No.472451

IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第21話

Lさん

第21話です。

プロローグ
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2012-08-19 15:49:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:14651   閲覧ユーザー数:14301

シャルロットが再編入した、その日の朝。

朝のSHLでラウラが一夏に嫁宣言した事で騒動が起きた。

鈴とセシリアがISを展開、箒は日本刀を構え、一夏に襲い掛かったのだが、キラとシンが抑えることで事なきを得た。

その後、昼休みに千冬に絞られた箒達は午後の授業では酷く疲れた様子であった。

そして、その日の放課後。

キラは一夏達の特訓の準備を行う為一足先に第六アリーナに来ていた。

だがアリーナのフィールドに入るとアリーナの入り口に声をかける。

 

「……いい加減出てきたらどうですか、後を付けているのは分かっていますよ」

「………」

 

出てきたのは青っぽい髪、瞳はルビーのように赤い、そして、髪の毛が外側に跳ねているのも特徴的でどこか簪に似た少女だった。

 

「生徒会長の更識 楯無さん」

「そう、私が生徒会長の更識 楯無よ、初めまして、キラ・ヤマト先生」

 

笑顔で言う楯無だが、明らかに作り笑いをしていた。

 

「……僕に何か用でも?」

「……単調直入に聞くわ、あなたは一体何者?」

 

右手に持っていた扇子を開くとそこには"疑念"と書いてあった。

 

「……IS開発を行っていたあなただけど、あなた達のISは各国が開発が追いついていないビーム兵器の搭載、さらにあなたのISはイギリスが開発途中のビット兵器を搭載されている、各国が開発が追いついていない技術をどうやって手に入れたのかしら?」

「さあ何だろうね」

 

楯無の質問にキラははぐらかす。

 

「それと、この第六アリーナにどんな秘密があるのかしら?」

「何の事?」

 

キラは殺気を放ちながら答える。

だが、楯無はお構い無しに話し続ける。

 

「とぼけても無駄よ、あなた達がこの第六アリーナに定期的に来ていることぐらいは知っているわ、一体何を隠しているの?」

「……それを僕が言うとでも?」

「もちろん、そう簡単に聞けるとは思っていないわ……だから」

 

楯無はISを展開して"蒼流旋"をキラに向けた。

 

「力ずくで聞くわ!」

 

瞬時加速(イグニッションブースト)でキラに接近する楯無だがキラもISを展開してビームサーベルで受け止めた。

 

「随分と手荒い事するね」

「正体が分からないあなたをこのまま放置は出来ないのよ!」

 

楯無を蹴り飛ばし距離を取るキラはビームライフルを連射する、だが、楯無はビームをかわしながら"蒼流旋"のガトリングガンでけん制を掛ける。

だが、キラは避けようともせず、ガトリングを受けるがVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲でダメージは無かった。

 

「っ!? ダメージがない!?」

 

VPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲の事を知らなかった楯無は動揺してしまった。

その隙をキラにつかれてしまい"蒼流旋"はビームライフルにより破壊された。

 

「この行動に出たのは簪の為?」

「!!」

 

その言葉を聞いた楯無は動きを止めた。

そして、体を震わせながらキラを睨みつけた。

 

「あなたに……あなたに…………」

 

 

その頃、一夏達は第六アリーナに向かっていたのだが。

 

「何であんたが居るわけ!」

 

一夏の隣に居るラウラに詰め寄る鈴だが、ラウラは平然と答える。

 

「嫁と一緒にいるのが何が悪い」

「何だよこのギャップは……」

 

昨日の態度と180度違うラウラの態度にシンは呆れていた。

昼休みにラウラは今までの行為を一夏達に謝ったので一夏達も快くラウラを迎い入れたのだが何処へ行くのも一夏の隣に居るため箒達は不機嫌であった。

 

「だいたい、元はといえばあな……」

『あなたに何が分かるのよ!!!』

 

アリーナの入り口に入った一夏達の耳にフィールドから誰かの声が聞こえてきた。

 

「な、何だ!?」

「この声……まさか!?」

 

簪は慌ててアリーナの観客席に向かって走り出すと一夏達も簪の後を追って観客席に入るとそこにはキラと楯無の姿があった。

 

「お姉ちゃん!?」

 

簪は驚きのあまり大きな声を上げるが楯無は聞こえていなかったのか話し続けた。

 

「あなたのせいで簪ちゃんはあなたに懐いてしまった、得体の知れないあなたに!!」

「……だから、僕の正体を暴く事で簪が僕の元から離れさせようと考えた」

「そうよ!! 簪ちゃんを護る為なら私は何だってするわ!! だから、これで終わらせるわ!!」

 

そう言った瞬間キラの周り霧が発生し、湿度が上昇していた。

キラはそれが攻撃だと気づき一気に上昇して避けようとした。

 

「もう遅い!! 清き熱情(クリア・パッション)!!」

 

楯無が指を鳴らすと、ナノマシンを発熱させた事で水を瞬時に気化させ、その衝撃と熱がキラに襲った。

発生した霧によってキラの姿が見えなくなっていた。

清き熱情(クリア・パッション)を耐える者は今まで居なかった。

楯無は勝利を確信していた、だが、霧が晴れるとそこには無傷のキラが居た。

 

「う……そ……」

 

清き熱情(クリア・パッション)を受けてもなお傷一つないキラに楯無は驚きを隠せなかった。

だが、キラも無傷ではなかった、ビームシールドで防御していたがシールドエネルギーは半分もなくなっていた。

元々、VPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲は耐熱性にも優れていて本来ならダメージはないのだが、リミッターを掛けている事で耐熱性が低下しておりダメージが通りやすくなっていた。

 

「君が簪の為にしているのは分かった、だけど、君の考えだけで簪を縛るのは良くない」

「何を!」

「君は気付かないのか、簪は君に護られる存在ではなく、君と対等に向かい合いたい存在になりたいと簪は思っているんだ!」

「黙れ!! あなたが簪ちゃんの事を語るなぁ!!!」

 

キラの言葉に完全に怒った楯無は"蛇腹剣"を構え瞬時加速(イグニッションブースト)で懐に飛び込み"蛇腹剣"を振り下ろした。

だが、振り下ろされた場所にはキラの姿は無かった。

 

「っ!? 何処!?」

 

周りを見渡してもキラの姿が無かった、だが影を落とすものに気付いた楯無は上を見るとそこにはドラグーンがキラの周り停滞して全武装が展開されていた。

本能的に危険を感じた楯無は回避行動にはいるが遅かった。

ドラグーン・フルバーストが放たれたビームによって全ての武装と手足が破壊され、さらにPICも破壊されたことにより浮く事が出来ず楯無は地面に倒れてしまった。

そして、無常にも霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)のモニターにはシールドエネルギーが無くなった事を告げていた。

 

「……私……負けたのね……」

 

キラに全く敵わなかった楯無は自分の力の無力さに涙を流した。

楯無の横に降り立ったキラはISを解除した。

 

「結局、私は……あなたの足元にも及ばなかった……これじゃ、簪ちゃんを護れないわ……」

「お姉ちゃん……」

 

聞き覚えがある声に聞こえ楯無は声がした方に視線を向けるとそこには簪、後ろには一夏達の姿もあった。

 

「簪ちゃん!? どうして此処に!?」

「皆で特訓しようとアリーナに来たんだけどアリーナに入ったら誰かの怒鳴り声が聞こえてそれで……」

「もしかして……」

「うん……お姉ちゃんがキラさんと戦った理由も聞いた」

 

簪が居る事に驚く楯無に簪は自分の思いを伝え始めた。

 

「お姉ちゃん……私の為にしてくれるのは嬉しい……だけど、もうお姉ちゃんに護られるのは嫌なの」

「簪ちゃん!?」

 

ISを解除した楯無は立ち上がり簪に近づこうとするが、簪の目線に怯んでしまう。

 

「話を最後まで聞いてお姉ちゃん」

 

簪は話を続けた。

 

「……お姉ちゃんが護ってくれるのは嬉しい、だけど、お姉ちゃんの影に怯えていた私にとって……苦痛でしかなかった」

「簪ちゃん……」

「みんなお姉ちゃんの妹として私を見ていたけど誰も『更識 簪』として見てくれなかった……でも、キラさんは違った、キラさんはお姉ちゃんの妹としてではなく私を見てくれた……その時、凄く嬉しかった、初めて私を見てくれたんだって、そして、私が本当に願っているのは……お姉ちゃんの妹としてではなく『更識 簪』としてお姉ちゃんの隣に立ちたいんだって気付いたんだ」

「簪ちゃん!!」

 

楯無は簪を抱きしめていた。

 

「簪ちゃんの気持ちを考えようともせずに苦しめてごめんね……」

「もう良いの、お姉ちゃん……」

 

簪も抱きしめ返すと楯無は涙を流しながら簪を抱きしめた。

キラ達は二人を邪魔しないようにアリーナから離れて行くのだった。


 
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