No.465766

ソードアート・オンライン―大太刀の十字騎士―

ユウさん

第六話
ヒナが血盟騎士団に誘われます

2012-08-06 00:04:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2345   閲覧ユーザー数:2191

ゲームが始まってから一ヶ月と少し。

死者は二千人以上に上った。

 

一ヶ月でここま行くとは。

 

で、私はキリト君と最前線の迷宮を探索し終えて、街に帰っていた。

 

それにしても、数ヶ月で女でいることに抵抗なくなってきたなんて、私は女になることを望んでたにかな?

って、んな分けないだろ。なに考えてんだ私は。

 

普段、私たちはソロでやっているんだが、こうしてたまにパーティーを組むことがある。

 

レベルには問題ない、防具それなりに強いのだが、ソロ狩りは危険がパーティー狩りの数倍はある。

 

なので、こうしてたまにパーティーを組んで、安全(と、いっても、絶対の安全なんてないんだが)を確保してレベル上げをしたりしている。

 

べ、別に、私が寂しいからとかじゃないからね!

 

だって、ルーフェルがいるし。

 

あ、ルーフェルってのは私の作った、AIね。

 

「なあ、ヒナ」

「何?キリト君」

 

 私が心の中で無駄な言い訳をしていると、キリト君が話しかけてくる。

 

「お前はギルドとか入らないのか?俺と違って、人付き合い良いし、そっちの方が安全だろ」

「うーん、そうなんだけど。そんなにギルドがないじゃん。いいギルドがないんだよね」

 

 今あるギルドはなんか、攻略目指してるってより、仲間で集まって生き残ろう、みたいのばっかなんだよね。

 

「そっか」

「それに、キリト君をほっとけないしね」

「いいよ、俺は大丈夫だから」

「そう、なら考えよっかな」

 

 そんな話をしていると、街に着く。

 

 私たちは拠点にしている街が違うので、そこで別れる。

 

 私は基本的に、最前線の迷宮区でレベル上げをしているので、最前線の宿屋に泊まっているんだが、最近ちょっとずつ貯めていたお金でホームハウスを買おうかと考えている。

 

 私がキリト君と別れて、宿屋に向かおうとすると、いきなり肩を掴まれた。

 

「すまない、少し時間を頂けないかな」

「え?私ですか?」

 

 そう言って振り返るとそこには、二十代ぐらいの男性が立っていた。

 

 初めてあった筈だが、その男性のことを知っている気がした。

 

 しかしそれは、疑惑から確信へすぐに変わる。

 

 男性が纏っているオーラ、雰囲気がある男と同じで、しかも、ルーフェルが送られてきたデータに、プレーヤーでは有り得ない情報があったからだ。

 

 その男の名前は――

 

「茅場さん」

 

 私が、男性プレーヤーの本名であろう名前を呟くと、男性は眉を少し動かす。

 

 どうやら、当たりのようだ。

 

「まさか、一目でバレるとわね。ここでは人目が多い、移動しよう」

「はい」

 

 そう言って茅場さんは、歩いていく。

 

 それに私もついて行く。

 

 そして、茅場さんについていって数分、着いたのは私の泊まる気でいた宿屋だった。

 

 そして茅場さんはその一室を借りて、その部屋に向かっていく。

 

「なんで宿屋ですか?」

 

 私が歩きながら質問すると、茅場さんはすぐ答えた。

 

「宿屋なら、他に聞かれないし、君が帰る手間が省けるだろう」

「私がここに泊まってるって、知ってたんですか」

「君を探しているときに、たまたまこの宿に入るのを見つけただけだ」

 

 それでも怖いわ。

 

 そんな話をしている間に、部屋に着いたようだ。

 

「ああ、この部屋は君が泊まってくれよ。私からの奢りだ」

 

 そう言いながら茅場さんは、部屋にあった椅子に腰掛けた。

 

 というか、宿代を奢る人なんてはじめて聞いたよ。

 

「で、私に何の用ですか?」

 

 私がそう切り出すと、茅場さんは用件を簡潔に告げた。

 

「私はこれからギルドを作ろうと思う。君にはそのギルドに入ってもらいたい」

 

 茅場さんのギルドか、ちょうどギルドに入ろうと思っていたところだ、いいだろう。

 

「わかりました。入ります」

 

 私が即答すると、茅場さんは驚く。

 

 どうやって説得しようとか考えてたんだろうなぁ。

 思いっきり無駄にしちゃったな。

 

「そうか、なら君は今日から私のギルドの一員だ。よろしく頼もう」

「はい。よろしくお願いします。それより、ギルドのメンバーは集まってるんですか?」

「ああ、君のほかに数人だがな」

 

少数精鋭かな。

 

「で、ギルド名は?」

 

 私が聞くと、茅場さんは一つ間を置いて答える。

 

「ギルド名は――

 

『血盟騎士団』だ」


 
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