No.474687

無表情と無邪気と無我夢中3-4

なのは帰宅。

無印編を投稿するまでには本編(←ようやくみてる)を観終わっておきたい。
んで、本編観てて気付く。
サッカーイべント書き忘れてる……どうしようorz

2012-08-24 14:55:34 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1583   閲覧ユーザー数:1548

【無表情と無邪気と無我夢中3-4】

 

 

 

 

 

 

「おうかちゃん!良かったぁ」

 

「ご心配おかけしました……そしてありがとうございま―――」

 

「てい!」

 

「あぶっ!?」

 

 

おばさんが私に気付き安堵するのを見て私はお礼と謝罪をしますが、再びあらしにハンカチで顔を抑えられます。

 

 

「ぷはっ!何するのですかあらし!!」

 

「だってまたアンタ泣きそうになってたから」

 

「なってません!」

 

「……あのね。無表情がスタンダードなアンタだけど、だからこそ微妙な変化はわかりやすいもんよ」

 

 

そうですか?

 

って、お姉ちゃん頷きすぎです。

 

 

「恭ちゃんも似たようなものだからね」

 

「そうか?」

 

「おうかちゃん。そちらの二人はお友達?」

 

 

二人というのは私の両隣にいるはやてとあらしのことでしょうか?

 

お友達、というには出会ってまだ数時間しか経ってませんが。

 

 

「はい、友達です!」

 

 

はやて?!

 

 

「そうね。私達はおうかの友達です」

 

 

あらし……その言い方ちょっと腹が立ちます。

 

 

「ほんとに。これからもおうかちゃんとなのはちゃんをよろしくね」

 

「「はーい」」

 

 

やっぱり双子なだけあって反応がそっくりですね。

 

性格は違いますが―――とは言っても私達姉妹もそうです。

 

 

「おばさん。それで、なのはは?」

 

 

お兄ちゃんが聞きます。

 

おばさんが幅広い人脈を使って協力してくれていたのでした。

 

 

「うん。海鳴海岸公園に向かったらしいのはわかったんだけど、そこにはいないみたい」

 

「海岸公園?」

 

「コンビニのお兄さんが道を教えてあげたんだって。詳しく丁寧に教えたから覚えてたみたい」

 

 

海岸公園。

 

そういえば昨日なのはと一緒に行ったのでした。

 

自分のランニングコースなために無意識に探す場所から省いていたみたいです私。

 

 

「あとはほとんどがおうかちゃんのことだったりね」

 

「……ごめんなさい。結構色んな所駆け巡っていたので―――とう!」

 

「くっ!?」

 

 

三度目は通用しませんよあらし。

 

 

「ほい」

 

「わぷっ?!」

 

 

あらしの腕を受け止めていた後ろからハンカチが顔に押し当てられます。

 

 

「はやてナ~イス」

 

 

あらしが親指を立てウインクします。

 

きっと背後のはやても同じ事をして返しているのでしょう。

 

クスクスと笑わないでくださいお姉ちゃん。

 

それと、あまり表情崩れてませんがお兄ちゃん笑ってるの何となくわかりますよ。

 

 

「海岸公園から神社向かったっていうのも多分ランニングしてたおうかちゃんのことだと思うし……どこ行っちゃった

 

のかしら」

 

 

…………神社?

 

確か昨日なのはと行きましたしいつものランニングコースです。

 

例の写真を激写したのもそこですしね。

 

あれ、ですが今日は……?

 

 

「じゃあ迷子になってるかもしれんってことですか?」

 

 

思い返されます。

 

 

「もうそう考えるしかないか」

 

 

 

 

 

 

『狐さん可愛いの~また会いたいの~』

 

 

 

 

 

 

朝の会話。

 

 

「じゃあ夜になったら警察に連絡するの?」

 

 

 

 

 

 

『またあの神社に行けば会えるかもしれませんね』

 

 

 

 

 

 

まさか。

 

 

「そうするしかないわね」

 

 

 

 

 

 

『ホント!?』

 

 

 

 

 

 

「おばさん!神社、行った?!」

 

「え、神社?行ってないけど……」

 

「なのは、神社、行ったかも」

 

「「「「「え!?」」」」」

 

 

なのはが神社に行く理由。

 

あの写真と朝の会話が全てを物語っていたではありませんか。

 

 

「私、今日、神社まで行ってない。なのはには神社に行く理由があるの!」

 

「でも、なのはちゃん海岸公園行ったんじゃないの?」

 

「昨日、一緒に海岸公園行ってから神社にいったの!」

 

「そうか。神社に行きたかったけど道が全くわからなかったから最初に海岸公園向かったんだな」

 

「そこから神社に向かった」

 

「おうかちゃんは神社行ってないんなら神社向かったのはなのはちゃんで決定やな」

 

 

一人一つずつ推理の道を紡いでいきます。

 

なのはが神社にいる可能性がある。

 

それだけで私は飛び出そうとしましたがあらしに通せんぼされて出るに出られません。

 

 

「退いてくれますか、あらし」

 

「いやよ」

 

 

無理矢理あらしを飛び越え、そのまま出入り口に向かおうとします。

 

飛び越えることは成功しましたが直後あらしが体を張って私を取り押さえました。

 

 

「神社行きたいのはわかるけど、アンタを行かせる訳にはいかないわよ」

 

「放してくださいあらし!」

 

「ここには頼れる大人の人がいるんだから任せればいいの!すれ違ってアンタが同じことになったら意味無いのよ」

 

 

あらしの言葉が胸に刺さります。

 

もっともであり冷静な判断であったから。

 

もがいていた身体を止めておとなしくなります。

 

 

「大丈夫よおうか」

 

 

そっとお母さんの声に向き直ります。

 

 

「今神社の人に連絡取ったら、いるって」

 

「ホントに、桃子ちゃん!?」

 

「うん。てっきり私達がなのはが来てること知ってると思ってたみたい。一緒にこっち来るって」

 

 

なのはが、見つかった。

 

言いようのない安心感と重い枷が外れて自由になったかのような気分に包まれていきます。

 

 

「よかったわね、おうか」

 

「見つかってよかったなあ、なのはちゃん」

 

「…………」

 

 

私の上から既にあらしは退いているのに私は床に這いつくばったまま動けません。

 

しばらく何も考えられない状態だったみたいです。

 

お兄ちゃんが私を起こし、先程あらしが座っていた場所に座らせます。

 

ちなみにあらしは私がいた場所に席を移っています。

 

お母さんが作ってくれたキャラメルミルクを飲みながらなのはが帰ってくるのを待ちました。

 

 

 

 

 

 

カランカラン、と音がします。

 

 

入ってきたのは高校の制服を来た女の人と、もう一人。

 

 

 

「失礼します」

 

 

「…………」

 

 

 

朝見たピンクのワンピースにデジカメが入ってると思われる赤くて丸いポーチ。

 

 

そして特徴的な茶髪のツインテールの少女。

 

 

間違いありません。

 

 

 

「なのは……」

 

 

 

お母さんに名前を呼ばれても俯いたまま返事をしません。

 

 

私はフラフラっと立ち上がり近付いていきます。

 

 

 

「なのは……」

 

 

 

私がなのはの名前を呼ぶと少し驚いた顔をして私の方を向きました。

 

 

 

「あ、おうかちゃん……」

 

 

 

なのはに、名前を呼ばれました。

 

 

その瞬間ダムが決壊したかのように感情が一気に溢れ出し私の無表情な顔を崩壊させたのです。

 

 

 

「ばがぁあああああ!!!!」

 

 

 

喉がすぐ涸れてしまうような絶叫が店内に響き渡ります。

 

 

みんなビックリしてます。

 

 

特になのははビックリの他に少し怯えが混じっていたようですが。

 

 

 

「な゛の゛はの゛、ばがあぁああぁ!!」

 

 

 

涙も、鼻水も、嗚咽も泣き声も止められません。

 

 

さすがの八神姉妹も私にハンカチで押さえるとかそういうことはしないみたいです。

 

 

ていうかさっきみたいに出来るわけないですよね。

 

 

出来るのは余程空気読めない人かもしくはド天然ボケな人です。

 

 

 

「ばあかあああああ!!!!」

 

 

「ごめん、な、さいぃ……」

 

 

 

なのはの声が震えてます。

 

 

 

「ごめ゛んなさいぃい~~~!!!」

 

 

「うあぁああぁ~~~ん!!」

 

 

「うわあああぁ~~ん!」

 

 

 

とうとうなのはも私につられて泣いてしまいました。

 

 

お母さんと女の人、おばさんと八神姉妹、お兄ちゃんとお姉ちゃんがそれぞれ何か話してますが耳に入りません。

 

 

私達姉妹はいつの間にか合唱のように声を合わせて泣き続けていたのですから。

 

 

 

 

「「うわあぁああ~~~~~~~~ん!!!!!」」

 


 
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