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真恋姫†夢想 弓史に一生 第三章最終話 第十四話 不協和音

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。

これにて、三章が終了です。

第四章は書き溜めたぶんがあまり無いんですが、自分なりに面白くかけているものが多くあるので、早めに出そうと思います。

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2012-08-22 00:26:31 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2698   閲覧ユーザー数:2456

~聖side~

 

パカッ…パカッ…。

 

 

「なぁ、聖。」

 

「どうした?一刀。」

 

「張宝ちゃんが…。」

 

「ちょっと!!姉さんたち、代わりなさいよ!!」

 

「や~だ。お姉ちゃん勝ったもん♪」

 

「そう。ちぃ姉さんは負けたでしょ。」

 

そう。つまり今は帰り道であって…俺の馬に張角ちゃんと張梁ちゃん、一刀の馬に張宝ちゃんが乗っている。

 

乗る馬の論議はかなり長いことになったので、俺がじゃんけんを提案。

 

じゃんけんの結果以上のようになったのである。

 

因みに、二人は俺の前に座っていて、陽華の上に前から、張角ちゃん、張梁ちゃん、俺の順に並んで乗っている。

 

「そんなに言うなら、もう少ししたら代わるか?」

 

「えっ!!良いの!?」

 

「えぇ~お姉ちゃんや~だ。」

 

「徳種さん。姉さんに優しくしなくても良いですよ。」

 

いやっ、俺としては代わってほしくもある…。

 

何故なら、さっきから俺が手綱を持つ手を、張角ちゃんが包むように握るせいで、その豊満な胸に…。

 

そして、張梁ちゃんは俺に凭れ掛かるように座ってるせいで、女の子特有の柔らかさと甘い匂いが…。

 

いかん、意識しちゃ駄目だ…。平常心、平常心。

 

「ほらほら♪ 聖さんが代わって良いって言ってるんだから、代わってよ。」

 

「い~や~だ~。」

 

「はぁ…。あんまり騒ぐと…。」

 

「いたぞ~!!あそこだ~!!!」

 

「はぁ~言わんこっちゃない…。」

 

さっきまで追っての影なんて見えなかったのに…まぁ、どうにかしますか…。

 

「二人とも、しっかりと捕まって!! 一刀!!急ぐぞ!!」

 

「分かった!!  張宝ちゃん、しっかり捕まってて!!」

 

「えっ!!ちょっと、ひあっ!!?」

 

馬を駆けさせて追手と距離をとる。

 

しかし、このままだと良くはない…。どうするか…。

 

確か、来る途中に川があったな…しかも橋もあったはず。

 

付近には他に橋はなかったし、川の流れは速く、渡るのは不可能だろう…。あそこでどうにかするしかない…。

 

「一刀!! 来る途中に橋があったろ? あそこまで急ぐぞ!!」

 

「OK!!」

 

俺たちは馬を駆けさせる。

 

追手の数は十数騎。流石に相手にするのは面倒だ。しかも、今は彼女達がいる。守りながら戦うのは厳しい…。

 

約1キロ先、橋が見えてきた。

 

俺達はその橋に急ぐ…が、そこには別の兵が見てとれた。

 

「聖!! 橋のところに誰かいないか!?」

 

「あぁ。多分敵兵だろう…。先回りされたか…。」

 

「どうする?」

 

「…しかたねぇ…。 一刀!!このまま突っ込むぞ!!」

 

「えっ!! 大丈夫かそれ!!」

 

「どうにかするよ…。 陽華!! 悪いけど一度手綱を放す。でも、このまま突っ込んでくれな!!」

 

「ブルルッ!!」

 

「そうか、頼むぞ!!」

 

「どうする気だ、聖!?」

 

「こうするのさ。武○錬金!!」

 

俺は蛇弓を出現させ、矢を数本番える。

 

橋の前には五人ほどの兵士。

 

砂塵が上がっているせいで見づらいが、まぁ何とかなるだろ。

 

「えっ…ちょっ…聖。 今、武○錬金って…。」

 

「話は後でな。 ギリッ…バシュ!!!!」

 

放たれた矢は放物線を描き、兵士達に降り注ぐ。

 

その矢を受け、兵士達は皆地面へ倒れ伏した。

 

 

「聖!!」

 

「大丈夫だ。鏃は潰してあるから、殺してはいない。このまま突っ込むぞ!!」

 

「待て~!!貴様ら止まれ!!」

 

「止まれと言われて、止まるやつなんかいるかよ!!」

 

「…なんかルパンみたいだな…。」

 

「じゃあな~とっつぁ~ん!! …ってか!?」

 

「ま~て~!!」

 

「さて、一刀。先行けよ。」

 

一刀が先に橋を渡る。俺も続いて渡りきる。

 

すると、追っては橋の入り口ほどに来ていた。

 

 

「待て!!」

 

「悪いな…さらばだ!!」

 

俺は刀で橋を落とす。橋は川に落ち、大きな水しぶきが立つ。

 

「くそっ!! おい!!別の橋を探せ!!」

 

警備兵たちは、別の橋を探しに川を下って行った。とりあえず、窮地は脱したな…。

 

俺は、そのまま馬を駆けさせて、一刀と帰路につく。

 

「なぁ、聖。さっき武○錬金って…。」

 

「あぁ、間違っちゃねぇよ…。これ見りゃ、お前なら分かるだろ!?」

 

「これは…核○!! 何でこんなものがこの時代に…。」

 

「話すと長くなるんだが…。俺が今から話すことを信じるか?」

 

「話によるかな…。」

 

 

今、俺達は水鏡塾まで後少しの所にある小川で休憩している。

 

一刀は、さっきのことを俺に聞きに来る。

 

「実は、俺は神様に能力を開花してもらってな…。核○は贈り物だ。」

 

「へぇ~そうなんだ。(棒読み)」

 

「お前信じてないだろ!!」

 

「あぁ、信じてる信じてる。(棒読み)」

 

「嘘付け!! さっきからセリフが棒読みなんだよ!!」

 

「だって…な…。」

 

「…じゃあ、どうしたら信じるってんだよ。」

 

「まぁ、聖が嘘をついてるとは思わないけど…流石に直ぐに信じろって言うのも…。」

 

「まぁ、普通は無理だよな…。」

 

「でも、聖の強さの秘密に納得はいったかな。」

 

「あくまで才能の開花だけどな…。基本は蓮音様に鍛えられたし、弓は前から使えるしな…。」

 

「因みに、才能ってどんなのがあるんだ。」

 

 

俺は一刀に才能を紹介していく。

 

 

「…羨ましい…。」

 

「そうか!?」

 

「ずるい!! 聖だけずるい!!」

 

「ねぇ~聖さん♪ そろそろ行かないと暗くなっちゃうよ?」

 

「おっ!!じゃあ、そろそろ行こうか。 一刀、行くぞ!!」

 

「くそ~…。聖がモテる理由が分かっただけに悔しい…。」

 

 

 

「俺はこっちに乗るな。」

 

「「えぇ!!!!!」」

 

「もう水鏡塾までそんな距離もないし、一刀がそっちでも大丈夫だろ。一刀の練習にもなるしな…。良いか、陽華?」

 

「ブルル。」

 

「陽華が良いって言ってるしそういうことで。」

 

「ちょっと!! 徳種さんだけで勝手に自己完結しないで!!」

 

「そうだよ~。お姉ちゃん納得行かないもん。」

 

「んっ?何でだ? 一刀じゃ嫌か?(キョトン)」

 

「そっ…それは…。( ///)」

 

「確かに一刀じゃあ不安かもしれないが、陽華だし大丈夫だろ。」

 

「ひ…聖……。」

 

「「…馬鹿。(ボソッ)」」

 

「何か言ったか今?」

 

「何でもないです!! さっ、北郷さん行きましょう。」

 

「あっ…あぁ…。」

 

「…なんか怒ってないか?? どうしたんだ張梁ちゃん…。」

 

「はははっ…。これは聖さんが悪いと思うな…。」

 

「ん?? どうしてだ??」

 

「分からないなら良いんじゃない? さぁ、聖さん私達も行こう♪」

 

「ん~~????」

 

俺は、張宝ちゃんと馬に揺られながら帰路についた。

 

因みにその時の一刀はというと…。

 

 

「あっ…あの~…張梁ちゃん??」

 

「なんですか!!?」

 

「いやっ…その~…怒ってるのかな~と…。」

 

「怒ってません!!」

 

「そっ…そうですか…。」

 

「北郷さん…。そっとしておいてあげて…ね♪」

 

「うん、どうやら突っ込んで聞いちゃ不味そうだしね…。」

 

と、気まずい空気が流れていたとか…。

 

水鏡塾へ着くと、張角たちを門の所で待たせて、俺と一刀は水鏡先生に事情を説明した。

 

水鏡先生は、少し困った顔をした後、「三人とも同じ部屋で良いのでしたら何とかなると思います。」と言ってくれた。

 

水鏡先生にお礼を言って、俺達は張角たちのところに戻り、状況を説明。三人ともそれで問題ないとのことだったのでとりあえず一段落だ。

 

水鏡塾に戻っても張梁ちゃんの機嫌は戻らず、まだ何か怒っているようだった。

 

俺は、流石に気になったので彼女達の部屋へと向かった。

 

廊下を歩き、角を曲がると彼女達の部屋まであと少し。

 

すると、彼女達の歌声が部屋の中から聞こえてきた。

 

やはり町で聞いたときに思ったが、彼女達の歌のセンスは抜群だ。

 

しかし、何か引っ掛かる…。

 

彼女達の歌声が、部屋の中から聞こえなくなった時を見計らって声をかける。

 

 

「ごめん、ちょっと入って良いかな?」

 

「は~い♪どちら様?」

 

そう言って部屋の扉が開く。扉を開けた張角ちゃんと目が合った。

 

 

「やっ。」

 

「聖さん!!」

 

「「徳種さん!!??」」

 

「入って良いかな?」

 

「どうぞ~♪」

 

「ありがとう…。 張梁ちゃん。」

 

「…はい?」

 

「ゴメン!!!!」

 

「えっ!!!」

 

部屋に入るや否や、俺は張梁ちゃんに謝った。

 

 

「謝って許される問題じゃないのかもしれないけど、とにかくゴメン。」

 

「…良いですよ。もう怒ってもないですから。」

 

「本当か!?」

 

「えぇ。あんなことで怒ってた、私が馬鹿でしたから。」

 

「そうか…良かった…。」

 

「はぁ~…。」

 

「「はははっ…。」」

 

張梁ちゃんは溜息吐くし、残り二人は苦笑いだし、なんだって言うんだ??

 

「これからどうするつもりなんだ?」

 

「さぁ? とりあえずここら辺の町には居られなくなっちゃったから、別の町に行かないと。」

 

「うっ…。ゴメン…。」

 

「謝らなくて良いよ~♪聖さんたちのお陰で助かったし。」

 

「本当なら、私達が御礼をしないといけないくらいなのに…。」

 

「それは何度も言った…。」

 

「あなたは良くても、私達は良くないのよ。ちゃんと御礼をさせて。」

 

「う~ん…。そうだ!! 俺、もう一度君達の歌が聞きたいな。聞かせてくれないか?」

 

「ごめんなさい。私達お金にならない歌は歌わないの。」

 

「そうか…。」

 

「まぁまぁ、人和。徳種さんはさっき大金払ってくれたんだし。お礼なら一回ぐらい良いんじゃない?」

 

「お姉ちゃんも良いと思うよ。」

 

「…姉さん達がそういうなら…。」

 

先ほど町で聞いた歌を、彼女達は歌い始める。

 

三人の声は、綺麗なハーモニーを奏でながら流れていく。

 

俺は静かに聞いていたが、ある部分に差し掛かったときに声を上げる。

 

 

「ちょっと待った!!」

 

「っ!! 何!?どうしたの!?」

 

「…今のところもう一度聞かせてくれないか?」

 

「…分かったわ…。」

 

再び歌が始まるが、同じ所でまた止める。

 

「今の所さ、和音が若干ハモってないんだよね…。なんと言うか、不協和音がする。張角ちゃんが高音、張宝ちゃんが低音、張梁ちゃんが間の音を出してるよね?」

 

「分かるの!?」

 

「まぁね。で、張角ちゃんが若干高い、あと半音だけ下げて。で、張宝ちゃんは逆に低い。あと半音上げる。で、張梁ちゃんは二人に引っ張られちゃって音がぶれてる。もっと自分の音に自信を持ってやってみて。」

 

「え~聖さん。半音ってどのくらい~?」

 

「ちぃたち感覚でやってたからよく分かんない。」

 

「お手本をお願い。」

 

「はぁ~…。まぁ、口を出したものとして責任持つか。良いか、まず張角は『♪~♪』だな。」

 

「「「!!!!」」」

 

「で、張宝は『♪~♪』。張梁は『♪~♪』でやってみればどうだろう。」

 

三人は驚いた表情のまま、口を開けて固まっていた。

 

 

「お~い…。」

 

「信じられない…。」

 

「はい?」

 

「何でそんなに上手いの!? ねぇ、徳種さん何で!?」

 

「えぇ~っと…。何ででしょうね…。」

 

「すっご~い♪ お姉ちゃん感動しちゃった♪」

 

「ねぇ、徳種さん!! ちぃ達の歌の先生になってくれない?」

 

「ちぃちゃんそれ良い考え~!!」

 

「う~ん。残念だけどそれは出来ないかな…。」

 

「…どうして?」

 

「俺にはやらなきゃいかんことがあるんだ。だから、悪いけどそれは出来ない。」

 

「ちぃ達の誘いを蹴ってまでやることってなんなのよ!?」

 

「俺はこの世界を平定する。」

 

「「「!!!」」」

 

「そして、この世界に住む人全てが手に手をつないで、平和に暮らせる世の中にする。そのために必死でね…。悪いけど君たちの歌の先生にはなれないんだ。 …ゴメンね。」

 

三人とも口を閉じている。それだけ重い話なのだと理解しているようである。

 

「でも、こういう風に助言くらいは、時間が空いた時には出来るよ。それで良いかな?」

 

「(パァ~)はい!!!!」

 

彼女達の顔に笑顔が浮かぶ。これで良かったのだろう。

 

彼女達は再び歌を歌い始めた。

 

先ほど俺が言ったところが直ぐに修正されているあたり、彼女達もプロだ。

 

ただ、この娘達はすべて自己流でやってきたのだ。その為、歌う姿勢とかそういう基本的なところは教わっていないのだろう。

 

 

「張梁ちゃん、ちょっとゴメンね。」

 

「えっ!?」

 

「もっと背すじはこうで。」

 

「ひゃあぁ!!!???」

 

「胸張って!!」

 

「ひゃん!!??」

 

「声は腹から!!」

 

「……。(プルプル)」

 

「ん??どうした?」

 

 

ドゴッ!!!

 

 

「はぁはぁ…。いやらしい手つきで触らないで!!」

 

「きゅ~~…。」

 

「いいな~人和…。」

 

「ふふっ、ねぇ~聖さん。私にも教えて~♪」

 

「ちょっと、姉さん。ちぃが先に教わるの!!」

 

「ちょっと!!姉さんたち!!」

 

「…人和だって実は…。」

 

「っ!! だっ…誰があんなことされて嬉しいのよ!!」

 

「あれ~?嬉しかったの~?」

 

「うぅっ…。」

 

「にゃは♪人和も墓穴を掘ったわね。」

 

「皆~もう聖さんの虜になっちゃってるもんね~♪」

 

「…だって、卑怯じゃない!? 顔も良くて、強くて、しかもピンチに颯爽と登場して、困ってる私達を救う大器を見せて、そして歌も上手いのよ!?」

 

「そうね…。私達を惹き付けるには十分だったわ…。」

 

「女の子なら一発だね♪」

 

「どうにかして、このまま徳種さんたちと一緒に旅できないかな…。」

 

「…良い方法があるわ。」

 

「えぇ!!?なになに!?人和教えなさいよ。」

 

「ふふふっ…。これほどの大器だもん、きっと断りはしないと思うわよ。」

 

そう言って、微かに笑う張梁なのであった。

 


 
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