No.464834 いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生したたかBさん 2012-08-04 14:59:19 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:7499 閲覧ユーザー数:6935 |
第四十三話 悲しみのトリガー
「紫電…」
「ラケーテン…」
シュロウガという黒い鎧を着込んだアサキムを軸にシグナムとヴィータが襲い掛かる。が、それをまるで迎い入れるかのように両手を広げる。そして、
「一せ?!」
「ハン?!」
ガシッ。
アサキムは平然と受け止めた。
その手を切断するだろうシグナムの剣と原形をとどめることはできないだろうヴィータの鉄槌を平然とその両腕で止めた。
「やはり…スフィアを持たないものだとこんなもの」
「くっそぉおおおおお!アイゼン!」
[カートリッジロード!]
受け止められたハンマーから薬莢が二発はき出される。
すると、アイゼンはつるはしの先端のように円錐状だった先端が巨大な鉄槌へと変化しアサキムの拘束を外れる。そして、その巨大化した鉄槌でアサキムの胴の部分にその鉄槌が当たる。
「ぶっとべぇえええええ!」
ズガアアアアアンッ。
粉砕音を鳴らせながらアサキムと距離が開いた瞬間に、クロウが二人の間を縫うように飛び出す。
「どけっ!二人とも!SPIGOT起動!フォーメーション・ショットガン!」
ブラスタの周囲に浮かび上がった
ズガガガガガッ!
(くそっ!原作通りならSPIGOTは四つ。今の俺はカートリッジシステムも搭載しているのに…。俺の何が足りない!?)
三つの光輪はアサキムを滅多打ちにしていく。
そしてクロウは自分が持つ銃。
イーグルのカートリッジの種類を変えながらアサキムに突撃していく。
「スパイカーセット!SPIGOT!イーグルに直結!」
ブゥンッ。
本来、魔力で出来た銃弾を打ち出す銃口からは一メートル近い円錐状の魔力で出来た槍が出現する。
そして、そのランスの前にSPIGOTの光輪の一つが舞い降りる。
ズドオオオッ。
その光輪の穴になっている部分を貫くようにランスを通す。するとそのランスが一気に肥大化。三メートルを超える巨大な光の柱となってアサキムに突き刺さる。
「これで…決める!」
残った二つの光輪もブラスタに並走するように並ぶとその光輪からクロウの持つ銃から出現している巨大なランスと同様の光りの柱がアサキムを貫く。
「『揺れる天秤』!俺に答えろ!」
三つの光りの柱は螺旋を描くように回転しながらアサキムを貫いた。
その出力はなのはのスターライトブレイカーに近いものだった。
ズドオオオオオオオオオオオオオオンンッッッ!!!
「ぜぇ、ぜぇ…。これなら…」
クロウの攻撃を見てシグナム達やなのは達もさすがにこれならアサキムも…。
と、淡い期待を持っていた…。
「…少しは揺れるようになったみたいだが、『揺れる天秤』。まだだ。まだ足りない」
クロウの攻撃で巻き上がった爆炎の中から黒い鎧の影が見える。その時まで…。
「…そんな」
「…化け物め」
なのは、シグナムの言葉に暗い感情が混じり始めたその瞬間。
ドンッ。
「…あ」
ヴィータが小さい悲鳴を上げた瞬間にその細い右足を黒い炎。トラジック・ジェノサイダーに貫かれていた。
ヴィータ自身がそれに気が付いたころには彼女の周りにその炎の烏に囲まれていた。
「ヴィータァアアア!」
「…あ、あああ」
「貪れ。トラジック・ジェノサイ…」
アサキムがその黒い炎に命じてヴィータを攻撃しようとした瞬間だった。
『まってください!アサキム!貴方の狙いは何ですか!』
結界内に現れた巨大なモニターにリンディ・ハラオウンの顔が映し出された。
「…君は?」
アサキムは黒い炎を一度止めはするもののヴィータに振れているとも言っていいくらいの位置にとどめる。
『時空管理局リンディ・ハラオウンです。あなたの持つ闇の書。元『夜天の書』を担当しているものです。あなたの狙いはスフィアであってそれではないはず』
「…その通りだ。だからこそ僕はこの本に魔力を蒐集させている。残り数ページの空きはヴォルケンリッターで埋め尽くす。そして、この本は完成するだろうさ」
「「っ!?」」
アサキムの言葉にシグナムとヴィータは衝撃を受け、クロウはSPIGOTを自分の周りに浮かべながらも言葉をかける
「お前の狙いはスフィアなんだろう?それが何でその本に…」
「…未熟だね。『揺れる天秤』。…この本の中にはスフィア。『悲しみの乙女』が組み込まれているんだよ」
「な!?」
「今まで歴代の夜天の書。いや、闇の書と呼ばれてきたこの本の所有者はどのような末路をたどったか君は知らないのか?」
「…どういうことだ?」
「プログラムである君達は分からないだろうが。この本が闇の書と呼ばれたその時、その所有者は『悲しみの乙女』のスフィアリアクターだったということさ」
「…それじゃあ」
『悲しみの乙女』の真価を発揮するトリガー。
それは
「そうだ。つまり『闇の書の呪い』は『悲しみの乙女』が引き起こしていたに過ぎない。真なる自分の所有者を育成するためにね」
「…意味が。…意味がわかんねえよ。なんだよ。それじゃあ、それがはやてを苦しめていたってことなのかよ!」
「そういうことになるね」
アサキムは呆けるように闇の書を手にして軽く振って見せる。
「聞こえているかい、はやて?」
モニターに浮かび上がったリンディに向かってアサキムは言葉を投げかける。
「君のその足の不自由はこの本。闇の書が原因だ」
「…ろ」
シグナムはアサキムの言わんとすることを感じ取ったのか呻くように呟いた。
「それは騎士達が現れたことにより加速した。君ならどういう意味か分かるだろう?」
「…めろ」
「つまり、君が愛してやまない家族が君を苦しめているという事だ」
「「やめろぉおおおおおおおおおお!!」」
[[カートリッジロード]]
咆哮一閃。
シグナムはアサキムに向かってレヴァンティンを手に斬りかかる。
足を負傷し、その上炎にまとわりつかれていたヴィータもそれを振り払うかのようにアサキムに突撃していく。
「…哀れだね。所詮、君達も僕と同じ。呪われた身だ」
そんな二人を本当に憐れむかのような声でアサキムはその二人に向かって手を広げる。
「だが、君達が僕に向けていいのは『怒り』じゃない。…『悲しみ』だ。悪いが、惨たらしく壊させてもらうよ」
『…あかん!ヴィータ!シグナム!逃げてぇ!』
はやての声がモニターに映し出されたリンディの後ろから響いた。
その声を聴いてアサキムはシュロウガの中で微笑んだ。それは、はやてが確実にこの場面を見ていると確信したからだ。
それが残虐ショーの始まりを告げることになった。
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