No.472869

恋姫外史終章・いつまでも一刀第11話

アキナスさん

さあ、宴を始めよう・・・・・・

2012-08-20 12:29:08 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:7384   閲覧ユーザー数:5671

婚礼当日。

 

式場までは赤い絨毯が敷き詰められ、絨毯の両側には招待された著名人たちが列を作っていた。

 

その中には一刀の姿は無い。

 

もっとも招待を受けたのは麗羽なので、当然と言えば当然なのだが・・・・・・

 

そして、赤い絨毯の上を歩いてくる二人。

 

帝と月である。

 

月は下を向き、ヴェールに顔が隠れており、その表情は見えない。

 

帝は病に冒されていると言う話であったが、その顔色は良好そのものだった。

 

「・・・・・・どうするつもりなんですか?一刀さんは?」

 

列で隣り合っていた麗羽に、桃香が周りに聞こえないように聞いてくる。

 

「ちょっと方針の変更があったらしいですわ。とりあえず、何があってもわたくしたちは動いてはいけないとだけ聞かされていますけど・・・・・・」

 

麗羽はそれだけ言って、視線を絨毯の上を歩く二人に向けた。

 

桃香も心配そうに、月に視線を向けるのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・・・早く来い北郷)

 

左慈はそう思いながら歩いていた。

 

絨毯の上を。

 

そう、帝と共に絨毯の上を歩いている月は、左慈が術で化けた姿だったのだ。

 

ちなみに帝の方は、干吉が化けている。

 

月に化けさせた左慈に一刀が無警戒に近付いて来たところを殺る。

 

それが干吉の立てた作戦だった。

 

(・・・・・・まだか?北郷)

 

いくら姿は同じといっても、表情は出る。

 

今の左慈の表情は、あまりの屈辱に気を抜けば歯軋りまでしてしまいそうなほど歪んでいた。

 

こんな顔を見せたら不信に思われるどころの騒ぎでは無いので、ヴェールを深くかぶり、ずっと下を向いて歩いてきたのだ。

 

(・・・・・・)

 

そして式場の直前まで来て、左慈は・・・・・・

 

(早く来てくれ北郷!!)

 

ずっと憎悪してきた一刀に懇願するほど、精神的に追い詰められていたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

左慈の願いもむなしく、式は着々と進行していく。

 

(ああ、この時をどんなに願ったことでしょうか?)

 

帝の姿の干吉は、左慈と式を進めながら天にも昇る心地でそう思っていた。

 

姿は違えども、愛する男との結婚式。

 

このような形でなければ到底実現できないほどの夢が、今、叶っているのだ。

 

そして、至福の時は訪れる・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、誓いの口付けを・・・・・・」

 

式はいよいよクライマックスに入っていた。

 

この口付けが終わってしまえば、晴れて帝と月(干吉と左慈)は夫婦となる。

 

「一刀さんどうしちゃったんですか!早くしないと月ちゃんが・・・・・・」

 

「落ち着きなさい桃香さん・・・・・・でもおかしいですわ。最初の計画ではもう出てきているはずですけれど・・・・・・」

 

慌てる桃香となだめながらも不信に思う麗羽。

 

一刀は一向に姿を現さない。

 

そんな中、顔を近づける新郎新婦は・・・・・・

 

(もう限界だ!俺はここで降りるぞ!!)

 

(それは無理です。各地の諸侯たちが見ている中で術を解いたら、我々は妖術使いとしてこの国全てを敵に回す事になりますよ?)

 

(むしろその方がましだ!誰が貴様に操をやるものか!?)

 

(では、私の力はいらないのですね?式が全て終わった後に、差し上げようと思っていたのですが・・・・・・)

 

(ぐう・・・・・・何故北郷は来ない!?)

 

(彼なら既に、本物の董卓を連れ去って王宮を抜け出している事でしょうね・・・・・・)

 

(なっ!?)

 

左慈は驚愕の表情で干吉を見たのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

昨日の深夜。

 

寝台で眠っていた一刀の部屋に侵入者があった。

 

干吉である。

 

彼は一刀を起こし、明日行われる作戦について話して一つの提案をした。

 

月を閉じ込めている部屋は教える、警備は薄くしておくので連れ去ってもらって構わない。私たちの式の邪魔をしないで欲しいと。

 

「一度でいい。わたしは左慈と結ばれたいのです」

 

真剣な表情で語る干吉。

 

「・・・・・・」

 

一刀はしばらく黙り込んでいたが、

 

「いいだろ。ちょいと予定を変更すりゃあ何とかなりそうだ。式には出られそうもないが、まあ、幸せにな・・・・・・」

 

「ありがとうございます」

 

一刀と干吉は力強い握手を交わしたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

(貴様、はじめからそのつもりで・・・・・・)

 

来賓に顔が見えないよう位置取り、干吉に怒りの表情を向ける左慈。

 

(これは私の生涯をかけた一大イベントなのです。誰にも邪魔はさせません)

 

干吉は左慈の肩に手をかける。

 

(い、いやだ!やはりこの国の人間全てを敵に回してでも、ムグッ!)

 

左慈が変化の術を解く前に、干吉は左慈の唇を奪っていた。

 

お~~~!

 

パチパチパチ・・・・・・

 

周りから歓声と拍手が起こる。

 

一方、左慈はと言うと・・・・・・

 

(・・・・・・)

 

彼の時は止まっていた。

 

あまりのことに放心状態になっていたのだ。

 

時間にして五秒、干吉は唇を離す。

 

左慈の口からは魂がはみだしていた。

 

「わが生涯に、一片の悔いなし・・・・・・」

 

干吉は心底幸せそうに、そう呟いたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

やってしまいました。

 

やってしまいました(大事な事なので二回言いました)

 

最初は一刀が式で華々しく乱入する話にしようと思ったのですが、多くの人のリクエスト(そこまで多くないかな?)をいただき、私もその方が面白いかな?と思ってこうなってしまいました。

 

本当はもっと式の様子を詳しく書きたかったのですが、古代中国の式のやり方とか分かりませんし・・・・・・

 

ゲームの方でも無かったですし・・・・・・

 

そんな訳でかなり簡略化してしまいましたが、大事な事は伝わったと思いたい。

 

次回はこの後干吉がどうなったか、そしてこの場に居なかった一刀君のやっていた事を書こうと思います。

 

では、次回に・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ツインサテライトキャノン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
71
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択