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真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第46話

葉月さん

どうも~第46話を投稿した気になっていた葉月です。
一週間も経って気が付くってどうなんでしょうね?

さて、今回は優未・美羽・七乃を仲間に加えた一刀たち一行の珍道中になります。
さてさて、どんなドタバタになっているのでしょうか……

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2012-08-05 01:11:07 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:7057   閲覧ユーザー数:5005

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第46話

 

 

 

 

【道中、馬上にて、その1】

 

 

 

《愛紗視点》

 

優未殿が一時的にご主人様の客将になり十日が過ぎた。

 

「主様の馬に乗るのは妾なのじゃっ!」

 

「なんでそうなるの!そこは私の場所なんだから!惨敗袁家はお呼びじゃないんだよ!」

 

軍行も順調に進み、明日の昼ごろには楽成城に着くだろう。

 

「なんじゃとっ!?七乃っ!この無礼者を始末するのじゃっ!」

 

「それは無理ですぅ。私がやられちゃいますよぉ」

 

「無礼はどっちかな?私が大人しいうちに早く降りることね」

 

……

 

「ぴぃーーーっ!主様っ!あ奴が苛めるのじゃっ!助けてたも」

 

「あーーーっ!なにどさくさに紛れて一刀君に抱きついてるのよっ!もう許さないんだからねっ!」

 

「う、うるさーーーーーーーーっ!!」

 

あたり一面に私の叫びが響き渡った。

 

「「っ!!」」

 

「お前達っ!少しは静かにしろ!」

 

言い争いをする優未殿と美羽に注意をする。

 

「第一、二人にはちゃんと馬があるだろっ!なぜ自分の馬に乗らないっ!」

 

「お尻が痛くて嫌なのじゃ。主様の膝の上なら痛くならないのじゃ」

 

「久々に会った一刀君と親睦を深めようと思ってっ!」

 

ああ、頭が痛くなってくる……

 

「ご主人様に迷惑であろう。そうですよね、ご主人様」

 

「え?あ、うん。そう、かな?」

 

「ご主人様っ!もう少ししっかりしてください。これでは、他のものに示しがっ」

 

曖昧な返事をするご主人様に注意をする。

 

「まあ良いではないか愛紗よ」

 

二人に注意をしていると、星が話しかけてきた。

 

「星。しかしだな……」

 

「それに、口うるさく言っていると、あの二人にヤキモチを焼いているように見えるぞ」

 

「なっ!なぜそうなる!私は、ご主人様に迷惑が掛かると思いそれでっ!そうですよね、桃香様!」

 

「いいな~。私もご主人様の膝に座りたいな……」

 

桃香様はじっとご主人様の膝を見て羨ましそうにしていた。

 

「桃香様っ!」

 

「えっ!?あ、う、うん!私もそう思うよっ!……それで、何の話だっけ?」

 

「桃香様……」

 

桃香様の天然ぷりに私は肩を落とすしかなかった。

 

はぁ、だれかこの場を収められるものは居ないのか……

 

「あらあら、こんなに賑やかにして何かあったのですか?」

 

「あっ!菫さん!」

 

騒ぎに気が付いたのか菫がいつもの笑顔で現れた。

 

そうだ、菫ならこの場を治めてくれるのでは?

 

「実はな……」

 

私は菫に事の起こりを話し始めた。

 

………………

 

…………

 

……

 

「なるほど、美羽ちゃんがご主人様の膝の上で甘えたく駄々をこねたのですね。そして、優未さんはご主人様ともっとお近づくになりたいと」

 

「だ、大分説明と違うが、ま、まあ、そんなところだ」

 

菫の脚色に戸惑いながらも頷いた。

 

「そうですね……」

 

顎に手を当てて考える菫。

 

「では、皆さんが不公平にならないように順番にご主人様の馬に乗ればよろしいのではないでしょうか?」

 

「……は?」

 

菫の提案に私は意味が理解できず首を傾げてしまった。

 

い、今、菫はなんと言ったんだ?

 

「す、すまない、もう一度言ってはくれないか?」

 

「かまいませんよ。皆さんが不公平にならないように順番にご主人様の馬に乗ればよろしいのではないでしょうか?と提案いたしました」

 

笑顔で答える菫に私は頭が痛くなった。

 

しまった……菫は私たちより歳は上だが、偶に子供のような考えをするのだった……

 

「あっ!それいいね!私、賛成っ!」

 

優未殿は手を上げて菫の意見に賛同してしまった。

 

「妾もなのじゃっ!確かに、独り占めは良くないのじゃ。ここは皆で順番に座るのじゃ」

 

「きゃ~、お嬢様。自分の事しか考えてないと思ってましたけどちゃんと皆さんの事考えてたんですね~。見直しました~」

 

「そうじゃろ、そうじゃろ!うはははははっ!ん?何か気になる言い方をしたような気がしたのじゃが……まあ、良いじゃろ。うはははははっ!」

 

見直したと言う事は、今までは……考えるのはよそう。

 

「ご主人様はお前たちの玩具ではないのだぞっ!」

 

「は~い。口煩い愛紗は放って置いて」

 

「なっ!」

 

「一刀君の馬に乗りたい人、挙手!」

 

優未殿は私の意見を無視して話を進めた。

 

(ばっ!)

 

次々にあがる手。鈴々、朱里、雛里、他にも手を上げている者が沢山居た。そして、その中に……

 

「と、桃香様まで」

 

「あっ、え、えへへ……だって、私もご主人様と一緒に馬に乗りたかったから」

 

桃香様は頬を赤く染めていた。

 

「恋殿、考えを改めてくださいっ!あんな男の馬に乗るのは危険ですぞ」

 

「……ご主人様、良い人。恋もご主人様の馬に乗りたい」

 

「恋殿~~~~~~~っ!!」

 

「私も遠慮しておきますね~。私はお嬢様一筋ですから」

 

「え~っと、それじゃ、愛紗、ねね、七乃以外でいいのかな?」

 

「……っ」

 

「はいはいは~い!優未さん、愛紗ちゃんもで~す♪」

 

静かにそして遠慮しがちに上げた手を見て桃香様は大きな声で伝えてしまった。

 

「なんだ。結局、愛紗も一刀君の馬に乗りたいんじゃん」

 

「~~~っ!」

 

優未の言葉に顔を赤くしてしまった。

 

「えっと……一、二、三……十五人だね。それじゃ、一人半刻でいいかな?」

 

優未殿の下、話はどんどんと決まっていった。

 

「それじゃ、まず一番最初は……」

 

《優未視点》

 

「えへへ。よろしくね一刀君♪」

 

提案者ってことで、私が一番最初って事にしようとしたんだけど、皆が文句を言ってきたから、一刀君に良い案が無いかを聞いたら、『あみだくじ』?で決めたらどうだって言われた。

 

それで、その『あみだくじ』のやり方を聞いて順番を決めたら、私が一番最初に決定したってわけ。

 

「まあ、少しは俺の意見も聞いて欲しかったんだけどな」

 

「な~に?一刀君は私たち女の子とは馬に乗れないって言いたいのかな?」

 

「そう言うわけじゃないけどさ」

 

「なら、文句言わないのっ!これも役得だと思わないとね♪」

 

「やれやれ……よっとっ!」

 

笑顔で手を差し出すと、一刀君に苦笑いを浮かべながら馬の上に引き上げてくれた。

 

「えへへ♪やっと二人きりになれたね一刀君♪」

 

首に両腕を回して見上げる形で一刀君に話しかける。

 

「い、いや。あの……」

 

顔を赤くして戸惑う一刀君。ふふふ、可愛いっ!

 

「ごほんっ!誰が二人きりだ、我々も居るのだぞ、少しは節度を持って頂きたい、優未殿」

 

「ぶー!折角、二人っきりの気分を堪能してたのに、愛紗って空気読めないよね~」

 

「なっ!」

 

「それとも~……一番最後だったから不満なのかな?」

 

「そ、そんなことあるわけが無いだろう!何を馬鹿なことをっ!」

 

否定する愛紗だけど、嘘がばればれ♪そんな顔されたら誰だってそう思うよ。

 

「ごめんな、愛紗」

 

「いえっ!ご、ご主人様が謝ることではっ!」

 

「いや、俺があみだクジなんて言わなければこんな事になることは無かったんだし」

 

「それこそ、ご主人様が謝ることではありません。皆が同意して決めたことなのですから」

 

「そうそう。だから、一刀君は私に集中っ!わかった?」

 

無理やりに一刀君の視線を私に戻す。

 

「り、了解しました」

 

「よろしい♪」

 

一刀君の返答に満足した私は一刀君に寄りかかった。

 

「一刀君あったか~い」

 

「そうか?」

 

「うん。ねえねえ、ギュってして欲しいな」

 

「流石に馬を操りながらそれは無理だよ」

 

「そっか……ざんね~ん」

 

抱きついて貰えなかった事に肩を落とす。まあ、仕方ないか。馬に乗ってるんだもんね。

 

「……これで我慢してくれるかな?」

 

「え?わわっ!」

 

突然片手を手綱から離した一刀君はその手を私の腰に回して抱き寄せてきた。

 

「両手は無理だけど、片手ならね」

 

「……」

 

「優未?」

 

「そ……」

 

「そ?」

 

「そんなことされちゃうと惚れちゃう~。いやいや!惚れ直しちゃったよ~♪」

 

私は一刀君に抱き寄せられたままの状態で逆に一刀君を両手でギュッと抱きしめた。

 

「わぷっ!ち、ちょっと、優未!?」

 

「えへへ~♪」

 

慌てる一刀君を無視して胸をスリスリする。

 

「いいな~。優未さん、私もご主人様にスリスリしたいな」

 

指を咥えて羨ましそうにする桃香。ふふん、いいだろ~♪

 

こうして半刻の間、私は一刀君を堪能して馬から降りた。

 

《美羽視点》

 

「やっと妾の番なのじゃっ!」

 

太史慈の番が終わり、妾は主様の下へと向かった。

 

「主様、よろしくお願いするのじゃ!」

 

両手を上げて主様に手を引いて貰うのを待つ。

 

「それじゃ、持ち上げるぞ……っと!」

 

「ぬはははっ!高いのじゃ、高いのじゃっ!」

 

遠くまで見える視界に妾はとても気分が良くなったのじゃ。

 

「にょわっ!」

 

「おっと!大丈夫か美羽?」

 

「う、うむ。大丈夫なのじゃ。ありがとうなのじゃ、主様」

 

馬の上ではしゃいでいた妾は体勢を崩して落ちそうになってしまったのじゃ。じゃが、主様が妾を抱き寄せてくれたおかげで、落馬しなくて済んだのじゃ。

 

「主様、主様」

 

「ん?どうした?」

 

「どこに向かって居るのじゃ?」

 

「楽成城ってお城に向かってるんだよ」

 

「そこに行ってどうするのじゃ?」

 

「成都に行く為に通して貰うんだよ」

 

「通してもらえなかったらどうするのじゃ?」

 

「そうしたら……戦うしかないね」

 

主様は悲しい顔をしながら妾に笑いかけてきたのじゃ。その顔を見て妾はなんだか悲しくなってきてしまったのじゃ。

 

「……」

 

(なでなで)

 

「美羽?」

 

妾が主様の頭を撫でてあげると、主様は驚いた表情で妾を見てきたのじゃ。

 

「べ、別に妾はどうでもよいのじゃが、主様が悲しい顔をすると。皆が悲しくなると思ったから励ましてるだけじゃぞ」

 

何故か分からぬが、思わず否定してしまったのじゃ。

 

「ありがとう、美羽」

 

(なでなで)

 

「な、何をするのじゃ、主様」

 

「え?頭を撫でたんだけど」

 

「わ、妾は子供じゃないのじゃ!あ、頭を撫でられても嬉しくもなんともないのじゃ!」

 

本当は頭を撫でられてとても嬉しいのじゃ。でも、言いたいことと逆の事を言ってしまう。なぜなのじゃっ!

 

「ごめんごめん。嫌だったよな」

 

「あ、いや……その、なんじゃ。な、撫でたいのであれば、お願いすれば、撫でさせないこともないぞ?」

 

ぬおおおおっ!わ、妾は何を言っておるのじゃっ!これでは撫でて欲しいと言っていると同じではないか!先ほどの言葉とまったく逆ではないか!

 

自分の発言に転げまわりたくなるのじゃ。

 

「あぁあ~、恥ずかしさで顔を赤くするお嬢様、可愛いですぅ~。はぁ、はぁ」

 

「な、七乃!何を想像しておるのじゃ!」

 

「いえ~。決してお嬢様を嘗め回したいとか、あれやこれやナニをしたいとか考えていませんよ」

 

「そうか、なら良いのじゃ」

 

「はい~♪」

 

七乃は嘘を言わぬからな。問題ないじゃろ。

 

「そ、それで……どうするのじゃ、主様?」

 

「それじゃ、頭を撫でさせてくれるかな?」

 

「う、うむ。そこまで言うのであれば、仕方ないのじゃ」

 

そ、そうじゃ、主様がどうしてもと言うから撫でさせてあげるだけじゃ……べ、別に嬉しくなんかないのじゃ!

 

(なでなで)

 

「~~~~っ」

 

「お嬢様~。顔が赤いですよ~。そんなに嬉しいんですか~?」

 

「な、何を言うのじゃ!わ、妾が頭など撫でられて嬉しいわけがないであろう!主様がお願いするから、撫でさせているだけなのじゃ!」

 

そうなのじゃ、主様が撫でたいと申すから撫でさせているだけなのじゃ……本当じゃぞ!

 

「ふふふっ♪」

 

七乃は妾の考えていることが分かっているのか笑いながら妾を見ておったのじゃ。

 

「~~~っ!い、いつまでここにおるつもりなのじゃ!七乃は妾が呼ぶまであっちに居るのじゃ!」

 

「は~い♪それじゃ、ご主人様。お嬢様の事、よろしくお願いしますね。あ、それとお嬢様においたしちゃダメですよ?」

 

「しないよ、そんなこと」

 

「なら安心ですね。それでは~」

 

七乃は手をひらひらと振り妾の下から離れて行った。

 

「まったく……七乃にも困ったものじゃ……」

 

「きっと、美羽の事が心配なんだよ。良い人じゃないか」

 

「まあ、七乃には色々と世話にはなってはおるが……たまに七乃の目が血走っておる時があるのじゃ。その時は少し怖いのじゃ」

 

「そ、そうなんだ」

 

主様はなぜか苦笑いを浮かべていた。

 

それにしても主様に頭を撫でられるととても気持ちが良いのじゃ、こうウトウト、と……

 

………………

 

…………

 

……

 

「お……さま……み……さま。美羽お嬢様!」

 

誰が呼んでくるかと思えば……七乃ではないか……

 

「うぬ~……うるさいのじゃ、七乃……妾はまだ眠いのじゃ。もう少し寝かせてたも」

 

眠い目をこすり、七乃に伝えると妾はまた眼を閉じたのじゃ。

 

「もう……次は私の番ですから起きてくださいね。えい」

 

(ぽくん)

 

「ぬがっ!い、痛いのじゃ~」

 

《七乃視点》

 

「お嬢様、起きましたか?」

 

「なんだか頭を叩かれたような気がするのじゃ」

 

お嬢様は頭を擦りながら目を覚まされました。

 

う~ん。こういう起こし方も新鮮で良いですねぇ。

 

「気のせいです」

 

「そうなのか?」

 

「はい。私がお嬢様に嘘を吐いたことがありますか?」

 

「そうじゃな、七乃は妾に嘘などつかぬのじゃ」

 

ああん。お嬢様ったら、本当におバカさんで可愛らしいんですから~♪

 

「ささ、お嬢様。もう交代の時間ですよ」

 

「なんじゃと!?さっき変わったばかりではないか!」

 

「それは、お嬢様が頭を撫でられて気持ち良くなり眠ちゃったからじゃないですかぁ。とっくに時間は過ぎているんですよ」

 

「な、なんという事なのじゃ……まったく堪能できなかったのじゃ」

 

「ざんねんですね~」

 

「……あ、あのな、七乃……」

 

「ダメです♪」

 

「まだ何も言ってないでは無いか!」

 

「もう少しご主人様の馬に乗っていたいと言うことは分かりますが。これも決まり事です。諦めてくださいね」

 

「うぅ~、主様~」

 

あぁ~~、涙目になってご主人様に助けをこう美羽様。素敵です~。脳内保存、脳内保存っと♪

 

「えっと……」

 

「はいはい。おりましょうね、お嬢様~」

 

困るご主人様を無視して、お嬢様をご主人様の馬から降ろしちゃいました。てへ♪

 

「む~っ!七乃は意地悪なのじゃ!」

 

「ああ、罵るお嬢様も素敵です♪でも、これはみんなで決めたことなので、諦めてくださいね」

 

「わかったのじゃ!もうよいのじゃ!」

 

お嬢様は口を尖らせてどっかに行ってしまいました。

 

「ちょっとからかい過ぎじゃないか?」

 

「そんなことないですよ~。そんな事より、私を馬に乗せてください、ご主人様」

 

「はいはい……」

 

苦笑いを浮かべてご主人様は私を馬に乗せてくださいました。

 

「でも、自分の時間を削ってまで美羽を乗せてあげるとは思わなかったよ」

 

「こう見えても、私はお嬢様の従者ですからね。まあ、それもお嬢様の温もりを感じるためにですが」

 

「でも、美羽の次になる確率は低いだろ?」

 

「何を言うんですか、ご主人様っ!私がお嬢様と離れる訳がないじゃないですか。どんな手を使ってでも、お嬢様とは離れるつもりはありませんよ」

 

「……それって、あみだクジで不正をしたってこと?」

 

「お嬢様の為です!」

 

「……」

 

「?どうかしましたか、ご主人様」

 

「い、いや。なんていうか……本当に美羽の事が好きなんだなーと思って」

 

「当り前じゃないですか~。お嬢様の事は幼少のころよりずっとお仕えしています。もう、寝る時も、食事の時も、厠に行く時も!片時もはなれませんでした!」

 

「いや、厠の時くらい離れようよ」

 

「何を言っているんですか、ご主人様!羞恥に顔を赤くするお嬢様……~~~っ!ぞくぞくしませんか?」

 

その時のお嬢様の姿を思い出し、全身をゾクゾクっと痺れが走った。

 

「……」

 

「なんですか。人を変態でも見ているような目で見て、失礼ですよ」

 

「何も言ってないだろ?」

 

「言っていなくても、その顔に書いてあります。それに、お言葉を返すようですけど、ご主人様の方がよっぽど変態ですよ」

 

「ええっ!?な、なんで!?」

 

「本当に自覚していないんですね」

 

その驚き具合に本当に自覚していないのだと、半分呆れてしまいました。

 

「いいですか?お嬢様もそうですが、鈴々ちゃんに朱里ちゃん、雛里ちゃん、雪華ちゃん、月ちゃんに詠ちゃんも、最後に蒲公英ちゃんも加えちゃいましょう。ご主人様のお仲間の半分近くは幼女です」

 

「ぶっ!ち、ちょっと待て!誰が幼女だって!?雪華や蒲公英はそこまで幼くないだろ!」

 

「それ以外は幼女だと認めちゃうんですね~」

 

「っ!そ、そんなことないぞ!他の子たちだって成人儀は済ませてるんだから幼女ってことは無いだろ」

 

「まあ、そうですね。幼女は言い過ぎました。ちびっ子に訂正しましょう」

 

「……」

 

「あれ?否定しないんですか?」

 

「いや、まあ……見た目通りだし」

 

「そうですか。では、そんな半分近くもちびっ子が居ると、そう言う趣味なのだと思われても仕方がないと思いませんか?」

 

「うぐっ」

 

笑顔で伝えると、ご主人様は押し黙っちゃいました。少し、からかい過ぎたでしょうか?

 

「まあ、そのおかげで私たちは救われたようなものですから」

 

「いや、ちびっ子だから助けたわけじゃ」

 

「あら?そうなんですか?」

 

「美羽も七乃も悪い人には見えなかったしね。それに、女の子を手にかけるなんて俺には出来ないよ」

 

「っ!」

 

余りにも自然に微笑む顔と答えた一言に不意をつかれた私は思わず胸がキュンっとしてしまいました。

 

「ご主人様、それわざとですか?」

 

「え?なんのこと?」

 

どうやら、わざとではないようですね。なるほど、こうやってみなさんをたらしこんだんですね。

 

「いいえ。こちらの話ですので気にしないでください。それよりも、守ってもらいたいことがあります」

 

「な、なに?」

 

真剣な表情で話すとご主人様は少し身構えました。

 

「お嬢様を襲ってはダメですよ。お嬢様を襲っていいのは私だけですから♪」

 

「……へ?」

 

「ご主人様?どうかしましたか~?」

 

目を丸くして固まるご主人様。その目の前で手をひらひらと振る。

 

「あ、いや。ちょっとびっくりして……じゃなくて!俺は襲ったりなんかしないぞ!?」

 

「ああ、そうでしたか。なら安心ですね」

 

「……もしかして、襲ったのか?」

 

「興味津々ですか?でも、秘密です♪」

 

ご主人様もお嬢様と同じでからかいやすいですね~。

 

私は交代するまでこうしてご主人様をからかっていました。

 

《翠視点》

 

「お、おう……よろしく頼むぞ、ご主人様」

 

七乃の番が終わり、等々(あたし)の番がきちまった。

 

「ああ、翠ほど上手くはないけど、がんばるよ。はい」

 

「あ、ああ……」

 

ご主人様は笑顔で(あたし)に手を差し出してきた。

 

その手に(あたし)は掴まり、馬の背中に乗った。

 

「~~~~っ」

 

「ん?どうかしたのか?」

 

「い、いや!なんでもないぞ!ただ、いつもは自分で馬を操ってるから少し違和感があるだけだ」

 

「ははは、まあ、そうだよな」

 

「あ、ああ、そうなんだよ。あは、あはははは」

 

あ~っ!なんで(あたし)だけこんなに緊張してるんだよ!ご主人様は緊張とかしてないのか!?

 

「そりゃ、お姉様が男に免疫無いからでしょ」

 

「我が娘ながら恥ずかしい限りですね」

 

なぜか、蒲公英と母様に考えていたことがわかってしまっていた。

 

「なっ!な、なんでわかったんだよ!」

 

「だって、声に出してたし。ねえ、おば様」

 

「ええ。

 

母様に同意を求める蒲公英。それに笑顔で答える母様。ってことは……

 

「ご主人様も聞いてた、のか?」

 

「えっと……」

 

「○△☆□っ!」

 

もうその反応だけで分かった。ご主人様も聞いていたってことに。

 

「……降りる」

 

「え?」

 

(あたし)は降りるぞ!あ、あんなことを聞かれてここに居られるわけないじゃないか!」

 

「ちょ!お姉様!?」

 

「あらあら、自ら好機を逃すなんて、馬一族として恥ずかしいですね」

 

「べ、別に(あたし)はご主人様の事なんてこれっぽちも……ごにょごにょ」

 

「はぁ、もうお姉様ったら……ねえねえ、ご主人様?」

 

「え?な、なに?」

 

「ご主人様は緊張とかしてないの?」

 

「そ、そんな訳無いだろ?緊張しっぱなしだよ」

 

「え?」

 

蒲公英の質問に答えるご主人様に(あたし)は動きを止めた。

 

な、なんだ、ご主人様も緊張してたのか。

 

それが分かっただけで少し緊張が取れたような気がした。

 

「な、なんだよ、ご主人様。それならそうと言ってくれよ」

 

「あはは、ごめん。そこまで気が回らなくて」

 

「そ、そうか。なら仕方ないよな」

 

「……」

 

「……」

 

「な、なんだよ。母様に蒲公英もニヤニヤ笑って」

 

「べっつに~♪ねぇ、おば様♪」

 

「ええ。なんでもありませんよ……ふふ」

 

「~~~っ!よ、用が無いならあっちに行ってろよ!」

 

「あらあら、どうやら(わたくし)たちはお邪魔のようですね。では、参りましょうか、蒲公英」

 

「は~い。それじゃ、お姉さま、がんばってね~」

 

母様と蒲公英は笑いながら(あたし)とご主人様から離れて行った。

 

「まったく……母様と蒲公英ときたら……」

 

「はは、親子の仲が良いのは良いことだよ」

 

「そりゃ、そうだけどよ……」

 

母様と蒲公英のおかげで少しは緊張が解けたかな。

 

「そうだ、翠に聞きたいことがあったんだ」

 

「っ!お、おう。なんだ?」

 

「成都について、落ち着いたらで良いんだけど。一緒に遠乗りにでも行かないか?」

 

「おっ!いいなそれ……ん?」

 

あれ?これって……あ、逢引きか!?だ、だってそうだよな。二人で遠乗りなんてそうとしか……あわわわっ!ど、どうすりゃいいんだ!?

 

はっ!も、もしかして、人気の無い森で……

 

『翠、いいだろ?』

 

『な、何考えてるんだよ、ご主人様!』

 

『もう我慢出来ないんだ……』

 

『そ、そんなこと言われてもよ……』

 

『ダメか?』

 

『うぅ……そんな目で見られたらダメだなんて言えないじゃないか』

 

『翠ならそう言ってくれると思ったよ』

 

『は、初めてだから、優しくしてくれよ?』

 

『もちろん。おいで、翠』

 

『ご主人様……』

 

な、なんてことになったらどうするんだよ!

 

「そっか、よかったよ。菫も蒲公英も喜んでくれるといいんだけどな」

 

「そ、そうだな。母様たちも……へ?母様たちも?」

 

「ああ、きっと楽しいぞ」

 

「二人っきりじゃない、のか?」

 

「え?」

 

「あ、いや!なんでもない!そ、そうだな、きっと楽しいだろうな!あははははは……はぁ」

 

何一人で勘違いしてるんだ(あたし)は……でも、ご主人様が勘違いするような言い回しをするのがいけないんだよ。

 

勘違いしたことに恥ずかしくなりつつも、ご主人様の説明不足に少し文句を言っていた。

 

でも、遠乗りか。曹操に西涼を負われてから、遠乗りに行く余裕なんて無かったからな……こればっかりはご主人様に感謝しなくちゃな。

 

「ご主人様、ありがとうな」

 

「ん?どういたしました」

 

ご主人様にお礼を言うと、微笑みながら言葉を返してくれた。

 

《月視点》

 

「ご主人様、宜しくお願いします」

 

私は馬の上に居るご主人様にお辞儀をする。

 

「ちょっと、少しでも月に変なことしたら許さないんだからね」

 

私の横では詠ちゃんが腕を組んでご主人様の事を睨んでいました。

 

もう、詠ちゃんったら……

 

「そんなことしないよ」

 

「ふん。だといいけどね……いい、月。こいつに変なことされたらすぐに助けを呼ぶのよ」

 

詠ちゃんは私に向き直り、両肩に手を置いて話してきました。

 

「もう、ご主人様はそんなことしないよ、詠ちゃん」

 

「信用できるわけないじゃない。とにかく、用心するのよ」

 

詠ちゃんは少し私に過保護過ぎる気がします。でも、それは詠ちゃんが私の事を心配しての事なので無下にすることはできません。だから……

 

「うん。ありがとう、詠ちゃん」

 

笑顔で詠ちゃんにお礼を言います。

 

「さぁ、月。手を伸ばして」

 

「はい……っ」

 

差し出す手に掴まると一気に馬上の上まで引き上げられました。

 

「へぅ、ご主人様はやっぱりお力がありますね」

 

「そうかな?」

 

「はい。片手で私を持ち上げるなんてすごいです」

 

「はは、月は軽いからね」

 

(なでなで)

 

「へぅ~」

 

ご主人様に頭を撫でられ頬が熱くなってきました。

 

なんだかこうしてご主人様の前に座っていると、ご主人様に抱かれているような気がして少し恥ずかしい。

 

「月、座り心地は大丈夫か?」

 

「あ、はい。大丈夫です」

 

ご主人様は私の事を気遣って話しかけてくれました。

 

「そうでした。ご主人様、ひとつお伺いしたいことがあるんですけどよろしいですか?」

 

「ん?なに?」

 

「実は、以前ご主人様から頂いたお菓子が余りにも美味しかったので、作り方を教えてもらえないかと思いまして」

 

「以前?……あ、ああっ!クッキーの事かな?」

 

ご主人様は少し考えた後、あの時の事を思い出したのか、お菓子の名前を言ってきました。

 

「はい、そうです」

 

「そんなに美味しかった?」

 

「はい。サクッとして、それで甘くて、今まで食べたことの無い味でした!……へぅ、す、すみません」

 

あの時の事を思い出し、思わず興奮してしまいました。ご主人様が微笑んで見ていることに気が付き恥ずかしさで顔を隠してしまいました。

 

「それじゃ、成都に無事たどり着けたら、一緒に作ろうか」

 

「はい。その時は宜しくお願いします」

 

ご主人様とご一緒にくっきぃを作る約束が出来たことに私は嬉しくなりました。

 

そうだ、詠ちゃんも一緒に……

 

「あ、あの。ご主人様、くっきぃを作る時、」

 

「ああ、詠も一緒だろ?」

 

「~~~っ!はい♪」

 

詠ちゃんの事を忘れて居なかったことに私はとても嬉しくなりました。

 

そこで、ふと、有る疑問が浮かんできました。

 

「あの、ご主人様?詠ちゃんの事、どう思っているんですか?」

 

「え?詠の事?」

 

「はい。いつも詠ちゃんに蹴られたり、殴られたり、怒鳴ったりしているので、少し気になって」

 

「別に気にしてないよ。もとはと言えば、俺たちが洛陽を攻めなければ月と詠はこんなことをする羽目にはならなかったわけだし、その点に関しては悪いと思ってるんだ」

 

「いいえ。ご主人様が助けて下さったからそこ、私や詠ちゃんはこうして無事に暮らせています。それに、私はどちらかというと、お掃除とかお洗濯とかするのは好きなのでとても遣り甲斐があります」

 

「それならいいけど」

 

「それに……ご主人様のめいどとしてお傍に居られるので……」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「へ、へう!な、なんでもありません」

 

小さな声で呟いた言葉にご主人様が反応して少し驚いてしまいました。

 

「ああ、話がそれちゃったね。さっきも言ったけど、別に気にしてないよ。月がいつも言ってるだろ?詠は照れてるだけだって、それがわかってるからさ」

 

「よかった」

 

私はホッと、息を吐き安心しました。ご主人様がとてもお優しい方でよかった……

 

本当なら、どんな罰を与えられてもおかしくないのに、ご主人様は笑ってお許しになってくれる。

 

「ご主人様は、とてもお心の深いお方です」

 

「ええ!?そんなことないよ。ただ、女の子に酷いことをしたくないだけだよ」

 

苦笑いを浮かべながら言い訳をするご主人様。でも、その優しさが私は好きなんです。

 

「そんなことありません。ご主人様は、優しくて、慈悲深いと思います」

 

「ありがとう。月」

 

(なでなで)

 

「へぅ……」

 

逆にお礼を言われて頭を撫でられてしまいました。

 

へぅ……そんなつもりじゃなかったのに。

 

ご主人様に頭を撫でられると凄く安心します。でも、胸の鼓動は凄く早くなり顔も熱くなってきます。

 

「……」

 

私は目を瞑り、願いました。

 

これからこの先もずっと、ご主人様のそばに居られますように。っと……

 

《ねね視点》

 

「……」

 

ねねは今、とても不機嫌なのです。それは、なぜかと言うと……

 

「狭くないか、恋?」

 

「……(フルフル)大丈夫」

 

そう、このへぼ主人の馬に乗っていることが原因なのです。まあ、恋殿とご一緒出来るのはとても嬉しいのですが……

 

「ねねも狭くないか?」

 

「ふん、おまえが降りれば広くなるのです」

 

「は、ははは……」

 

ねねが言い放つとへぼ主人は苦笑いを浮かべてていた。

 

まったく……なんで怒らないのですか。普通怒るところなのですよ。恋殿はこのへぼ主人のどこを気に入ったというのですか。

 

「……ねね、ダメ。これ、ご主人様の馬。ご主人様降ろすなら、恋、降りる」

 

なんと恋殿は自ら馬を降りようとし始めたのです。

 

「れ、恋殿!?ま、待ってほしいのです!」

 

こ、こういう時、どうすれば、恋殿を止めることができるのですか!?

 

止める方法を考えている間も、恋殿は馬から降りようとしていたのです。

 

「恋は降りなくても良いよ。俺が降りるから、そうすれば狭くないだろ?」

 

一人で慌てていると、へぼ主人が自ら馬を下りると言いだしてきたのです。

 

「……(フルフル)それは、だめ……ご主人様降りたら、恋、寂しい」

 

「そ、そうなの?」

 

「……(こくん)」

 

「でも、自分は降りるのはいいんだ」

 

「……?」

 

恋殿はへぼ主人の言った意味が分からず首を傾げていたのです。

 

と、とりあえずは恋殿は降りずに済んで一安心なのです。

 

「ねねも俺が乗ってても良いかな?」

 

「し、仕方ないのです。恋殿がどうしてもと言うから、乗ってても良いのです。恋殿に感謝しろ、なのです」

 

「ああ、恋ありがとうな。ねねも」

 

「……ん♪」

 

「っ!ふ、ふん!」

 

恋殿はへぼ主人に頭を撫でられてとても機嫌が良さそうなのでした。

 

ねねはへぼ主人がねねに向けて微笑んできて、思わず、不覚にも、気の迷いで、胸がどきっとしてしまったのです。

 

まったく……誰彼構わず、笑顔を振りまくななのです。だから勘違いする女があんなにも多く続出してしまうのです。

 

ねね、へぼ主人の周りに居る、桃香や愛紗たちを見回しながら文句を頭の中で呟いたのです。

 

とにかく、恋殿をこのせいよく魔人から守るのがねねの使命なのです。少しでも変なそぶりを見せたなら、ちんきゅーきっくをおみまいしてやるのです。

 

ですが、今は馬の上なので、ちんきゅーきっくは出来ないのです。

 

「……♪」

 

へぼ主人に撫でられて嬉しそうな恋殿をこっそりと見上げる。

 

……し、仕方ないから、今回だけは恋殿の幸せそうな顔に免じ見逃してやるのです。でも、次は無いのです、覚悟しろ!なのです。

 

ねねはへぼ主人に念を送るように睨み付けたのです。

 

「……(にこ)」

 

「っ!?」

 

へぼ主人は何を勘違いしたのかねねに笑いかけてきたのです。

 

「何笑ってるのですか。ねねは睨み付けたのですぞ!」

 

「はぁ、等々、頭がおかしくなったのですね。ご愁傷様なのです」

 

「ひどっ!」

 

ねねの言葉にすかさず反応するへぼ主人。

 

「勝手に傷つくのは結構ですが、ちゃんと前を見ろなのです。ねねと恋殿は、おまえと心中するつもりは無いのです」

 

今、ねねたちが進んでいる場所は峠なのです。少しでもへぼ主人が馬の操作を間違えれば谷底に真っ逆さまなのです。

 

「そ、そうだよね。うん、気をつけるよ」

 

苦笑いを浮かべて頷くへぼ主人。まったく……本当に恋殿はどこを気に入ったのかわからないのです。

 

(くぅ~~~~~)

 

どこからとも無く、間抜けな音が聞こえてきたのです。

 

「おい、おまえ。変な音を鳴らすななのです」

 

「え?俺じゃないぞ」

 

「お前じゃなかったら、誰だというのですか」

 

「それは……」

 

へぼ主人はあろう事か恋殿に視線を向けた。

 

「恋殿はあんな間の抜けた音は出さないのです。やっぱりお前が犯人なのです!」

 

「だ、だから違うって!?」

 

(くいっ、くいっ)

 

「ん?どうした、恋」

 

恋殿に服の袖を引っ張られ話しかけるへぼ主人。まったく、まだ話は終わってないというのに。まあ、恋殿がきっとへぼ主人をしかるつもりなのでしょう。それで、我慢するのです。

 

「…………ご主人様、お腹空いた」

 

「……」

 

「……」

 

恋殿の言葉にねねもへぼ主人も固まる。そして、へぼ主人はねねの事を見てきたのです。

 

「なんですか、その目は。何か言いたいことでもあるのですか」

 

「い、いや。何でもない。気にしないでくれ」

 

「ふん!なのです」

 

「……ご主人様?」

 

「あ、ああ。何でもないぞ。えっと……お腹空いたんだったよな」

 

「……(こくん)」

 

「何かあったかな……」

 

へぼ主人は自分の服に手を当てて恋殿が食べられそうな物を探していたのです。

 

ねねも何か恋殿が食べられるものは……

 

「……」

 

自分の服を探してみるが食べ物のかけらすら無かったのです。

 

「う~ん。これしかないな」

 

「…………なに、それ?」

 

へぼ主人は何やら丸く、そして焼いた跡らしき焦げ目のあるものを袋から取り出してきたのです。

 

ねねも見たことが無いのです。あれはなんなのですか?

 

「これはパンって言うんだ」

 

「……ぱん?」

 

へぼ主人の手に持っていた丸く焼かれた食べ物は『ぱん』と言うらしい。

 

「……(すんすん)良い匂い」

 

「あんまり長期保存が効かないんだけどね。試に作ってみたんだ。良かったら食べてみてくれるかな」

 

「……(こくこく)っ!」

 

れ、恋殿の首がいつもと違う速さで頷いていたのです。

 

「ねねも食べてみるか?」

 

「ね、ねねはお腹なんか空いてないから結構なので(くぅ~~)……」

 

な、なんて時に鳴るのですか。ねねのお腹!

 

「食べる?」

 

微笑みながらぱんを差し出してくるヘボ主人。

 

「……いただくのです」

 

ねねは仕方なく。ヘボ主人が差し出してきたからぱんを受け取っただけなのです。決して、お腹が空いていたからでは無いのですよ!

 

「……はむ、もぐもぐ」

 

「どうかな?」

 

「……はむ、はむ、もぐもぐ」

 

「どうやら、恋は気に入ってくれたみたいだね」

 

恋殿は一口食べた後、二口、三口とぱんを口の中へ運んで行っていたのです。

 

「……ねねも」

 

「うぇ!?は、はいです……はむっ!もぐもぐ」

 

恋殿はねねが食べていないことに気が付いて食べるのをいったん止めて食べる様に催促してきたのです。

 

「……おいし?」

 

「もぐもぐ…………美味しいのです」

 

「そっか!よかった!」

 

ねねの一言にへぼ主人は嬉しそうに笑ったのです。

 

「おまえは気に入りませんが、このぱんには何の罪も無いですからな。はむ、もぐもぐ」

 

悔しいのです。なんでこんなに美味しいのですか。不味ければへぼ主人を叩きのめせるのにです!

 

「……ん」

 

「ん?どうかしたのか、恋」

 

「ご主人様も」

 

「一口くれるのか?」

 

「ん(こくん)」

 

「それじゃ、一口……あむ」

 

「なっ!な、なな、何をしているのですかこの変態強姦へぼ主人ーーーーーーっ!」

 

「ぶへっ!」

 

ねねは足場の悪い馬の背に立ちおもいっきりちんきゅうきっくをへぼ主人に食らわせたのです。

 

「はぁ、はぁ。いいですか!恋殿の食べ物を食べるなんて1800年とちょっと早いのですぞ!」

 

ねねはへぼ主人を指さし説教を始めたのです。

 

「……ねねとご主人様。仲が良い」

 

「っ!?な、なんでそうなるのですか~~~~~~~っ!!!」

 

恋殿の言葉にねねは叫ばずにはいられなかったのです。

 

 

恋殿~!それは間違いですぞ~~~~~っ!!

 

《ナレーション》

 

「やっと鈴々の番なのだっ!」

 

両腕を上げて自分の番が来たことを喜ぶ、鈴々。

 

「鈴々、ご主人様に粗相の無い様にな」

 

「わかってるのだ!とうっ!」

 

「ぐはっ!」

 

鈴々は愛紗に今さっき注意されたことを忘れたかのように馬に乗っている一刀のお腹に飛び込み、一刀を悶絶させていた。

 

「り、鈴々!言っているそばから!ご主人様、大丈夫ですか!」

 

「げほ、げほ、だ、大丈夫、大丈夫」

 

一刀は咳き込みながらも愛紗に大丈夫だと伝えていた。

 

「うにゃ?お兄ちゃんどうしたのだ?」

 

鈴々は自分が一刀に攻撃したという認識が無い為、一刀がなぜ咳き込んでいるのかがわかっていなかった。

 

「なんでもないよ。でも、馬の上は危ないから飛びつくのは危険だぞ」

 

「わかったのだ。次からは気をつけるのだ」

 

笑顔で答える鈴々だったがその誓いが守られることは無かったとか……

 

「まったく……ご主人様は鈴々に少し甘過ぎですよ」

 

「そうかな?そんなつもりはないんだけど」

 

「あります。まったく……いつもいつも鈴々ばかり可愛がって……」

 

「え?ごめん、聞き取れなかったんだけど」

 

愛紗の独り言を話しかけられたと勘違いた一刀は聞き返してきた。

 

「な、なんでもありません!」

 

「??」

 

顔を赤くして顔を背ける愛紗に一刀は首をかしげた。

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん!早く行くのだ!出発しんこーなのだっ!」

 

「うぉ!わ、わかったから馬の上では暴れないの!」

 

「は~い。なのだ」

 

馬の上ではしゃぐ鈴々を落ち着かせる一刀。

 

「はぁ……ご主人様。本当に大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫だと思うぞ……たぶん」

 

一刀は愛紗の言葉に苦笑いを浮かべて大丈夫と答える。

 

「お兄ちゃん!愛紗と話してないで早くいくのだ」

 

「わかった、わかった。それじゃ、愛紗またあとで」

 

「はっ。ご主人様、お気をつけて」

 

「鈴々がついてるから大丈夫なのだ!」

 

「お前のせいで気を付けてくださいと言ったのだ!」

 

「にゃはははーっ!」

 

既に愛紗のツッコミが耳に入っていない鈴々はとても嬉しそうに馬の上ではしゃいでいた。

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

 

「ん?どうした?」

 

「空が青いのだ!」

 

「ああ、良い天気だな」

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

 

「ん?今度はどうした?」

 

「鳥が飛んでるのだ!」

 

「本当だな」

 

「美味しそうなのだ」

 

「……」

 

涎を垂らしながら空を飛ぶ鳥を見る鈴々に一刀は苦笑いを浮かべていた。

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

 

「ん?」

 

「鈴々、お腹が空いたのだ!」

 

「やっぱり」

 

「うにゃ?」

 

「いや、何でもないよ。お腹が空いたのか。でも、さっき昼食べただろ?」

 

「あれだけじゃ足りないのだ。鈴々は育ちざかりだからいっぱい、いーーっぱい食べないとダメなのだ」

 

「そうは言ってもな~」

 

一刀は困りながらも自分の袋の中を確認した。

 

「う~ん……さっき恋にパンをあげちゃったからな……何もないよな」

 

一刀は鈴々の前に一緒に居た恋に袋の中に入っていたパンを全てあげてしまっていたのだった。

 

「ぱんってなんなのだ?」

 

「パンって言うのは麦の実を粉状にして水とかを入れてこねたものを窯で焼いた食べ物だよ」

 

「美味しそうなのだ」

 

「まあ、俺が食べていたパンみたいにふっくらとは出来なかったんだけどね」

 

「それでも食べてみたいのだ!」

 

「そう言ってくれるのは嬉しいんだけどね。実はさっき恋に全部あげちゃったんだよ」

 

「えーっ!恋だけずるいのだ」

 

「今度作ってあげるよ」

 

頬を膨らませて不機嫌そうにする鈴々に一刀は微笑みながら答えていた。

 

「っ!本当なのだ!?」

 

「ああ。本当だぞ」

 

「それじゃ、それじゃ、一杯!恋にあげた時よりい~っぱい作ってほしいのだ!」

 

「はは。そんなに食べられるのか?」

 

「問題ないのだ!だから、お兄ちゃん」

 

「了解。それじゃ、その時はいっぱい作ってあげるよ」

 

「やたーーーーっ!うにゃ!?」

 

「おっと!」

 

両手を上げて喜ぶ鈴々だったが、その拍子にバランスをくずしてしまい落ちそうになってしまった。

 

「大丈夫か、鈴々」

 

「ありがとうなのだ、お兄ちゃん」

 

「どういたしまして。危ないから大人しく座ってような」

 

「は~い。なのだ」

 

手を上げて返事をする鈴々は大人しく一刀に寄りかかった。

 

「にゃはは。楽ちんなのだ」

 

「はは、そうか?」

 

「うにゃ~。お兄ちゃんに頭を撫でられるのも好きなのだ」

 

一刀は頭を撫でてやると目を細めて鈴々は気持ち良さそうにしていた。

 

(くぅ~)

 

「にゃ~、でも、頭を撫でて貰ってもお腹は膨れなかったのだ」

 

鈴々はお腹を押さえて苦笑いを浮かべていた。

 

「はははっ、これじゃ、振出しに戻っちゃったな」

 

「戻っちゃったのだ」

 

「あははっ」

 

「にゃははっ」

 

先ほどと同じやり取りをして一刀と鈴々はお互い笑いあった。

 

《星視点》

 

「どうやら、今日は私で打ち止めのようですな」

 

空を見上げると大分日も落ちてきていた。

 

「せ、星」

 

馬から鈴々を降ろす主に声をかけると、主は一瞬顔を強張らせた。

 

「おや、主よ。何か言いたそうですな」

 

「いや、そう言う訳じゃないんだけど……」

 

言いたいことは無いと言いながらも主は先ほどから私のある一点を見ていた。

 

「主よ、言いたいことがあるなら素直に言った方がよろしいかと思いますぞ」

 

「えっと、それじゃ……それも一緒に乗るのか?」

 

主は私の持っている壺を指さしてきた。

 

「当り前ですぞ」

 

「だってそれ……酒、だろ?」

 

「ええ、その通りです」

 

「そして、そっちは……メンマ、だよな」

 

「良くお分かりですな。流石は主」

 

「いや……メンマが飛び出てるし」

 

「おっと、大事なメンマが」

 

主に指摘され慌ててメンマを壺に戻す。

 

「助かりましたぞ、主。ささ、私を馬に乗せて頂けますから?見ての通り両手が塞がれていますのでな」

 

「はぁ……取り合えずどちらかを俺に渡してくれないか?それじゃ、手が握れないだろ」

 

「それは出来ぬ相談ですな、主よ。酒かメンマ、どちらかを手放すなど、この趙子龍そんなことが出来ましょうか、否、出来る訳がないではありませぬか」

 

「だ、だけどそれじゃ、乗せられないんだけど……」

 

「なに、簡単なことですぞ。主が私の両脇から手を入れれば持ち上げられるではございませぬか」

 

「え、ええぇえええっ!?」

 

ニヤリと笑いながら答えると主は声を上げて驚かれた。

 

くっくっく……やはり主は面白いお方だ。

 

「ささ、早くせねば皆に遅れてしまいますぞ」

 

「うぅ……あ、あまり動かないでくれよ」

 

「主が変な所に触れなければ問題は無いかと」

 

「……」

 

「なんですかな、主よ。その眼は、まさか私を疑っているのですかな?」

 

「そんなことは無いけど……とにかく動かないでくれよ?」

 

主は何度も念を押すように私に言ってきた。

 

まったく、主は心配性ですな。私が大人しく馬の上に乗る訳が無いではありませんか。

 

私は主に背を向けてニヤリと笑っていた。

 

「……い、いくぞ?」

 

「どうぞ」

 

後ろを向いていても主の緊張が伝わってくる。

 

そして、主の手が私の脇の下に入ってきた。

 

(むにゅ)

 

「っ!ご、ごめん!」

 

わざと主の手を私の胸に触れさせると主は慌てて手を引いて謝ってきた。

 

くっくっく……予想通りの反応ですな。

 

「いやいや、気にしておりませぬぞ」

 

「う、うん……」

 

(むにゅ)

 

「っ!?」

 

そして主は気を取り直して、また私の脇の下に手を入れてきた。無論、私も先ほどと同じようにわざと胸に触れさせた。

 

「ご、ごめ……」

 

「くっくっく」

 

「せ、星!わざとだな!?」

 

「おっと、つい笑いがこぼれてしまった」

 

主の反応が面白く、思わず声に出てしまった。

 

「はぁ……もう乗せない」

 

「ちょ!あ、主、待たれよ」

 

「待たない」

 

「くっ!」

 

主はそう言うと馬を歩かせてしまった。

 

「……わ、悪ふざけが過ぎました。どうか、馬に乗せてください、主よ」

 

(ぴたっ)

 

「別に怒ってないよ。ただ、ちょっと仕返ししようと思っただけでね」

 

振り返ると、主は笑顔で言ってきて、私はからかわれたのだとそこでわかった。

 

「あ、主ぃ~。酷いですぞ」

 

「はは、ごめんごめん。でも、星も俺の事からかってたんだから、これでお互い様だろ?」

 

「うぐっ……た、確かに」

 

正しいことを言われ、思わず口ごもってしまった。

 

「ほら、壺一つ貸して」

 

「……」

 

笑顔で話してくる主に私は素直に壺を一つ手渡した。

 

「しょっと……よし、次は星。君の番だよ」

 

「では、よろしくお願いしますぞ、主」

 

手を差し出してくる主の手を空いた手で握る。

 

「いくよ……よっとっ!」

 

掛け声に合わせ、私は飛び上がった。これでも主を気遣って腕に負担を負わせないようにとの配慮だ。

 

「ふむ……絶景ですな」

 

「自分の馬と同じ高さだと思うけど?」

 

「わかっておりませんな、主よ。こうして、殿方と見るから良いのではありませぬか」

 

「そう言うもの?」

 

「そう言うものですぞ。それに加え、酒と肴……最高の贅沢ですな」

 

「いや、まあ。今は一応、軍行中なんだけど……わかってる?」

 

「ええ。ですがたまには息抜きをしなくてはいざという時、力が出ませんからな。それに、こうして主が私とそばに居るのです。危険はありますまい?」

 

「う、う~ん。確かに危険が及べば守るけど……愛紗に見つかったら。俺も怒られるんだけど?」

 

「はっはっはっ!その時は一緒に怒られようではありませんか、主よ」

 

「ちょっ!俺濡れ衣じゃないか!」

 

「何を言いますか。こうして見逃している時点で同罪ですぞ、主」

 

「な、なんだか納得いかない……」

 

「でしたら……おや?空に見慣れぬ物体が」

 

「え?どこだ?」

 

「……(にやり)」

 

「どこに居るんだせ、むぐっ!?」

 

空を見上げ無いものを探す主の口にメンマを放り込んだ。

 

「せ、星。今口の中に何を入れたんだ?」

 

「噛んでみれば分かりますぞ」

 

「……(こり)っ!?ま、まさか……」

 

「ふっふっふ、これで主も正真正銘の同罪ですな」

 

「うぅ……」

 

私の後ろでうな垂れる主。

 

「まあ、そう落ち込みなさるな。見つかったら私も一緒に謝ってあげますぞ」

 

「ああ、ありがとうせ……って、お前のせいじゃないか!?」

 

「はっはっはっ!気づかれてしまいましたな」

 

「まったくもう……まあ、星らしいと言えば、星らしいか」

 

(なでなで)

 

主は呆れながらも、笑いながら私の頭を撫でてきた。

 

「あ、主よ。なぜ私の頭を撫でるのですか」

 

「なんでだろ?なんだか急に撫でたくなったんだけど……お転婆な妹って感じだったからかな?」

 

「私を子供扱いするとは……少々、傷つきましたぞ主よ」

 

主に妹のようだと言われて、嫌な気はしなかったが、そこはそれいつもの私が言いそうなことを返す。

 

「ごめん。でもそれは、星の事をそれだけ大事に思ってるって事だからさ。許してくれないかな?」

 

「そう言われてしまうと、許さないわけにはいかなくなるではありませんか、主よ」

 

「ありがとう、星」

 

まったく、このお方は偶に私をどきっとさせるお言葉を言う……

 

主の言葉に、胸の鼓動が早くなり、顔も少しだけ上気していた。

 

主に顔を見られなくて私は安心していた。赤くなっている顔を見られるのは流石に恥ずかしいからな。

 

そして、今夜野営をする場所まで私は主をからかいつつ、酒を呑んだ。

 

もちろん、最後には愛紗のお説教が待っていたがな。

 

《To be continued...》

葉月「はい!という訳で、まだ目的地にはつけませんでした」

 

愛紗「いつもの事ながら……脱線が多すぎはしないか?」

 

葉月「そこはそれ、私のいつものノリなので諦めてください」

 

愛紗「はぁ、まあ。私も諦めているがな」

 

優未「その脱線のおかげで私は一刀君の馬に乗れたんだけどね!」

 

愛紗「ゆ、優未殿!またここに来られたのか」

 

優未「うん!だって、ここって退屈しないし!」

 

葉月「まあ、前回の作品でも偶に現れては楽しんでいましたからね」

 

優未「うんうん!」

 

葉月「そう言えば、第4回同人恋姫祭りが開催されるようですね。告知を見て、おぉ~!久しぶりだな~と思いましたよ」

 

優未「へ~、葉月は何か作品を出さないの?今回は……階段だっけ?」

 

愛紗「……それを言うなら、『怪談』で、あろう」

 

優未「あはは~、誤字、誤字♪」

 

葉月「考えてはいるんですけど、中々思い浮かばないんですよね」

 

愛紗「ふん、そんな幼稚な話を書く必要はない。早く、この話を進めるんだな」

 

優未「あっれ~?愛紗、もしかして……怖いの?」

 

愛紗「な、何を言い出すんだ!だ、だだ誰が怖いものか!」

 

優未「だったら、葉月が書いても問題ないよね~?」

 

愛紗「あ、当り前だ!この関雲長、お化けに後れを取る訳が無いであろう!」

 

優未「ふ~ん……あ、あんなところに人影が!」

 

愛紗「ひっ!」

 

葉月・優未「ひ?」

 

愛紗「っ!?ひ……人影と言うから誰かと思えば、美羽ではないか……ほっ」

 

美羽「おぉ!愛紗にお前は、冴えない筆者の葉月ではないか」

 

葉月「冴えなくて悪うござんしたね」

 

美羽「ぬははははっ!余喜に計らえ!」

 

優未「ああ、もう。うるさいな~……あっ!あそこに雪蓮が!」

 

美羽「ぴーーーーーっ!そそそそそ孫策なのじゃぁぁぁああああっ!」

 

葉月「行っちゃった……」

 

優未「これでうるさいのは消えたね♪」

 

愛紗「はぁ……」

 

優未「何溜息ついちゃってるの愛紗」

 

愛紗「候騒がしいと溜息も付きたくなる」

 

優未「苦労人だね、愛紗は。ところでさ、葉月。次回も今回の続きなの?」

 

葉月「はい。残りの人たちを書くつもりですけど。それが何か?」

 

優未「もう、私の話しやっちゃたから、さっさと進めない?」

 

愛紗「なっ!ち、ちょっと待つのだ!なぜそう言う話になる!」

 

優未「だって~。どうせ、しばらく私の話が無いんだから、早く話を進めてもいいんじゃないかな~って」

 

愛紗「よ、よくない!それでは私がっ!」

 

優未「私が、なに?」

 

愛紗「ぐっ……」

 

優未「私が、なんなのかな~?」

 

愛紗「ええい、煩い!」

 

葉月「うぉ!な、なんで私に堰月刀を振り下ろすんですか!」

 

愛紗「お前に非があるからだ!」

 

葉月「ええぇぇえええっ!?な、なんでですか!」

 

愛紗「お前が優未殿をこの作品に出しさえしなければこんなことにはならなかったのだ!」

 

優未「それってつまり……一刀君を取り合う、好敵手として認めるってことでいいんだよね?よね?」

 

愛紗「っ!ち、違うぞ、断じて違うからな!」

 

優未「そっか~、私も数に数えられてたんだね~。えへへ~」

 

愛紗「だから、違うと言っているだろうが!」

 

葉月「もう自分の世界に入っちゃってますね」

 

愛紗「はぁ~、頭が痛い」

 

葉月「苦労してますね」

 

愛紗「ああ……お前のせいで、なっ!」

 

葉月「ふがっ!わ、割れる!頭が、わ~れ~る~~!!」

 

愛紗「……これで、終局だ!はっ!」

 

葉月「ぎゃーーーーーっ!!」

 

愛紗「まったく……お前はしばらくそこで反省していろ」

 

葉月「は、はい……がくっ」

 

愛紗「さて……次回は先ほどそこで倒れている葉月が言ったように。今回の続きからだ。ちゃんと全員書くので楽しみにしていてくれ」

 

優未「えへへ~。一刀く~ん。ちゅ~♪」

 

愛紗「……優未殿は心、ここに在らずな状態なので、無視することにしよう。では、皆の者。次回を楽しみに待っていてくれ。さらばだ!」


 
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