No.472120

真恋姫†夢想 弓史に一生 第三章 第十三話 旅芸人の歌姫達(後編)

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。

今回のupも遅くなってしまってすいませんでした…。こんな駄文ですが、心待ちにされている方々にはお詫び申し上げます。


続きを表示

2012-08-18 22:32:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2637   閲覧ユーザー数:2384

~聖side~

 

 

「悪かったな。これは謝罪も込めた君達の歌へのお礼だ。受け取ってくれ。」

 

「は~い♪ ありがとうございま~す。」

 

「「じゃあな(じゃあね)」」

 

「は~い♪ …って!!ちょっと待って!!」

 

「んっ?? 何か??」

 

「渡す金額間違えてない!?」

 

「別に、間違えてないが?」

 

「良いの?? 私達~本当に貰っちゃうよ~?」

 

「あぁ、俺が君達の歌には、それぐらいの価値があると思って払ってるんだ。素直に受け取ってくれ。」

 

「あっ…あの、ありがとうございます。」

 

「ありがとう~お兄さん♪」

 

「いよっ、太っ腹!! これからもよろしくね、お兄さん♪」

 

「あぁ、また機会があったらな。」

 

俺たちは彼女達と分かれて買い物に戻る。

 

「聖、一体何したんだ?」

 

「何って…。お礼として銀一枚を置いていっただけだが?」

 

「銀一枚!!?? …って相場どれくらいだ??」

 

「まぁ、分からんよな…。そうだな~…。今日の買い物全てを後五回行ってもおつりがくる位、日本円だと1万円位かな…。」

 

「そんなに!!!???」

 

「あぁ、それぐらい俺は感動したんだよ。彼女達の歌はそれぐらい価値があるぞ!!」

 

「まぁ、確かに上手かったけど…。そりゃあ、そんな物を貰ったらあの娘達もビックリするわな…。」

 

「大丈夫だぞ、一刀。あれは俺の金だから俺達の旅自体に大きく影響はしないさ。」

 

「なんで、お前はそれだけ金持ってるんだよ…。」

 

「そりゃあ…蓮音様のとこで一年くらい働いてたし、その時の給金を使ってないからだろ…。」

 

「それは誰?」

 

「あぁ、孫堅って言えば分かるか? それとも江東の虎の方が良いか?」

 

「えっ!!? あの孫堅か!?」

 

「多分その孫堅だろ。漢字合ってるし。」

 

「なんで分かるんだよ。」

 

「何となく…な。」

 

「そんな有名人の所で働いてたなら、そりゃあ金も持ってるか…。」

 

「そういうことだ。さて、後は何が欲しいんだ?」

 

「え~っと…。桃まん10個だってさ。」

 

「そりゃ、お土産にって事か?」

 

「多分そうだろうな…。」

 

「はぁ~…。しかも、俺達の分ないぞこれ…。」

 

「えっ!!? でも、あそこに居るのは九人だろ? だったら…。」

 

「奏か芽衣が二つだろうな…。 あいつら甘いの好きだから…。」

 

「武将とは言え女の子ってことね…。」

 

「そういうことだ…。じゃあ、二十個ぐらい買っていくか。」

 

「何でまたそんなに多く?」

 

「恥ずかしくて一個って言ったやつが多分何人か居るだろうから、そいつらの分考えて。後、俺達の分加えたらそんなもんだろ?」

 

「聖は優しいね~…こと女の子には。」

 

「さっきも言っただろ…。 それに、これで機嫌をとらないと本当に危険な気がする…。」

 

「はははっ…。ご愁傷様…。」

 

俺達はこの町で一番の菓子屋の場所を聞き、そこに向かった。

 

 

 

「ちぃ達が先でしょ!!!!」

 

「あぁ? 言いがかりつけんなよ!!」

 

んっ?? なにやら人だかりの中から聞き覚えのある声が…しかも最近…。

 

よく見ると、そこには先ほどの彼女達と警備兵っぽい男達が居た。

 

 

~張三姉妹(張梁)side~

 

 

「なによ!! あんた達が割り込んで入ってきたんじゃないの!!」

 

「そうだ~そうだ~。」

 

「何言ってやがる。お前ら並んでなかったじゃないか。」

 

「ちゃんと並んでいました。でも、あなた達がよく見もしないで入ってきたんじゃない。」

 

「あぁ? そんなこと覚えてねぇな。ひひひっ。」

 

「あぁ!! よく見たらこの人たち、さっきちぃ達がご飯食べてた時の!!」

 

「あぁ、姉さんがぶつかって料理をこぼしちゃった…。」

 

「あれはちゃんと弁償したでしょ!!」

 

「そうだよ~。ちゃんとお金も払ったんだから終わったことでしょ~。」

 

「へんっ、確かにあれは終わったことだが…。」

 

「私達に嫌がらせをしようって事?」

 

「別に~…。へへへっ。ただ、あれで終わりって訳じゃないよな?」

 

「何よ…。ちゃんと謝ったじゃない!!」

 

「あぁ? 謝ってすむと思ってんのか? 謝るんならそれなりのものがあるだろう。(プニュ)」

 

「きゃあ!! ちょっと~なにするのよ!!」

 

「良いものを持ってんだからそれで奉仕すれば許してやるって言ってんだ。」

 

「誰がそんなこと!!」

 

「良いのか? お前ら黄巾賊だろ?」

 

「「「(ビクッ!!!)」」」

 

「その黄色い布がその証…。俺達が上の人たちに言えばどうなるか分かるよな?」

 

「…それだけは…勘弁してください…。」

 

「じゃあ、どうすれば良いか分かるよな?」

 

「ぐっ…。」

 

悔しい…。こんなやつらの言いなりにならないといけないなんて…。

 

何でこんなことに…。

 

田舎で歌を歌っているのが初めは楽しかった…。でも、もっと多くの人に聞いてもらいたくて、村を出て色んな町を旅してきた。

 

初めは聞いてもらえなかったけど、少しずつ聞いてくれる人が増えてきて。そして、私達を支持してくれる人も出てきた。

 

ここまでは順調だったのに…。

 

ある一部の人のせいで私達の夢が崩れるの…??

 

私達はこれから自由になれないの??

 

そんなのやだ…。誰か…誰か助けてよ…。

 

 

「ちょいとそこのお兄さん。そりゃ、飛躍しすぎも良いところじゃないか?」

 

「あんっ? 何だてめぇは?」

 

「俺か? そうだな~…。 正義の味方…って所かな。」

 

「何言ってやがる!! 余計な口出すんじゃねぇ!!」

 

 

先ほどまで私達に突っかかってきていた男は、割り込んできたその若い男に殴りかかった。

 

「「「危ない!!」」」

 

私たちはとっさに声をあげる。

 

しかし、その拳は空を切り、若い男は、私達と男達の間に姿を現した。

 

 

「未来の歌姫達の夢を、こんなところで潰そうって言うのか? 実につまらんな…。」

 

「なんなんだよてめぇは!! 関係ないやつは引っ込んでろ!!」

 

「悪いな…。正義の味方に関係ないことってないんだよ。」

 

「なら、治安維持のためお前を排除する。」

 

男達は腰に挿している剣も抜く。

 

その姿を見て、私達姉妹は体を強張らせた。

 

 

その空気が伝わったのか…。 若い男は、こちらを振り返りながら少し笑ってこう言った。

 

 

「大丈夫。直ぐに終わるから…。」

 

その顔を私達は見たことがあった。

 

先ほど、私達の歌に感動したと言って大金を渡してくれた人だ。

 

しかし、私達にはその人が、後光の指す王子様にしか見えなかった…。

 

 

~一刀side~

 

こんな状況で剣を抜くなんて…。こいつら、警備兵のはずだろ…なんてやつらだ…腐ってやがる!!

 

 

「一刀、居るんだろ?この娘らを頼んだぞ。」

 

「えっ!? 何しろって言うのさ。」

 

「守ってやりゃ良いんだよ。な~に、心配すんな…。お前らには指一本触れさせねぇよ。」

 

そう言って、聖は刀を出現させて腰に付け、重心を低くし、納刀の状態で左手を鞘の部分に、右手を柄の部分に当てながら呼吸を整える。

 

「ねぇあなた、あの人の仲間でしょ? 大丈夫なの、一人で?」

 

「さぁ…。実は俺も、あいつの剣の腕って知らないんだ…。」

 

「えっ!? じゃあやばいんじゃないの!?」

 

「わかんない…。でも、あの構えはきっと…。」

 

そう言った最中、男達は聖に向かって切りかかっていく。

 

「だっはっは!!!何だ、その構えは!! 剣って言うのはな、こうやって構えて振るんだよ!!」

 

「でりゃ~!!!」

 

「おりゃあ~~~!!!!」

 

男達は一斉に聖に突進する。いくらなんでも1対3じゃあ聖に分が悪い…。

 

「聖!!!」

 

そう言葉をかけ終えたか否か…。

 

聖の体は、もとあった位置にはなく、次見たときには男達の背中側に居た。

 

「あっ?? 何しやがったてめぇ?」

 

「何って…。別に移動しただけだろうが…。」

 

「嘘付け!! そんなことが…。」

 

「あぁ、そう言えば…。移動しながらお前達を切りつけたな…。」

 

「何…??」

 

カチンッ!!

 

聖が刀を納刀すると、男達の体が地面に崩れ去った。

 

「安心しろ。殺しちゃあいねぇ…峰打ちだ。」

 

「「「ぐふぅ…。」」」

 

辺りに静寂が流れる。が、次の瞬間、

 

 

 

「「「「わぁぁぁぁあああ~~~~!!!!!」」」」

 

 

この光景を周りで見ていた人たちから歓喜の声が上げる。

 

そんな中、聖は笑顔でこっちに来た。

 

 

「な? 言った通り、お前達に指一本触れさせてないだろ?」

 

「…聖ってあんなに強いのか…??」

 

「あんなの本気のほの字も出してねぇよ!! せいぜい20%が良いところだろ。」

 

「それであの強さって…。お前は化け物かよ…。」

 

「そんなに褒めるなよ一刀、照れるじゃねぇか。」

 

「いやっ、褒めてないし!!寧ろひいてるし…。」

 

「あっ…あの~…。」

 

 

聖と会話をしていると、俺の後ろに隠れていた女の娘達が声をかけてきた。

 

 

~聖side~

 

賊たちを一掃(峰打ちだけど)した後、一刀と話してると彼女達が話しかけてきた。

 

「あっ…あの~…。」

 

「おっ、無事でよかったよ。大丈夫かい?」

 

「おっ…おかげ様でなんともありません。」

 

「助けてくれてありがとう~お兄さん。」

 

「当たり前だろ? あんな理不尽な物言いで君達みたいな可愛くて、美人な未来の歌姫達が穢されるのなんて、見たくないからね。」

 

「「「…。( ///)」」」

 

「流石聖。女の子を口説くのが早いね。」

 

「口説いたつもりはないんだが…。」

 

「じゃあ、天性のジゴロだね…。」

 

「そうなのか…。これから気を付けるか…。」

 

「おいっ、ここを開けろ!! 我等は警備兵のものだ!! ここで争いがあったと聞いてやってきた!!っおい!!ここを開けろ!!」

 

「まずいな…他の警備兵がやってきた。なぁ君達、君達はこのままだと都合が悪いんだよな?」

 

「うっ…うん…。」

 

「じゃあ、俺達と一緒に来ないか?」

 

「えっ!! い…良いの!!?」

 

「どうなるか分からんが、まぁここにいるよりはマシだろう。」

 

「ありがとうございます…。」

 

「よしっ、じゃあ行こう。この町の外れに馬を繋いである。とりあえずそこまで移動だ。」

 

俺達は囲いの中心から逃げていく。

 

その時、周りで見ていた人たちは、警備兵の人たちが通りにくいようにわざとして、俺達が逃げる時間を作ってくれた。

 

良い人たちだとは思うが、最後にこちらにドヤ顔をするのは…要らんかったな(苦笑)

 

 

町の外れまで走って出てきたところで、後ろを振り返ってみたが、追っ手らしきものは来ていない。どうやら撒いたようだ。

 

彼女達は走ったことで息が乱れている。

 

…まぁ、追っ手が来てないのなら急ぐ必要はない。まずはその息が整うのを待つことにしよう。

 

そう決めて、俺は乗ってきた馬達に荷物を括り、帰りの準備をした。

 

 

「お兄さん♪」

 

「息は整ったかい?」

 

「うん。何から何までありがと~ね♪」

 

「でも良いの? あんた達もしかしたら、ちぃ達のせいでお尋ね者になっちゃったかも知れないわよ。」

 

「まぁ多分と言うか、ほぼ確定的にお尋ね者だろうな…。」

 

「警備兵やっちゃえばね。」

 

「ごめんなさい、私たちのせいで…。」

 

ぺしっ!!ぺしっ!!ぺしっ!!ドシッ!!

 

「痛っ!!(あぅ!!)『痛った~い!!』」

 

「ごふっ!!」

 

「だから言ったろ。 俺は可愛くて、将来有望な君達のような未来の歌姫が、穢されるのが嫌で助けたんだ。だからこれは俺の責任。寧ろ、君達を巻き込んですまなかったって思ってるぐらいだ。」

 

「「「お兄さん…。( ///)」」」

 

三人はおでこを抑えながら俺の話を聞いている。

 

なんだか、その光景がシュールで笑えた。でも、三人ともおでこをそんなに抑えるほど強くでこピン打ったかな…??

 

でも、顔赤いしやっぱり強かったか?? 今後は調整するか…。

 

 

「聖…。何で俺は、お前にでこピンされてんだ? しかも結構強く…。」

 

「そこにでこがあったから!!」

 

「どこぞやの山岳家みたいなこと言ってごまかすな!!」

 

「いや~だって女の子に全力は駄目じゃん♪」

 

「だからって俺にするな!!」

 

「あの~お兄さん?」

 

「うんっ??どうした?」

 

「あのね、お兄さんの名前を聞いても良いかな~って…。」

 

「あぁ、そう言えば名乗ってなかったっけ? 俺は徳種聖。 一応、天の御使いってことになってる。呼びたいように呼んでくれて構わないよ。っで、こいつが俺の仲間の…。」

 

「俺は北郷一刀。聖たちの仲間の一人だよ。」

 

 

そう名乗ると、三人は驚いた顔をして俺に聞いてくる。

 

 

「えぇ~!!! 天の御使いって…。あの管輅の予言の…??」

 

「う~ん、まぁ多分、その天の御使いだと思うよ。」

 

「じゃあ、流星に乗ってこの世界にやってきたの!? すっご~い!?」

 

「なるほど。天界の人間だからあれだけ強いのね…。」

 

天界の人間だからって言うこと以外にもあるけど…まぁ、それはおいおい話すこととして。

 

「さて、そろそろ行こうか。もしかしたら追っ手が来るかもしれないし…。」

 

「はい…。「「は~い♪」」」

 

「でも聖。どうやって三人を乗せるんだ?」

 

「一刀が馬の扱いに上手くなったからな。お前はこっちの馬で、誰か一人乗っけてやってくれ。俺は陽華で残りの二人を乗っける。 陽華なら三人運べるし、三人乗ると馬の扱いになれてる俺の方が適任だろうからな。」

 

「「「っ!!!」」」

 

「ちいちゃん、れんほーちゃん。お姉ちゃん馬に乗るの下手だから聖さんの馬に乗っていくね♪」

 

「ちょっと姉さん!! そんなのちぃだって同じよ!!」

 

「私達は誰もまともに馬なんて乗ったことないじゃない。」

 

「でも~ほらっ、やっぱり長女としてより安全に…。」

 

「そんなの理由になるわけないじゃん。(ないじゃない。)」

 

「…なぁ、一刀。何で言い争いしてるんだ?」

 

「さぁ…。分からないなら良いんじゃないか…。」

 

「そういうもんか…。」

 

 

聖たちをよそに、三人の良い争いはまだまだ続くのだった。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
6
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択