第四十五技 怒れる女神
アスナSide
わたしはいま、胸の内に燃え上がる怒りと憎しみを抑えきれないでいる。
二人の人を殺して、あまつさえわたしの大切な人であるキリト君を傷つけた目の前の男を、
いますぐにでも八つ裂きにしてやりたい。
そんな衝動に駆られている。
「そ、その、アスナさま…。こ、これはですね、訓練なんで「黙りなさい…」」
言い訳をするクラディールにわたしは静かに言った。
言い訳なんてまかり通るはずがない、これ以上聞くのも嫌になる。
「……クッハッハ、ヒャーッハッハッハッハッハ!!!!!」
煩くて耳障りな声、耳を閉じたくなる声。
だけど、そんな行為も無駄だと思う。
「あとの楽しみにとっておくつもりだったが…。もういい、二人まとめてぶっ殺してやる!!!」
奴は大剣を構えてこちらに走り出してきた。
わたしは奴の大剣による攻撃を全て躱している。
大剣は攻撃力が高く、耐久力もある。
わたしの使う細剣で受ければすぐに折られてしまう。
けれど大剣の攻撃は大振りなため、速さを武器に戦うわたしには相性が良い。
奴の攻撃に隙が出来たのでそこに連続攻撃を与える。
奴が大剣で防御すればわたしがなで斬りをし、攻撃をしてくれば躱して攻撃を加える。
自分でも攻撃が苛烈になっていくのがわかる。
とにかく奴に暇を与えずに攻撃を行い続ける。
近づいて切り刻みたい衝動を抑えて、キリト君や二人にした以上の痛みを与えてやる。
「ぐっ、が、はぁっ!? く、くそ!?」
「セェェェェェイィィィィ!!!」
わたしはソードスキル《スター・スプラッシュ》を使い、一気に攻撃を仕掛けた。
奴は大剣で攻撃を防ごうとするも確実に体に当たり、多大なダメージを与えられた。
「がはっ!?」
ついに奴の手から大剣が離れ、奴も体を吹き飛ばされた。
わたしは奴の傍に歩み寄り、剣を振り上げる。
「ま、まて、まってくれ!? た、たのむよ!?
あんたらにはもう近づかない!? だ、だからたのむ!?」
奴が必死の命乞いをする。
わたしはそれを許す気はない……なのに、なのに…。
「っ~~~~~!」
どうして、どうして手が震えるの?
もしかしてわたしは怖いの?
こんな奴を殺すのが?
人を殺したこの男を殺すのが?…そんな時だった。
キリト君は復讐のためにわたしが誰かを殺す事を喜ぶだろうかと?そう思った。
そう考えた瞬間にわたしは自分が怖くなった。
怒りや憎しみに駆られて、どんな人であろうと殺そうとしたことが…。
そしてわたしは…。
「………もう二度と…、わたし達にはかかわらないで…」
これで、これでいいよねキリト君? そう思って彼に向かって振り向こうとした瞬間…。
「っ!? アスナーーーーー!!!」
「え?」
キリト君の叫びにわたしは振り向くのをやめた。
「あめぇんだよーーーーー!!!」
「キャアッ!」
わたしはもっていた剣を奴の攻撃によって弾き飛ばされた。
あの距離では届かない。
「死ねやぁぁぁぁぁ!!!!!」
今度は自分の死に恐怖した。奴は思い切り剣を振り下ろしてきた。
その大剣はわたしに届…………………………………
くことはなかった。
そのかわり…、
―――バキャンッ!
―――ザシュッ!
「ガハッ!?!?」
わたしの前にはキリト君がいて黒の剣が大剣を砕き、白の剣が奴の体を貫いていた。
そして奴の、クラディールのHPバーが………0になった。
クラディールは消滅間際にキリト君の耳元でわたしにも聞こえるようにこういった。
「人殺し野郎が………」
そしてキリト君もなにか言ったのだろう。
わたしには聞こえなかったけど、クラディールはそれを聞くと絶望的な表情とともにもう一度言った。
「おまえは、人殺し以上に………殺人鬼だ………」
そう言い残してクラディールは消滅した。
アスナSide Out
To be continued……
後書きです。
アスナブチギレ回でした。
そしてクラディールを殺したのは原作の展開同様にキリトに殺させました。
原作にはないクラディールが最後に残した言葉とは・・・。
では次回で・・・。
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第四十五話です。
タイトル通りアスナがキレます。
そしてクラディールを殺すのはキリトかアスナか・・・。
どうぞ・・・。