No.473803

涼宮ハルヒの再構成 憂鬱編 第三章

月夜海人さん

キ:夏も終わりと言うこの時期なのに、
  小説の中じゃまだ春なんだよな。
  季節感どこへ消えた……

2012-08-22 15:43:20 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1478   閲覧ユーザー数:1452

 

 

 「あとSOS団に必要な物は何だと思う?」

 

 「えっと~……何だろう?」

 

 

 朝のSHRが始まる前、まだほとんどの生徒が登校していない時間。

もはや日課と化したハルヒとの会話。

今朝の議題は上記の通り『SOS団に必要なモノ』だ。

ちなみに朝比奈さんが加入した翌日、

つまり昨日はSOS団メンバー(仮)全員で話し合った。

 

 その結果、長門からはデスクトップパソコン(何故か最新型)を、

朝比奈さんからはコンロやら急須やら湯飲みやらのお茶セット一式が部室に寄付された。

俺とハルヒは特になし。 ってか学校に持ってこれるような物が無かっただけだ。

 

 

 ……そう言えば、長門はどうやってパソコンを持ってきたんだ?

まぁ、恐らくとんでもパワーを使ったんだろうが。

 

 

 「たとえば……謎の転校生とか来たら良いんだけどなぁ」

 

 「な、なぞって」

 

 「いや別に謎じゃなくても良いけどさ。

  ほら、ほとんどの生徒はもう何かの部活に入ってるだろ?

  もちろん帰宅部の奴らは除外するが」

 

 「うん、確かにそうだね」

 

 「だからもはや転校生ぐらいしか誘えないんだよ。

  俺ってまだ顔が広いって言えるほど友達いねーし」

 

 「そ、そっか……そうだよね。

  頭良いんだね~キョン君」

 

 「成績はお前の方がぶっちぎりで上だけどな」

 

 

 ……い、一年間分の記憶が有るからって優位なわけじゃないからな!?

んないきなりビックリするぐらい成績が良くなるとかあり得ねぇからな!!

 

 

 

 

 

 この日の放課後、何故か朝比奈さんがメイド服を着てお茶をいれていた。

服も自前で用意したらしい。

本人曰く『給仕の時はこの格好の方が気合いが入るので』だそうだ。

この世界の朝比奈さんはコスプレイヤーかも知れない。

部室の隅にいつの間にかハンガーラックが有るあたり確率は高めだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、翌日。

 

 

 「来たぞハルヒ」

 

 「え!何が?」

 

 「転校生だ。 七組に来たらしい」

 

 

 流石に仕事が早いな『機関』の皆様方。

話をした次の日に来るとは。

いや、これはハルヒが無自覚の力で引き寄せたのか?

 

 

 「一限が終わったら見に行くつもりだ。

  お前はどうする?」

 

 「ん~……わたしは残ってるよ」

 

 「そうか、解った」

 

 

 

 

 なんて今朝ハルヒに言った通り一限終了後に七組の教室に向かったのだが、

教室の前には早くも人混みが出来ていた。

まぁ、まだ入学して一ヶ月ちょい、この時期に転校生なんて珍しいからな。

認めるのが少し癪だが、顔もスタイルも良いし興味が出て当然か。

 

 

 どれ、とんぼ返りも何だしチラッと見ていくか……

 

 

 

 …………………って、はぁ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おかえり。いい人だった?」

 

 「さあな、見た目だけじゃ解らん」

 

 「そ、そうだよね」

 

 

 とりあえず放課後に話しかけてみよう。

なんだかんだで居ないとダメだからな、あいつは。

 

 

 

 

 

 授業が終わり急ぎ足で七組へ向かう。

理由は言わなくてもわかると思うが、あいつを勧誘するためだ。

既にどこかの部活から誘われてるのかもしれないが、

この世界でもハルヒの観察を目的として来ているならあるいは……

 

 っと、丁度良く教室から転校生が出てきた。

周りに他の生徒も居ないし今がベストなタイミングだな。

 

 

 「なあ、少し良いか?」

 

 「はい、何でしょうか」

 

 「部活を作ろうかと思ってるんだが人数が足りなくてな。

  名前だけでも良いから貸してくれないか?」

 

 「あっ……あぁ、すみません。

  実はバイトが忙しくて部活に入る気は無いんですよ。

  放課後は殆どそちらに専念する事となると思うので……」

 

 

 まぁ、うん、大体こう返されると予想はしていたよ。

なら次の一手を打つまでだ。

そう、とっておきの切り札を。

 

 

 「頼む!! 後一人なんだよ。

  今んトコ俺と長門と朝比奈さんと」

 

 「あ、いや、ですから……」

 

 「それと、ハルヒだな」

 

 「えっ?」

 

 「まぁ、名前だけ言ってもわかんねぇだろうけどさ」

 

 「…………」

 

 

 よし、成功!

一瞬だけどニヤケ面が崩れた。

やっぱハルヒの存在は偉大だな。

我ながら少し卑怯な手だとは思うが、

色々と知っている事を知られていないって言うアドバンテージがあるからな。

どうせ直ぐに打ち止めになるんだ、使わなきゃ損だろ。

 

 

 「……わかりました。

  そこまで仰るのでしたら入部させて頂きます。

  バイトの方は……まぁ、上の人に言えば大丈夫でしょう」

 

 「ホントか!?

  サンキュ、助かるぜ」

 

 「いえ、ただの気まぐれですので」

 

 

 コレでようやっと団員が揃ったか。

意外と大変だったな……

 

 

 

 「っとと、そうだ。

  俺は一年五組の―――」

 

 今更ながらの自己紹介タイム。

いやー、ついつい忘れてた。

 

 「で、何故かよく“キョン”って呼ばれる。

  とまぁ、こんなところだな」

 

 「これは、ご丁寧にどうもありがとうございます。

  では、わたし(・・・)も―――」

 

 

 律儀にもわざわざ一礼してから言葉を発し始める。

少し茶色みがかった髪が揺れ、ほんのりとシャンプーの匂いが届く。

上がってきた顔はいつもとは違う柔らかい笑みで、

一瞬、ほんの一瞬だけだが見惚れてしまった。

 

 

 

 

 

 「この度七組へ編入しました、古泉一姫です。

  まだ不安なところが多いですがよろしくお願いしますね」

 

 

 

 

 

 “こいずみ いつき”……ね。

名前の読みは変わらないんだな。

イントネーションが少し違うのか。

 

 

 「では、さっそく部室まで案内して頂けますか、団長様?」

 

 「あ~……団長は辞めてくれ」

 

 まだその呼ばれ方に慣れてないせいかこそばゆい。

別なのにしてくれないか?

 

 「では“キョンさん”と」

 

 「ぐっ……!

  ま、まぁ良いか」

 

 ついに古泉にまでキョンと呼ばれた。

はぁ……やれやれだ。

 

 

 「それじゃ、こっちだ。

  ちゃんと着いて来いよ」

 

 「ふふっ、了解しました」

 

 

 まったく、女子になっても相変わらずの様で安心したぜ。

特にそのニヤケ面と無駄に丁寧な言い回し。

 

 

 

 

 

 

 「五人目連れてきたぞ」

 

 古泉を引き連れ部室に入る。

俺の声に反応し全員が顔を上げてこちらを見た。

 

 「キョン君、その人が今日転校してきた人?」

 

 「ああ、古泉だ。

  ヨロシクしてやってくれ」

 

 「う、うん……」

 

 「初めまして、古泉です」

 

 「えっと……す、涼宮です……」

 (ど、どうして、目が笑ってないの古泉さん!?)

 

 ……ん?

ハルヒを見たら古泉の雰囲気が変わったような……

まっ、気のせいだろきっと。

 

 

 「あーっと、そうだ古泉。

  お前校舎のどこに何があるか解ってるか?」

 

 「いえ、まだ見て回っていませんが」

 

 「んじゃあハルヒ、古泉に校舎案内してやってくれ」

 

 「えっ、ええ~!!

  む、無理だよキョン君!!」

 

 「わたしからもお願いしたいのですが」

 

 「へぅ!?

  ……う、うん、案内させてイタダキマス」

 

 「終わったら帰って良いぞ。

  今日はもう特にする事無いからな」

 

 「わ、わかった」

 

 半泣きで扉を開け外へ出るハルヒ。

それに続いて古泉も退室。

任せたみたが、あいつ大丈夫か?

 

 あっ、長門も朝比奈さんも今日はもう良いですよ。

 

 

 「そうですか。

  ではわたしは用事があるのでお先に帰りますね」

 

 そう言ってメイド服のまま出て行ってしまった。

いや、大丈夫なのかそんな格好で。

生活指導の先生に見つかったら確実にアウトだな。

 

 

 「じゃあ、わたしも帰ろっかな~

  って、そうだそうだ。ねえ、キョン君」

 

 「ん?どうした、長門」

 

 「これ貸してあげる~♪

  面白いから絶対読んでね!」

 

 と言われ長門がラノベを差し出してきた。

ハードカバーじゃ無いのかよ。

 

 「あ~……わたしハードカバー読めないんだよね。

  なんて言うか、最後まで読み切れない」

 

 こんな所まで変わってるんだな。

 

 「あっ、もしかして、

  ハードカバーの方が良かったのかな……」

 

 「あぁ……いや、すまん。

  本なんて滅多に読まないから何でも良いぞ。

  それじゃ帰ったら早速読ませてもらう」

 

 「うん!」

 

 

 

 

 

 前回は栞を見つけるのが一日遅れたから、

今回は家に帰ったらすぐに本を開く。

が、パラパラとページを捲っていってもそれらしき物が見当たらない。

 

 「……あれ?栞がない。

  まさか純粋に本を貸してくれたのか?」

 

 本当にどうしたんだ長門。

まあせっかく貸してくれたんだ、読んでみるか。

 

 

 
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