風月荘の一室にて…
「作戦終了したが、お前達の無断出撃等については学園に帰ったら、学園の特別メニューと反省文を提出してもらうぞ」
戦士達の帰還は冷たかった。
すると、真耶は励ますように言った。
「で、でも今回の作戦が完了した事から特別に明日、海での自由時間がありますよ」
真耶がそう言うと、千冬は言った。
「所で山田君、何故BSAAに連絡した?今回の件について委員会は極秘でやれと命じた筈だ」
真耶がそれに答えようとすると、外から誰かが答えた。
「いや、あれは真耶の英断だ。安全な所で指示だけをしていた貴様に言われたくないな」
そう言って、現れたのはラウだった。
「ラウ兄!!」
「兄さん、アメリカに現れたゴーレムは?」
ジンヤがそう言うと、ラウは少し言いづらそうに言った。
「実はミスター・フリーズやベインが手を貸してくれたんだ。お前を倒すのは俺だって言ってな…」
ラウは一旦、そう言うと、千冬を睨み付けて言った。
ラウに睨み付けられた千冬はビクッとした。
「委員会のくだらないメンツの為に子供達を危険に晒すなんてどういう神経しているんだ。貴様は…」
「そ、それはアイツ等は代表候補生だから今回の件は大丈夫だと……」
「ふざけるな!!」
ついにラウはキレた。
千冬の首元を掴んで言った。
「代表候補生だろうが国家代表だろうがまだ15歳の子供だろっ!その子供達を危険に晒すなんて、貴様は一体どんな神経をしているんだ!!」
それにな…と言うと、ラウは続けて言った。
「相手が権力者だろうが格闘家なんだろうがぶん殴って、生徒を守るのが教師だろ!!教員免許持っていないから関係ないと言うのか!!」
その言葉に全員が固まった。
「ら、ラウさん、それは…どういう事ですか……」
鈴がフリーズしかけながらラウに聞いた。
「コイツは国家代表を辞退した後、政府からIS学園のインストラクターを頼まれ、そして1年前、政府から特例としてIS学園教師になった…なお、その間に教職課程を修めていない…つまり、政府からはやって良いと言われてるが、実質的には無免許だ」
「え、偉そうに言ってますが、ラウさんはどうなんですか!?」
千冬は苦し紛れにそう言うと、ラウは黒いロングコートの懐から教員免許を取り出した。
「BSAAが解散した時、オレは教師になりたいんだ…オレみたいな奴でもオレが教えたい事が有るからな…」
「ラウ兄、いつ免許を…てか、確かラウ兄は中学を中退したんじゃ…」
一夏がそう言うと、ラウは昔を思い出すように言った。
「ああ、BSAAがまだ結成された時、オレは勿論、初期メンバーだったんだが、中学を中退したからちゃんと学校行っておきなさいと製薬企業連盟の役員に言われてな…飛び級で高校や大学を卒業したんだ…って言わせるなよ!」
ラウは顔を赤くして言うと、誤魔化すように叫んだ。
「取り合えず解散!あ、ちょっと待て!!」
「?なんですか、いきなり…」
「解散と言いながら、いきなり待てとは…」
セシリアとラウラはそう言うと、ラウは真剣な表情で言った。
「早く助けに行くことが出来なくて、すまなかった」
そう言うと、ラウは頭を下げた。
「そして、帰ってきてありがとな…」
そう言った後、ラウは言った。
「後、篠ノ之箒さん、織斑千冬さんと大切な話があるから残れ」
それを聞いた箒は怪訝そうな顔をした。
そして、ジンヤ達が部屋から去ると、ラウは箒に言った。
「篠ノ之箒、お前は自分が何やったのか、分かっているのか?」
「な、なんのことですか…」
「惚けるな!お前がやった事は国際問題だぞ!!」
ラウが言った言葉に箒は動揺する。
「な、なんでそうなるんですか!?」
「ジャンボットやジャンナインのデータを見せて貰った。お前が暴走した銀の福音やゴーレムと共にジンヤ、一夏、鈴を攻撃した事やジンヤを刺した事もな…つまり、お前はアメリカ、中国、BSAAに宣戦布告したと言う事だ!!」
その言葉に箒の顔が青くなった。
そこに千冬が言った。
「ですが、IS学園特記事項21条には…」
「ああ、それはオレだって知っている。だがアメリカ、中国、BSAAが委員会に申請すれば特記事項は無効となる…」
その言葉に箒は更に顔が青くなった。
「それに人を刺した事を後悔していない殺人未遂犯をほっておくのか?」
すると、ラウは自分の愛銃、コルトS・A・Aを回しながら取り出した。
そして、コルトS・A・Aの銃口を箒に突き付けた。
「ひっ………!」
箒は腰を抜かし、銃口から逃れようとした。
「犯罪者がどうなってもいいと言いながら、自分の命になると臆病になる…人として当然と分かっていても、ムカつくな」
「なら、貴方はどうなんですか!貴方だって、テロリストやB.O.W.を殺したりしているじゃないですか!!」
箒は腰を抜かしながらそう言うと、ラウは皮肉な笑みを浮かべて言った。
「ああ、そうだな…だかな、オレは決して人殺しは決して正当化した事は無い。いや、それ以前に人殺しが正当化される時代は絶対来ない。それに戦場を知っているから言えるんだ、命の重さをな………」
そう言うと、ラウはコルトS・A・Aを回しながら、懐に仕舞った。
「今回の件はジンヤが内緒にしろ言われたから、特別に内緒にするが次やったら只じゃ済まねえぞ…分かったら、さっさと去れ!!」
「ひいっ!」
ラウがそう叫ぶと、箒は脱兎の如く、部屋から去った。
それを見た、ラウはため息をついて言った。
「あんな考えのバカが居るとはな…お前はどういう教育しているんだよ」
「そ、それは篠ノ之が勝手に考えた事です」
「ふざけた事を抜かすな、アイツの間違えた考えを直すのが教育だろが…」
そう言うと、ラウは千冬を睨み付けて言った。
「お前は本当に人の夢を奪うのが好きなようだな…今回の事といい、モンド・グロッソで一夏を見捨て、学年別トーナメントでは教え子の危機に動こうとしない…」
「違います!アレは…」
千冬が否定しようとすると、ラウは右肩を触れて言った。
「…あの時、オレの本当の夢を奪った上に束を殺そうとした貴様が言える台詞か?」
「!」
その言葉に千冬は言葉を失った。
「また、子供達を危険に晒す様な真似をしたら許さねえぞ…」
そう言うと、ラウは部屋から去った。
千冬は何も言えなかった。
部屋から出たラウは自分を皮肉るように言った。
「情けねえな…オレ、アレは済んだことなのによ…」
一方、ジンヤは海に居た。
手には近くの花屋で買った白ゆりがあった。
すると、ジンヤは白ゆりを海に投げて、呟いた。
「ごめんな…キミ達の事を忘れてて……もう僕はキミ達の事を忘れない……」
そう言うと、ジンヤはその場を去った。
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作戦終了。
そして、その後…