「これでもう、何件目や……」
はやては研究所を破壊された事件の概要をすべて見ながらため息を吐いていた。
第97管理外世界に向かってからもう二週間も経過している。その間にナノハ達に破壊された研究所の数はその二週間前に比べて遥かに多く、五十件以上起こっていた。
しかも所々管理局員もいたのだが、隙を見つけてはその隙に研究所を一瞬で破壊するという仕業を繰り返し、管理局だけでは対処しようがないようになっていた。
完全にお手上げ状態であり、このような状態になってしまったのはあの二週間前に起こった出来事が原因だとはやては思う。
あのオリヴィエ・ゼーゲブレヒトに似た人物がここ二週間で起きた研究所破壊事件の多数を占めており、一瞬で研究所を破壊されない事件もあるので、それ以外は彼女がおここなっているのだろうと思った。
だがそれとは逆に、研究所を破壊される事件の中で、どこにもなのはが出てきたという情報はなくなっていた。
当然といえば当然である。なのはの情報が消えた理由はオリヴィエに似ている人物そもそもがなのはであり、はやてたちの前で顔を曝さなかったのはなのはだと気づかれないようにするためなのだから。
なのはの情報が消えたとの同時に、あのオリヴィエに似ている人物が現れたのは何か関係があるのではないかと思っているのだが、それが一体何なのか分からなかった。
「……いや、まさかそんなことはあるわけないよな」
一瞬ある推測が一つできていたが、すぐにそんなはずがないと切り捨ててしまう。
ちなみに今はやてが居る場所は自分の家であり、ヴォルフラムはナノハの攻撃によって受けた修復でかなり時間が掛かっていたのである。
かなりショートした原因の場所はすぐに判明したのだが、その部分はほとんどの確率で断線する場所ではなかったので、その線を用意するのがかなり時間かかり、そのおかげで二週間経っても修理が完了していないのであった。
拠点としていたヴォルフラムが使えなく、さらにはほかの艦船も代用することも今は難しいという事が重なって、任務の途中だが長期休暇みたいな感じになってしまったのだ。
個人で動こうとしても動きようがないし、特にすることも出来なかったのでのんびりと家に居たのである、ちなみにシグナムやヴィータなどは暇だからというわけで特訓したりほかの仕事を手伝ったりすることにそれぞれしていたのだった。
「ん? こんな時に誰かから電話?」
突然はやてに連絡が来ており、誰からの電話か確認するとフェイトと書いてあった。
一体何かあったのだろうかと思ってすぐにフェイトちゃんの電話に出て、目の前の画面にフェイトが現れて通話をするのだった。
「はやて、いまちょっと時間ある?」
「ん? 特にする事なかったのやけど、一体どうしたんや?」
「あのね、さっきユーノから連絡があったのだけど、あのフィルノが管理局に盗んで、第97管理外世界に落ちていたロストロギア、テュディアの事が細かく記されている本が見つかったらしいの。今からユーノが居る無限書庫へ行こうとしているのだけど」
「じゃあ、私も行くわ。あのロストロギアには今回の事でかかわりがありそうだからな」
考えてみたら、今回の事件はそのロストロギアから始まっているように感じた。突然管理局にあったティディアの欠けた一片を盗み、そのもう一片のティディアを第97管理外世界で拾ってことから、フィルノ・オルデルタはそこから本格的に活動してきたというのがなんとなく分かっていた。それまではあまり目立った行動はしていなかったし、フィルノ・オルデルタなんていう名前を知らない人は多かったのだから。
その始まりのきっかけであるロストロギアの事が分かったという事ならば、知る必要があると思ったのだ。
「はやてならそう言うと思った。じゃあ一度私の家に来て、それから私の車で無限書庫へ向かうから」
「わかった。とりあえず今すぐ行くな」
はやてはフェイトとの通話を切ると、すぐに出かける準備をして急いでフェイトの家へと向かうのであった。
それから数分してフェイトの家に着き、フェイトと合流して無限書庫へと向かうのだった。
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「やはり、このことは本当の事なのかね?」
その頃無限書庫ではユーノとアルフの二人が目の前に置いてある本の開いてあるページを見ていて、アルフはこれが本当なのかと思っていた。
そう思ってしまうのにはユーノにも分かってしまう。本に記されているのはユーノ自身信じたくない内容であったのだから。
「うん、これはベルカ時代にオリヴィエの配下に居たシエルフィ・シルヴェルンが書いた歴史書だからね。どうしてこんな内容を書いたのかは気になったが、今はそんなことはどうでもいいよ。これが本当の事なら僕はとんでもないことをしていたのだからね」
「でも、ユーノが悪いわけじゃないだろ。あたしがいう事ではないかもしれないけど、あの頃はあれがそういうものだと誰も知らなかったのだしさ。知っていたのはその本人だけなんだろうから」
「そうだね。だけどそうなると、はやてが言っていたオリヴィエの正体がもしかすると……」
ユーノは一つの推測が頭の中にできてしまい、それは多分誰もが信じたくない推測であった。
だが、はやてやフェイトから聞いた情報から合せたりしてみると、その可能性はかなりあり得ることであった。
「ん? 急にどうしたんだい?」
「あ、あぁ、ちょっと考えごとをね」
――今考えた事は、もしかしたら違うかもしれないし、その事をフェイトやはやてに言ったところで余計に気にしてしまう事になってしまうかもしれない。だから、このことは自分の中で留めておいた方が良いのかもしてないな
ユーノが推測した内容は誤情報を与える可能性もあり、それはなるべく避けた方が良いと思っていた。特にフェイトやはやてなどはその事を言ったらそう思い込んでしまう可能性もあったので、自分の中で留めておくのが最適だと思うのだった。
「さて、そろそろフェイトが来るころだろうし、来るまで何もしてないで待っていようか。それとアルフ、ここ最近手伝ってもらっていたけど別によかったの?」
「まぁ、ここに来たときに言ったが、別に暇だったしたまには何か手伝いたいと思ったからね。特に今は、なのはの事でフェイトを含めて全員大変な感じだし」
「アルフがそう言うのなら別にいいけど」
ユーノはアルフがここ最近無限書庫で自分の手伝いをしてくれてるのはありがたいと思っていたが、いつまでいるのだろうと思って聞いたのだが、今はそれどころではないと答えて納得するのだった。
そんな話があってから数分後、無限書庫にフェイトとはやての二人がやってきて、ユーノが二人を呼び出した理由について話すのであった――
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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