~第10話 †旅行記4†
子義嬢と別れた俺は商団の護衛をしながら洛陽へ向かう事にした
一気に洛陽に向かう商団がいるわけもなく
邑から邑、邑から町、町から都市へと移動するわけだが
北海から南の下邳(かひ)へと移動して、それから西の沛国(はいこく)へと移動した
ここで俺はまさかあの英雄の出身地は知らずに滞在してしまった
問題なく、今回も護衛を完了
向こうは安全でにっこり、俺はお金でにっこり
うむ、良き事かな良き事かな
上機嫌で俺は飯を食べる所を探す
手ごろそうな屋台を発見・・・ラーメンでも食べるか
たまに思うのがこの時代にラーメンとかあったのか?
気にしたら負けなんだろうな、色々とおかしい世界だしな
上機嫌で俺はラーメンを食べていたんだが
「誰かたすけてえええええええええ」
なんだなんだ?絹を裂くような美女の声が?!
ラーメンを急いで食べて御代をおいて、聞こえた場所に向かうと
腕に黄色の布を巻いた若者が、一人の女を羽交い絞めにして刃物を向けている
「ち、近寄るんじゃねぇ!近寄るとこいつぶっこおすぞ!」
「いやいや・・・誰か助けて!」
「うっせぇだまってろ!」
「きゃぁ?!」
大方、金が無くなって物取りしたけど~ってやつか・・・
しかし、女性だからって皆が皆強いわけではないんだな
とりあえずどうやって助け出すかねー
そんなことを思ってると、一人の女の子が前に出て行った
「私の土地でよくもまぁこんな狼藉を働けるわね万死に値するわ」
金髪でくるくるドリルのゴスロリ服装の可愛い幼女がそんなことを言っている
その後ろに続いて二人の女の子が「華琳(かりん)様流石です!」とか目を輝かせて言ってる
片方は黒髪の艶やかな元気そうな子
もう一人は水色っぽい髪の色で大人しい感じの子だ
二人とも美人になりそうだなとか感想を抱いてると
「うるせぇ!ガキはひっこんでいやがれ!」
羽交い絞めにしてた子を突き飛ばして、金髪の子に襲い掛かる暴漢
「引っ込むのはおまえだよ」
暴漢と金髪の子の間に入り、顎にアッパーを一撃入れて昏倒させる
まぁ俺が手を出さなくても、金髪の子の取り巻きの二人がなんとかしそうみたいだったが
「余計な真似をしてくれるのね、貴方は」
うん、俺もそう思うよと心で思っておこう
俺は苦笑いをしながら、金髪の子に振り向いた
「余計なお世話だと思ったけど、つい手がでちゃったもんでね
気分を害したなら謝るよ」
「そうだそうだ!華琳様に謝れ貴様!」
黒髪の子がぎゃーぎゃーと言ってくる、俺そんなに悪い事したのか?
「春蘭(しゅんらん)落ち着きなさい」
「姉者落ち着くんだ」
「華琳さまぁ・・・秋蘭(しゅうらん)まで・・・」
真名だから実際は呼ばないけど金髪の子が華琳
黒髪の子が春蘭、水色髪の子が秋蘭ね
私の土地とか言ってたし、地元の名士辺りだろうな
機嫌を損ねる前に・・・逃げるか
「自分は気にしてないので大丈夫です、用があるのでこれで・・・」
「待ちなさい貴方」
ちぃっ!そうは問屋が卸さないってやつか
「自分に何か?」
「貴方男にしては強そうね・・・そこの春蘭じゃなくて
夏侯惇(かこうとん)戦ってもらえないかしら?」
「華琳様!?」
「春蘭、これも鍛錬よやりなさい」
「はっ!華琳様の為に必ずや勝利を!」
「良い子ね春蘭は・・・」
いやいやいやいや、これがあの夏侯惇(かこうとん)元譲(げんじょう)だと
ってことは・・・信じたくはないが・・・
「盛り上がってる所に悪いが、戦う事はいいんだ
一応礼儀としてだ、名前を教えて欲しいんだが?
先に名乗らせてもらうが俺の名は白(はく)姓も字もない」
「へぇ・・・?姓も字も無いのに強いのね貴方
世界はまだまだ私が知らない事がたくさんで面白いわね」
くすくすと獰猛な笑みを浮かべる少女
そして笑みを消すと同時に少女からあふれ出す覇気
「名乗っておいてこちらが言わないのも礼儀に反するわね
私の名前は曹操(そうそう) 字は孟徳(もうとく)よ」
予感的中か・・・
しかし、この覇気は孫堅(そんけん)級じゃないか背筋がぞくぞくするわ
「そして、こっちの黒髪の子が夏侯惇(かこうとん) 字が元譲(げんじょう)
もう一人の水色髪の子が妹の夏侯淵(かこうえん) 字が妙才(みょうさい)ね」
「ふん!夏侯惇だ」
「妹の夏侯淵です」
やっぱりかー・・・女性になってるとは予想したが
びっくりするもんはびっくりするわ
「それじゃ手合わせ御願いしようか、夏侯惇殿」
「所詮は男、私の敵じゃないことを華琳様に見せ付けてくれる!」
鼻息が荒いなぁ・・・
俺の知ってる歴史だとここまでイノシシっぽくないんだが
「それじゃこっちよ」
曹操に連れられ、修練場みたいな広場に着いた
「ここなら、存分に暴れていいわ
春蘭遠慮なく戦いなさい」
「はい!華琳様!
いくぞ貴様ぁ!!」
「はいはい、やらせてもらいますよ」
尻尾でもついてたらブンブン振ってそうだなーと思いつつ
俺は徒手で構える
「武器を持たないとは私を侮辱する気か!」
「徒手のが本気なのだが、しょうがないな」
何か怒られたので俺はその辺の鍛冶屋で買った安物の両刃の剣で蜻蛉の構えをする
蜻蛉の構えは左足を前に出し、剣を持った右手を耳の辺りまで上げて
左手を軽く添えるという八相に似た構えである
俺が示現流を使う時は相手の力量を量る場合だ
「いっておくが、俺がこの構えをやるからには一切の手加減はできない
怪我しないように上手く避けろよ?」
「所詮構えだけの見かけ倒しだ!」
「ならば受けよ、我が渾身の一撃を・・・・
ちぇえええすとおおおおおおおおお!」
掛け声と共に俺は剣を振り下ろす
「なっ!?」
夏侯惇は咄嗟に半身横に移動して手に持つ大剣で受け止めるが
ばきぃぃぃぃぃん!
甲高い金属の音が周りに響く
「やっぱ折れたか、安物じゃ使い物ならんな」
俺の剣は真ん中辺りから綺麗に折れていた
折れた先の方は遠くの地面に刺さっている
そして肝心の夏侯惇の剣も・・・
「そんな・・・華琳様からもらった剣がヒビが入っただと・・・」
自分の剣を見つめ呆然としてる夏侯惇
「さて、曹操殿・・・俺は徒手でも戦えるが
夏侯惇殿は戦意喪失の様だがまだやるかい?」
「い、いえ貴方の勝ちよ
(まさか春蘭に勝つなんてね、剣速が私には見えなかったわ)」
「華琳様・・・申し訳ありません」
「いいのよ春蘭、世の中にはまだまだ上が居るという事が分かったのよ
これを機会にさらに精進するように」
「は・・・華琳様の剣として相応しくなる為に一層精進します!」
何かとりあえず問題にならずにすませたが・・・
夏侯淵の視線が痛いな、大人しいがあの氷の様な目は
視線だけで人が殺せそうだな
大事な姉が負けて、ご立腹という感じか
こっちも相手してやらんと後が怖いぜ
「それじゃ次は・・・夏侯淵殿弓で勝負しますか?」
「なに?」
ますます視線がするどくなったぞ?!
「貴方、弓も使えるの?!」
そして曹操殿まで食いついてきたぞ
「武芸一般は一通りいけるつもりだ
その中で得意なのが徒手ってだけだ」
「いいわ、貴方ますます面白い人物ね!
秋蘭!相手してあげなさい!」
「はっ・・・華琳様の命令とあらば」
なるほど、氷のような冷静さの中でマグマの様な熱い意思を持つか
この若さでこれなら将来が怖すぎるな
「弓だから遠当てで勝負をしよう、矢は20本ずつ
距離は100m以上からならどこからでも撃っていい事
撃ち方も2本でも3本でも好きに
多く的に当ててた方の勝ちにしよう」
「こちらもそれで構わない」
「それじゃ夏侯淵殿からどうぞ」
そして弓を構える夏侯淵・・・
ふむ子義嬢と同じで無意識で目と指・腕に気が巡ってるな
姿勢も綺麗なもんだ教科書通りって感じだな
んで、20本とも綺麗に的に当てるんですね
子義嬢といい夏侯淵といい化物ばっかだな英雄の名を持つ子達は・・・
「ふぅ・・・こんなもんか」
150m付近から撃って全部命中
さて、俺はどうすっかな
「流石は秋蘭ね惚れ惚れするわ」
「勿体無きお言葉です華琳様」
「流石は私の自慢の妹だ!」
「ふふっ姉者も言いすぎだ」
ほぉこんな可愛らしい笑顔もできるんだなぁ
と見てると
「こほん、次は貴殿の番だ」
照れ隠しをするではないか、ギャップ萌えだな!
それはおいといてと
「それじゃ俺は・・・こっからやるか」
「貴方・・・秋蘭を馬鹿にする・・・・」
「貴様!秋蘭を・・・」
「なんだと・・・?」
子義嬢の鍛錬ついでに俺も鍛えたので300m位からでも
動かない的なら余裕で当てれるようになってた
動いてても当てれる自信はあるけども
何か3人とも言いかけてるが上には上がいるもんだぜ?
ついでに横に動いたりと曲撃ちしながら撃ってる
こっちのがちょっとした鍛錬にもなるしな
「ふぅ・・・こんなもんだ」
ちゃんと20本全部命中
「あ、ありえないわ・・・」
「秋蘭よりも弓の腕が上なんて信じられん・・・」
「くっ・・・まだ鍛錬が足らないと言うのか・・・」
呆然と見ている曹操
唖然としている夏候惇
唇を噛み悔しげな夏侯淵
「そういうことだ、まだ大陸には俺より強いやつはいるだろう
世の中はまだまだ広いってことだ
これで満足したろ?それじゃ俺はいくぜ?」
さて、立ち直る前に今度こそ俺はにげ・・・
「待ちなさい!」
させてもらえませんでした
「えーっと・・・曹操殿何か?
というかその鎌どっから出したんですか、首におかないでもらえます?」
俺でさえ気づかない速度で鎌がクビにおかれてます
怖いです、きっとドSなんだろうねこの曹操様は・・・
「ふふふ・・・本当に世の中って面白いわね
貴方が気に入ったわ、私のものになりなさい」
「なっ華琳さま!?」
「だまりなさい」
「は、はい・・・」
いかんな人物コレクターの心を刺激しすぎたか・・・
しかし俺にはやることがあるんだ!
「無理です、ごめんなさい」
「あら?何故かしら?」
即答されると思ってなかったのだろうか
曹操の笑みの頬がひくひくと動いてる
「俺にはやるべき事があるので、それが終わるまでは
誰にも仕えるつもりはありませんから」
「そうなの?それが終われば、私の元にきてくれるのかしら?」
「どうでしょうね、まずはやるべきことを終わらせる事で頭がいっぱいなので」
「私は欲しいと思ったモノは必ず手に入れる主義なのよ」
ふふふとまた覇気を出しながら獰猛な笑みを浮かべる曹操
「はぁ・・・それじゃ分かりました
1ヶ月の間だけ、そちら二人を鍛錬しましょう
もちろんその間の給金は支払ってもらいますが」
別に鎌がクビにめり込み始めたから怖くて妥協したわけではない
お金があれば後々楽になるからだ!
後はこの辺の商人達とも仲良くなっておいて損はないはずだ
あの曹操の土地だからな
「いいわ、今回はそれで我慢しましょう
春蘭!秋蘭!えーっと・・・白から色々この機会に学んで精進しなさい」
「「はっ!分かりました!」」
「それじゃ契約成立ね、とりあえず屋敷へ戻りましょうこっちよ」
「さっきは不覚を取ったが、次はそうはいかんからな!
その・・・よろしく頼む」
「素直じゃない姉者は可愛いなぁ・・・
こちらからもよろしく頼む白殿」
「少しの間だがよろしく頼むよ二人とも」
まさかの乱世の奸雄との出会い、その最も信頼される二人の英雄との出会い
これが俺にどんな結果をもたらすのか・・・
濃厚な1ヶ月になることは間違いないだろうなと期待は膨らむばかりである
~あとがきっぽいもの~
自分なりに多少地域や出身地を調べた結果・・・
この方々を出す事になりました!
原作キャラとはなるべく一回は絡ませようと思いますが
その時期や順番は特に決めてないですし、絡まないキャラもいたりするかも・・・
そうなると本当に原作に追いつくのはいつになるのやら・・・
そんな駄文ですが、気長にお付き合い下さいm(_ _)m
何か気になることがあればコメントをお願いします!
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この作品はオリジナル主人公を軸とした外史です
オリ主・チート・ご都合主義が苦手と言う方はごめんなさい
さらに駄文でも大丈夫と言う方は
よろしければ読んでいって下さいm(_ _)m
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