No.471733 超次元ゲイムネプテューヌmk2+ BlackFateその222012-08-18 00:50:37 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:995 閲覧ユーザー数:917 |
~PM00:19 プラネテューヌ教会 謁見の間~
「……ふう。」
既に明るい教会内。イストワールは一つ作業を終え、溜息を付いた。
先ほど(4、5時間ほど前)、ユニ達が女神を連れ戻ってきた。
ジャッジ・ザ・ハードとブレイブ・ザ・ハードの撃破。女神達の救出。
それに対する代価は日本一の戦闘不能のみ。これは作戦としては大成功と言っていいものだった。
救出された女神達はイストワールによって各国に送られ、それと共にユニもプラネテューヌを去った。
こうして、ゲイムギョウ界は女神を取り戻し、ひと時の平和が戻ったかに見えた。
……だが、その前に行方不明になったブランの行方も知れず。ルウィーにて負傷したアイエフの容体も芳しくない様子。
それに、二体撃破したとはいえ未だ知将トリック・ザ・ハードと大将マジック・ザ・ハードは倒していない。油断は、出来ない状況だった。
「……それで。」
ふと、イストワールが声をかけた。
それは背後にある人蔭に向けたものだった。
「いつまでいるのですか?」
「野暮用。」
その人影とは、フロムだった。
全員が帰って行った後、何故かフロムは残っていたようだ。
イストワールも面倒臭そうな顔をしている。
「……」
「ちょいと繋いでほしい通信回線あんだよ。」
そういいフロムは一枚の紙をイストワールに手渡した。この書いてある場所につなげろと言いたいのだろう。
何でこんなことをと思いつつもしぶしぶ回線を繋げた。
『現在この回線は使われていないと思います。御用の方は24時間ぐらい後に』
「1111037564」
『あーその声はフロム君かな?教会からとは珍しいねぇ。』
【SOUND ONLY】と書かれた画面から聞こえた声はイストワールにも聞き覚えのある少女の声。こんなんばっかか、とイストワールはため息を吐いていた。
「依頼終わったぞ糞青緑」
『糞と緑は余計だよフロム君?』
「じゃあ依頼終わったぞ青」
『お疲れー。』
「軽っ。……って、この声…5pb.さんですか?」
『あーこの声はプラネテューヌの教祖さんかな?よくいわれるんだよねー。ほら、ネットとかにも5pb.の歌を歌ってみたタグで上げて野生の本人とか言われるんだよー。』
「うざっ。って何やってるンだよお前」
『だって暇なんだよ!?ニート生活最高!』
「どっちかにしろ!!!」
突然始まったフロムと通信の先の人にイストワールもドン引き。
何がしたいのか既にわからなくなっていた。
「それで、依頼は終わらせたぞ。」
『お疲れ様―フロム君。とりあえずかえっていいよー。』
「ちゃんと金払えよ?!」
『大丈夫だよーバイトで金は稼いでるからニートしてても有り余るし。』
「知らんわ!もう切るぞ!」
『後でサンドロット君貸してー』
「断る!もう切れイストワール!」
「あ、はい。」
イストワールが強制的に回線を切断し、画面が閉じられる。
フロムもかなり不機嫌な顔になっており、何故わざわざやったのか気になっていた。
「あいつが私に女神サン達に協力しろっつった依頼人だよ…互いにスポンサーしてんだけどね……何よりキャラがウザい。」
と思っていたイストワールだがフロムが自分から話し出した。割と愚痴りたい年頃なのかもしれない。
用も終わったのか「じゃ、帰る」と言い残してフロムも教会を去って行った。
結局何でイストワールにやらせたのかわかることはなかった。
「……はぁ。今日は本当に忙しいですね。色々。」
「全くだ。」
「!?」
イストワールの独り言に横から返答が帰ってきた。
驚いて横を向くと、平然とマジックが立っていた。多少姿が違う…というより装甲が無く、普通の服…女神の人間形態のような姿だった。
「……言いたいことは山ほどありますが一つずつ言いましょう。」
「いいぞ。」
「何ですかその姿。」
「我が長時間現界するための身体だよ。名は……そうだな、サーダナと名乗っておこうかな?」
「嫌味ですか?」
「なんのことやら。」
マジックの顔には笑みが浮かんでいるがイストワールの表情は不機嫌そのもの。
そのさまはがすとと日本一の関係と似たようにも見えた。
「それでサーダナさん?何の用ですか?」
「再三に渡る勧誘だよ。」
「あなたもしつこいですね…。」
「リーラハートの頼みは効けないって?」
「聞く気もありません。」
頑なに断り続けるイストワールを見てマジックもため息を付いた。
それに対し「溜息を付きたいのはわたしのほうですからね」とイストワールはジト目でにらんでいた。
「では、我も忙しいでな。これで失敬させてもらうか…。」
「二度と来ないでほしいですけどね。」
イストワールは露骨にマジックを視界から外し、作業を始めた。
その様子を見て苦笑しながら歩き出したマジック。ふと思い出したように「そうそう」と言いながらイストワールに振りむき、一言言い放った。
「次代の女神、ネプギアと言ったか。あいつには我に近い素質がある。何ならあいつも勧誘させてもらうよ。」
「ッ…!?」
イストワールがハッと振り向いたが、既にマジックは姿を消していた。
【ネプギアが、マジックに近い素質がある。】
その言葉が何度も頭の中を反響する。ネプギアが、【彼女】の二の舞になってしまうのかと。そう思い始めて手が一切うごかなくなってしまった。
~プラネタワー 最上階~
「………。」
日差しが強く差すプラネタワーの最上階。
そこにネプギアは仰向けに倒れていた。
「……………」
ネプギアはギョウカイ墓場で起こったこと、したことを殆ど覚えていなかった。
微かに覚えているのは何かに対して怒り、そして暴れていたことだけ。
姉達を助けに向かったはずなのに、何故そんなことしか記憶にないのか。
ネプギアが感じていたのが疑問と自己嫌悪。自分は二度…いや、三度も足を引っ張ったのか、と考えていた。
最優の女神候補生と言われて悪い気はしていなかった。寧ろ結構嬉しいと思ってはいた。
しかし決して驕ったりせず、姉のサポートや女神としての修業に励んでいた。
……それでは、足りなかった。
姉の親友も守れず、純粋に力が無ければ意味がないと悟った。
そして、力を求めた。だが望む力、純粋な力すらネプギアには得られなかった。
……自分には、何がないんだろう。いや、そもそも自分には何が残っているのだろう。
そう、ネプギアは考え始めていた。
「何を悩んでいる。
上から声がかかった。何やら聞き覚えのある声だった。
ぼんやりとしながらも起き上がると、ネプギアより少し大きいぐらいの少女がいた。
紫と赤を主体にした不思議な色合いと右目にかかる眼帯が、何故か既視感を誘っていた。
「あなたは……?」
「我か?我は……。そうだな、かつて女神だったモノだ。」
「女神、だった……?」
「そうだ。リーラハート…とは聞いたことはないだろうな。イストワールの奴にでも聞くと良い。」
「リーラハート、さん…?」
「今はしがない一市民をしているがな。」
リーラハートと名乗る少女は妙に威厳があり、ネプギアも自然とリーラハートの話をじっと聞いていた。
「さて、少しきさ…君に話があってな…。シェアクリスタルというものがあるだろう?アレが何か。そして何を意味するか。知っているか?」
「シェアクリスタル……?シェアを固形化したもので、女神の緊急治療に使われる…。」
「使用法としては確かにそれもある。我ら女神にも、知られない一つの秘密がある。何故我らがシェアによって存在し、シェアによって傷を癒せるか。わかるか?」
「……?えっと…。」
ネプギアは首を傾げた。
言われてみれば考えたことはない。ただシェアは女神にとってとても重要であり、女神が存在するために必要、とだけ。
そうイストワールに教えられ、今まで疑問を抱くことすらなかった。
その疑問の答えを目の前の少女は知っているのか。ネプギアは急激に興味を持ち始めていた。
「答えは簡単さ。【我らはシェアクリスタルから生まれた】からな。」
「シェア、くりすたるから……?」
「そうだ。我らはシェアクリスタルを媒介に生を受ける。信仰、アイドル。何やらの偶像としてな。」
「じゃ、じゃあ!私達がシェアクリスタルを使ったとしたら…!」
「次の女神の命を一つ潰したことになる。まぁ元来一国に守護女神は一人だ。あそうぽんぽんと湧いてもらってはあちらも困るのだろう。故に緊急時にのみ生成される。」
「な、なら……」
「何故そんな生命体なのかと?管理出来る神の生成のためだよ。」
「管理できる、神……?」
「各国の初代女神以外は全てシェアクリスタル製だ。人間に比べてあまりにも強大な女神の力を人間は崇めると同時に畏れた。故に管理できる存在にしようと仕立て上げたわけだ。初代女神に生み出されたイストワールは、【国を護れ】と言われたらしいがそれを人間的に解釈しているようだがな。」
「じゃあ、私は…わたし達は…?」
「我ら守護女神は、道具だよ。民衆を束、国を維持するためのな。」
リーラハートの言葉に、ネプギアは目を見開いた。
守護女神は信仰を得る為の道具。
思えば、イストワールの言葉にも気になるところはあった。【どちらかが死んでも片方いれば国は成り立つ】と。
それはつまり、女神を使い捨てにする覚悟がある、ということで…やはり、女神とは使い捨ての道具なのか。と、ネプギアは頭の中をいっぱいにしていた。
「そんな・・・いーすんさんは、わたしたちを……?」
「使い捨てにするだろうな。我もそれを知って女神を捨てた身だ。」
「お姉ちゃんや…ユニちゃんや…みんなは…」
「知らぬだろう。知る由もない。誰も、自らが道具などとはな。」
「……」
「何故君にこれを話したかわかるか?君には他の女神にはない素質があるからだ。女神とは神だ。神は民衆を束、統治しなければならない。お飾りの偶像なぞは願い下げだろう?ならば貴様が支配すればいい。女神は人間より強い。それを見せつけなければならない。わかるな?」
「……はい…。」
「それでいい…。私が話すべきことは終わりだ。後は貴様が考えろ。」
「………」
ネプギアは俯き、ぴくりとも動こうとはしない。
その様子を見たリーラハートは満足げに微笑むと、「ではな。」と言い残して姿を消し、風が吹くプラネタワー屋上にはネプギア一人が残された。
「女神が……道具……」
自分に言い聞かせ、覚えるかのように。ネプギアは呟いた。
信じたくはなかった。しかし、知ってしまった。否定できなかった。
しかしその事実を、認めなければならないと。ネプギアの頭は言っていた。
「いーすんさん……わたしたちは……」
一歩一歩を踏みしめるように、ネプギアは歩き出した
真実を確かめ、自分の道を決めなければならないと誓って。
~Act1 END~
~キャラ紹改~
ネプギア:L5発症寸前。鋼鉄メンタルって何だっけ。ちなみにジャッジ戦でやってたMPBL-ビームサイズは結構な荒業。精密な出力操作が必要らしい。暴走しててもそんな芸当ができるあたりやっぱりネプギア。
リーラハート:一体何者なんだ……
サーダナ:決して某ACに出てくる変態数学者ではない。なお名前は土星(サターン)から。サターン→サータン→サータナ→サーダナ……うん、無理がある。
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久々の本編+一区切りのAct1終了。
……あれ、この小説主人公って誰だったっけ