シャルル「僕も同じのをお願いします」
「私は五目炒めとカルボナーラ、あとはカツ丼にたこ焼きで」
一夏「お前ほんとよく食うな・・・」
シャルル「そんな量、体のどこに入るの?」
え?何処って・・・
「ブラックホールという名の格納領域」
一夏「冗談に聞こえねえよ、それ」
シャルル「なんか納得できたよ・・・」
ジョーク言ったはずなのに何故か納得された
それから混雑する食堂で、何とか場所をとってから夕食をとる
一夏「そういえばあの試験稼動ISって何で暴走なんかしたんだ?」
シャルル「ISが暴走するなんて余程の事だよね・・・原因は僕にもよくわからないな」
「その暴走したISってどんな感じだった?」
自分の機体ではない事を祈りながら聞いてみる
一夏「確か機体はグレーみたいな色で、肩部浮遊ユニットには戦闘機みたいな感じの羽がついてたな」
私が装着した ”打鉄零式 改”も確かグレーで羽が付いてた気がする
一夏「あいつ、すげぇ強かったからな・・・リンとセシリアを相手に軽くあしらってたし」
ごめんなさいセシリアさん、リンさん・・・
シャルル「第三世代試験機二機を?すごいね・・・何世代なんだろう」
第二世代型試験稼動機だよシャルルさん
心の中でそんな事を思いながら焼きたてのたこ焼きを口の中に放り込む
「っ!?あふぃッ(熱いッ)!!」
ぬふぁぁぁぁぁ熱い!!と言うか痛い!!ソースがしみる!!
こうなるんだったら最初に食べるんじゃなかった!!
一夏「そりゃ焼きたてを食べたらそうなるな・・・ほら、水」
そう言われて水をもらう
「あふ、ありがと・・・」
もらった水を舌でちびちびと飲みながら少し涙が出てくる
シャルル「ホント二人って似てるよね~」
一夏・私「「・・・何処が?」」
シャルル「そのハモる所とか、なんというか・・・兄妹みたいだね」
この子の目は節穴or盲目じゃないの?
でもこんな兄がいたら苦労しそうだなぁ
そんな事を考えながら数分ぐらいして、一応全ての夕食を食べた私達は部屋に戻った
~自室~
「ふあ~ぁ、もう十一時かぁ・・・」
食堂から戻ってから私はISの規則本と睨めっこを敢行していたが流石は電話帳、一筋縄ではいかない
ちなみに織斑君はシャルルさんに基礎的な知識とやらを教えてもらっていた
「それじゃ私は寝るね~」
一夏「おう、おやすみ」
シャルル「おやすみなさい」
ベットにぼふっと体を預ける。うん、今日もふかふかだ
それから数秒と経たずに私は睡眠に入った
シャルル視点
フィリア「それじゃ私は寝るね~」
どうやらフィリアさんは寝るみたいだ
一夏「おう、おやすみ」
「おやすみなさい」
それから彼女はベットに倒れこんで、一分と経たずに寝息が聞こえた
「それじゃあ今日はこの辺にしとこうか」
一夏「ああ、いつもありがとうな~」
一夏はここに来るまで普通の中学生だったらしく、ISの基礎的な知識をほとんど持っていない
それで僕は少しでも助かるようにと教えているけど、なかなか飲み込めない様子だ
一夏「ん~・・・やっぱりISは難しいな」
背中を伸ばして気分を入れ替える
「そんな事ないよ、一夏なら時間をかければ大丈夫だよ」
一夏「ああ、一夜漬けで何にも頭に残らないなら意味がないからな」
そうして僕達は寝る準備をする
一夏「あ、また布団かけないで寝てるよ・・・」
一夏がそう言ってフィリアさんの方に行く
彼女は寝るときいつも布団をかけないで寝てしまう
一夏はそれを見逃せないみたいで、いつも布団をかけてあげている
その様子は、まるで世話の焼ける妹とその世話を焼く兄みたいで凄く仲睦ましい
一夏「布団かけないと風邪ひくぞ、全く・・・」
僕にもこんなお兄さんがいたら・・・
少しフィリアさんが羨ましい
でもこんな感情を抱いたの初めてで、どうすればいいのか分からない
僕は枕に顔を埋めてそのまま眠りにおちた
~翌日~
フィリア視点
いつも通りに授業が終わり、放課後に移行ーーー
スパァン!!
昼食時、食堂に入った途端に頭に何かが高速で飛んできた
パタッという軽い物が落ちる音と遅れて激痛が頭を襲う
「ぐぅ・・・」
横目で飛来してきた物体を確認する、出席簿・・・
千冬「・・・すまんフェイリールド、コイツが避けなければな」
頭に響く激痛を堪えながら顔を上げると申し訳なさそうに頭をおさえている織斑先生と
何故か床に沈んでいる織斑君の姿があった
そして先生に頭をさすられる
千冬「怪我は・・・してないな」
女子A「うわぁ~!!フェイリールドさんが千冬様に頭を撫でられてる~!!」
女子B「うらやましぃ~!!」
女子C「私ももう少し後に来ればよかったぁ~!!」
口々に騒ぎ出すクラスメイト
おいそこの女子Cさん食らってみなよ・・・多分気絶するから
「あうぅ・・・タイミング悪過ぎだよ・・・」
私が食堂に入ると同時にって・・・運悪すぎだよ私
そんなハプニングがあったものの無事に放課後に移行した
~第三アリーナピット~
千冬「さて、早速機体の武装を確認するぞ」
「了解しました」
ヘアピンに指を触れながら心で呼び出す
(行くよ レイ)
そう頭で呼ぶと、光の粒子が私を包む。
そして光が収まると、私は零式を装着した状態になっていた
千冬「よし、機体武装データを確認しろ」
言われた通りに武装データ一覧を開く・・・が
「十個ありますが・・・そのうち八個はロックされて使えません」
何故か最初の二つ以外の項目は、ロックがかかっていて呼び出す事ができない
千冬「ならロックがかかっていない二つの武装を呼び出してみろ」
「了解・・・紅蓮」
そう呼ぶと、零式の右腕に大型のランチャーが呼び出される
「・・・大きいなぁ」
肩に乗せて安定させるタイプで、いかにも高火力の武装って感じだ
千冬「ふむ・・・もう一つも展開しろ」
「えっと・・・多目的近接武装 音斬」
そう呼ぶと今度は左手に西洋の剣を模したブレードが呼び出される
だが少し機械的なラインが入っており、どんな機能を持つのかは不明だ
千冬「よし、データを取るから実際に使ってみろ」
織斑先生がそう言うとピットの奥の方に模擬ターゲットが出現する
千冬「ではそのランチャーから使ってみろ」
「了解」
ランチャーを肩に乗せてスコープとセンサーを同調させる
照準をターゲットにあわせて
「エイム・・・ファイアッ」
引き金を引く
キュウゥゥン!!
ノズルから濃く赤いビームが照射される
千冬「ッ!?ビーム兵器だと!?」
赤いビームはターゲットを完全に消し飛ばし、その向こうの壁を赤く融解させていた
「凄い・・・」
というか威力おかしいよ、こんなの戦闘機がくらったら鉄くず確定だよ
千冬「よし・・・それではブレードの方もやるぞ」
もう一度模擬ターゲットが出現する
「うりゃッ!!」
音斬をターゲットに向かって振り下ろす
ターゲットは斜めに切り込みが入り真っ二つになった
剣の方は特に機能は無く、ただの近接用ブレードって感じだ
千冬「こっちも問題無いようだな。あとは・・・」
すると織斑先生の端末に連絡が入った
千冬「はい、織斑です・・・はい・・・分かりました、すぐに行きます」
会話を終えると
千冬「アリーナの方でうちのクラスの馬鹿がシールドを破壊したらしい」
頭をおさえる織斑先生
千冬「それで専用機持ち共が喧嘩を始めてしまったようだ。全く・・・」
ISで喧嘩って・・・どんだけ被害が出るんだろう?
やった人達に(色んな意味で)
千冬「フェイリールド、あいつ等を止めろ。」
「はぁ・・・了解しました」
やっぱりそうなるよね
先生が制御パネルを操作するとカタパルトのハッチが開く
千冬「動きに慣れるついでに、だ」
「了解しました。ガルム1、テイクオフ」
カタパルトを使ってアリーナに出る
アリーナに出ると織斑君とシャルルが組んでボーデヴィッヒさんと戦ってるみたいだ
「アリーナではセシリアさん、リンさん、ボーデヴィッヒさん、織斑君、シャルル君が交戦中
でもセシリアさんとリンさんはISを強制解除されて身体にもダメージを受けている模様」
無線で連絡を入れる
千冬「分かった。大丈夫だ、思いっきりやれ」
うわぁ無慈悲だ
まあ仕方ないよね、喧嘩してる皆が悪いんだから
「了解、ガルム1 エンゲージ」
ランチャーの射撃体勢を取って照準を合わせる
狙うはシャルルとボーデヴィッヒさんの間の地面
「ファイアッ!!」
キュウゥゥン!!
ランチャーから赤いビームが照射される
ラウラ「ッ!?何だ!?」
ビームはボーデヴィッヒさんとシャルルの間の地面は赤く融解させ、白い水蒸気が視界を塞ぐ
ラウラ「・・・チッ!!」
彼女は舌打ちをしてシャルルから距離をとった
シャルルと距離をとったボーデヴィッヒさんの間に降りて攻撃を牽制する
ラウラ「貴様・・・私の邪魔をするならお前も潰す」
子供だなぁ・・・そんなに喧嘩したいの?
「ふぅん・・・少し頭を冷やそうか、ドイツの堅物さん?」
少し睨みつける
ラウラ「ッ!?貴様、何者だ!!」
完全に警戒されてる・・・右のレールカノンが私に照準を合わせる
でも何だろう?なんか警戒してるというか・・・怯えてる?
「まあまあ落ち着きなって・・・これは織斑先生の命令なんだから」
ラウラ「教官の・・・ならば」
そう言って彼女はISの装着を解除した
「という訳なんで、二人ともいいよね?」
一応残りの二人にも声をかける
一夏「お、おう」
シャルル「はい」
「うん、それじゃあ解散という事で」
こうして子供の喧嘩は解散という事となった
~第三アリーナピット~
千冬「全くお前達は・・・問題を起こさずにはいられないのか?」
ピットに戻るなり、何故か止めに入った私も一緒に説教をもらう羽目に・・・何故?
一夏「すいません・・・」
シャルル「すみません」
千冬「全く・・・済まなかったなフェイリールド」
「いえいえ、機体に慣れるついででしたし」
説教じゃなかった・・・良かった
一夏「へ?お前フィリアなのか?」
「え、今更?」
千冬「とりあえず、織斑はアリーナのシールド破壊の件について反省文の提出をするように・・・では解散」
それから先生はピットから出て行った
アリーナでの騒乱から一時間後
~医務室~
アリーナでの喧嘩終結の後、怪我人を医務室に運んで治療してもらった訳なんだけど・・・
リン「・・・・・・」
セシリア「・・・・・・」
その怪我人は何故かふくれっ面であらぬ方向を向いていた
リン「別に助けてくれなくてよかったのに」
セシリア「あのまま続けていれば勝っていましたわ」
一夏「お前らなぁ・・・。はぁ、でもまあ、怪我もたいしたことなくて安心したぜ」
怪我は打撲数箇所と擦り傷程度。命に別状は無かったけど
リン「こんなの怪我のうちに入らな・・・いたたたっ!!」
セシリア「そもそもこうやって横になっていること自体無意味・・・つうぅッ!!」
凄い痛そうだ・・・強がりだなぁ
リン「バカって何よバカって!!バカ!!」
セシリア「一夏さんこそ大バカですわ!!」
おおぅ、織斑君何も言ってないのに怒られてる
シャルル「はい、ウーロン茶と紅茶。とりあえず飲んで落ち着いて、ね?」
リン「ふ、ふんっ!!」
セシリア「不本意ですがいただきましょう」
二人はシャルルからボトルを受け取って飲みだす
一夏「ま、先生も落ち着いたら帰っていいって言ってるし、しばらく休んだらーーー」
ドドドドドドドドッ・・・!!
何だろう、廊下の方から地鳴りが聞こえる
しかもなんか音がだんだんこっちに接近してる・・・っ!?
ドガッ!!
そんなドアが吹き飛ぶ音とそれを打ち消すほどの足音と共に女子が医務室に雪崩れ込む
ベットが五つある広い医務室なのにそこは雪崩れ込んできた女子によってあっという間に埋め尽くされた
以上、必死にベットに逃げた傭兵の状況報告。というか何事!?
女子一同「「「織斑君!!デュノア君!!」」」
医務室に押し入った女子が一斉に二人を囲む
一夏「な、な、なんだなんだ!?」
シャルル「ど、どうしたの、みんな・・・ちょ、ちょっと落ち着いて」
女子一同「「「これ!!」」」
女子一人一人が掲げる紙。何か書いてあるみたいだけど
一夏「なになに・・・今月開催する学年別トーナメントでは、より実践的な模擬戦闘を行う為
二人・又は三人のペア又はチームでの参加を必須とする。
尚、チームが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締め切りはーーー」
どうやら学年別トーナメントの形式がチーム戦になって、そのチームに数少ない男子を勧誘しようと女子はここまで来たのか
なんていうか・・・すごい行動力だなぁ
女子A「とにかくっ!!私と組もう、織斑君」
女子B「私と組んで、デュノア君」
二人に詰め寄る女子軍団。けど・・・
シャルル「え、えっと・・・」
織斑君はともかくシャルルは男子ではなく女子だ。もし他の女子と組む事になったら正体がバレる可能性が高くなる
正体がバレたら確実に彼女の立場が危うい事になる
それこそ彼女はこの学園から去る事になるかもしれない
あの二人が組めば問題ないんだけど・・・
一夏「みんな悪い、俺はシャルルとフィリアと組むから諦めてくれ!!」
織斑君が大声で言う
シ~ン・・・
あ、すごい静かになった
というか何で私の名前を出した!!また巻き込むつもりなの!?
絶対これ反対意見が出・・・
女子A「まあ、そういう事なら・・・」
女子B「他の子と組まれるよりはいいし・・・」
女子C「男子二人と兄妹ってのも絵になるし・・・ごほんごほんっ」
なんで反対意見が出ないッ・・・!!
そして女子Cさん、あなた今兄妹って言わなかった!?
他の人にもそんな目で見られてるなんて少しショックだよ!!
だが私の主張は女子軍団のざわめきと共に消え去ってしまった
シャルル「あ、あの、一夏ーーー」
リン「一夏っ!!私と組みなさいよ、幼馴染でしょうが!!」
セシリア「一夏さん!!クラスメイトとしてここは私と!!」
凄い勢いで怪我人二人が織斑君を締め上げる
元気有り余ってるなぁ二人とも
山田「駄目ですよ」
「わぁっ!?」
いきなり横に先生が出現した
山田「お二人のISの状態をさっき確認しましたけど、ダメージレベルがCを超えています。
当分は修復に専念しないと、後々重大な欠陥を生じさせますよ。ISを休ませる意味でも、トーナメント参加は許可できません」
山田先生がそう言うと、二人は渋々(本当に渋々)納得したみたいだ
何でもダメージが蓄積された状態でISを起動すると他のパーツに悪影響を与えるらしい
だから完全に修復された状態になるまでISを使わないでくれって先生は言ってるみたいだ
だけど私が気になるのは・・・
「そもそも、なんでボーデヴィッヒさんと喧嘩になったの?」
何で喧嘩になったのか、その理由がよくわからない
リン「いや、それは・・・」
セシリア「ま、まあ、なんと言いますか・・・女のプライドを侮辱されたから、ですわね」
「・・・?」
よくわからないが、挑発に乗ったとうのがこの二人なのだろう
シャルル「ああ。もしかして一夏の事をーーー」
リン「あああっ、デュノアは一言多いわねぇ!!」
セシリア「そ、そうですわ。まったくです!!おほほほほ!!」
閃いてそれを口にしたシャルルを二人が取り押さえる
そんなに聞かれたくない話なんだろうか・・・?
一夏「こらこら、やめろって・・・シャルルが困ってるだろうが。それに二人ともさっきから怪我人のくせに動きすぎだぞ」
織斑君が二人の肩を軽くつつく
二人「「ぴぐッ!!」」
おおぅ、予想以上に痛むみたいだ
二人とも変な声を上げてうずくまった
一夏「あ、すまん。そんなに痛むとは思わなかった」
それから二人は織斑君を睨みつけて、後で覚えてろ 的な何かを言ってこの場は解散となった
~第一学年寮~
シャルル「あ、あのね、一夏っフィリアっ」
一夏「おう?」
「何?」
医務室から戻って夕食を終えて部屋に戻るとシャルルが口を開いた
シャルル「遅くなっちゃったけど・・・助けてくれてありがとう」
あれ?何かしたっけ私
一夏「ん?フィリアはともかく俺何かしたか?どっちかっていうと俺がアリーナで助けてもらった方だと思うんだが」
シャルル「そっちもだけど、ほら保健室で。トーナメントのペアを言い出してくれたの、すごく嬉しかった」
一夏「ああ、アレか。まあ気にするなよ。事情を知ってるのは今の所俺達二人だけだし、サポートするのは当然だろ?」
「その件私は了承した覚えはないんだけどね・・・」
シャルル「え・・・?」
「織斑君、人を巻き込むときはもう少し考えようよ・・・全く」
一夏「す、すまん・・・」
シャルルが少し悲しそうな顔をする・・・
だけど
「でも、友達が困ってるなら私は全力で手助けするよ。と、いうわけで受けるよその話」
こんなに平和な世界の大切な友人をそんな事で失いたくない
シャルル「ありがとうっ!!」
一夏「ありがとよ。助かる」
それから服を着替える運びとなったはいいんだけど
一夏「いや・・・俺が気にするって」
シャルル「それにほら、男子同士なのに着替え中に部屋の外に出たら変に思われるでしょ?」
着替えの問題。織斑君が部屋の外に出ようとするけどシャルルがとめる
一夏「それじゃあ俺は向こう向くから・・・」
諦めたのか、私達は互いに背を向けるようにして着替えをする事にした
ちなみに私の寝巻きは乃仏さんに借りてるぶかぶかの着ぐるみみたいなパジャマ
というかこれパジャマなの?
思いながら制服を脱ぐ
シャルル「うわぁっ!!」
シャルルが悲鳴と共にこっちに倒れてきた
「え、うわっ!!」
もちろんこちらも下着を脱ぐ体勢なので受け止めれずに一緒に倒れる
バタッ!!
思いっきり前のめりに倒れる私とシャルル
だが悲劇は連鎖する物だ
一夏「どうしたっ・・・って」
倒れた音に反射的に反応して振り向いてしまった織斑君
こちらは下着姿。状況は極めてよろしくない
「こっち見ないでッ!!」
反射的に手に掴んだ物を投げつける
ガスッ!!
一夏「・・・げふっ」
私が投げた物、IS教則本という名の電話帳は見事に織斑君の鳩尾にはいっていた
バタっと倒れた織斑君は、どうやら気を失ったみたいだ
シャルル「いたた、足引っかかっちゃった・・・ごめんねフィリア」
おお、どうやらさっきの事に気がついてないみたいだ
「いや、べつにいいって。それより着替えようよ」
それから着替えて気絶した織斑君をベットに寝かせる
「全く、本当にろくな事ないなぁ」
目の前でのびてるトラブルメーカーを見ながら呟く
シャルル「でもフィリアって楽しそうだよ?」
予想外、そんな風に見えたのか。まあ・・・
「少なくとも前にいた場所よりは、ね」
私がいた空とは正反対の場所だからね
それをこの子は知らないだけなんだ
でも一生知らないままでいい
知ってほしくない
あんな暗く冷たい殺し合いの空なんて
シャルル「フィリア・・・」
「じゃあ私は寝るね・・・おやすみ」
ベットに寝っ転がる
シャルル「おやすみなさい・・・」
それから私は迫る眠気に身を委ねた
シャルル視点
フィリア「全く、本当にろくな事ないなぁ」
少し困ったような顔をする彼女は何故か楽しそうに見えた
「でもフィリアって楽しそうだよ?」
純粋に彼女に言った。だけど
「少なくとも前にいた場所よりは、ね」
彼女のその言葉は、なぜか重みがあった
そしてその彼女の目は、暗く、深く、底が知れないほど冷たいものだった
「フィリア・・・」
どうしてそんなに悲しそうにするの?
どうしてそんなに冷たいの?
私は彼女にかける言葉を失ってしまった
そして彼女の目に少し恐怖を覚える
底が知れない闇
ボーデヴィッヒさんよりも冷たい雰囲気に僕は少し硬直する
フィリア「じゃあ私は寝るね・・・おやすみ」
次に彼女がそう言うと、雰囲気は戻っていた
いつもと同じような優しい雰囲気に
「おやすみ・・・」
彼女はここに来るまでにどんな人生を送ってきたんだろうか
知ってはいけない
本能的に、いや感覚的に僕は悟った
それから僕はベットに入る
再び来る明日に備えて
☆意見・感想コメント募集中☆
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