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真恋姫†夢想 弓史に一生 第四章 第一話 敵陣突破(前編)

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。

コメントがありましたので、今話から「」の前に名前を付けました。コメントをくださったactさん、ありがとうございます。


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2012-08-24 15:15:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2846   閲覧ユーザー数:2579

~聖side~

 

 聖「はっ?? すまんがもう一度言ってくれ。」

 

張梁「ですから、私達と一緒に次の町まで行ってください。」

 

今居る場所は彼女達の部屋。

 

つい先ほどまで、張梁ちゃんの一撃でブラックアウトしていたのだが、目を覚ました途端、急に話があるというので聞いてみた結果、こうなっていた。

 

 

 聖「どうしてまた俺達と一緒なんて…。」

 

張角「私達旅芸人は~、町と町を旅してる間に~賊などに襲われやすいの。」

 

張梁「徳種さんの強さは今日のことで良く分かったわ。そこで、目をつけたってわけ。」

 

 聖「つまり、俺達に護衛をしてもらおうと…。」

 

張角「そう言うこと~♪」

 

 聖「……。 護衛なら金で雇えばいいんじゃないか?」

 

張宝「そんなお金、私達にあるわけないじゃない。あなた達ならほぼ無償で助けてくれそうだからお願いしたって訳。」

 

 聖「う~ん…。うまい事使われるってわけか…。」

 

張梁「嫌なら良いの。助けてくれた人たちにこんなこと頼むのもどうかとは思うから。」

 

 聖「嫌って訳ではないんだが…。」

 

張角「じゃあ、しょうがないから三人で行こ~!!」

 

そう言って席を立つ三人。

 

 聖「おっ…おい!! どこ行くんだ!?」

 

張宝「ここに居ても悪いし、ちぃたち次の町に行く事にしたの。」

 

 聖「もう行くのか!?」

 

張梁「えぇ、早くしないと追っ手が来るかもしれないでしょ。早めにここを出て損はないわ。」

 

 聖「それは…そうだが…。危なくないのか?」

 

張梁「そうね、危ないかもしれないけど…でも、だからと言って護衛も断られたし、しょうがないじゃない。」

 

成程、上手いことを言う…。

 

こりゃ、俺が護衛をしなかったら、あちらこちらで酷い噂でも流されそうだ…。それに、彼女達だけで旅なんて危なっかしくて俺が見てられない…。

 

 聖「分かった…。俺達が君たちを無事に次の町まで送り届ける。それで良いか?」

 

張梁「あらっ、うまい事使われるのに良いの?」

 

 聖「しょうがないだろ。危ないのが分かってるのに、送り出すとか出来るわけ無いし…。」

 

張梁「(ふふふっ、思った通りね。)」

 

張角「(人和ちゃんの言ったとおりだね~。)」

 

張宝「(これで、徳種さんとしばらく一緒に居れるね♪)」

 

彼女達はコソコソと話をしていたかと思えば、各々面妖な笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 

 聖「はぁ~…。なんて話せばあいつら分かってくれるかな…。」

 

芽衣「あいつらって誰ですか~?(にこっ)」

 

 聖「そりゃ芽衣たちに決まってんだろ…。」

 

 奏「何を話すんだい?(にこっ)」

 

 聖「この娘達を連れて行くってことだよ…。」

 

橙里「何がそんなに問題なのです?(にこっ)」

 

 聖「『また女の子を連れて』みたいなお説教を受けないといけないってことだよ…。」

 

一刀「なぁ…聖…。」

 

 聖「なんだよ、一刀………って一刀!? 何でお前がここに。」

 

言って後ろを振り返って、今の状況を理解する。

 

後ろでは芽衣、奏、橙里が物凄く良い笑顔で俺を見ていた。その途端、俺の背筋に悪寒が走る…。

 

芽衣「そうですか~…。聖様はお説教されるのが怖くて、このことをお話にならなかったのですね~。」

 

 聖「…何時から…そこに…。」

 

 奏「歌を歌ってほしい…って所ぐらいからかねぇ??」

 

 聖「ほっ…ほとんど初めから…。」

 

橙里「先生の所業はすべて見させてもらってますです…。」

 

一刀「聖…諦めろ。」

 

 聖「ぐっ…。 漢皆既に楚を得たるか。何ぞ楚人の多きことや。」

 

一刀「項羽か…。案外韓信とかもそんな気持ちだったのかもね。」

 

 聖「なんだ? 背水の陣のことでも言いたいのか? だったらあれは計略の一つだから、違うと思うぜ。」

 

一刀「そうなんだ。絶体絶命ってとこでは同じだと思ってた。」

 

 聖「確かに絶体絶命に違いはないが、勝負を諦める絶体絶命と活路を見出す絶体絶命は別なことぐらい分かるだろ? 実際、韓信は井陘口の戦いで勝ってるしな。」

 

芽衣「では~。聖様の今の状況は一体どちらの絶体絶命でしょうか~?」

 

 奏「是非とも知りたいものだねぇ。」

 

橙里「まぁ、答えは一つしかないと思うのです。」

 

 聖「…すいません。」

 

三人「「「じゃあ、少しお話しましょう。」」」

 

俺は、三人に脇を固められそのまま部屋を後にする。

 

多分今、ドナドナがバックにかかってるだろうな…。

 

その後、俺の部屋で芽衣たちにありのまま今起こったことをはなした。

 

一刀に『ポルナレフか…。』と言われたがとりあえず無視しといた。

 

 

 

 

 

 

芽衣「そうですか~。まぁ遅かれ早かれここを出て行くことは決まっていたわけですし、良い機会だったんじゃないですか~?」

 

 奏「確かに、あんまり長居してここに迷惑かけちゃあまずいしね。」

 

橙里「う~ん。水鏡母さんの許を離れるのは少し悲しいです…けど、迷惑がかかるなら出て行ったほうがいいのです。」

 

一刀「それに、聖が女の子を連れて行くのはいつものことだろ。」

 

三人「「「じ~っ…。」」」

 

三人の視線が一刀に行った後、俺にジト目で注がれる。

 

 聖「ぐっ…。良いじゃないか!! 旅は道連れ、世は情けだ!!」

 

芽衣「はぁ…。まぁ、良いですけどね~。」

 

 奏「もう、慣れてきちまったよ。」

 

橙里「慣れたくはないのですけど…。」

 

芽衣「良いですか、聖様。」

 

 聖「はい…何でしょうか。」

 

芽衣「私達は、もうこれ以上『このこと』については何も言いません。」

 

 聖「えっ!!本当!?」

 

芽衣「ただ…。」

 

 聖「ただ??」

 

芽衣「…私たちのこともちゃんと愛してくださいね。」

 

 聖「…はっ?? …何を馬鹿なこと言ってやがる。」

 

 奏「…お頭??」

 

 聖「皆に振られることはあっても、皆を振ることは絶対にない。それだけは誓うよ。(ギュッ!!)」

 

三人「聖様…。(お頭…。)『先生…。』」

 

芽衣「私達も…です…。」

 

一刀「あぁ~…悪いんだけど、話進めちゃ駄目??」

 

 聖「悪いな一刀。 …そうだ!! 水鏡先生のとこに、出立の事言ってきてくれないか?」

 

一刀「はぁ…。まぁ、暇だから良いけどね…。」

 

そう言って、一刀は部屋を出ようとする。

 

 

 

 

??「っ!!!」たったったっ…。

 

 

 

 

一刀「あっ!!」

 

 聖「どうした、一刀?」

 

一刀「今、扉の前に誰かいたんだけど…。」

 

 聖「ふぅ~ん。まぁ、殺気とかは感じなかったし、良いんじゃないか。」

 

一刀「う~ん、一体誰だったんだろう…まぁ、良いか。じゃあ水鏡先生のところに行ってくるな。」

 

 聖「あぁ、頼んだ!!」

 

扉を開け、一刀が出て行く。

 

その姿を横目に見ながら、俺は三人に声をかける。

 

 聖「さて、明日は朝早く出て行くぞ!! 今日は早く休もう。」

 

三人「「「…あの…。( ///)」」」

 

 聖「どうした?三人して…。」

 

どうも三人の様子がおかしい気がする…。

 

 

 奏「久しぶりに…良いだろ? なっ?お頭。( ///)」

 

 聖「…おいおい。さっきも言ったとおり…。」

 

橙里「早くして頂ければ…それだけ早く寝れるのです…。( ///)」

 

 聖「……。お前ら一回じゃ満足しないくせに…。」

 

芽衣「じゃあ~…一回で満足出来るように、シテくださいませんか?」

 

艶かしい雰囲気を漂わせながら、芽衣が俺に凭れ掛かってくる。

 

それに続いて奏と橙里もやってくる。

 

 聖「…おいおい…。三人一緒か??」

 

芽衣「してくださるなら~…。」

 

 聖「はぁ~…。明日大丈夫かな…。」

 

それから後は…まぁご察しの通り…。

 

一刀曰く、「盛りのついた猫の方がまだマシ…。」とのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、眠い目をこすりながら全員が門前に並ぶ。

 

実際睡眠時間なんてものは与えられることもなく、気付いたら外が明るかったと言う事態だったが…。

 

あぁ~…太陽が黄色いよ…。

 

水鏡「御使い様??大丈夫ですか?」

 

 聖「あぁ、大丈夫です…多分…。 それにしても、わざわざこんな朝早くに見送りに来て頂いてありがとうございます、水鏡先生。」

 

水鏡「いえ、皆さんには期待しています。是非、平和な世を…。」

 

 聖「はい。水鏡先生もお元気『待って…ください…!!』…??」

 

声がする方をみると、門の中から孫乾ちゃんが荷物を持って現れる。

 

孫乾「あの…私も…連れて行ってください!!」

 

全員「「「!!!」」」

 

 聖「えっと……それは、俺達と一緒に旅がしたいってことで良いのかな?」

 

孫乾「はい…。 …駄目でしょうか??(ウルウル)」

 

ぐふっ…。そんな悲しそうな視線を向けないでくれ…。

 

そうか、これが保護欲。これが妹萌え属性の真髄なのか!!?

 

困った顔で後ろを見ると、三人は黙っていた…。

 

つまりは、俺の判断に任せると言うことだ…。

 

 聖「…一つだけ聞いても良いかい?」

 

孫乾「…はい…。」

 

 聖「俺達の旅は危険だ。もしかしたら途中で命を落とすことになるかもしれない…。それでも、君は来るかい?」

 

孫乾「びくっ!? …死ぬのは怖いです…。でも、それを怖がってたら…旅なんて出来ないです…。」

 

 聖「そうか…。君の気持ちは分かった。じゃあ、一緒に行こう!!」

 

後ろを見ると、皆苦笑していた。

 

まるで、「またか…。」と言いたげな顔で…。

 

水鏡「…付いて行くの、麗紗?」

 

孫乾「はい…今まで、ありがとうございました…。」

 

水鏡「その考えが変わる事はないのね?」

 

孫乾「はい…私が自分で考えて…決めたことですから…。」

 

水鏡「そう…。御使い様。麗紗のことよろしくお願いしますね。」

 

 聖「分かりました。責任もって、守って見せます。」

 

孫乾「では…一緒に旅する仲間なのですから…真名を…麗紗(れいしゃ)と呼んでください…。」

 

 聖「麗紗…良い名前だね。俺は前にも名乗ったけど、徳種聖。呼びたいように呼んでくれて構わないから。」

 

麗紗「分かりました…。では…お兄ちゃんって…呼んで良いですか?」

 

………バタンッ!!!

 

芽衣「聖様!!聖様!!」

 

 奏「お~い!!お頭!!」

 

橙里「先生~!!起きてください、先生~!!」

 

俺…もう死んでも良い…。妹属性の強さ恐るべし…。

 

麗紗「…あの…私…何かしてしまった…のでしょうか…。」

 

一刀「あぁ~うん…。まぁ、気にしないで。因みに聖の代わりに聞くけど何故お兄ちゃん?」

 

麗紗「あの…。私、兄弟が居ないので…。その…お兄ちゃんに…憧れてて…。可笑しいでしょうか…?」

 

一刀「いやっ、本人が良ければ良いんじゃないかな。俺は北郷一刀、よろしくね。麗紗ちゃん。」

 

麗紗「はい…一刀さん。」

 

一刀「(俺はお兄ちゃんじゃないんだ…。)」

 

この時、地に沈んだ人間と気持ちが沈んだ人間がいたと言うことは本人達以外知る由もない…。

 

この時、序でだからと言うことで、張角たちも真名を教えてくれた。

 

序で良いのか些か疑問だったが、彼女達が良いと言ったので、全員が真名を交換した。

 

 

 

真名交換が完了したのを確認後、水鏡塾を出て一路北へ向かう。

 

水鏡塾を出るとき、水鏡先生は馬車を馬付きで俺達にくれた。

 

先生曰く、「もう使わないので持って行ってください。」との事だった。なんだか粗大ごみの回収みたいな気がしたが、必要だったし…ありがたく使わせて頂こう。

 

 

馬車の後ろに天和、地和、人和、橙里。

 

先導として奏。馬車の前には、そのままだと借りた馬が大変だと重い、影華を加えた。これで馬車は大丈夫だろう。

 

陽華には俺と麗紗。光華には芽衣と一刀が乗っている。

 

この配置は、戦闘を考えたものだ。

 

きっと国境付近では俺達の指名手配が進んでいることだろう。その為、もしかしたら戦闘になるかもしれない。

 

その時、戦えない人を守るために、必ず一人は武官が付くようにこの配置にした。

 

まぁ、戦闘になるかはわからないが…。

 

 

 

麗紗「あの…。 もし…国境付近に兵が展開していたら…お兄ちゃんは…どう…しますか?」

 

 聖「……。」

 

麗紗「お兄ちゃん??」

 

 聖「……。」

 

麗紗「お兄ちゃん!!」

 

 聖「…あぁ…俺死にそう…。」

 

麗紗「ちゃんと聞いてください!!!」

 

 聖「あっ…はははっ、ゴメンね。で、何かな?」

 

麗紗「もう…。しっかり…聞いててくださいよ、お兄ちゃん。ですから、国境付近の…。」

 

 聖「兵のことかい? それなら、もう考えてあるよ。と言うか、そう言ったと思ったけど…あっ!!そうか。 さっき入ったばかりだから教えてなかったっけ?」

 

麗紗「そうなんですか!! じゃあ…教えてください。」

 

 聖「あぁ、作戦は…。」

 

麗紗「(わくわく)」

 

 聖「敵陣中央突破だ!!」

 

麗紗「えぇぇ~~~!!!!!???」

 

その乾いた叫びは、雲一つない青空に大きく木霊するのだった。

 


 
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