No.466517

魂 ~蒼い魔剣士が護りたかったモノ~

ONIKUさん

前の作品説明と話しが全く違います。
作者の身勝手な思いつきで話が〝無印〟の原作開始から前の出来事になっております。
ホントすみません。

ちなみに原作知識アニメだけなので詳しいことは解らんです。

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2012-08-07 14:16:14 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:6763   閲覧ユーザー数:6604

蒼い魔剣士は落ちた

 

闇の底へ

 

そこで一番に眼に入ってきたモノとは?

 

魔界か? それとも―――――

 

 

魂 ~蒼い魔剣士が護りたかったモノ~

 

File [2] 闇の底

 

 

Are you ready!?

File [2] 闇の底

 

 

 

 

 

 

温かい太陽の光、心地よい風、揺れる大樹、その中でも特に大きな大樹、その根本は日陰になっていて昼寝や寛ぐには非常に良いコンディション

 

そこで今、熟睡している金髪の幼女と橙色の子犬

幼女は外見からして歳は4、5歳。人種は西洋人、人形のような可愛らしい子だ子犬は犬種は解らないが此方も愛嬌のある顔。毛並みも良く、大事に育てられている事が解る

 

 

 

 

――――ユメをみていました

――――〝アカい〟男の人と〝アオい〟男の人が、絵本でよくでてくるケンみたいな物でたたかっていました

――――ケンカはキラいだけど、すごくきれいでした。おどっているようにみえました

――――でも・・・なぜかカナしくなりました。なにかわからないけど、とてもカナしくなりました

 

 

 

 

 

 

 

 

――――たたかいにケッチャクがつきました。〝アオい〟男の人がまけました

――――〝アカい〟男の人がないています。〝アオい〟男の人もないています

――――〝アオい〟男の人がおちていきます。下へ下へ、クラくなにもみえないまっ黒なトコロへおちていきます

――――ダメッ!! 私は手をのばします。たすけないと!

 

 「・・ぇ・・と」

 

――――とどかない、何かにハバまれているみたいにおしかえされる。すごくくやしい・・・!

――――でもたすけてあげたい! たすけないといけない! 私がたすけるんだ!!

 

 「・ふぇ・・と」

 

――――〝アオい〟男の人を!!

 

 

 「フェイト」

 

 「・・・・リ、ニス?」

 

 

声がし、まぶたを上げると見知った顔

 

 

 「だいじょうぶ?」

 

 

そして、私の大切な((使い魔|かぞく))、アルフ

 

 

 「? うん、平気だよ。でも何でそんなこと聞くの?」

 

 「フェイト、ないてるから」

 

 「え・・・?」

 

 

その言葉に反応したかのように眼から零れ落ちる涙の粒

 

泣いてる? 泣いてるの私? どうして?

 

 

 「またあの怖い夢を見たんですね」

 

 「こわいユメ・・・」

 

 

ここ最近よく見るようになったあのユメ。何かのまえぶれなのかな?それともメッセージ?わからない

わからないけどこれだけはわかる。こわいユメじゃなかった。こわいって思わなかった

その代り――――とてもカナしいユメだった・・・とてもとても、カナしいユメ

 

 

 「ね、フェイト! ごはんたべよ! ごはん!!」

 

 「こらアルフ! あなたって子は・・・御免なさいねフェイト」

 

 

まだ少し場の空気を読めないアルフとそれを注意するリニス

見ていて微笑ましい

 

 

 「ううん、私も何だかおなか空いてきちゃった」

 

 

そう言ってみては時折ユメの事を考えるフェイト

気になってしまう。自分が見たあのユメが、また見そうな気がしてならない

いや、ユメがげんじつになりそうな気がする

 

 

 「(一体、何なんだろう?)」

 

 

モヤモヤした気持ちのままのフェイトだが少し早い昼食を取るため歩き出す

だが彼女等は知らない。これから起こる、いや、来るユメの〝アオい〟来訪者の事を――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落ちる

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

堕ちる

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

どこまでも堕ちる

限界もなく、堕ち続ける

力こそ全て―――その力を求め続ける。それが俺の選んだ道。後悔はしていない

俺の魂が吠え続ける限り、俺はどこまでも堕ち続けるだろう

ただ只管に、闇の底へ――――

 

 

 

ドンッ

 

 

急に浮遊感がなくなる・・・・ん? 俺は落ちていたのか。そういえばそうだったな

俺は落ちた。なら、俺は闇の底へ、魔界へ着いたのだろうか?

 

瞼をゆっくりと上げる。きっと誰もが人格を保てない悍ましい世界が眼に映るのだな

そして一番に眼に入ってきたのは――――

 

 

 

 

 「あ、あの・・・大丈夫、ですか?」

 

 

 

小さな金髪の小女だった、いや、幼女か・・・・・・?

幼女? ん?? 意味が解らん。此処は魔界か? ならこの幼女は悪魔の類?

 

警戒しようと殺気を放ちつつ臨戦態勢を取ろうとするが・・・・身体が動かない。腹の辺りがズキズキと痛む

まだあのダメージが残っているのか。中々身体がいうことを利かない

 

 

 「あっ! まだ動いちゃダメです!」

 

 

そう言い、動かないよう幼く小さな身体で制してくる。ただ肩を掴んでるだけなのだが・・・

 

 

 「ッ!?」

 

 「!? け、怪我してるんだね? リニス! 早く治療魔法で手当してあげて!」

 

 

・・・少し頼りないが、幼い容姿の割には中身はしっかりしている。大した子供だ

うちの馬鹿にも見習ってほしいものだ。ホントに

 

―――と、俺は何を考えている? 子供とて得体のしれない奴だ

しかも他にもコイツを合わせ4っつ、いや5つか、此処には何か居る

しかもこの幼女、今何と言った? 魔法だと?

 

俺は多少動けるようになった四肢を動かす。幼女が何か言ってるが無視だ

 

 

 「ま、待って! 無茶だよ! そんな身体で動いちゃ!?」

 

 「あ、あんた! きいてるのか!?」

 

 

無視を押し通し立ち上がる

敢えて言わないが子犬が喋っている

不思議とも何とも思わないがな、悪魔より変な奴はそう居ない

この幼女とそのペット、他の人間共からも魔力を感じ、悪魔かと初めは思ったが・・・

奴らのような甘ったるくへばり付いてくるような魔力を感じない。純粋な魔力だ。故に弱い

よって悪魔ではないと判断した。油断は出来んが

 

 

 「おい! あんた!」

 

 

それにしてもよく喋る犬だ。だが、成長過程か? 舌足らずで聞き取り辛い

それに何故か偉そうだ。威張るのが好きなタイプか。そして弄られやすい、いや、弄りやすいの間違いか?

 

 

 「あんたいま、それなりのかずのしつれいなこと、おもわなかった?」

 

 「いや、別に何とも」

 

 

勘は良いらしいな

 

 

 「ぜったいうそだ! じゃあかおみていえ!」

 

 「自意識過剰だな」

 

 「な、なんだとぉぉぉ!」 

 

 

五月蠅い犬だな・・・

 

 

 「黙れ、キャンキャン吠えるな。〝犬〟」

 

 「い、いぬぅぅぅ!? カッチーン! たすけてやろうとしてるのに、なんだいそのたいどは!」

 

 「Humph(フン)、犬如きが何が出来る? それとも犬、貴様が治療してくれるのか?」

 

 

言ってはみるがもとより治療を受ける気などさらさら無い

そんな事をしなくとも直ぐ治る。俺の中の、〝悪魔の力〟でな

 

 

 「いぬじゃなぁぁい! あたしはアルフだ! それに・・・ちりょうまほうくらい・・・つかえる」

 

 

威勢がなくなったな

語尾の辺りが聞き取りずらかったが、聞こえたぞ

 

 

 「なら治してみろ」

 

 「う・・・・・・くっ」

 

 「・・・・・・・」

 

 「・・・・・・っ!」

 

 「時間の無駄だな」

 

 

解ってはいたがそこまで意地を張る必要があるのか? 変な犬だ

 

その言葉を最後に俺は立ち去ろうとしたが右手を小さな両手に止められる

 

 

 「待ってよ」

 

 

力を籠められる。温かい小さな手でギュッと親と子が手を繋ぐみたいに

 

気に入らない、俺に構うな触れるな

人間にする行為を俺に対してするな

そんな温かさ、なんの意味もない、必要無い

 

 

子供の頃、母さんから言いつけがあった

 

―――か弱い子供や老人には優しく接する事―――

 

もう一つあった

 

―――女性に手を上げてはいけない事―――

 

だから俺はこの言いつけをなるべくだが守っている

だがこんなしつこい子供ははっきり言って鬱陶しい

何故他人にそこまで世話を焼ける? 今会った見ず知らずの俺に!

 

俺は普段通りの殺気に怒りを加え幼女に向けて放つが、その幼女は気負いもせず俺を見上げている

丸々とした幼く紅い瞳にしっかりとした意志を持って―――

 

 

 「あなたはケガをしてる。それを知った以上、見過ごすなんて出来ない。だから――――」

 

 「・・・・・・」

 

 

そして俺にはっきりと言い放つ

 

 

 「治療をうけてください」

 

 

心優しい母親のような笑顔で

 

 

 

 

 

――――甘い、甘過ぎる。甘ったるくて反吐が出そうだ

気に入らない、その笑顔(かお)が。斬り殺してやりたい

その笑顔(かお)を絶望の色に染めてやりたい。ああ今直ぐにだ

何の苦痛も、いや、苦痛自体味わった事が無いみたいなその笑顔(かお)、怒りを覚える

温室育ちのバラが野生のバラの気持ちが解るものか・・・・!

 

 

笑顔を向ける相手を間違えたな小娘

 

 

無意識に右手が愛刀、閻魔刀(やまと)の柄に手を掛けそうになる

斬り殺したい気持ちを残る理性を総動員して必死に止める

 

そして掴んでいる幼女の両手を出来るだけ優しく振りほどく

幼女にとってはあまりに突然な事だったのか、ビックリしてこけてしまった

キャッと声を上げ少し心が痛んだがすぐさま忘れる

背中越しだが幼女が近づきまた声を掛けようとするのが解る

だがそれを止める拒絶の声

 

 

 

 「・・・・要らん節介だ。失せろ」

 

 「だ、ダメ! ケガの治療を―――――!?」

 

 

キイィィィン

 

 

 「「「ッ!?」」」

 

 「失せろ――――――三度は言わん」

 

 

幼女の首には刀が添えられていた

美しくも怪しく光る妖刀・閻魔刀の刃を幼女に向けていたのだ

明らかなる拒絶。男にとっては当然の行為

馴れ合いなど不要、要らない、何の意味も無い

 

 

その行為に手も足も声も出せなかった。ただ、見守ることしか出来なかった。何も出来なかった

彼の放つ容赦のない殺気に振るえて耐える事もままならなかった

でも、これだけは聞きたかった。聞いておかないと思った。そうしないといけないと無意識の内に幼女は思っていた

 

冷たくて射ぬくような鋭い眼、それでいてとても哀しい眼光

 

でも何故か興味を引かれたあの眼、色の薄い碧眼

知りたい

哀しさを纏った背中、去っていく男の、ユメに見た哀しき蒼い剣士の名を!!

 

 

 「ま、待って!」

 

 

立ち止まる背中、振り向きはしないかったがそれが正解だったのかもしれない

多分まともにあの男の人の顔を見ることが出来ない

こわいから? ううん、そうじゃない

恥ずかしいから? 多分、そうでもない

この気持ちはまだわらないけど大事な事なんだと思う

 

そしてその気持ちを抱いたまま、私はアオい男の人に言う

 

 

 「名前・・・何て言うの?」

 

 

そして男は首を少し横に向けたくらいで―――応えた

 

 

 

 

 「――――――――バージル」

 

 

 

 

短く、〝バージル〟と

 

 

 「バージル・・・」

 

 

なんとも解りやすい返答

 

 

 「けっきょく、なんだったんだろ? あいつ。ね、フェイト?」

 

 「バージル・・・バージル、か」

 

 「ふぇ、フェイト?」

 

 

何度も何度も、繰り返し言ってしまうアオい彼の名前

しっくりきてひびきの良い名前

 

 

 

〝バージル〟

 

 

 

ユメの中に出てきた人物に逢えるなんて、どんなユメ物語だろう

 

 

 「ねぇ、アルフ、リニス?」

 

 「「なに(かしら)?」」

 

 

そして彼女(フェイト)はこう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 「また―――――――バージルに逢えるかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉が彼女の未来を変える事になることも知らずに

 

 

 

 

 

彼女はまだ知らないがこの男の名は永遠に刻むことになるだろう

彼と出逢った理由、運命、その答えを見つけるために少女は走りだす

 

 

 

未来に向かって――――――

 

 

 

File [2] 闇の底 End


 
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