その世界には
出現と同時に空間の地震と言われる空間震、精霊の種類によるがそれが消しゴムで消したような圧倒的力で全てを消滅させ、その波動は一瞬で周囲を破壊尽くす。
精霊たちに対抗するため、人類も奇跡で生み出された武器を手に精霊に立ち向かう。
だが、精霊の力は化物クラスで未だに人類は被害を抑えることを精一杯としていた。ーーーだが、数年前、
それは、脅威の戦闘力で一国を一夜で滅ぼしそして偶然そこに出現した精霊すらも殺した。
それは、絶望と言う恐怖を平等に振り回す怪物だった。
それは、絶対な最凶の存在で何物にも抗うことが出来ない悪夢と思わせる悪魔だった。
ーーーそれは『邪霊』、未だ人類はそれが生み出す惨禍にただ指を噛むことしか出来ず。
むしろいつ自分にいつ降りかかっても可笑しくない滅びに対して恐怖し、震えることしかできない。
「ーーーへぇ、精霊に邪霊……か」
特に特徴的な点を思わせない普通の町、天宮市の一角。
薄黒い路地裏で漆黒のコートを纏った紅夜は街を歩き取集した情報を整理していた。
「………俺はこの世界でなにをすればいいんだろう?」
来てしまったときに気づいたが、紅夜は彼にどんな依頼か、内容を聞かないまま飛び出してしまったのだ。
紅夜は思わず暴走してしまった自分を責めながら考える。
まずこの依頼は、精霊と邪霊と人間が関係していることは間違いないだろう。
唯一の手がかりと言えば彼が紅夜に言っていた言葉。
ーーー可愛い精霊たちが相手をしてくれるよ。
「…………」
彼のすることなすことに対しては一切の油断できない。
これも修行の内という名目でとんでもない目に合った紅夜は過去のことを冷静に判断できるようになった。
それはともかく、相手をしてくれる。ということは自分は精霊と戦えばいいのだろうか?だとすると人間と邪霊は無害なのか?
「ただの言葉遊びという可能性もある。まだ判断するには情報が足りないな……」
人間はともかく、精霊と邪霊には共通点がある。
両方、人類を及ばす災害だということ、これは絶対だ。
紅夜は傷ついている人を見捨て置けない。
このまま精霊か邪霊、この二つが人を傷つけれる様なことをすれば紅夜は迷いなく剣を抜くだろう。
「はぁ………とりあえずあいつが用意してくれた家に向かうか」
まだ全ては始まったばかりだ。
紅夜はとりあえず精霊か、邪霊と接触しなければ何も手に入らない。
空間震は言われているように
キィィーーーバタン
天宮市に何もないところに建てられた大きめの家。
五、六人は楽に住むことはできるだろう、それを除けば、まだ建てられたばかりで綺麗だということだろう。
飾り気のない家の扉を開けて入室した紅夜は家の捜索を開始した。
家には生活に必要のあるものしかなく、広い部屋は寂しく感じるを思いながらこれは何か買い足そうと思っている。
一階はキッチンや風呂などがあり二階は一人で住むには余計だと思うほどの部屋がある。
リビングの机に無造作に置かれていた預金通帳を開く。
そこには零が明らかに不自然なほどの数で並んでおり5世代は贅沢に遊んで暮らせるのではないか?と思わせるほどの金の量だった。
「………」
頭が痛くなるのを感じながら、となりにはまだ袋から出されていない学生服を睨む。
「俺に学生になれ、……と?」
袋の上には都立来禅高校の転校書を置いてあり紅夜はこの世界で一体何をすればいいのか、自分の受けた依頼を考えるが子供で大人のメガネ名探偵のように都合よく思いつくはずもなく、紅夜は今夜の献立を考えながら財布を取り出したその時だった。
「ーーーっ!」
突然のことに思わず紅夜はよろけるが直ぐに足に力を込めて直立に立ち上がる。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーー
そして遅れてくる耳元に届く不快なサイレンの音。
紅夜は直感で来たのだと悟った精霊か、邪霊かどちらかが。
「ーーー行くか」
紅夜はポケットに財布を入れようとした動作を中止して木製のテーブルに置いて外へ出た。
まだ、昼ごろの空は太陽の明かりが爛々としていたがその横に灰色の雲が流れ、日光を遮断した。
紅夜は気にすることなく非難している人々とは、逆方向を歩き始めた。
紅夜が来たのは近くの公園だった。
ここらの地域の人は既に逃げたのか人気のない空間となっているが紅夜にとってはそれは好都合だ。
入念に人がいないのを確かめると紅夜の体は自然に
高度があがっていくほどに紅夜の視線は建てられた家々より高くなり小さくなっていく。
「
紅夜は静かに呟くと、大きくジャンプをするように足をバネのように曲げるとなにもないはず空気を蹴った。
一気に風景が変わっていく。
紅夜は雲が流れているほどの大空まで上り詰めた。
「さてっと………」
静かに目を閉じて、空間を感じる。
さきほどのはサイレンは余震が来たという意味だろう。
微かでも揺れる者は直ぐには止まらないそれが固定れているなら話は別だが海のように世界を満たしている空間が揺れれば当然、その波長はまだ消えていない。
「ーーー見つけた」
そして、その波長を追っていけば
自身の手を体に纏うように構えると同時に闇が溢れた。
それは、紅夜の手から滲み溢れ徐々に形を形成、先端は水平の形に、片方は鋭くなりながらもう片方は武骨な強固な形に、柄らしきものまで模って始めている。
そうーーーそれは、
「早速の初陣だ。行くぞーーー『
断つことを象徴した剣だった。
「そ、そんなバカな………」
自衛隊天宮駐屯地の一室で渇いた男性の声が響いた。
信じられないと言った表情でカタカタと肩を揺るわす。
彼ーーー桐谷陸将はさきほどの余震から導かれてしまった事実を受け入れなかったのだ。
「事実で、す。先ほどの空間震は、精霊のものではなくーーー邪霊のものと観測できました。」
振り絞った声で報告する男性の声は恐怖に震えていた。
邪霊と精霊の空間震は規模も威力も桁外れだ。
故に余震も段違いで空間が軋み、
「……民間人の避難状況は?」
「それは……終了しています。ただーーー」
邪霊という存在が確認できたのは
当初は特に力の近い精霊として認識されていたが、徐々に姿を現すにつれて精霊とは異なる点が発見されていく、それはまず他の精霊とは桁外れの空間震を起こすこと、そしてその戦闘力は精霊すらを弄ぶほどだということだ。
邪霊は人間に興味などないが攻撃を加えて瞬間、敵と認識し徹底的に殺害を開始する。
それはちょっとしたことで爆発する核爆弾のような危険があったのだ。
そして、邪霊たちは既に人間を
ーーーさまざまな
「桐谷陸将、私たちは
「………っ」
精霊に微力ながら対抗手段は人類は手に入れている。
だが、最近になって出現するようになった邪霊に対しての抗うだけの手段は何もないのだ。
このままでは、天宮市は空間震で跡形もなく消滅し、邪霊の手によって国は壊滅的なダメージを受けることは間違いないだろう。
自分たちも非難するべきだろう、邪霊の登場によりシェルターは更に強化され空間震には耐えることは出来るが、問題は邪霊がなにをするかだ。
桐谷陸将は深く瞳を閉じた後、ゆっくりと機械のように呟き始めた。
「我らも非難する。その際、AST部隊は武装を装着。空間震が収まり次第ーーー出動だ」
それを聞いた桐谷陸将の部下は驚いたあと、悔しがるように頭を下げた。
邪霊も精霊と同じように時間を空ければ消滅していく。
なので、精霊と同じように対処をすればいいのだーーーだが、それは対処とは言えない。
例えるならそれは、天敵に攻撃され自分から尻尾を落として逃げるトカゲのようなことだからだ。
故に、桐谷陸将はの命令はーーー
先ほどまで青空だった天気は、既に灰色の雲に浸食されており太陽の光は大地に届かず辺りは薄暗くなっていた。
「…………ふぅ」
漆黒のコートを羽織り、フードで顔を隠すことにより全身を黒く染めた紅夜は中華包丁のような大剣を持珍がら緊張を晴らす様に深呼吸をする。
出来るか出来ないか、もし一般論で空間震が本当に空間の地震なら似たようなことをすれば、相殺できると紅夜は考える。
失敗すれば紅夜は空間震に巻き込まれてボーン。
成功すれば紅夜は空間震を相殺してそのまま邪霊か精霊にエンカウント。
「よしっ」
両手に持つ漆黒の大剣『
始まりから終わりまで、黒一色の大剣は次第に紫電を纏い始め威圧感を増していく。
それは空間すらを
「六、五、四ーーー」
完全に震源地を把握した紅夜は空間を砕くほどの威力を誇る斬撃を用いて空間震を破壊するつもりだ。
「三、二……」
感覚を鋭く、それこそ目を瞑りながら裁縫の針に糸を通すぐらいの集中力でタイミングを計る。
焼ける糸が爆弾に点火するその時を、速くても遅くてもダメの完全なタイミングを掴まないといけない更にこれはシンプルな力と力のぶつかり合い。
紅夜は万が一に自身の攻撃が勝ってしまった時の為に震源地より下の位置にいるそうすれば勝った場合は斬撃は遥か彼方に飛んでいくので被害はない。
「一ーーーーっ!」
肌で感じた強烈で単純な力の結晶、紅夜は自身をコマのように回して遠心力で投げるように大剣を振るった。
「い、けぇぇぇぇっぇぇぇ!!!!」
放たれた闇の斬撃、空間を断ちながら斬り進む。
刹那、空間が歪み太陽が爆発したかと思うほどの強烈な光が発せられるが、その極光は街に届く前に紅夜の斬撃が反撃とばかりに空間震を
「あまりにも強力だから
空間の地震と空間を断つ。
この二つのぶつかった衝撃波は薄暗かった雲を一瞬にして、吹き飛ばし先ほどまでの明るい天気となった。
遥か下にある天宮市は衝撃波により建物のガラスだどが割れたように見えたがそれくらいの被害は目を瞑ってほしい。
「ーーーーあれぇ?」
そして紅夜は真っ直ぐ震源地を見つめて始めた。
そこには破れたウサギを左右に髪に付けている少女がいたからである。
恐らく十歳ぐらい女性の身長だろう。
服装は貴族かと思うほどドレスは左は裾が長く、右は短い深いスカートを逆に左は短く、右は長かった。
元は白だと思えるシルクのような綺麗な材質だと思えたが点々と純白を穢す様に付いた鮮血に更に彼女の腕には不気味に白銀の輝きを見せる身の丈を超えた鎌が握られ少女の全ては悍ましく思えた。
「あれぇ?。綺麗だ」
少女は自分の頬に指を当てて不思議がるように頭を傾げる。
それは思わず抱きしめたくなるほどの可愛らしさを醸し出していたが、紅夜は何食わぬ顔で大剣を肩に担ぐ。
「おかしいなぁ~。私が出るとみんな壊れちゃうのに……そういえば、ちゃんとボカーンが起こらなかったかな?」
天宮市を見下ろしながら少女は不思議な顔で「う~ん、う~ん」と傾げているとようやく少女は紅夜の存在に気が付いた。
「ねぇ、おにーさん」
「なんだ?」
「私のボカーンを知らない?」
「あぁ、それは俺が断った」
まるで迷子の子供が優しそうな青年を見つけて道を聞く様なやり取りだったが、少女は紅夜の言葉に目を細くした瞬間、白銀の刃は霞んだ。
「ーーーーっと」
紅夜はその場で体を逸らした。
真横に流れる不可視の風は、当たれば容赦なく自分を切り裂いていただろうと冷静に思考を動かす。
「あはっ☆。おにーさんすっっっっごく強いんだね!さっきの一撃でおにーさんのように空を飛んでいる人はみんなあれで死んじゃうのに!!」
自分の好きなオモチャを見つけた子供の用に少女は目をキラキラと輝かせた。
紅夜はそんな少女の反応を尻目に頭の中でこの少女は『殺人経験有り』そして『無邪気で残酷』と書き込んだ。
「俺はそう簡単に死なないよ。一つ質問があるんだけどいいか?」
紅夜は一つ指を立てて少女を見た。
「うん?なに?」
「お前は、そいつを殺して
「うっーーーん。つまらなかった!!!」
しばらく考えて少女は答えた。
紅夜はこれに一瞬、眉を細めたがまだ
「おにーさん、私からもお願い聞いてくれる?」
「……あぁ、いいぞ」
紅夜は直感的に肩に担いでいる大剣に魔力を込める。
なぜなら、少女の目には狂気が写り始めながら子供が玩具を愛玩するような視線に寒気を感じたからだ。
「私とあそんでくれる?」
「……それは断れるのか?」
紅夜の問いかけに少女はピエロのように口が裂けんばかりの笑みで握った鎌の先を紅夜に向けた。
「ダ・メ・☆」
そして、風を切る弾丸となって紅夜に向けて鎌槍を振り下ろした。
「ーーーっ」
やはりこうなるかと紅夜は思い、振られる鎌槍と同時に大剣を振るう。
ガキンッ!!と金属同士がぶつかり合い火花が咲く。
二人の連撃は徐々に加速していき、小規模の花火は空を彩る。
「あははははははっ!!!!」
「ちっーーー」
紅夜は頭を下げると同時に自身の銀髪が数本舞うのに冷や汗を掻く。
強い。
武術を習っているような構えはない。
紅夜のように星の数ほどある戦闘経験を積んでもない。
ただ、純粋にこの少女は強いのだ、理由が無い強さ、正にそれは天賦の才能だと言うことだろう。
「それっーーー!」
縦に振り下ろされた鎌槍の刃を大剣の腹で防御するが、少女の細長い腕からは想像を絶する強烈なパワーがあり
紅夜は車に跳ねられたように天宮市のある家に激突した。
「ぁ、つぅぅ………」
頭を強く打ったのか走る激痛に頭を抑える。
打ち合っているウチに気づくことなく、高度が下がっていたのだと紅夜は周囲を見ながら判断する。
コートに付いてた埃を叩きながら、嫌な予感を感じながら紅夜は上空を見つめる。
そこには鎌を持ってない方の腕をこちらに向ける少女の姿がその手には粒子のようなものが集まっていく。
「
少女の呟きと共に少女の手の中で形成された小さき光弾が放たれ着弾した瞬間、紅夜を町を一瞬にして飲み込んだ。
「みんな、壊れた」
宙に浮かびながら少女はつまらなそうに口を尖らせた。
ーーー面白い人を見つけた。
ーーー自分を楽しませてくれた。
ーーーけど、やっぱり壊れちゃった。
「…………」
少女は自分の体を抱きしめ、いつも通りの自分がここからいなくなることを待ち続けようと、
「なに泣きそうな顔してんだよ」
背後で呆れた声に少女は驚いた表情で振り向く。
そこには、ボロボロだが何食わぬ顔の紅夜がそこにいた。
「えっ?おにーさん……」
「ーーー来いよ」
少女の言葉に耳を貸すことはなく紅夜は大剣を構えた。
「…………」
唖然とした顔をしていた少女だったが、紅夜の優しげな表情に向日葵のような笑顔を咲かせた。
「うんっ!!」
そして
先に動いたのは少女だ、自分の身の丈を超えるほどの鎌槍を紅夜の体を引き裂かんと振るうが、紅夜も中華包丁を巨大化させたような剣で斬撃を弾く。
「おにーさん、頑丈だね!」
少女は保護欲を掻き当てる可愛い笑顔で、命を狩る鎌槍を振るう。
「鍛えているんでね!!」
躱す、弾く。
そして断つ斬撃を放つ大剣を振り回す紅夜は冷や汗を掻きながら少女と互角に渡る。
「あはっ☆」
一瞬の隙をついての蹴りから放つ断罪の剣閃は易々と躱す。
少女は笑顔だった。
「みんな、脆くてつまんないから私ずっと退屈してたのーーーあなたは、壊れないでね?」
「それじゃ、この遊びをやめてくれないか?」
何気にダメージを受けている紅夜は小さく嘆息を付いて大剣を担いだ。
「それじゃ、私を満足してくれたらいいよ」
それは難しい注文だと紅夜は内心呟きながら大剣の柄を力強く握る。
「そういえば聞いてなかったな。お前の名前は?」
周囲の者は二人の攻防により既に瓦礫に満ちている。
「私は、
微かにこちらに高速で近づいてくる気配も感じる。
紅夜にはそれがなんなのか分からなったが、今はそんなことを考えるべきではない。
「俺か?俺はーーー
目の前の
紅夜「始めてしまった」
燐「やってしまったね」
紅夜「このコーナーは………どうする?」
燐「とりあえず解説で」
紅夜「えっと、まずこれは本来の主人公のようにデートとかしてデレさせるのではなく……」
燐「戦ってデレさせる。つまり『お前、やるな!』『お前こそ!『実は俺、お前のこと……』『ナンダッテー!?』『さぁ、俺とや・ら・な・い・か?』的な感じで!」
紅夜「例えにBL臭を感じるのは俺だけか?」
燐「気のせいだ」
紅夜「気のせいか」
燐&紅夜「HAHAHAHA」
燐「あ、時間軸で言うとまだ原作に入っておりません。士道は春休みでまだ二年生になる前です」
紅夜「妹と非難しているだろうな。多分」
燐「君と十禍との戦いを見ているよ」
紅夜「マジで!?」
燐「妹は携帯かそこらの器具を使って見ていると思うよ、なにせ邪霊とガチで戦っているんだもん。誰もが見るよ。本来の主人公はうわぁ揺れるな~とかシェルターの中で思っているじゃない」
紅夜「邪霊は精霊をも殺す最恐最悪の惨禍だったよな」
燐「三年前から発見されて邪霊として認識されたのは結構最近、ただし世間には知られていない」
紅夜「あーーー、うん。たださえ精霊なんて災害があるのにそれ以上が存在しますなんて公表したら大パニックだろうな」
燐「ということで楽しい楽しいSAN値チェック~~~」
紅夜「するな」
燐「因みに紅夜は突っ込んだ家は士道の家だと言う裏設定もあったりなかったり~~」
紅夜「うわぁ!?マジでか……」
燐「こんな感じで雑談しながら進めます」
紅夜「みんな、よろしくな!」
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第一章『十禍ダークネス』
というタイトルで頑張っていきたいと思います!。感想あればよろしくお願いします