No.466505

IS 世界を守る者 EP32 壊れる心

ギアルさん

銀の福音戦!

それは思いもかけない結果に…

2012-08-07 13:28:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2577   閲覧ユーザー数:2301

4人は超音速飛行を続けていた。

 

目標である銀の福音が見えてきた所でジンヤが3人に通信を入れた。

 

『皆、分かっていると思うけどこれはスポーツじゃなくて本当の殺し合いだ…やばかったら逃げてくれ。僕はそれを決して笑ったりしない…』

 

「「「…」」」

 

ジンヤの言葉に3人は黙って聞いていた。

 

『まあ、とりあえず全員生きて帰って…一杯やるぞ!僕のおごりだ!』

 

『ジンヤ、それは死亡フラグだ』

 

ジンヤの言葉にジャンボットがツッコミを入れた。

 

そして、ジンヤは福音をロックオンした。

 

「パーティのクラッカー代わりだ、受け取れ!ツリはいらないよ!!」

 

そう叫ぶと、ジャンミサイルを発射するが福音はギリギリで回避して身構えた。

 

『敵機確認。迎撃モードへ移行。銀の鐘、稼動開始』

 

「!全員、回避!!」

 

機械音声が聞こえると、福音は一斉に砲口を開き、光の弾丸を撃ち出した。

 

全員、ギリギリで回避した。

 

「よし、一夏と鈴は奴の隙が出来たら撃ちまくれ!篠ノ之はちょっと僕と一緒に奴を引っ掛ける!で、その内容は……」

 

「なるほど、分かった!」

 

そして、ジンヤは右腕に搭載されている剣ジャンブレードを展開すると、福音に切り掛かった。

 

「ハァ!」

 

『La…♪』

 

甲高いマシンボイスが響くと、福音は後ろに引いて回避するがこれはジンヤの目論見通りだった。

 

そこに箒が追撃に入った。

 

「甘いぞ!ハァッ!!」

 

箒が刀剣の形をした紅椿の主力武器、雨月と空裂の二刀流で福音に斬撃をくらわせた。

 

「ホアチャァァァッ!!」

 

更にジンヤが福音に追撃の蹴りを入れた。

 

『La!』

 

福音は距離を取って、銀の鐘を発射しようとするが…

 

「一夏、鈴!出番だから撃ちまくれ!!」

 

「了解!」

 

「撃ちまくるわよ、一夏!!」

 

そう言うと、一夏は右腕のシールドポケットから出現するキャノン砲で二連ビームを放つジャンキャノンを鈴は龍砲を発射しまくった。

 

「よし、このまま…」

 

するとジャンボットが話し掛けた。

 

『ジンヤ!あそこに漁船がある!多分、密漁船だがこのままでは危険だ!!』

 

「何だとっ!」

 

ハイパーセンサーでジンヤは船を確認した。

 

そこでジンヤが皆に通信を入れる。

 

『皆、船が入り込んだ!攻撃は一時中止!一夏は護衛に回って、残りは福音に弾幕を張るんだ!!』

 

「神崎?!」

 

ジンヤの指示に箒は驚く。

 

「分かった、あの船の護衛に入る。弾幕を頼む!」

 

「しっかりと弾幕を張るわ!」

 

一夏は船の元に向かい、鈴は龍砲で弾幕を張った。

 

「神崎!どういうつもりだ?!犯罪者などを庇うなんて!そんな奴等など…!」

 

箒はジンヤに文句を言う。

 

そして、ついにジンヤはキレた。

 

「いい加減にしろ!貴様に人の命を自由にする権利なんて無いだろっ!!」

 

「!」

 

更に鈴も箒に言った。

 

「アンタ、前にラウさんに言われた事や自分が他の人の命を犠牲にしそうになった事を忘れたの?!」

 

「…まれ…!」

 

ジンヤ、鈴の正論に箒は顔を下に向けながら憎悪を燃やす。

 

「犯罪者でも善人も命は1つしかないのよ!そんな事なことも分からないなんて…アンタには専用機を持つ資格は無いわ!!」

 

鈴の言葉に箒の憎悪が爆発した。

 

「黙れぇ!一夏を寝取った泥棒猫がぁ!!」

 

激情した箒はなんと守斬を展開し、鈴を斬撃をくらわした。

 

今の箒には理性が無く、ただ憎悪だけで動いている。

 

「貴様を…貴様を!!」

 

「いい加減にしやがれ!馬鹿野郎!!」

 

箒は鈴に追撃をしようとすると、ジンヤに蹴りを入れた。

 

蹴りをくらった箒はそのまま福音とぶつかり、体制を崩した。

 

「鈴、大丈夫か!?」

 

「一夏…大丈夫よ、コレくらい…」

 

「一夏、キミは船と鈴を連れて戦線を離脱しろ!」

 

すると、海から何かが現れた。

 

それはゴーレムだった。

 

「なっ!こんな忙しい時に…このKYゴーレムが!!」

 

更にゴーレムはレーザーを発射しようとすると、箒や福音も射撃をしようとしていた。

 

「貴様等が…一夏を…一夏を!!」

 

『赤のISに強力し、残りのISを殲滅』

 

ジンヤは何所からかグレネードを取り出すと、福音にいる方に投げた。

 

すると、グレネードから金色の粒子が出て、それを浴びた福音達はレーザーがあらぬ方向に発射したり、平衡感覚が麻痺し始めた。

 

「な、何だこれはぁ?!」

 

『La?!』

 

「なんだあのグレネード、いやチャフか?」

 

「BSAA本部技術班所属のクエントの新作、平衡感覚を一時的に麻痺させるチャフだ。一夏、僕がしんがりを勤めるからさっさと撤退しろ」

 

その言葉に一夏は驚いた。

 

「ジンヤ、バカな事を言うな!アリスはどうする?お前が居なくなったら、アリスは…」

 

「アリス…」

 

そこにセシリア、シャルロット、ラウラが通信を入れた。

 

『そうですわ、あんなに小さいのにしっかりしていて…』

 

『ジンヤが居なくなったらアリスちゃんは悲しむよ…』

 

『ああ、嫁よ。お前は引くべきだ…』

 

ジンヤは顔の部分を解除して言った。

 

「僕にはできない…」

 

「なんでだっ!」

 

「…実はアリスの正体はエージェントのメタルA(アリス)。つまり、ロボゴーグの秘書だったんだ」

 

ジンヤの告白に全員が言葉を失った。

 

「アリスはロボゴーグに捨てられたんだ…そして、僕がアリスを拾ったんだ」

 

「…何故、アリスの記憶を見なかったんだ……そうすれば、奴の本拠地を分かるのに…」

 

「僕もそうしようとしたよ…でも、アリスの目を見た時、恐怖と絶望にしか染まってなかった」

 

その言葉に一夏は言葉を失った。

 

「僕はそんな事を考えた自分を恥じた…アリスの世話をしたのは後ろめたさに耐え切れず、やせこけた良心を満足させる為だったんだ…それでもアリスは僕を慕ってくれた」

 

「ジンヤ…」

 

「はたから見れば仲の良い兄妹に見えただろう…でも、アリスに瞳を覗かれるたびに僕はいつも怯えていた…一夏、キミから伝えて欲しい」

 

そう言うと、ジンヤは一夏に言った。

 

「キミの事をずっと愛しているって…」

 

「其処か!!」

 

すると、箒が雨月でレーザーを放出し、それがジンヤの近くをかすった。

 

チャフの効果がきれ始めた。

 

「そろそろ、決着をつける時だな!一夏、神崎ジンヤからの最後のプレゼントだ!」

 

そう言うと、仮面を展開した。

 

「僕が奴の動きを止める!!」

 

そして、背中に装備されているパッケージ、テンペストを機動させて福音との決戦に赴いた。

 

「ジンヤ…すまない!!」

 

一夏は鈴を背中に担ぎ、船を護衛しながら撤退した。

 

すると海から次々と新手のゴーレムが出現し始めた。

 

「ジャンボット、手加減無しだ!撃ちまくれ!!」

 

『ああ、多連装ロケット弾、多目的誘導弾…全弾発射!!』

 

そう言うと、テンペストからロケット弾や誘導弾が次々と現れるゴーレムを命中し、撃墜していった。

 

また、ガトリングや4式レールガンで近寄るゴーレムを蜂の巣にした。

 

だが、ゴーレムのミサイルやレーザー、箒、福音の攻撃をくらっていた。

 

そして、殆どのゴーレムを破壊した時にジャンボットの姿は無残な姿になっていた。

 

背中に装備してあった強襲用高機動パッケージテンペストはゴーレムの攻撃を受けて、破壊されてバトルアックスはゴーレムに叩き込むように突き刺したので無くなっていて、仮面が破壊されていて、顔の半分が露出していた。

 

「最初は狐みたいに華麗に回避していたのにな…」

 

『!ジンヤ、危ない!!』

 

すると、箒が守斬でジンヤの左肩を貫いた。

 

「かはぁ……」

 

「中東では狐狩りの代わりにジャッカルを狩る…狐狩り(フォックス・ハウンド)ならぬロイヤル・ハリヒア…絶対防御が何所まで持つかな?」

 

すると、ジンヤは左手で箒の身体を掴むと、右腕の盾にあるレーザー砲を突きつけた。

 

「き、貴様!命を捨てる気か!?」

 

「この距離ならバリアも張れないな!!」

 

そう言うと、ゴールデンレーザーを撃ちまくった。

 

「ぐわぁぁっぁ!!」

 

「追い込まれた狐はジャッカルより凶暴だ!」

 

気を失いかけ始めた箒から守斬を身体から引っこ抜くと、傷ついた身体に鞭を打つ様に福音の背中を羽交い絞めにして動きを封じた。

 

そこに鈴を真耶に頼んだ一夏が戻って来た。

 

「ジンヤ!」

 

「今だ、一夏!スティンガーを打ち込めぇ!」

 

『La!』

 

すると、福音のマシンボイスが響いた。

 

まるで、『打てるか!コイツも死ぬぞ』と言わんばかりに…

 

それでも、一夏はスティンガーを構えるがある事が頭によぎる。

 

(福音にはダメージレベルがDになると、カプセル状になって操縦者の安全を守るようになるが、今のジンヤの状態を見て福音にスティンガーを打ち込んだら…)

 

すると、一夏の脳裏にある言葉が浮かんだ。

 

それは…撃てない。

 

(撃てない、俺には撃てない!俺には…俺には……)

 

すると、福音がジンヤを放り投げた。

 

そこに箒が怒りながら言った。

 

「貴様は自分の過去を覚えていないのか…」

 

「はぁ?何言っているの?」

 

そこにセシリアとラウラ、簪から通信が入った。

 

『篠ノ之さん、それを言っちゃダメですわ!』

 

『止めろ、貴様ぁ!!』

 

『神崎君、聞いちゃダメ!』

 

それに構わず箒が叫んだ。

 

「貴様には妹と弟が居たのを忘れたのか!愚か者!!」

 

それと同時にゴーレムがミサイルを発射してきた。

 

ジンヤはジャンブレードでミサイルを破壊した。

 

だが、破壊した時の炎を見た時にジンヤの脳裏にある過去が浮かんだ。

 

それは炎の中、幼いジンヤが瓦礫の中、少年に手を伸ばしていた。

 

『ノゾム!手を伸ばして…』

 

『お、おにいちゃん…』

 

そして場面が変わる。

 

そこは地下室で幼いジンヤと少女が捕らえられていた。

 

『おにいちゃん…』

 

『大丈夫だよ、アイカ…』

 

全てを思い出した時、ジンヤの中でナニかが壊れた。

 

「あ、あああああああっぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

「ジンヤ!」

 

「…助けて」

 

そして、ジンヤは叫んだ。

 

「助けて!仮面ライダー!助けて!!」

 

普段のジンヤと思えないほど、壊れていた。

 

「死ねぇぇぇぇぇ!!」

 

その隙に箒が守斬でジンヤの胸を突き刺した。

 

「あ………」

 

そして、ジンヤは落ちていった。

 

「ジンヤァァァァァァァ!!」

 

一夏はジンヤを助けに向かった。

 

ゴーレムや福音の攻撃をくらい、ジャンナインが解除され落ちていっても、落ちていくジンヤを手を伸ばし続けた。

 

(もう嫌だっ!アイツと比較され続けられるなんて…ジンヤは俺を俺と見てくれた!)

 

後、もう少しで手が届きそうな所で…

 

「一夏ぁ!」

 

そこに箒が一夏の手だけを掴み取り、ジンヤはそのまま海へと落下した。

 

それを見た福音はゴーレムと共にそのまま飛び去った。

 

「離せ、箒!ジンヤを…」

 

「一夏、すまん!」

 

そう言うと、箒は一夏の後頭部に手刀をくらわせた。

 

「がはぁ…」

 

そして、一夏は気を失った。

 

すると、ジンヤの血が海に流れたのか鮫の姿が確認した。

 

「愚かな男だ…死を懇願した時、勝敗は決まるか…」

 

そう言うと、箒は一夏を抱え、旅館へと帰還した。

 

そして、作戦は失敗した。

 

鈴は絶対防御が破れて軽傷を負い、一夏は意識不明、ジンヤは生死に関る重傷を負い、行方不明。

 

もしかすると、もうすでに死亡したかもしらない。

 

箒は千冬に今までの事を伝えた。

 

「そうか、分かった。状況に変化があれば…」

 

すると、そこにアリスが乱入してきた。

 

アリスは完璧に怒り狂っていた。

 

「あんた…なんで、なんでパパを見捨てたぁ!?」

 

「そ、それは…あいつが犯罪者を庇おうと…」

 

それを聞いたアリスは箒の頭を掴み、壁に叩き付けた。

 

「かはぁ…」

 

すると、アリスはA(アリス)パッドを展開させて、A(アリス)パッドソードにすると箒の首に突きつけた。

 

その時、箒はアリスの目を見て恐怖した。

 

アリスの目には光が無く、ただ復讐を果たす事しか考えていなかった。

 

「ひっ……」

 

「神崎妹、よせ!」

 

「あんたがそんな事言えるの!?あんたが篠ノ之束の事を信じ、パパの作戦を却下し、更にはBSAAの力を借りる事を拒否した貴様に言えるかぁ!?」

 

アリスの言葉に千冬は何も言えなかった。

 

「殺す、貴様だけは…私が殺す!!」

 

アリスはA(アリス)パッドソードを振り上げようとすると、何か反応が有った。

 

すぐさま、A(アリス)パッドに戻して、調べてみるとある事が分かった。

 

「ジャンボットの反応…パパが生きている…すぐに行かないと!」

 

そう言うと、アリスは部屋を出ようとすると千冬や箒を睨んでいった。

 

「私はあんた等の事を絶対に許さないから…」

 

一方、ジンヤは無人島に流れ着いていた。

 

胸の傷や左肩の傷は無くなっていた。

 

『ジンヤ、大丈夫か…しかし、キミの傷が消えるなんて……』

 

ジャンボットの言葉にジンヤの耳に入ってなかった。

 

すると、雨が降り始めた。

 

その雨は豪雨となり始めた。

 

「うう…うぁ……」

 

ジンヤの脳裏に最悪の過去がよぎっていた。

 

膝をつき、地に伏せ…

 

「ああああ…あぁああああああああああ!!わぁああああああああ!!」

 

慟哭した。

 

今まで見たことがない、深い悲しみを露わにしたジンヤ。

 

それは豪雨の中でも聞こえる程だった…

 

 


 
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