No.472182

魔法使いの大家族 第5話:雁間秋を好きな理由

nさん

少しどころかかなりグダグダかもしれません・・・

2012-08-19 00:07:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:588   閲覧ユーザー数:585

 

「ふがっ!?ふがふがふがふがふがふが!」

「ちょっ!?単刀直入にそれはないだろ!」

「いいじゃない可憐で清楚で物静かな可愛い女子生徒の告白だと思えば」

葵は相変わらず冷淡な視線で秋を超がつくほどの近距離で見つめながら

ナイフを持った右手を口の奧へ物静かにミリ単位で押し込んでいく

秋の顎は若干悲鳴をあげていてもうこれ以上口が開きそうにもない

「それじゃあ私が可憐で清楚で物静かな可愛い女子生徒と思えない。

と、雁間君のお口はそう言いたいのね?」

「ふがふがふがふがふがふがふがふがふがっ!」

「お前の何処が可憐で清楚で物静かなんだよっ!」

「全てよ」

「ふががっ!?」

「言い切った!?」

「言い切ったら悪いかしら?

このわがままボディを見てご覧なさい無駄な箇所なんて一つもないでしょう?

それとも雁間君はこんな私の体で満足しない変態二等生野郎、という人間なのかしら?」

ナイフが口の奧に入ったまま秋は話続けている事

それは秋の体力と精神力を明らかに削っている

秋の顎は力を失い見る見る上唇と下唇の距離が近付いている様に見える

まだ4月の上旬だというのに全身から汗が噴き出てそれが夏の様な暑さを感じさせている二等生

それに比べ汗一つかかず眉一つ微動だにしない一等生

差も才能の差も学校的地位の差もまったくもって秋は勝っていない

「でも貴方の事がたとえ好き、というのが嘘であっても

私は貴方を気に入っているわ

貴方の魔法能力は以上で他者より崇高だもの

ここまで持ち上げる必要なんて私にはないのだけれど」

秋は口を開きながら黙りっぱなしになっている

伊邪那岐はそれを見てモジモジしてどう行動に移せばいいか分からなくなっている

「基礎魔法能力なんて正直言って必要じゃないもの

こんな時代に基礎魔法が充分に使えるそんなの当たり前じゃないの

この学校の一等生と二等生の極少数はそうよ

でも貴方の魔法能力は違う、極普通ではなく極希なのだから

世界にも雁間君の様に特殊な魔法や魔具を使う人間は沢山いるのかもしれない

けれど私が見た聞いた感じた

その中では雁間君が一番凄かったそれだけ

でもそれは世間一般では認められておらず伸び悩んでいる所、といった所かしら

貴方の本当の力を見せれば世界は変わるのよ

貴方の周囲の人間、家族が素晴らしい、素敵と思われるのではなく雁間君が凄いと言われるのよ?

それはそれで雁間君は嬉しくないのかしら」

葵がそう言うと秋は思いっきり口を閉じた

口を閉じる瞬間、伊邪那岐は主の惨事を見たくなかったのか目を閉じた

だが秋の口には傷などつかなかった

葵の手が秋の口から消える様に無くなっていたのだから

「やっぱり分かっていたのね本当に訳の分からない行動ね」

葵は無表情のまま秋を見つめた

秋も優しい目付きから眼光が鋭くなっている

先ほどまで水を被ったかの様に流れていた汗が消えていた

「僕に幻術は効かない

途中からナイフを魔法陣にしまったのが僕には見えた

だから神ヶ原、君に僕を殺す気が全くない事も分かっていた

僕はそれでも怒っていないでも僕の友達というより・・・・・・

僕を宿主として召喚される人達がもの凄い怒っているんだ

伊邪那岐、刀をしまってくれそれと相手の背後をとるのはこの場ではよろしくない」

刀を納刀して主人の末路を見まいと目を閉じて震えていた筈の伊邪那岐はそこにはいなかった

伊邪那岐はフードを剥ぎ目の色を変え葵の後ろに立ち首をかかんと刀を葵の首の前で構えている

目付きは変わり果てて温厚な面影すらも残さず

「秋、しかしこの女はお前の口に鋭利なナイフを入れた

それだけでこの程度の報いは当然のことだろう?

ここで斬首しても私はいいと思うなにせ主人を守る事が私の使命でもあるからな」

伊邪那岐は刀を降ろそうとしない

秋はそんな激昂して変貌した伊邪那岐に刀を突き付けられた葵に視線を向けた

葵は無表情のまま秋を見つめていた

「これが貴方の芸なのね

でも伊邪那岐、私は此処にはいないのよ

貴方には見えていないのだろうけど私はまだ座ったままよ?」

伊邪那岐は最初に葵が座っていた場所に視線を向ける

そこには葵が冷淡な表情で伊邪那岐を見下すかのように見ている葵がいた

「私は雁間君ほどではないのだけれど幻術使いなの

雁間君も使えるようだけれどまだ形にはなってないみたいね

それじゃあまた今度、もしかしたらここに来るかもしれないし廊下でばったりなんて事も

あるかもしれないわね」

「それはもう無いと思いたい

神ヶ原、君の相手は骨が折れるナイフも途中まで本物だったろうし」

「本当にその召喚術だけでも披露しないのかしら?

それだけでもその年齢で禁術類が使えれば魔道士や魔術師になれるのに」

葵はやれやれと首をふりながら段差から降り秋に近付く

「流石にみんなの前で僕は伊邪那岐は召喚しないよ

でも神ヶ原には見られてしまったこのことが学校側にばれたら僕はここに居られなくなる

居られなくなる以前に魔術を評価されて一等生にもなりうる

けれど僕はそんな事で一等生になれる事は望んでいない

普通の魔法も使えない人間は一等生にはなれない

僕は馬鹿みたいに騒いでいる二等生軍団、二等生の人たちが大好きだ

ただお前らみたいに貶む目や高い所から見下すお前らよりも

僕は二等生のほうがいい一等生の上位の人間になると二等生に頭を下げさせるらしいな」

秋は眉間に皺を寄せて葵を見た

「えぇそういう人間はいるわ

本当にごく少数なのだけれど

私は下げさせるというよりも下げられる人間ね

それでもあなた達ほど生温い人生も生活も送ってないわ

安心して欲しいのは私は雁間君に手をかける事はないということ

そして私は一等生だけれどそういう非道で下劣な事はしないということ

ここまで簡単に説明すれば無能で可哀想な雁間君もわかるでしょう?」

秋は葵の発言に無言で頷いた

すると屋上への入り口から何かが近付く物音が聞こえた

「ではそろそろ私は一等生の校舎に戻るわね

それではまた今度会えれば会いましょう」

葵は何か単語のような呪文を呟くと自分の体を宙に浮遊させた

浮遊させた体がバランスが取れたことを確認すると秋に手を振り屋上から飛び立った

「あっ!秋!やっぱりここにいたんだ!」

階段から現れたのは奈々だった汗をかき額に髪の毛がべったりと張り付いている

「木野村?どうした?」

「ううん!秋どこに行ったかなぁ~って思って

取り敢えずここにいてよかった!もうすぐHR始まるよ!

早く行こっ」

「あぁ、うん」

木野村は秋の無事を確認すると猛ダッシュで階段を下りていった

秋は少しの間だけ青空を見つめるとため息をはいて屋上の入り口に向かった


 
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