No.472166

魔法少女リリカルなのはmemories 第四章 覚醒する末裔の記憶(メモリー) 第五十二話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-08-18 23:43:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1659   閲覧ユーザー数:1615

「だ、誰なんや彼女は……」

 

 山から空へと放たれていた光の柱みたいなものは弱まっていき、そして光が消えていくとそこから三人の女性が現れてたのである。

 そのうち二人は全く持って姿を変わっていないシルフィア姉妹であったが、その二人がまるで中央に居る彼女に従うかのような形で上空に立っていた。

 そしてその彼女の姿はある人物を思わせるかのような姿であった。

 騎士甲冑を来ており、右手には剣、そして髪型はヴィヴィオと同じ金髪になっており、顔はお面みたいなもので隠されていた。

 顔が隠されていたとしても、その姿を見てしまえば誰もがそう思ってしまうだろう。

 

「お、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトっ!? なぜ彼女がここに!?」

 

 そう、誰がどう見たって彼女の姿は最後のゆりかごの聖王、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトにしか見えなかった。

 その姿を見てヴォルフラム内に居た誰もが驚いていた。どうして、オリヴィエが復活しているのかと。

 実際はオリヴィエではなく、ナノハ(・・・)であるのだが、そんなことを知るのは今の状況では出来ない。だから誰もがオリヴィエだと思い込んでしまっていたのであった。

 そして、フィルノ達が研究所の破壊を止めて、何かを集めていたのはこのためだと誰もが分かった。たとえ彼女がオリヴィエではなかったとしても、かなりの力を持っている事は間違いないだろうと思った。

 

「これは……めんどいことになりそうやな……」

 

 はやては、彼女たちの顔を見ながらそう呟くのだった。

 

 

----

 

 

「……なんで、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトがっ!?」

 

 かなり遠くの距離であったが、ヴィータとシグナムの二人にも姿をみてオリヴィエだと思っていた。

 フィルノ達が何かをしようとしているのは分かっていたが、まさかオリヴィエの復活だと思わなかったのである。

 そのように勘違いしているヴィータとシグナムであったが、フィルノは不気味な笑みを浮かべていた。

 それに気づいたシグナムはすぐに振り向いてフィルノに言う。

 

「な、何をすつもりなんだ?」

「別に、やることは今までと変わらないさ。唯、彼女の覚醒こそが俺たちの切り札なだけだ」

「どうして、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトが復活をしているんだよ!!」

「それについては誤解しているようだが、彼女はオリヴィエではないよ。もちろん、お前たちにあれが誰なのかという事は言わないが」

 

 オリヴィエでないという事を聞いて、ヴィータとシグナムは驚き、じゃあ彼女は一体誰なのかと思い始めた。

 お面みたいなのを顔につけているから顔を見ることは出来ず、しかもオリヴィエではないとなると彼女は誰になるのだろうと思ったのだ。

 

「さて、俺たちもそろそろ行くぞ。これ以上囮役をする必要はないからな」

「分かってるよ。シルフィア姉妹の所へだよね?」

「そう簡単に行かせてたまるかぁ!!」

 

 フィルノとアリシアの会話を聞いて、ヴィータはすぐに二人の行動を止めようと動き出す。

 だが、ヴィータの攻撃は全く持って違うところへ向かって行った。

 

「ヴィータ!! 一体何処へ向かっているんだ!?」

「……あれ? 確かにあいつらの方へ向かっていた筈だが?」

 

 ヴィータも自分がどうして変なところへ向かって行ったのかさっぱりわからないようであった。

 一体何があったのかと自分で思っていると、フィルノが答えた。

 

「それは、俺の魔法でちょっと脳を弄っただけさ。自分では俺たちに向かっているように思わせて、本当は誰も居ないところに向かっているようにしたのさ。俺にとって相手の脳を魔法で弄るのは得意なのだが、さすがに俺の魔法で完全に操ることはできないがな」

「だが、相手の認識を操るというのはかなり厄介だな」

「そういう事だ。それでアリシア、準備は出来たのか?」

 

 フィルノがヴィータとシグナムに自分の魔法について少し話すと、転移魔法の準備をしていたアリシアに向けて話す。

 フィルノの言葉によってアリシアが転移魔法の準備をしている事にヴィータとシグナムはやっと気づき、すぐにそれもフィルノがアリシアに意識させないように仕向けたのだろうと思った。

 戦闘的にはあまり強い力ではないが、戦うとなるとかなりめんどくさい相手だと二人は思った。魔法で暗示を掛けられたことに全く気付かないとなると、どう対処していいか分からないからである。

 

「うん、フィルノが時間を稼いでいたおかげで余裕に時間をつかえたから大丈夫だよ」

「そうか。それじゃあ行くぞ」

「あ、おい待て!!」

 

 ヴィータは二人が転移しようとしているのを止めようと動こうとするが、その前にフィルノとアリシアはシルフィア姉妹が居る場所へと移動するのだった。

 たとえヴィータが二人に追いついたところで、またフィルノに認識を操られたりする可能性は高いので、捕まえることは出来ないだろうとシグナムは思った。

 だが、先ほどフィルノが言った言葉を聞く限り、シルフィア姉妹がいる所というところであるからオリヴィエに似ている人物の所へ移動したのだろうと思い、ヴィータに話しかける。

 

「ヴィータ、私たちも向かうぞ」

「分かってる。それにしても、なのはの姿を見せないのは一体なぜなんだ?」

「それは分からない。先ほどからなのはの魔力反応もないから今どうしているのか把握できないからな」

「ちっ、とりあえず二人が向かった先へ行くか」

 

 ヴィータとシグナムの二人はフィルノとアリシアが向かったシルフィア姉妹の方へと向かうのだった。

 

 

----

 

 

「……外に出たのは良いけど、この辺に結界は張っていなかったようね」

 

 洞窟から出たナノハとシルフィア姉妹の三人は外に出てきてそう思い、結界を張ったのだった。

 覚醒以前のなのはの記憶も普通にあるので、さすがにこの姿をこの世界に見らえるのはまずいことだと思ったのだ。

 結界を張ってから少しすると、転移魔法でフィルノとアリシアが近くに現れた。

 

「私の姿を見て、どうやらこっちに来たようね」

「その通りです聖王」

「……別にいつも通りの呼び方でいいよ。確かに今はその恰好だし口調や声も変わってはいるけど、別に記憶や性格は変わりないから。他に変わったと言ったらオリヴィエ様の記憶があるというぐらいだからね」

「……ならよかった。正直今の性格まで変わっていたらどうしようかと思っていたからさ」

 

 ナノハの顔が隠れているから分からないが、この時ナノハはフィルノの言葉で苦笑いをしていた。

 フィルノは最初ナノハの姿と声が少し低くなっている事から考えて性格が変わったのではないかと思ったが、そうではないと分かるとホッとしていた。

 

「さて、そろそろこの世界から出ないとまずそうね。だったら、そろそろ始めましょうか――」

 

 刹那、ナノハを中心とした巨大なベルカ式の魔法陣が現れ、ナノハは持っているティルヴィングを上に向けて構え、右腕を上に上げるのだった――


 
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