No.464909

マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START 十三話 京都防衛線 前編

モアイ像さん

暑中お見舞い申し上げます
最近は熱くなっておりますので適度な水分補給をお願いします


そして今回、ガンダム登場!

続きを表示

2012-08-04 17:55:16 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:27586   閲覧ユーザー数:26425

マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START

 

 

十三話 京都防衛線 前編

 

 

日本帝国 SIDE

 

 

九州沿岸部に上陸したBETAに続いて二日遅れて中国地方日本海沿岸部に上陸したBETA群との挟撃に合い、本土防衛軍西部方面軍が壊滅

そのなかで帝国は条約を結んでいる米国と話し合われていたが、両者が譲らず平行線を辿っていた

 

「上陸が続く長崎・熊本・山口と広島に達した貴方達の自国は重大な危機に直面している、そこで我々からの提案なのだが対BETA新型兵器(G弾)の使用許可を取りたい」

 

「――たしかに対BETA新型兵器はBETAには有効かもしれないが、ここ書いてある資料によれば焦土以上の二次災害を及ぼす、それに民間人や大陸難民の避難が終えてない」

 

「しかし無駄に手をこまねいて、駐留している我が軍の兵士の命を預かる以上危険に晒すわけにはいかないのです、どうか国を取り仕切る者として適切な返答を期待したい」

 

米国代表は静かに部屋を出て行く、榊是親総理は大きくため息をつくが両者が思っている以上に事態はさらに深刻に悪化

依然として大型台風が猛威を振るっており、大型避難船の接岸がほぼ不可能なって民間人及び大陸難民の避難が間に合わなく防衛線は次々と瓦解され、BETA群は神戸へ到達していた

 

 

日本帝国 SIDE END

 

 

アスカ SIDE

 

 

BETA日本上陸の報を受けたのは、沖縄で泡盛を買っていた時だった

その頃沖縄では台風の爪あとが猛威を振るい、暴風の中で天然物を取り扱う酒屋を探していたら、物干し竿が槍みたく飛んでくるわ、中華なべがフリスビーのよう飛んできたり、無数のシーサーが周囲に落ちてきた

嵐の中、出歩くのは死亡フラグ本当だと改めて実感した

そして今は状況を確認すべく通信を繋げている

 

『まずいことになっているわね・・・』

 

「ええ、BETAは台風が追い風になって早い侵攻で西日本を制圧、軍は防衛と避難の二面作戦を展開していますが全て後手に回り、海上にはあの国の艦隊が集結中みたいです」

 

『・・・ここまで来るとかえって呆れるわね、自分達が予測していたにもかかわらず対処できないなんてお手上げね・・・ま、普通なら戻って来なさいと言いたいところだけど―――桜咲』

 

香月博士は自分が掻きまわされるのは嫌いだが、自分で掻きまわすのが好きという目をしていた

この侵攻は少なからず二国に亀裂が生じるだろう、あくどいが戦場に介入して結果を出せばさらに亀裂が深くなり帝国相手に優位に新装備を渡せるだろう

これをやるには、ひとつだけ問題があった、それは・・・

 

「――吹雪はA―01用に調節されて、ファントムは研究のため解析、今動かせる機体は無いですけど?」

 

『あるじゃない、桜咲だけが使えるヤツが・・・』

 

「いやいやアレは光学兵器が基準装備ですよ、それにGN粒子に対応した通信・レーダーはまだ帝国に配備されていないですよ」

 

『実体剣で戦える機体はあるわよね?ビームは人前では一切禁止、GN粒子ならこの嵐の中で少しの混乱として捉えてくれるわ』

 

「・・・・・・ッ!?」

 

たしかに一機だけある、その機体は・・・

 

 

 

 

ガンダムエクシア

 

エクシアは接近戦法(インフアイト)向きで、現段階でも近接はトップクラス入る

ヴァーチェやセファーラジエルが妥当かもしれないが出力の高いビーム兵器、無線誘導兵器とか使ったら言い訳が出来なくなる

エクシアはそんなにビーム兵器を使わない分GN粒子は拡散は防げるはず

窓から見る海上は雷が落ちる強風が吹き荒れていた

 

『どうやら決まったようね、軍には試作機の運搬中に台風に巻き込まれ貨物船から脱出したとでも言っておくわ、それとハイヴを落とした実力見せて貰うわよ』

 

「了解ッ!!」

 

通信が切れて自分のロッカーを開ける、ロッカーから青いCBのパイロットスーツを取り出し着用した

スーツは自分のサイズに合わせてあるので体にストレス無く馴染む

着替えが終わり食堂に顔を出すと誰もが不安な表情を浮かべていた

 

「京都が戦場に・・・この国は一体どうなるんだ?」

 

「チーフが作り上げた装備が配備されていたなら・・・」

 

「おーい、ちょっといいか・・・・・・いや、そんなに一斉に見ないで恥ずかしいから!」

 

「チーフ、その格好は・・・?」

 

「ちょっと京都へ行ってくる、トレミーは自動操縦に切り替えているから、なにかあった時はハロに言っておいてね」

 

「そんなご近所に行くように軽々しく言わないでください、いくら長距離に適した吹雪があるとはいえ荒れ狂う海を進むなんて自殺行為ですよ」

 

「いやいや吹雪は使うつもりはないから、アレはA―01用に調整されて今の俺の動きについていけないよ」

 

手元にある端末機を使い操作を始める

空中に立体投影されたのはエクシア

 

「今回使うのはこの機体だ、こいつは第四計画によって極秘に開発された第三世代機、格闘戦に特化した機体、名はガンダムエクシア」

 

「第三世代機!?」「ガンダム?」「いつの間に!」

 

「エクシアを含むガンダムタイプは、今までの戦術機とは違う理論で開発された機体だ、詳しくはこの戦いが終わった後に話す、それじゃあ行ってくるから」

 

「ご、ご武運を!」

 

エクシアが待つ格納庫に向かって走り出した

 

 

アスカ SIDE END

 

 

日本帝国 SIDE

 

 

とある補給基地では整備兵が慌ただしく動き、ハンガーには撃震を強化改修した斯衛軍専用・瑞鶴が鎮座していた

戦術機同士を隔てる壁に訓練生たちが待機し、その訓練生たちの中に山吹色の強化装備を着た篁唯衣(たかむらゆい)は見渡していた

 

「訓練生が足手まといかぁ・・・」

 

「たしかにそうかもしれないけど・・・」

 

「――おい、聞いたか、BETAが一部接近しているみたいだ」

 

「補給基地前方に展開していた部隊は全滅したのか?」

 

「「「――ッ!?」」」

 

唯衣たちは顔を見合わせ、格納庫から外を眺めるカタパルトに向かうと、山と山の間から染み出るように赤い炎が見えていた

その中から暴虐無人に戦術気の残骸を踏み潰し、全てを飲み込もうとするBETAの姿があった

 

「そんな防衛線の部隊が全滅」

 

「後方の補給基地がなんで?」

 

「もうここは後方じゃない、最前線なのよ・・・」

 

けたたましいほどの警報が鳴り響く、整備兵は端末機の操作を始め、瑞鶴を固定していたアームが一斉に外れる

 

『コンデションレッド発令!20キロ範囲にBETAが侵攻、全衛士は直ちに搭乗せよ!繰り返す、20キロ範囲に――』

 

次々衛士の搭乗が始まり、跳躍ユニットが唸りを上げ格納庫にハウリングする

カタパルトは赤い瑞鶴を始めとして飛び立つ、山吹色の瑞鶴はカタパルトに足を置き射出を待つ

 

「お父様どうか私達を御守りください・・・」

 

天井に備え付けられた赤いランプは青へと変わり、跳躍ユニットを後方に向けた

 

「ブラストオンッ!!」

 

瑞鶴は一気に加速を上げ、漆黒の世界へ飛び込んでいった

時同じくして本土防衛軍司令部のレーダーにはある地域だけ障害が発生して誰もが戦線ばかりに目をやり誰も気づきはしなかった

 

 

日本帝国 SIDE END

 

 

アスカ SIDE

 

 

エクシアは荒れ狂う海中を進んで行く

コクピットは上下左右に揺られるが意識を集中

海上を進めばいいのだが、GN粒子でコーティングされた装甲でも雷相手には無理がある

 

「大阪到着!大阪到着!」

 

「ハロ、GN粒子通常散布を維持したまま機体周囲を監視」

 

「了解!了解!」

 

海から荒れ果てた大地の中を進んでいくと京都に向かうと思うBETAの集団が見えてきた

レーダーを確認しても味方の機影がなく、ビーム兵器が自由に戦えるがレーダーを埋め尽くす数はちょっとなぁ・・・

 

「BETA、接近中!BETA、接近中!」

 

「気づかれた!?・・・でも、好都合」

 

一部のBETAが進路を変え向かってくる

侵攻よりもこっちに戦力を廻してくると言うことは、ハイヴを落とした俺が危険と判断されたことになる

その分、京都に行くのは少しばかり少なくなるはず

 

「人気者ってつらいなぁ」

 

思っていたよりも向かってくる数が多くて焦るが軽口を叩きながら自らを奮い立たせる

刀身が折り畳まれたGNソードを構え、突撃級に向かって撃つ

一筋のピンク色の光は突撃級を意図も簡単に貫通し突撃級を倒す、周りの突撃級はお構い無しに接近を続ける

エクシアを突撃級の進路から外して接近してくるBETA群の真横に行く

レーザー級は照射の準備をするが、そんな時間を与える暇もなく両腕を前へ出す、両手首に内蔵されたGNバルカンで一掃させる

威力が低いと思っていたが、これもビームなので効果は抜群

 

「次!」

 

両腰に装備されているGNロングブレイド・GNショートブレイドを同時に引き抜き、要撃級に向かう

要撃級の間をすり抜けながら切り刻む

そういったことを繰り返していると、遠くのほうで爆発した

 

「今のは?」

 

「艦砲射撃!艦砲射撃!」

 

艦砲射撃ということは、帝国は民間人誤爆の危険性があるため今まで控えていたが決断したのか

このままだと一人だけで大群を相手にしなければならない

 

「もう少し前線に近くに行くか」

 

 

アスカ SIDE END

 

 

日本帝国 SIDE

 

 

風が吹き荒れ至る所に煙が上がっていた

1200年の歴史を積み上げてきた古都は瓦礫と砲火の下に崩れ去っていくのを、一人の少女は見ていた

 

「殿下、帝国政府は東京に退避完了しました」

 

「・・・そうですか、戦線は?」

 

「帝都が落ちるのは時間の問題かと」

 

「長い時間を築き上げてきた都は、いとも簡単に崩れ去ってしまうのですね」

 

「心中お察し申し上げます」

 

悠陽は掠れそうな声を出しながら平然としているが、どんな地位に就いても何もできない自分の無力さに悔やんでいた

京都からは命が一つ消えまた一つ消えていくなか、悠陽の瞳には微かに緑の粒子を捉えていた

 

「あれは・・・?」

 

「どうかなさいましたか?」

 

「なんでもありません」

 

「・・・お疲れなのでしょう、しばらく奥でお休みください」

 

「大丈夫です真那さん、このことは政府ではなく私が決めたことですので最後まで眼に焼き付けておきます」

 

「御意」

 

二人の間にはただ冷たい風が吹きすさむ

その頃、アスファルトに山吹色の瑞鶴が横たわりデパートの屋上から唯衣は見下ろしていた

息は上がり顔から汗が垂れ落ちて疲労が溜まっていた

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

下へと続く階段を下りていくと今まで経験したことのない金属臭が鼻に纏わりつく

おもわず唯衣は鼻を押さえ、携帯していた銃を構え周囲を警戒しながら進む

下に降りていくごとになにかを噛み砕く音が聞こえ、音がする場所にたどり着くとそこは・・・

 

「や、山城さんっ!?」

 

瑞鶴にハイエナの如く群がり装甲を食い漁っている戦車級がいた

コクピットから唯衣の親友である山城上総(やましろかずさ)が頭から血を流しながらも必死に抵抗する

しかし銃ひとつでBETAを追い払う力はなかった

戦車級は一心不乱に装甲を貪り、いずれコクピットに達して自分が殺されてしまうと考え、上総はあることを決断した

 

「・・・お願い、私を撃って」

 

「えっ?」

 

「BETAに殺されるならいっそ・・・・・・殺して」

 

「できない・・・」

 

「撃って・・・唯衣いいいぃぃぃぃ!!」

 

喉から振り絞った叫びが周囲をこだまずる

しかし願いとは裏腹に強靭な口が開き周囲に金属臭が蔓延した戦車級が唯衣に立ちはだかる

 

「―――ッ!?」

 

おもわず撃つが戦車級にはびくともしない、襲い掛かろうと腕を振り下ろす

唯衣には死が迫っているのが理解するが、それと同時に微かに力強い駆動音が聞こえて建物全体に衝撃が走り襲いかかろうとした戦車級は粉々に打ち砕かれ唯衣は吹き飛ばされ倒れ込む

噛み砕いていた戦車級は動きを止めてある一点に向きを変えた

BETAに襲われたことが嘘のように建物全体が静寂になる

唯衣は意識を薄れていくなかも戦車級が向きを変えたほうへ視線を変えると、壁を突き破った跡に緑の粒子を放出続ける機体がいた

 

「・・・あの・・・機体は・・・?」

 

一体の戦車級が飛びかかるが手に持っていた剣を振りかざし二つに割る

何十体もの戦車級が襲いかかるが謎の機体は両腕を前へ出し、大粒の光の雨を降らせながら一体また一体と何十体もの戦車級を葬り去っていく

建物内部にはまた静寂に包まれ、唯衣の下に見たこともないスーツを着た人が駆け寄って来るのがそこで意識が完全に途切れてしまった

 

京都の町はまだ銃声と爆発が鳴り止まない

BETAは進路上の全て破壊しながら侵攻を続けて、ついに悠陽の目の前まで迫り、斯衛の瑞鶴が戦闘していた

 

『フォックス3!』

 

『各機、この場を死守せよ!突撃っ!!』

 

『『『―――了解ッ!』』』

 

「殿下ここは危険ですので避難を」

 

「分かりました」

 

静かに頷いた悠陽は侍女に案内されるが一体の要塞級が斯衛の防衛網を掻い潜ってしまう

真那は悠陽を守るべく要塞級の前に出ようとするが別の要撃級が邪魔をして身動きが取れない

 

「殿下かぁぁぁぁ!!」

 

要撃級は触手を鞭のように伸ばそうとするが一瞬動きが止まり倒れた

地面には長刀より小さく短刀より長い一振りの剣が突き刺さり、同時に通信・レーダーが一斉に障害が発生する

 

『一体・・・が・・・』

 

『どう・・・・・・ダー・・・通・・・』

 

その場にいた衛士が混乱するが、悠陽だけ一振りの剣が投げられたと思われる場所を見ていた

その場所には、たった一人の科学者が人類に失望しながらも人間の可能性を信じて未来に託した機体がいた

頭部の額に彫られた刻印を悠陽は読み上げる

 

「・・・GU、N、DA、M、ガンダム」

 

コクピットには唯衣を抱きかかえてBETAを睨むアスカ

ゆっくりと口を開きある言葉を言う、それはこの世界向けての誓約であり想い

 

「エクシア、アスカ・サクラザキ、目標(絶望)を駆逐する!」

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
9
6

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択