No.468322

ISジャーナリスト戦記 CHAPTER16 恋愛定義

紅雷さん

一夏「俺との恋愛はルナティックだぜ!」

2012-08-10 20:30:58 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:8028   閲覧ユーザー数:7111

 

 

 

 特に戦闘とか派手に暴れることなんてなかった樹海内の研究所探索から約一週間後。永琳の下で保護した少女らを診察・検査し異常が特になかったことを確認した俺は経過報告として実家に電話をかけ、妹の霊夢に家族として二人を迎え入れる準備が整ったと連絡を入れていた。

 

『やったね、妹が増えるわよ兄さんっ!』

 

「おいやめんか、縁起でもない。あと、年齢的に娘だろうがどう考えたって。確かに年が離れた妹としても成立するがなんかマズイ気がする」

 

 つまりは里親みたいなものですね、わかります。じっくり話し込んで父と母に育児の許可をもらえてホッとしたのも束の間、仕事の合間に戸籍を作ったりと大忙しだったんだぞ妹よ。

誰かが代わってくれるなら代わって欲しいものだが自分から関わった責任だかんな。途中で他人に任せて放棄するなんてとんでもない。無責任な男に見られたくないからね、最後までやり遂げてミッションコンプリートという形に落ち着くまでめげずにやっちゃうぞー。がおー

 

『ところで名前とかはもう決めたの? 写真を見せてもらったけど流石に日本人みたいな普通の名前を付けるとしたら無理があると思うわ。そこら辺はどうするの』

 

「ご指摘はごもっともだ、多分言われるだろうと思ったし俺個人としても下手に難しい名前をつけたりしていらん騒ぎを起こされるのはゴメンだからな。心配しなくても無難な名前は考えてある」

 

『へー……なら、ネーミングセンスが良いかどうか診断してしんぜよう。申してみー』

 

「何で古風な口調なんだよ。まあいいや、背が高い子の方が『セレナ』で比較的小柄な子の方が『エレナ』だ。二人合わせて呼ぶならレナレナな、あだ名にもなる」

 

 他にも実は候補があったが、にとりやクラリッサの奇妙な冒険……もとい、ネーミングがあまりにも酷かったので却下した後になかったことにした。

キラキラネームとかDQNネームをつけようとすんなし、まったく二人のやつは………「スメラギ」とか「エルルゥ」なんて名前を漢字に変換してまでわざわざ付けようとするなよ。

 

『割と普通ね。でも、可愛くてお似合いだと思うわよ』

 

「そうかそうか。ま、保護者は俺に当然なるけど仕事で構っていられる時間がだいぶ割かれるから実質的にそちらに任せることになると思う。優しく接してやってくれよな」

 

『オウ、マカセロー。メチャメチャカワイガッテヤンヨ~』

 

「スライスされそうな言い方はやめろ。お前のことを信頼して言っているんだからな、くれぐれも変なことしないよう頼んだぞ」

 

 携帯の通話を切り、寝不足が原因で出たあくびを手で押さえて寄りかかるように木の椅子へと腰掛ける。テーブルの上に置かれたぬるい温度のお茶が入った湯呑を手に取りそのまま一気に飲み干すと、向かいで座って通常の仕事関係の書類に目を通していた永琳がくるくるとボールペンを回しつつ声をかけてきた。

 

 

「これで一通りの後処理は済んだわね、灯夜。お疲れ様」

 

「……そうだな。まだまだ問題は山積みだけど初めの段階としてはやることをやりきったと思う。だが、これからの事は彼女たちの努力が鍵になってくる以上適度に見守っていくほかない」

 

「別の問題も色々と抱えているものね。研究所の件も調査が進み始めたばかりだし………休むに休めないわ、ホント」

 

「あまり無理をするなよ、お互いに言えることだが。まあ、俺たちが直接関わらなくてもいいデカイ出来事は多分妖夢たちの方で起こっているだろうからな、それに比べれば負担は軽いもんだ」

 

アンノウンISの襲撃にドイツで作った因縁、男装の美少女や合宿での緊急出撃。頻繁に事件が発生することが当たり前になっているIS学園にいるよりも裏方(?)で仕事をしていたほうがずっと楽というのが俺の認識だ。

場合によってはそうじゃない時もあるけれど、あの天災に面と向かって関わらない地味な作業と一夏の苦労を比べたら一目瞭然。胃薬のある生活を一歩間違えば歩んでいたかもしれない彼に心から敬意を評したいね。

……というか、よくよく考えてみれば一夏の奴、IS関係のトラブルだけじゃなくて恋愛に関してのトラブルも抱えてんだった。一方的すぎるヒロインズのアプローチを喰らいまくって参っていないだろうか。精神的に鍛えられている様子を時折見ると唐変木から少しは卒業していると思うのだが、傍らに立って観察していない分不鮮明な部分が多いな。

 

永琳に散歩に出てくると断ってから人目につかない竹林近くの場所へと移動し、周りを確認してから通信機を操作する。

 

(んーと、確か通信機に念の為盗聴器をつけておいたような。コマンドを操作してと………あ、繋がった繋がった)

 

『――――一夏、お疲れ様。飲み物買ってきてあげたわよ』

 

『―――ん、ちょうど飲みたかったところだったんだ。サンキュー鈴』

 

 おっ、何かしらんけど普通に談義している様子が感じられるな。状況を考察するに、ISの訓練後の更衣室で汗を拭いて休む一夏にツインテールの少女「凰鈴音」が差し入れを持ってきたってところか。

タイミングがいいのか判断に迷うが精神的に変化があれば態度に心境が自ずと現れるはずだ。人のプライベートに干渉するのはアレだが悪く思わないでくれよ?

 

好奇心に突き動かされるように俺は繰り広げられる会話に静かに耳を傾けた。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 日を追うごとに命の危険、もとい身の危険が迫っている気がするのは勘違いなのか。俺はそれが無性に知りたい。

いや、直感的に気のせいでないことは重々把握してはいるんだ。けども、どう対処していいのやら迷いまくっていて頭は今混乱の最中にいる。頼れる仲間はいることにはいるが他のクラスのために頻繁に会うことは叶わない。完全に八方塞がりである。

根本的な話、同性のクラスメイトがいないせいであまり気を許せる相手がいないという事態に陥っているのが不味いんだ。別にISの整備関係の技術者を育成するなら男子の入学を許したっていいじゃないか、政府は何でそういうところで融通を利かせてくれないのかね。俺の入学を認める暇があったら共学化を考えてくれても良かったと思う。

風呂の話といいトイレの話といいとことん差別が進んでいては安心して生活することもままならないな。少しぐらい要望を通してくれるだけでもいいのに相変わらず世間は冷たいねえ。

 

(取材が来るのはいいけど、都合の悪い発言は絶対に握り潰されるからなぁ………灯夜さんの所属している会社ぐらいしかまともな所がないって時点でマスコミが終わってるぜ)

 

 あったとしても所詮は二番煎じに三番煎じ、信用はおけるわけがない。時代に身を任せすぎた状態で何か言われても全然思いが伝わってこない。

認めてしまえば、最初から最後まで同じ思いを突き通した人に対して失礼だろうからな。俺は途中で心変わりする奴が嫌いだ、よって自分の生き方も戒めていく予定である。

 

「ふう……」

 

 気持ちの整理完了。訓練後で息が荒かったけれど、冷静な思考をしていたら何時の間にか収まったようだ。一種の精神統一術だねこれは、思わず布教活動したくなる(冗談だけど)。

肝心の汗は現在進行系でまだダラダラと垂れているわけだが、今すぐにシャワーが浴びれないとなるとタオルで一先ずは凌ぐしかないな。あー、水分が欲しい。全身に浴びるように冷たいビールじゃなくて水をかけたいでござる。体に毒でダメなのはわかってんだよ?

 

「一夏っ!」

 

 などと、考えていたらシュバッと自動スライド式ドアが開かれ鈴が出現した。手にはタオルにスポーツドリンク、それから時期的には早いかもしれない扇子まで持っているではないか。

 

「はい、おつかれ。喉渇いたりして暑いんでしょう。軽く扇いであげるわ」

 

「お、おう……サンキュー」

 

 手渡されたドリンクはご丁寧にも常温ぐらいの冷たさであって体に優しい温度になっていた。俺が健康マニアとわかっているからこそ出来る行いだ。ま、こういうのもなんだが……たった一年ほど会わなかっただけだし忘れるわけがないよな。

 

「変わってないわね、一夏。若いうちから力入れるのもいいけど気を使いすぎるとそのうち泥沼にはまるわよ」

 

「極端なことまではしないから大丈夫だよ。サプリメントとかには手を出してないしまだまだ俺は駆け出しの人間だ、心配することはないぜ」

 

「それが逆に心配なのよねー。歳を重ねていくと若い時に言っていたこととは全く反する事を仕出かすかもよ?」

 

「う、うるさいな………」

 

 本気で言葉通りになったらどうするんだ、滅多なことを言わないでくれよ。ついでに、ニヤニヤして俺を見透かしているような目を向けるのもくすぐったいし止めてくれないかな。変に意識してしまって顔をあわせられない。

雰囲気的に色っぽくなったのもあるから傍にいると女友達として見ていいものか判断に迷う。胸の高まりが抑えきれないし………もしや、興奮しているのか自分は?

 

「一夏さ、聞くのが遅れたけどやっぱあたしがいないと寂しくて不安だった?」

 

 ……おいおいおい、質問と共に体を密着させんなってば。言い方も聞き方によっては卑猥に思えるぞ。そりゃ、仲の良い異性の友達が一人消えるのは精神的にもそれなりにダメージを受けたがな、別に死んでしまって永遠に別れたわけでもないので楽観的に考えていたぜ。

生きてりゃ再会できるし、IS学園に入学することがなければ普通に長期休みを使って中国を訪れる予定だったんだ。

 

「何事もなかったら飛行機で定期的に会いに行こうと思っていたよ。でも、ゴタゴタが続いてそれどころじゃなかった」

 

「てことは、寂しかったと解釈していいわけね?」

 

「普通に友達がいなくなって寂しいという意味合いでならな」

 

「いや、そうじゃなくってさぁ…………久しぶりに会った幼馴染なんだからもっとこう、言うことがあるでしょうが。例えば背が伸びたなとかそういう――――」

 

 外見的変化? ―――ああ、なるへそ。特にこれといって変わったところはないように見えるが率直な感想を述べておくか。

 

「むー……強いて言えば、妖艶さ(?)が少し増したなお前。ツインテールだから子供っぽさは残るけど髪を下ろしたら大人に見えるんじゃね」

 

「え、ホント!?」

 

 うん、マジで。自分で言っててなんだけど想像したら凄い興奮してきた。口に出して言わないが抱きしめたい衝動に駆られる。俺より背が低いのもポイントになって余計にな。

 

「そ、そっか。じゃあ、たまに髪下ろしたりしてみた方がいいのかな。今まであたしって言ったらツインテールが基本だと思っていたから」

 

「確かに鈴といえばツインテールだな。箒やセシリア、それに千冬がツインテールにしたところでしっくりはこないし。でも、だからといっていつも同じ髪型でいる必要はないと思うんだ。らしさを追求できれば何も問題はない」

 

「うん……その、ありがと」

 

 自分でもよくわかっていない謎理論を拳に力を込めて語るに語ってみれば鈴は頬を赤らめてしきりに髪を指で挟んではいじっていた。……直ちに髪型を変更しても私は一向に構わんよ?

 

「は、話は変わるけどっ! ねえ、一夏………あの、その、覚えてるかな? 小学生の頃にした約束の事…………」

 

 約束……小学校の頃の約束? はて、何だっただろうか。

遊ぶ約束なら頻繁にしたものだが遊んだ内容は多岐にわたるためそこまで覚えてはいない。となると、別の目的、シュチュエーションで結んだ約束になる。よく思い出せ一夏、印象に残った出来事を深く隅々まで徹底的に洗い出すんだ。五秒以内に。

焦る気持ちを隠し思考をフルに回転させる。そして、ふっと突然浮かんだ夕暮れの情景が俺に強烈な電流を流し記憶を蘇らせるきっかけを作った。

 

(…………待てよ、鈴との約束の中で当時の俺が訳も分からず承諾した内容の約束の事をもしかして聞かれているんじゃないのか?)

 

 夕暮れがヒントになる、今だから意味が理解できそうな約束。鈴が恥ずかしがりながら言うほどの重大な出来事。そこでようやく自分は気づいた。

該当するこれまでの人生においてのイベントはただ一つしか存在しなかったのだ。

 

 

 推 理 完 了。

 

 

「鈴の料理の腕が上達したら毎日酢豚を―――――っていう、お味噌汁的告白のことだよな?」

 

 恥ずかしい事に意味はアニメとかで知りました、すみません。その時はお好み焼きで例えられていたが鈴は中国人だったから中国料理に変換して言ったんだな。間違っていたら土下座しますのでごめんなさい。

 

「そ、そうっ! それで合っているわ、覚えていてくれたのねっ!」

 

「ちょっ、抱きつくなって、くるし―――!!」

 

 ギブッギブッ! 背中を叩くなって。……必死に思い出して正解したのに何この仕打ち、悪意はないのだろうけどもうちっと褒めてくださると嬉しいですな。

 

「―――で、返事はどうなのよ?」

 

「返事? ………ま、答えるのが義務だよな。結論から言うと

 

 

 

―――現状じゃあ、YesともNoとも俺は答えられない」

 

別に鈴の事が嫌いというわけでもないし異性として見ていないわけでもない。だが、その事とは否応なしに関わってくる事案がいくつか存在する。

だから不用意に約束通りに付き合い始めるという選択は取れないのである。

 

「………どうしてなのよ」

 

「何もお前一人だけの問題じゃないんだよ。下手すれば今後俺の周りにいることになる人間全ての家族にまで影響が及ぶ可能性があるんだ。順を追って説明してやるから、まずは落ち着こうな?」

 

 震える鈴の体を肩を優しく叩いて宥め、俺は大きく息を吸ってから抱えている問題について包み隠さず吐露することにした。納得してくれるかどうかまではわからないけども話さなければならない義務がある。

 

「第一に、俺の処遇について未だに国際IS委員会で揉めている件がある。議論内容は俺の国籍をこのまま日本国籍にするか無国籍にするかだってよ。個人的には日本国籍のままがいいって政府に伝えているんだけども、今の今まで大人に振り回されてきたから思い通りの展開になるかはわからないんだ」

 

 下手に誰々と付き合うと宣言してしまうと混乱が生じてしまい、不本意な誓約を結ばされてしまうなどといった望まぬ事態に行き着く恐れがある。時間が解決してくれる問題ではあるにしろ、何時までも引き摺る事になる問題だと俺は思っている。

 

「第二に、何故俺だけがISを扱うことが出来るのかについて解明がなされていない点だ。自分でもよくわかっていないこの問題を研究せんが為に将来、非合法である人体実験に巻き込まれる可能性がある。無論、俺と俺の子供になる幼い命がな」

 

「軍に属している立場だから言えるけど………本当に有り得なくないわね、それ。うちの国がどうかは不明だけど、噂では影に隠れて続けている国が他にあるって話だし」

 

「噂のことなら俺も知ってるよ。だからこその警戒レベルをフルにした慎重論だ。未来に余計な争いの種を増やしたくないなら理解してくれ」

 

 一息をついて、残っていたスポーツドリンクをあおる。……後は、最後は最凶にして最悪の相手による余計なお世話という名の問題か。これは鈴だけに話すことじゃないよな。

俺は距離の離れたロッカーの物陰に向かって溜息混じりの呼びかけをした。

 

「セシリアも隠れているのはバレバレだからきちんと座って話を聞いてくれ」

 

「えっ、セシリア!?」

 

鈴が驚いて振り返った先にはロッカーの角を手で押さえて隠れている長い金髪の少女、セシリア・オルコットが立っていた。

 

「なっ……どうして居るとわかりましたの!?」

 

「悪いな、剣術習っていたから気配には敏感なんだよ。―――ところで、箒は今どこにいるかわかるか?」

 

「ええと、確か聞いた話では剣道部の方に呼び出されたと仰っていたので今頃は部室棟の方にいらっしゃるかと思いますが………お呼び致しましょうか?」

 

「いや、逆に好都合だからいいよ。これから話すことは出来れば箒に聞かれたくはない事だから」

 

 仲間はずれにするようで悪いが、聞いてしまえば必ず何らかのアクションを仕出かすに違いないと思われる。それを防止したいがための限定したメンバーによる話し合いだ。時間も惜しいので、さっさと話してしまおう。

 

「第三に、というよりこれで最後だ。真面目な話、箒の姉である束さんにとって予定外の事が起きてしまうと只事では済まされない事件が乱発するかもしれないんだ」

 

 あくまで予想に過ぎないが、束さんは妹である箒を意図的に俺とくっつけようとしているのではないかと思う(ほぼ状況証拠だけなのは否めないが)。妹を溺愛しているからこそ恋路を叶えてやりたいという衝動があるのはわからんでもないが人様に迷惑をかけてまでそれを遂行するのはどうなのかね。

人の人生を意のままに操って神様気取りをしているのなら、被害を受けている当事者の俺が止めなければなるまい。自分勝手は許されないのだといい加減に理解させてやるほかないだろう。

 

「二人は直接会ったことがないからわからないだろうが、篠ノ之束という人物は好みの人間以外をゴミのように見ているんだ。だから怒りを買うようなことがあれば最悪の場合、代表候補生という立場を追われるだけでなくその後の生活さえ奪われる」

 

「成程……つまり、一夏さんが仰りたいのは『仮に自分と付き合う関係になるのだとしたら、尋常ではない量の困難が待ち受けているから覚悟しておけ』という事でよろしいでしょうか?」

 

「……ああ、大体そんな感じだ。俺も年頃だからな、恋ぐらいして青春したいものだけど色々と縛られているんだ。他でもない第三者によってな」

 

 薄々と好意が向けられているのはわかっていた。入学して早々に好かれることになるとは予想外だったが、女子高という環境に男一人が放り込まれれば自然と興味が行くのは当然の結果だったのだ。

しかし、俺は安易に恋愛することが許される立場ではなかった。誰かを好きになっても常に周りに対して気を配り続けなければならない状況に追い込まれていた。

いつかは答えを出さなければならない時が来るのはわかっている。だが、その前に決着をつけなければどう足掻いてもお先真っ暗な未来しか見えてこないのである。

 

「鈴………偉そうなことを言ってすまないが、勇気を出してお前が告白してくれた時とは何もかも状況が違うんだ。それでも俺という人間について来れるか?」

 

「フン、何言ってんのよ。恋路に邪魔は付き物でしょうが、邪魔するなら蹴飛ばせばいいってことわざにもあるでしょ?」

 

「そうですわ! 篠ノ之博士も所詮は人間、幾ら技術力を備えていようが恐るるに足りませんわよっ!」

 

 来るならかかって来いと言わんばかりに鈴とセシリアは意気込んでそう言い放ってきた。この場にいない箒も多分同じ気持ちだと思いたい。

クラス代表対抗戦まで残り少ない日数の中、俺達は友達以上の親友という関係になってお互いの試合の健闘を誓い合った。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

「……イイハナシダナー」

 

 さらば唐変木一夏、ようこそ生真面目一夏。その一言に尽きるぜ。

俺が恋愛に関してアドバイスをするまでもなく自分で持論を展開できるようになっているとは良い意味でメシウマだ。嬉しい限りだね、感動的だ。

道は険しくとも立ち向かう心(勇気)を持つって簡単なことじゃないのにねえ。見えないところで見違えるほど成長していたんだなと思うと応援したくなる。

 

「必然的に支援は必要だってわかってはいたが………こりゃ、より本腰を入れてやらないとなんないな」

 

 

 一夏の幸福な人生こそこの世界に必要不可欠だと認識していた思いをさらに強め、俺は永遠亭を後にし新たなる記事を作ろうと会社へと足を進めた。

 

 

 

 

 

あとがき

 

作者の近況

 

右肺に穴があいて入院⇒母が乳癌で入院⇒姉が胃腸炎でダウン⇒退院して病み上がり更新祭り←今ここ

 

 

細かいことは語るのが疲れるので省略します。ただ言えることは、入院生活は初めてのことだったので疲れました(テスト前に入院で焦りまくった)

 

とまあ、そんなことはさて置き次回予告ですね。

 

予定ではいよいよ鈴VS一夏となります。ただでさえ戦闘描写が時間が取られるので辛いですが頑張ります。

 

 

次回、「CHAPTER17 混戦突入」 お楽しみに!!

 

 
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