第三十三技 最強の称号
アスナSide
「キリトくんが…、勝った……」
わたしは正直、いまの現実を理解しきれていない。ほんとうにキリト君が……。
「やった…。キリトの奴、やりやがった!」
「キリトさん、すごい…」
「すごかったわね~~」
「はは、おれぁ鳥肌が立っちまった…」
クラインさんは席から立ち上がって声を上げ、シリカちゃんとリズは感動したようであり、
エギルさんはあまりの出来事に脱力したようだ。
「すごい…、すごいよキリト! なぁ、サチ!」
「うん! ホントに!」
「すげぇよ……。ははは。マジすげぇ!」
「おれも…、俺もあんな風に強くなりてぇ!」
「はは…。ぼく力が抜けたよ…」
ケイタ君、サッちゃん、テツ君、ロック君は興奮した様子で、ヤマト君は脱力している。
「まったく…。ヒヤヒヤさせやがって…」
「ふふ。でも、キリト君は勝ってくれましたよ」
「ホントに…。凄すぎだわ」
シャインさんは安堵の言葉を洩らし、ティアさんとカノンさんは感嘆の声を出している。
「《
「………それに、《
ハクヤ君とハジメ君はキリト君の戦いを分析していた。
「キリトさんはやっぱりすごいや…。また、強くなってる」
「また、差をつけられたような気がするっす…」
ヴァル君はキリト君の強さに驚嘆し、ルナリオ君は少しばかり愕然としている。
みんなが次々と感想を述べていってわたしはようやく、キリト君が勝った事をちゃんと認識できた。
それを理解するとわたしはいてもたってもいられなくなり、キリト君のいるところへと駆け出した。
アスナSide Out
キリトSide
勝利が決まった事で俺は纏っていた『覇気』を解いた。
それだけで体が軽くなったような気がした。
闘技場内は未だに興奮が収まらず、観客達がざわめいている。
そして、ヒースクリフが歩み寄ってきた。
「完敗だよ、キリト君…。まさか、負けるとは思わなかったよ…」
「随分な自信だったんだな。だが、俺の勝ちだ…。約束通り、アスナはギルドから脱退させてもらう…」
「わかっている…。しかし、君には一日だけだが我がギルドに協力してもらうよ」
「ああ。そういう約束だからな…。ギャラもいらなくなったし…」
言葉を交わしていく俺とヒースクリフ。
俺は自分が入ってきた入り口を見た。アスナが出てきて俺の元に駆け寄ってくる。
「なんせ…、ギャラ以上のものを手に入れられたからな…」
俺の言葉にヒースクリフはどこか納得した様子だった。
駆け寄ってくるアスナは笑顔で、俺はそれが嬉しかった。
そのアスナに俺は聞こえないように笑みでこう言った。
「言った通り勝ったぞ…、アスナ」
「キリトくん、大丈夫!? 怪我とか無い?」
「大丈夫だ…。まったく、心配のしすぎだぞ」
アスナが心配してくれるのは嬉しいが、どちらかといえば信用の方が大きいと良かった。
「で、でも、私のためにキリト君が『本質』を出したってティアさんが言ったから」
そうだったのか。アスナが言ったことに納得した。
それなら、心配の方が大きくなってしまうな。まったく、ティアさんは…。
「それならアスナ。俺はできれば君に言ってもらいたい言葉があるんだが…」
苦労して決闘に勝ったのだ。労いの言葉くらいもらってもいいだろう。
「あ、うん! キリト君、お疲れ様。あと、ありがとう!」
アスナのその言葉に俺は肩の重荷が少しだが降りたような気がした。
「微笑ましいところを申し訳ないが、キリト君。
私が負けた事で『最強』と呼ばれていた称号は私のものではなくなった」
ヒースクリフがそう言ったので俺はなんだか嫌な予感がした。
ちょっと待てい!
「よってキリト君…。君こそが『最強』の称号に相応しい」
―――うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!
ヒースクリフの宣言に俺は眩暈を感じた。
嫌な予感が的中したよ、おい!
俺の生活に安寧は訪れるのだろうか…?
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
キリトが『最強』の称号をてにしました。
作者の立場なので言わせてもらいましょう・・・キリトに安寧は程遠いw
ちなみにアスナが脱退なのはキリトとヒースクリフが勝手に決めましたw
それでは、次回で会いましょう・・・。
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第三十三話です。
決闘が終わったので少しの間は見どころが少ないかもしれません。
お付き合いいただければ幸いです。
それでは・・・。