No.465276

真・恋姫†無双 異伝 「伏龍は再び天高く舞う」外史編ノ二十四

 お待たせしました!

 今回は前回の続きで待ち伏せしようとしていた

 袁術軍に孫策・呂布無双が炸裂します!!

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2012-08-05 08:13:27 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:9614   閲覧ユーザー数:7285

 

 知らせを受けてそちらを見た張勲が目にした物は、『孫』と『呂』の

 

 旗印であった。

 

 そしてそこにいたのは…。

 

「お久しぶりね、張勲。いろいろ小細工をかましてくれたみたいだけど、

 

 もう終わりかしら?なら、今度は私達の番ね」

 

「…月の敵は殺す」

 

 孫策と呂布だった。

 

 二人の登場に袁術軍にはもはや戦意など欠片も残っていなかったのだが…。

 

「ひぃーーーーーーーーっ!!迎撃じゃ、あいつらを討つのじゃ!!」

 

 袁術が無謀でしかない命令を発した為、やむを得ず迎撃態勢を取らざるを

 

 得なかった。

 

「あらあら、ご愁傷様。馬鹿な主君を持つと大変よね~。…でも、剣を向けた

 

 以上こっちも手加減は無いわよ」

 

「…お前達は死ね」

 

 二人はそう言うと一直線に袁術軍に突っ込む。

 

 そこから始まったのはもはや一方的な殺戮劇でしかなかった。

 

「はははははははは!死になさい、死んでしまいなさい!!あはははははは!!」

 

 孫策は笑いながら目の前の敵を斬り殺し。

 

「…………………」

 

 呂布は無言で目の前の敵を斬り殺していく。

 

 有様に違いはあれど、返り血で真っ赤に染まりながらも目の前の敵を斬り殺すその姿

 

 は袁術軍の者達には、もはや恐怖の対象でしかない。

 

 中には果敢にも矢で射かける者もいたが、

 

「あはは!そんな矢で私は殺せないわよ!!」

 

「……全然届かない」

 

 二人はあっさり弾き返し、哀れその兵士は一撃で脳天を真っ二つにされた。

 

 二人のその姿に従軍してきた兵士達も近づく事が出来なかったが、陳宮と周瑜の

 

 指揮により、徐々に袁術軍に対する囲みを強めていった。

 

 そしてそれから数刻の間、戦場から聞こえるのは…。

 

「ぎゃああああああああ!!」

 

「助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「死にたくねぇ、死にたくねぇよぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 袁術軍の兵士の断末魔の叫びと。

 

「あはははははははははは!!」

 

 孫策の笑い声と。

 

「……死ね」

 

 呂布の消え入りそうな呟きだけであった。

 

 

 

「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、こんなのと戦いたくないぃぃぃぃぃ!!」

 

「逃げろ、逃げろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 二人の人間離れした強さに元々戦意のほとんど無かった袁術軍の兵士達は我先にと

 

 逃げ出す。しかし、逃げた先には、

 

「袁術軍を討ち取れ!!我々が受けた屈辱を何倍にもして返してやるんだ!!」

 

 戦場に駆けつけた孫権が待ち受けていた。

 

「どうするのじゃ七乃ーーーーーー!!どこにも逃げれんではないか!!」

 

 袁術は張勲に泣きつくが、

 

「まさか…ここまでとは」

 

 張勲にはそれを慰める余裕すら既に無かった。

 

 そうこうしているうちに、三万はいたはずの袁術軍で残っているのは袁術・張勲の

 

 親衛隊およそ百数十のみとなった。

 

「さあ袁術ちゃん、この世へのお別れは済んだかしら?」

 

「…お前達で終わり」

 

 孫策と呂布は禍々しいと表現出来る位に発せられた殺気を身に纏い、静かに袁術達に近づく。

 

 その殺気に袁術達の周りの兵は完全に押されていた。

 

「もはやここまでですね。美羽様、ここは私が食い止めますのでお逃げください」

 

 そう言うと張勲は剣を構えて孫策達の前に立つ。

 

「あら、張勲一人で私達とやろうっていうの?あはは、無謀ね。まさか袁術ちゃんが逃げる

 

 為の時間稼ぎとかいうつもりかしら?」

 

「……無駄」

 

「確かに無謀で無駄かもしれません。でも、私だって命をかけて守りたいものがあるんです」

 

 張勲はそう言い放つ。

 

「へぇ、ご立派ご立派。まさかあんたからそんな殊勝な言葉が聞けるなんてね~。でもその

 

 想いをもう少し他の方へ向けられたらもっと良かったのにね」

 

 孫策はそんな張勲を冷ややかに見つめる。

 

「……もう終わりでいい?」

 

 呂布は興味無さげに聞く。

 

 

 

「ま、こんな所で時間かけててもしょうがないし、サクッと死んでもらうわよ」

 

「な、七乃…」

 

「お嬢様はお早くお逃げください!皆、私の事は構わず袁術様を連れて逃げて

 

 ください!!」

 

「張勲様、逃げるって何処に…?」

 

「袁紹様なら保護してくれるはずです!早く!!」

 

 張勲のその言葉に残っていた兵の半分が袁術を抱えて逃げ始める。

 

「一人なんて嫌じゃ、七乃ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~……」

 

 泣き叫ぶ袁術の張勲を呼ぶ声が遠ざかっていく。

 

「逃がすと思ってるの?」

 

 孫策は袁術の後を追おうとするが、

 

「追わせません!」

 

 張勲は渾身の力を込めて孫策に斬りかかる。

 

「おっと、危ない。へぇ~本気なんだ、張勲」

 

「当たり前です。袁術様を討ちたいのならまずは私の首を取ってからです」

 

 張勲の言葉に賛同するように残った袁術軍の兵は武器を構える。

 

「あらあら、さすがにここまで残っただけあって忠誠心に溢れているわね~。それじゃ

 

 仲良く死になさい!!」

 

「…すぐ終わる」

 

 孫策と呂布は張勲達に斬りかかる。張勲達も必死に戦おうとするが、二人に勝てる

 

 わけはなく、次々に死んでいく。しかし皆…。

 

「張勲様はやらせん!!……ぐはぁっ!!」

 

「張勲様、今からでも遅くありません!ここは我々が食い止めますから、あなた様も早く

 

 お逃げください…ぐふっ」

 

 孫策か呂布が張勲を斬ろうとすると身を挺してそれを防ぎ、その命を散らしていく。

 

 

 

「皆さん、何で…」

 

「我々はこれでも先祖代々袁家に仕えてきた者、主君にとって大事なものが何か位は

 

 わかっているつもりです。袁術様には張勲様が必要なのです。ですからあなたは

 

 お早く!!」

 

 親衛隊の隊長は張勲にそう言うと孫策達の方へ剣を向ける。

 

「随分ご立派な事言ってるけど、あんた達みたいなのがいたって石ころ程も邪魔には

 

 ならないわよ」

 

「戦うだけ無駄…あきらめろ」

 

 孫策と呂布は冷ややかに言い捨てると再び攻撃を仕掛け、残った兵士達の命を次から

 

 次へと刈り取っていく。

 

「確かに我々のような惰弱な者では相手にもならないでしょう。しかし、我々とてただ

 

 では逝かぬ!…俺がここを食い止めるからお前達は張勲様を連れて逃げろ!!」

 

 親衛隊の隊長が部下にそう告げると兵達は張勲を引きずるように連れて行く。

 

「何故私をそんなに…」

 

 張勲の声が遠ざかると同時に孫策達が近づいてくる。

 

「随分感動的な言葉ね。その言葉に免じてちょっとだけ待ってあげたわよ。まあ、

 

 あんたを殺したらすぐに追いかけて殺すけどね」

 

「ふん、随分余裕だな。しかしそれが命取りだ!!」

 

 親衛隊の隊長はそう言うと隠し持っていた火薬に火をつけた。

 

「火薬!?皆、退避…」

 

「遅いわ!!」

 

 ドカーーーーーーーーン!!

 

 孫策達が退避する間も無く火薬が爆発する。

 

(これで少しは足止めに…お慕い申しておりました、張勲様…

 

 どうかいつまでも息災で…)

 

 そんな想いと共に親衛隊隊長の体は木端微塵に吹き飛んでいった。

 

 

 

「大丈夫か、雪蓮!?」

 

 爆発音を聞いた周瑜が慌てて駆けつけて来る。

 

「何とかね…くっ、まさか火薬を隠し持ってるなんて」

 

 孫策は何とかその場から這い出して来たが、体中傷だらけになっていた。

 

「……逃げられた」

 

 続いて呂布も出て来る。彼女も全身にかすり傷を負っているがとりあえずは

 

 無事のようだ。

 

「くっ、動ける部隊は追撃を!袁術はともかく、張勲はまだそんなに遠くへは

 

 行っていないはずだ!」

 

 周瑜の指示により兵士達が散開する。

 

「姉様、ご無事ですか!!」

 

「恋殿~、大丈夫ですか!!」

 

 遅れて孫権と陳宮が駆けつけて来た。

 

「私達は大丈夫、それより蓮華も部隊を追撃させなさい」

 

「ねねも…敵を追いかける」

 

「わかりました!」

 

「了解したのです!皆、袁術と張勲を追いつめるのです!!」

 

 ・・・・・・・・

 

「で、結局逃げられたわけね」

 

「申し訳ありません。張勲は後一歩の所まで追いつめたのですが、我々に捕まるのを恐れたか、

 

 谷へ飛び込んでしまい…」

 

 甘寧が孫策に事の顛末を報告していた。

 

「少し詰めが甘かったかしらね、お喋りなんてしてないでさっさと殺しとくべき

 

 だったわ」

 

 孫策はそう言ってため息をついた。

 

「…仕方ない、まさかあそこで火薬が出てくるとは誰も思わなかった」

 

 

 

「呂布殿の言う通りだな。いくら袁家とはいえ、貴重な火薬をしかもあれだけの量

 

 を持っているなど誰も想像できん」

 

 周瑜もため息をついてから言葉を続ける。

 

「それよりもこれからどうするかだ。袁術軍が崩壊した以上、我々の敵は連合本隊

 

 のみ。最終的にはそこを叩く事になるのだろうが…」

 

「最終的になどと言わずすぐに汜水関へ向かうのです!今の勢いを以てすれば烏合

 

 の衆である連合を叩くなど雑作もない事です!」

 

 陳宮はそう主張するが、

 

「いくら烏合の衆とはいえ、袁紹の軍は数は多いし、曹操や公孫賛の軍は精強をもって

 

 知られているわ。考え無しに突っ込むのは得策ではないわね」

 

 孫策が反対意見を述べる。

 

「ほお、雪蓮がそう言うとは珍しいな。てっきりお前も陳宮殿と一緒にすぐさま攻撃

 

 するのを主張するのかと思っていたが」

 

「…ぶう、私を何だと思ってるのよ」

 

「では、周瑜殿はどうされるおつもりなのですか?」

 

 陳宮は周瑜に問いかける。

 

「それはもう一人の軍師が到着してからだな」

 

「もう一人って『申し上げます!北郷軍が到着しました』…何と!?もう南陽を陥落

 

 させたのですか?」

 

 

 

 時間は少し遡る。一刀達は孫策の援軍として向かった孫権達を送り出した後、紀霊が

 

 籠る南陽を取り囲んでいた。

 

「さて、どうする朱里?孫権さん達を当てに出来なくなった分、囲みが緩くなって

 

 しまったけど?」

 

「大丈夫です。私達だけで攻め落とす事は可能ですので」

 

「しかし、あっちは完全に門を閉めて閉じこもっているぞ?」

 

「もうすぐ向こうから開きますのでお待ちください」

 

「向こうからって『申し上げます!南陽の城門が開いていきます!』…本当だ」

 

「それでは参りましょう、ご主人様」

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 そして南陽に入城した俺達を待っていたのは、

 

「ようこそお越しくださいました!北郷様!!」

 

「あの袁術より解放してくださりましてありがとうございます!!」

 

「新しき太守、北郷様万歳!!」

 

 南陽の領民達であった。

 

「これは一体…」

 

「事前に領民の人達に私達が南陽を取り囲んだら城内を制圧してもらうように

 

 お願いしていたのです。中に何人か我が軍の兵も紛れ込ませました。領民は

 

 皆、袁術の悪政にうんざりしていたようですし、思いのほかうまくいきました」

 

 既に朱里が根回し済という事か。

 

「でも紀霊がいたんじゃ…」

 

「領民が皆、敵になった途端に袁術軍の兵も逃げたり降伏したり何人かは領民側に

 

 味方したりしたので、支えきれなくなった紀霊さんは自害して果てていたそうです」

 

「そうか…朱里、紀霊の事は」

 

「わかっています。ちゃんと埋葬するように指示してあります」

 

「ところで領民の人の中に俺の事『新しき太守』とか言ってる人達がいたけど…」

 

「潜り込ませた兵士さん達に『袁術軍を追い出した暁には北郷様が南陽の新しき

 

 太守に任ぜられる』と領民の中に広めるようにと言ったもので…」

 

「でも、そんなの勝手に決めれるわけ…」

 

「実は董卓様から『事がなった暁には褒美として南陽郡を北郷一刀に与える』との

 

 お言葉を既に頂いてますので、嘘ではないんです」

 

「…マジですか」

 

 ともあれ、こうして俺達は南陽を陥落させた。そして…。

 

「それでは、これより孫策殿達と合流し、汜水関の人達と呼応して、反董卓連合を討つ!!

 

 皆、連戦で疲れているだろうが、これで最後だ!!各自、一層奮励努力せよ!!」

 

『応っ!!』

 

 遂に戦は佳境を迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

                              続く(予定で進みます)

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 今回、孫策・呂布無双などと銘打って始めたはいいですが、思った以上に

 

 うまく書けてない…。これからも精進せねば…。

 

 一応次回からようやく反董卓連合本隊との戦いになります。

 

 もはや連合の意味を成してないような状態ではありますが、駄名族の悪あがきがある

 

 かもしれないので、もう少しお付き合いください。

 

 

 

 

 

 

 それでは次回、外史編ノ二十五でお会いいたしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 追伸 一応言っておきますが、七乃は死んでません。しばらく登場はないですが。

 

    ちなみに火薬は本来この時代には無いものですが、原作の中で貴重ではあるが

 

    存在しているという描写があったので使わせてもらいました。

 


 
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