No.466134 リリカルなのは×デビルサバイバー As編bladeさん 2012-08-06 20:37:38 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1687 閲覧ユーザー数:1637 |
其れは、人の創りだした物とは思えないほど歪んだものだった。
「くっ……! 乗員退避しろ、今すぐにだっ!」
「駄目です、提督っ! ハッチもテレポーターも起動しません! ……完全に手詰まりです」
「諦めるなっ! ここでこいつを倒さないと、お前たちの家族にも被害が及ぶかもしれないんだぞ!」
提督と呼ばれた男は、手に持ったデバイスで目の前の其れを凍てつかせる。
しかしその抵抗も虚しく、其れの動きを少し遅らせるのみであり、決定的な一撃とはならない。
「しかし、何なんだこいつは……!」
いかなる攻撃を打ち込もうとも、全く堪えた様子も見せず、それは突き進んでくる。
何より恐ろしいのは、その見た目もあるが目的がはっきりしない事だ。何か呻いているようなそんな声が……否、雑音が聞こえはするがその正体をつかむことは出来ない。
男がそんな事を考えている内に其れは、男の仲間の一人の近づき、そして……
触れた。
「グアアアアァァァァァァァァァッ!!!!」
一人の男の断末の声。触れただけ、そう――触れただけだ。ただそれだけなのに、男はまるで廃人の様に倒れた。
男の……決して外傷はなくとも、亡骸と形容すべき男だったものを、吸収するかのように其れは吸い尽くしていく。
肉は爛れ、骨が見え……次第に何もなくなっていく。其の様を直に見た提督と呼ばれた男は吐き気を堪えながら、通信機に叫ぶ。
「――ッ! 聞こえるか! 艦の砲撃でこちらの艦を撃て! これは残しておいてはならないっ!」
『しかし――!! それではお前がッ!!』
「いいから撃てっ!! これ以上の被害を増やしたいのかっ!! 貴様の役目は何だっ!? 俺を護ることかっ! そうではないはずだろう!?」
男の悲痛な叫び。
その言葉を聞いた通信機越しの向こうに居る者は、少々躊躇ったものの、決断を下す。
『……クロノと、リンディさんの事は任せてくれ、親友よ』
「あぁ、頼むよ……親友よ」
光が後方から迫ってくる。時空航空艦から放たれる一撃、これを受ければ、目の前の其れも一溜まりもないだろう。その事を確認し、ホッとする一方で、男にも心残りは当然ある。
「……リンディ、クロノ。すまない――」
そして、男と其れは同時に光に巻き込まれ、消え去った。
これは、白い魔法少女が魔法を手に入れる前の話。
悪魔の力を持った男が、世界に現れる前の話。
そして、世界に混在する悲劇の一幕。
デビルサバイバー×リリカルなのは。
リリカルなのはAs編始まります―――。
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Prologue
プロローグという事で少々短いです。